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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
  0926話

「これは……コダ村!? そんな、こんな一瞬で移動出来るとは……さすがアクセル様」

 影のゲートを使い、影から出た瞬間に目の前にあった村を見てホドリューが驚く。
 それは他のハイエルフの者達も同様であり、集落で最初に影のゲートを展開してそこに沈み込んでいく時には驚いていたが、目の前にあるのが自分達と交流のあった村……コダ村とかいう村であると知ると、全員が驚きの声を上げる。
 それにしても驚いたのは影に沈んでいく時だ。その感触に驚きはしていたが、マブラヴ世界の住人のように悲鳴を上げるような者は一切いなかった。
 これは単純にこの世界にも魔法があるからこそなのか、それとも混沌精霊である俺に対する信頼故なのか。
 出来れば前者であって欲しい
 そんな風に考えている間にも、コダ村の住人が村のすぐ外にいるハイエルフ達に気が付いたのだろう。多くの者が村の入り口へと集まってきている。
 ……ただ、その中でも体格のいい若い男の多くが剣や槍を持って武装しているのを見る限り、色々と物騒な事になるかもしれないな。

「スレイ、ムラタ、ロゥリィ。もし何かあったらすぐに止めるぞ」
「斬るのか?」

 真剣な表情で告げてくるムラタだが、それに思わず溜息を吐いて首を横に振る。

「別にあのコダ村の奴等は俺達に敵対している訳じゃないだろ。急に村の外に100人近いハイエルフが現れれば、誰だって……ん?」

 そこまで告げて、ふと気が付く。何故かロゥリィがムラタの腕を掴みながらプルプルと震えているのを。

「どうした?」
「……何でもないわよぉ」

 いや、普段の態度と全く違うんだが……

「けどぉ、あの影に沈むのはもう絶対に嫌よぉ。あいつが……あいつがぁ……」

 ……どうやら何らかのトラウマを刺激してしまったらしいな。
 ただ、どうしたものか。
 これだけの人数を移動させるには影のゲートが便利なんだが。
 ああ、いや。そうだな。
 ふと思いつき、空間倉庫からエアカーを取り出す。
 当然だが、影のゲートを使う前にエアカーとサラマンダーは両方とも空間倉庫に収納済みだ。
 その時にもハイエルフ達が驚くという一幕があったんだが、それについては既に流す事に決めている。

「……ん?」

 ふと視線を感じてそちらへと顔を向けると、そこではコダ村の住人達が何故か驚愕の視線をこちらへと向けている。
 そしてハイエルフ達はといえば、再び片膝を突いて頭を垂れた状況になっていた。

「ホドリュー?」

 取りあえずとばかりに、ハイエルフを率いている人物へと言葉を掛ける。するとホドリューが顔を上げて口を開く。

「アクセル様の御技は素晴らしいですね。思わず見惚れてしまいました」
「……ああ。まぁ、それはともかくとしてだ。コダ村とはどうなったんだ?」

 呆然とこちらを……そして頭を垂れているハイエルフ達へと視線を向けているコダ村の住人達へと視線を向けて尋ねると、向こうとしても我に返ったのだろう。住人達の奥から、1人の老人が姿を現す。
 それに気が付いたのか、ホドリューもまた立ち上がって口を開く。

「長老、久しいね」
「やはりホドリューか。……それよりも、これは一体どういう事じゃ? この村を攻めに来た……という訳でもなさそうじゃが」
「心外だね。これまでいい関係を築いてきたというのに、いきなりそんな真似をするとでも?」
「じゃが、いきなり村の外にこれだけの人数が現れれば警戒するのはしょうがなかろう?」

 そんな村長の言葉に、ホドリューはごもっともとばかりに肩を竦める。
 こうしてみる限り、やはりこのコダ村とホドリューの集落は良好な関係だったのだろう。

「もっとも、今回に限っては儂等の早とちりじゃったようじゃがな。それにしても時期が悪かった」
「時期?」
「うむ。今帝国と戦争している国があるんじゃが、この前大きな戦いがアルヌスの丘であったらしくてな。その戦いで帝国が惨敗して、逃げ散った兵士や傭兵達が盗賊に様変わりして旅人や村を襲っているんじゃ。この厳戒態勢も盗賊に対する備えじゃよ」
「……何?」

 2人の会話を聞いていた俺は、思わず呟く。
 すると、そんな俺の声が聞こえたのだろう。村長がこちらへと視線を向けて尋ねてくる。

「お主は?」
「アクセル・アルマーだ。ホドリュー達を今回引き取ることになった。ここに来たのは、ホドリュー達が交流のあったこのコダ村の者達に挨拶をしておきたいって事らしいんでな」
「……引き取る?」

 どういう事だ? とばかりに村長がホドリューへと視線を向けると、その本人は小さく首を横に振る。

「実は、私達の集落が炎龍に襲われてね」

 炎龍。その一言がもたらした効果は絶大だった。
 村長はおろか、話の成り行きを見守っていたコダ村の住人達全てが目を見開く。
 その瞳に映っているのは恐怖と絶望。
 あの炎龍、どうやら俺が思っていた以上にこの世界では恐怖の象徴らしい。
 まぁ、空を飛んでファイアブレスを吐いて、ロゥリィの話だと鱗も相当硬いらしいからな。特に空を飛ぶというのはこの世界の住人にとっては厄介極まりないだろう。
 ともあれ、そんな絶望に飲まれ掛けた村長や村人達へとホドリューは笑みを浮かべて口を開く。

「ああ、安心してもいい。炎龍はアクセル様が倒してくれたから」
『……』

 その一言に、一瞬何が言っているのか分からないとでも言うように俺へと視線を向けてくる村人達。
 やがて、村長が再びホドリューへと視線を向けて口を開く。

「ホドリュー、お主、自分が何を言っているのか分かっているのか? あの炎龍じゃぞ? それを人が倒すなど……」

 ありえない。夢でも見てたんじゃないのか。言外にそう告げる村長に、ホドリューはそっと首を横に振る。

「事実だ。集落を襲ってきた炎龍を引き離してからの戦闘になったから、倒すところを見た訳ではない。けれども、アクセル様のなされた事である以上疑いはない」

 いや、だからそこまで盲目的に信じられても困るんだがな。
 実際炎龍を倒したのは事実だが。
 ……ああ、炎龍に関してはアルヌスの丘に戻ったら一旦空間倉庫から出した方がいいな。
 いや、レモンに渡す素材的な意味ではなくて、炎龍の胴体……サラマンダーの攻撃を受けてまだ残っている部分には、恐らく食われたハイエルフ達の死体が残っているだろう。
 火葬、土葬、あるいはそれ以外の何か。ハイエルフがどのように死者を埋葬するのかは分からないが、それでも死体があった方がいいのは事実だ。

「……随分とこちらのアクセル様という方に心酔しているようじゃな。それ程の何かがあったのか?」
「そうだ。人間である村長には分からないかもしれないが、アクセル様は我等精霊種たるハイエルフにとっては神に等しいお方なんだよ」
「神?」

 胡散臭げにこちらへと視線を向ける村長だったが、俺が何かを言う前にホドリューが口を開く。

「アクセル様に庇護してもらうように頼んだのはこちらからだ。悪いが、アクセル様に対して不躾な視線を向けるのは謹んで欲しい」
「ふむ。まぁ、強制的に連れて行かれるのではない以上、儂からは何を言うこともないな。ただ、ホドリュー達のような親しい隣人がいなくなるのは寂しいが。全員が彼の下に向かわなくても、何人かでも集落に残ったりは……」

 だが、ホドリューは首を横に振って村長の言葉を否定する。

「集落そのものが炎龍の攻撃でもう殆ど使い物にならなくなっているからね。それに、アクセル様の下へと向かうのは皆が自分の判断で決めた事だ」
「……ふぅ、分かった。それですぐに行くのか?」
「出来れば皆が世話になった相手との別れの時間を取りたいのですが……どうでしょう?」

 村長の言葉に、ホドリューがこちらに向けて尋ねてきた。
 確かにそれはありか。ここからアルヌスの丘まではある程度の距離があるから、これまでのように気楽にこの村の住人と交流は出来なくなるだろうし。
 そもそも帝国の国内の村が、その帝国と敵対している国家の庇護下に置かれたホドリュー達と気軽に会うというのがそもそも難しいだろう。
 それに……
 チラリと視線を向けた先にいるのは、いつもの余裕はどうしたのか、未だに震えながらムラタに掴まっているロゥリィの姿。
 あの2人をエアカーで帰すのなら、時間が掛かる分、先に帰した方がいいだろう。

「分かった、1……いや、2時間やるから好きにしろ」
「ありがとうございます」

 深々と一礼したホドリューは、早速とばかりに他のハイエルフ達に声を掛け、村長や村の住人と共に村の中へと入っていく。
 それを見送り、改めてムラタとロゥリィの方へと向かう。

「大丈夫……そうじゃないな」
「そうだな。……さすがにこれは予想外だった」

 溜息を吐きながらムラタが呟き、自分の腕を握っているロゥリィへと視線を向ける。
 どこか恋人、あるいは親子といった様子を連想させられる光景だが、正直にそれを口にすれば間違いなく騒ぎになるので、そのままスルーして話を続ける。

「まぁ、苦手なものはしょうがない。ともあれ、この様子だと影のゲートで転移するのはまず無理だろ」
「と、と、と、当然でしょぅ。もう2度とごめんよぅ」

 ……こうしてみると、普通の幼女にしか見えないんだけどな。

「だろうな。だからお前とムラタには影のゲートを使わずに帰って貰うことにする」

 そう告げ、先程空間倉庫から取り出したエアカーへと視線を向ける。
 それを見た瞬間、ロゥリィの表情は瞬時に一変した。
 恐怖と悲しみといった表情から、希望の顔へと。
 恐らくこのままだと、また影のゲートでアルヌスの丘まで帰らなければならないと思っていたのだろう。

「って事で、ムラタ。お前とロゥリィはこれに乗ってアルヌスの丘まで戻っていいぞ。ハイエルフ達は俺が影のゲートで連れていくから」
「……むぅ。しかし……」

 数秒程迷ったムラタだったが、ロゥリィに腕を引かれて数秒後には溜息を吐き、了解する。

「分かった。行くぞ、ロゥリィ」
「うん、うん。じゃあ行きましょう」

 笑みを浮かべて助手席へと乗り込むロゥリィを見て、ムラタは溜息を吐きながら運転席へと乗り込む。

「では、先に帰らせて貰うぞ」
「ああ。……まぁ、そっちに戻るのは俺達の方が早いと思うが」
「確かにな」

 ニヤリとした笑みを浮かべ、ムラタはエアカーを起動させる。
 その名前通り、ふわりと浮かび上がるエアカー。
 影のゲートを使わなくてもいいと知り、余程に嬉しかったのだろう。ロゥリィは笑みを浮かべてハルバートを後部座席へと置き、こちらへと向かって手を振っていた。
 そのまま去って行くエアカーを眺めつつ、ふと思う。
 もしかして影のゲートだったから駄目で、フェイトが使うような水のゲートなら問題なくロゥリィも使用出来たのか、と。
 けど、ゲートを作った場所に沈むというのは同じだしな。
 それを思えば、やっぱり水のゲートでも騒ぎそうな気はする。

「アクセル、取りあえず2時間の暇が出来たわけだが……どうする?」
「そうだな、折角ファンタジー世界にやって来たんだ。たまにはゆっくりとするのもいいだろうさ。ほら」

 空間倉庫から取り出した缶の紅茶のうちの1つをスレイに放り投げる。
 それを当然のように受け取り、そのままお互いに村周辺の光景を眺めつつ紅茶を楽しむ。
 こういう時にはやっぱり缶の紅茶が便利だよな。
 勿論ネギが好むような本格的な紅茶もいいんだろうが……この光景にはどこか合わない。
 いや、そもそも手間が掛かりすぎるか? ……2時間もあるんだし、多少手間が掛かってもいいのかもしれないが。
 そんな風に考えていると、不意に肩に重みを感じる。
 そちらへと視線を向けると、そこにいたのは俺の肩に頭を預けているスレイの姿。
 ただし、外でこういう事をしているのが照れくさいのか、その顔は真っ赤に染まっている。
 ここで普段夜にはもっと色々としているだろうとか言ってみたかったが、それを言えば後々色々と不味い事態になりそうな予感がしたので、缶紅茶を持っていない方の手でそっと肩を抱き寄せるだけに留める。
 コダ村の者達はハイエルフとの別れをする為に殆ど全員が村の中へと戻っているので、こちらを見ている者は……ああ、いた。
 村の外で盗賊が襲ってこないか見張りをしている奴が、こっちに思い切り視線を向けているのと目が合う。
 もっとも、すぐに視線を逸らしたが。
 中々に気遣いできる奴だな。

「どうした?」
「いや、何でもない」

 今のちょっとした動きで気が付いたのか、スレイが俺に頭を預けたままそう尋ねてくる。
 それに何でも無いと返し、ハイエルフと村人達の別れが終わる2時間が過ぎるまで、久しぶりに2人きりのゆっくりとした時間を過ごす。





 ちなみにハイエルフ達は気を利かせたのか、2時間ギリギリまで戻ってこなかった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:175
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1144 
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