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美しき異形達

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第四十話 大阪の華その三

「それだからこそね」
「全部食わないとか」
「大阪名物をね」
 それの全てをというのだ。
「食べるべきよ」
「何か菫ちゃん燃えてるな」
「食べること好きだから」
「あっ、そうだったんだ」
「そう、食べ歩き好きよ」
 今ここで話した菫の趣味の一つだ。
「だから全部食べましょう」
「よし、それじゃあ」
「これから」
 こう話してだ、そしてだった。
 菫は善哉も食べた、その一つ目を食べ終えて。
 二つ目も食べる、それで言うのだった。
「美味しいわ」
「確かに美味いな」
 薊もその善哉を食べつつだ、菫に応じた。
「この善哉」
「そうでしょ、大阪だからね」
「大阪は食いもの美味いっていうのは本当なんだな」
「だから食い倒れなのよ」
 菫はまたこの言葉を出した。
「そう言われているのよ」
「美味いものばかり食ってか」
「それで倒れるの」
「成程な」
「京都は着倒れ、神戸は履き倒れでね」
「そういえば神戸靴屋さん多いな」
 薊は菫の今の言葉で現在住んでいる場所のことに気付いた。
「あそこは」
「そうでしょ、それで京都はね」
「服か」
「和服よ」
 服は服でもこちらの服だというのだ。
「今回の旅行では行っていないけれど西陣とか」
「西陣織か」
「そういった服が有名なのよ」
「それで服が凄いからか、和服が」
「着倒れなのよ」
 そうだとだ、菫は善哉を食べつつ薊に話した。
「関西はそれぞれそう別れているのよ」
「そうなんだな」
「それで大阪は食べること」
「あたし的にはそっちが一番いいな」
 薊は楽しそうに笑ってこうも言った。
「あたしも食うこと好きだしな」
「そういえば薊さんいつもよく食べられますね」
 桜が薊の今の言葉に突っ込みを入れてきた。
「何でも」
「ああ、とにかく食うのは好きだからな」
「それで善哉もですね」
「好きだよ、それで一番好きなのはさ」
「何でしょうか」
「やっぱりカレーかね」
 この料理ではないかというのだ。
「子供の頃から好きだよ」
「そうですか」
「あとハンバーガーとか。天麩羅とかラーメンも好きだな」
 そういったものも好きだというのだ。
「逆に嫌いなものはないよ」
「そうなのですか」
「何でも食えるよ」
「それはいいことですね」
「そうそう、大阪は蟹や河豚、牡蠣も有名なのよ」
 ここでまた菫が言って来た。
「そういった海の幸もね」
「ああ、蟹道楽とかづぼら屋か」
 薊もこうした店のことは知っていた。
「安いんだよな、確か」
「蟹や河豚にしてはね」
「それに牡蠣もか」
「牡蠣は土手焼きね」
「それも大阪料理なんだな」
「そう、牡蠣といえば広島だけれど」
 大阪も、というのだ。 
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