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ドリトル先生と学園の動物達

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第十幕その四

「ポリネシアの言う通りだよ」
「日笠さんが僕のことを好きだろうから」
「そう、先生から声をかけて」
 そして、というのです。
「お付き合いをはじめるべきだよ」
「ううん、だから僕はね」
「自分から声はかけぬか」
「そうしたことはね」
 先生は老馬にも言います。
「紳士としてはどうかと思うから」
「やれやれじゃな、それではな」
「あの、本当にこんなチャンス滅多にないよ」
 ガブガブも先生に言うのでした。
「本当にね」
「千載一遇だね」
「そう言うべきじゃない、これを逃したら」
 それこそ、と言うガブガブでした。
「先生、チャンスはないかも知れないよ」
「そうかもね。少なくともね」
 ジップも参戦してきました。
「先生これまで女の人と縁がなかったよね」
「うん、そちらはね」
「だからだよ、先生の紳士としての考えは聞いたけれど」
 それでもだというのです。
「ここは自分から行ったら?」
「僕が一番出来ないことだけれど」
「スポーツと並んでだね」
「どっちも苦手だよ」 
 それこそというのです。
「そうしたことはね」
「先生は鈍感じゃないけれど」
 ホワイティもこのことはわかります、先生は決して鈍い人ではありません。相手の気持ちは普通にわかる人です。
「奥手だからね」
「もてたこともないよ」
「それで戸惑っているの?」
「その気持ちもあるね」
 実際にとです、先生はホワイティに答えました。
「実際に」
「そうなんだね」
「ううん、僕から声をかけることは」
「どうしても」
「無理なんだね」
 オシツオサレツが二つの、身体の前後にある頭からお話します。
「やれやれ、それじゃあ」
「日笠さんはもう一押しかな」
「日笠さん自身が頑張らないとね」
「駄目なのかな」
「日笠さんの気持ちも考えたら?」 
 ダブダブは先生に厳しく言いました。
「先生も」
「日笠さんの気持ちに」
「そう、日笠さんは女の人だから」
「ここはっていうんだ」
「殿方から声をかけるべきでしょ」
 先生のお考えと正反対のことを言うのでした、ダブダブはあえてそうしたのです。
「やっぱり」
「そうなるのかな」
「そもそも何で先生はお声をかけないのよ」
 ダブダブはまた厳しく言うのでした。
「先生と日笠さんがお知り合いになってからこうしたことばかり言ってるけれど」
「皆先生が心配だからね」
 TOTOもその大きな目で先生を見つつ言うのでした。
「それも真剣にね」
「だから僕に今も言うんだね」
「そう、先生を思うからこそ」
「私達も言うのよ」
 チープサイドの夫婦の声も真剣なものです。
「もっとね」
「積極的にならないと」
「本当にこの機会を逃したら」
「次は何時か」
「わかったものじゃないから」
「だから言うのよ」
「若しもね」
 ポリネシアもこれまで以上に強く言いました。 
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