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ドリトル先生と学園の動物達

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第十幕その三

「和食はとてもいいのです」
「そういえば日本の方は太っている人が少ないですね」
「あっ、少ないですか」
「イギリスと比べて。それに」
 先生は自分と同じ献立のお弁当を食べている日笠さんにお話します。
「その肥満の度合いもです」
「イギリスの方が凄いのですね」
「そうです」
「そうですか、ただ日本も」
「太っている人はですか」
「多いと思いますが」
「いえいえ、日本の太っている人はです」
 先生から見ればというのです、このことは。
「イギリスから見れば普通ですので」
「そこまでイギリスでは太っている人はですか」
「太っています、アメリカの肥満がそうですね」
「国は違えどですね」
「アメリカ人の肥満から見れば日本人の肥満は」
 それこそとお話する先生でした。
「肥満になりません」
「そこまで違いますか」
「それは和食故ですね、そして僕も」
「痩せられたと」
「和食はいいのですね」
 こうも言う先生でした。
「日本のお料理自体が」
「健康的だというのですね」
「そう思います、僕は栄養学等には造形がなかったですが」
「これからはですか」
「少し考えてみようと思います」
「左様ですか、やはり健康であるべきだからですね」
「そうです、食べられればいいという訳ではないですね」
 先生が来日してから至った考えの一つです。
「そうなりますね」
「それはその通りですね」
「左様ですね」
「では先生」
「はい」
「これからも何かあれば」
 その時はというのです。
「お弁当を作らせて頂きますので」
「美味しくて健康的なお弁当をですね」
「お任せ下さい。お料理は私の趣味の一つでもあります」
「それは素晴らしいことですね」
「ですから苦にはならないので」
 趣味であり楽しんでいるから、というのです。
「何かあれば何時でもお声をかけて下さい」
「それでは」 
 こう応えてでした、そのうえで。
 先生は日笠さんのお弁当を美味しく頂くのでした、その後で一旦研究室に帰った先生からです。そのお話を聞いた動物達は。
 前足や手、翼を叩かんばかりに喜んで、です。それぞれ言うのでした。
「よし、これはいいね」
「いい流れだよ」
「やっぱり日笠さんで決まりかな」
「先生にはね」
「そうかもね」
 こう言うのでした。
「日笠さん本当にいい人だよ」
「先生の本質に気付いてくれてるしね」
「しかも優しくて料理上手」
「これなら申し分ないよ」
「日笠さんならね」
「先生の面倒を見てくれてるよ」
「先生ときたら世事のことは全くだからね」
 とにかくそちらはてんで駄目なのが先生です、それこそ洗濯機のボタンを押すことすら怪しい位なのです。
「そうした人でもね」
「日笠さんがいてくれたら」
「僕達もほっと出来るよ」
「あの人なら」
「先生、チャンスよ」
 ポリネシアもここぞとばかりに先生に言います。
「千載一遇のね」
「日本の諺だね」
「そうみたいね、そして今は実際にね」
「僕にとって千載一遇だっていうんだね」
「動いたら?」
「うん、動くべきだね」
 チーチーも先生に言いました、それも真面目に。 
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