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俺の知ってる作品でバトルロワイアル

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27話:SPEC~凶~ 弐

「ここで爆発があったようだな」
 瀬文焚流と両儀式は歩いてから何時間か経った頃、爆発音を聞きその原因を探るべくここにいる。
 ここは4-Dエリア。
 ちなみに伽藍の堂は6-Dエリアだ。
「しかし変だな」
「ああ、変だ」
 瀬文の漏らす感想に式は同意する。
 ここで爆発があったのは確かだ。
 抉れた地面がその事実を物語っている。
 しかし、だ。
 その爆発によって空いた穴の周りにはまったく『火』が無いのである。
 このエリアは丸ごと竹取山という山の一部。
 地図上では竹取山は3-C、3-D、4-C、4-Dを丸々飲み込んでいる。
 そしてこの4-Dエリアも山である以上、植物が生えている。勿論竹取山という名前の示す通りそのほとんどが燃えにくい竹であるが、それでも別に竹しか生えていないわけではないし、落葉など燃えやすい物などいくらでも地面に敷き詰められている。
 何が言いたいかというと。
 ついさっき爆発が起きたにもかかわらず。周りの竹や木や落ち葉など燃えやすい物があるにもかかわらず。火がまったく燃え移っていないのはおかしい、ということだ。
「それだけじゃない。この穴も‥‥‥」
「ああ。あの音を聞いた以上この穴は爆発によって出来たことは疑いようがない」
 しかし。

「‥‥‥なぜこんなに四角い?」

 そう。
 穴は四角く、くり貫かれたような形をしていた。穴の形が真四角なのではなく、まるで土を均等なブロック状にしてどこかに持っていったかのように、そしてそれを何度も繰り返したかのように抉られていたのだ。
 分かりやすく言えば、断面があまりにも綺麗なのだ。
 とても爆弾で吹っ飛ばしたとは思えないほどに。
「これは、TNTを使ったな」
 いつの間にか出てきていたゆっくり魔理沙があっさりとその謎を解いた。
「‥‥なぜわかる?」
 若干苛立ち気味になりながら瀬文はゆっくり魔理沙に尋ねた。
「そりゃわかるぜ。マイクラ実況は我らゆっくりの十八番中の十八番だぜ。TNTが爆発するタイミングで気の効いた台詞を叫ぶのは―――」
「なるほどわからん」
 式がゆっくり魔理沙の言葉を遮った。
 瀬文は早くも頭が痛くなり始めている。
「それで、TNTってのはどんなものなんだ?」
 意外にも冷静な判断のできる式だった。
「主に整地に使われる爆弾で普通なら火打ち石で起爆できる。爆発すると高威力の爆風が起きて破壊が生じ、周囲のブロックは回収可能になる。使われた証拠に穴の中に小さな四角い物があるはずだぜ」
 瀬文が懐中電灯で照らすと確かに小さなブロックが穴の底に浮いていた。
「けど殺し合い会場で使われた事から、どうやら殺人目的で使われたと見るべきだぜ」
「人間にも効くのか?」
「勿論人間(プレイヤー)化け物(mob)を殺すことも可能だ」
 なるほど、と式は相槌を打ち、そしてある一点を見た。
「とすると犯人はあいつか」
 瞬間、式が動いた。
 袖の中に仕込まれていた自殺志願(マインドレンデル)の偽者だったものの片割れを、投げた。もはやただのナイフとなったそれはまっすぐに隠れていた者へと飛んでいき、そしてガサッと竹の葉を掻き分ける音を立てて消えた。
 ナイフが見えなくなってすぐに、一人の人間が自身の隠れていた竹を粉砕した後出てきた。

「ぎゃはは。気づかれちまってたかぁ」

 出てきたのは、奇妙な男―――
「いや、女か」
「ああ!? 何言ってんだよ僕は男だよ」
 と、セーラー服を着た彼は即座に言い返した。
 式はふと、その様子に今は亡きもう一人の自分である識を連想する。が、すぐに消えた。
(‥‥‥ぜんぜん似てないじゃないか)
「で、これはお前の仕業か?」
「いや、これは僕の仕業じゃあない。僕は爆弾なんか使わない」
 下手人であるドナルド・マクドナルドは既に逃げていた。
 式と話している彼もしくは彼女、匂宮出夢は単に爆発が気になってこの場に駆け付けただけだ。そして式が出夢を疑ったように出夢も式と瀬文を爆発の原因と疑っていたのだ。
「殺し合いには乗ってるのか?」
「やる気はねーな。殺戮の時間は一時間て決めてんだ。下らねえことに費やすつもりなんてねえよ」
「‥‥‥そうか。ならすまなかったな。いきなり攻撃して」
「ぎゃはは。おねーさんとは殺し合っても良かったんだけどなぁ」
「オレはお断りだ」
 直死の魔眼で出夢を見据えながら、式は言った。その目は殺意に溢れているとかそんな次元ではなく、まさに死そのものを見ているかのように感じられた。少なくとも幾度となく零崎一賊の鬼子と殺し合った出夢はそれが正しい認識なのだろうと思っていた。
「お前からは、なんだかオレと似たような雰囲気を感じる」
「は?」
 それはどういう意味だ、と問おうとしたときにいい加減蚊帳の外に耐えきれなくなった瀬文が会話を横切った。
「‥‥そんな話はいい。お前の素性は気になるが今は情報交換が先だ」
「おいおい空気読めよ~オッサン」
 ぼやきつつも出夢は穴の淵に座って情報交換を始めるのだった。
 二人の元多重人格の女は、まるでそれが決まっていたかのように出逢った。




【匂宮出夢@人間シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品二つ
[思考・状況]
基本思考:とりあえずおねーさん(両儀式)についていく
1:人識と会うのも良いかもしれない
2:おにーさん(戯言遣い)とは合流しておくか





【両儀式@空の境界】
[状態]:健康
[装備]:無銘@戯言シリーズ、自殺志願(偽)の片割れを袖の中に
[道具]:支給品一式、無銘@戯言シリーズ、自殺志願(偽)@人間シリーズ
    ゆっくり魔理沙@ニコニコ動画
[思考・状況]
基本思考:対主催
1:瀬文に同行し、当麻紗綾を探す
2:浅上と白純を警戒
3:橙子は殺しても死なんだろう
4:SPECについて大体の知識を得た
5:出夢はオレと似ている?
6:ゆっくり魔理沙は人形か何かだろう




【瀬文焚流@SPEC】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品三つ
[思考・状況]
基本思考:当麻と再会する
1:両儀式・・・何者なんだ?
2:浅上と白純を警戒
3:式と橙子と浅上はスペックホルダーだと思っている
4:殺し合いには乗らない
5:当麻・・・なぜここにいる?
6:ゆっくり魔理沙とは一体?
7:匂宮出夢とは一体? 
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