俺の知ってる作品でバトルロワイアル
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26話:零崎舞織の人間交流Ⅱ
出発してから二時間。
無桐伊織、服部平次、杉村弘樹の三人は5-Eにいた。
そして6-Dに向かっていた。
つまり、斜め上、より詳しくは北西へと進んでいる。
「ちょうどここがエリアの分かれ目みたいやな」
今まで続いていたアスファルトの道が途絶え、その先は土の敷かれた森となっていた。
服部と杉村が懐中電灯を取り出すのを見て、伊織もそれに倣う。
「ほな、足元気ぃつけえや」
「「はい」」
服部が先導に立ち、それに杉村、伊織の順で続く。
殺し合い開始から数時間が立ち、次第に明るくなり始めているが、木々の生い茂る森の中は僅かな日の光を遮ってしまっていた。
故にまともに歩こうとすれば懐中電灯が必須なのだが、三人もの人間が懐中電灯を一斉に点けたら当然目立つ。
勿論服部がその可能性を考えなかったわけではない。
だが、服部平次の目的は参加者との情報交換。
江戸川コナンがどこに転送されたか検討もつかない以上、合流するには他の参加者との交流で目撃情報を集めるしかない。
そのために、なるべく人の集まりそうな場所に行きたい。
服部がまず目を付けたのは8-Cにある警視庁。
このバトルロワイアルの会場にある施設はそのほとんどが参加者と関係のあるものだ。だから、警視庁があるということは警察関係者が参加している可能性は高い。
もしかしたらその警察関係者が自分のデスクを確認しに訪れるかもしれないし、藁にもすがる思いで警察という名前に頼る参加者もいるかもしれない。
行くなら急ぎたい。
ルールブックに書いてあった禁止エリアルールにより、いきなり第一回放送で8-Cに入れなくなる可能性だって無いわけではない。
それに、いくら自分から位置を知らせているようなモノだとはいえ、こちらは三人もいる。
殺し合いに乗るような者がこんな序盤で大所帯を組むなんて考えにくい。出会ってしまってもいきなり襲ってくることは無いだろうし、仮にそうなっても逃げられる可能性は高い。
さて、そんな服部平次の判断だが、これは間違っていたわけではない。
いくら殺し合いに乗っていてかつ強力な能力や支給品を持っていたとしても。
大体の人間は三人という集団に警戒し、すぐには仕掛けない。
自分が強力な能力や支給品を持っているということは、相手もそうである可能性が高いということだ。
服部の判断は正しい。
無論、人間が相手ならの話ではあるが。
「二人とも下がって!」
最後尾から前に飛び出した伊織は叫んだ。
突然の警告に服部と杉村は対応できず、一瞬動きが止まる。
その一瞬の間に、伊織のショートソードと、木の上から飛び掛かってきた女の日本刀がぶつかった。
「なんや!?」
驚く服部。
杉村は思わず後退る。
女は鍔迫り合いをやめて、一歩二歩下がる。
伊織もショートソードは相手に向けたまま、じりじりと後退する。逃げるつもりだ。
「逃げましょう!」
伊織が後ろの男二人に言うと同時に女は斬りかかる。日本刀が再度振るわれる。伊織はショートソードを一旦下げてバックステップで回避―――。
「なっ、あっ?!」
したはずだった。
なのに。
日本刀―――正しくは妖刀罪花の剣先は伊織の腕を捉えていた。腕の中に刃が入っている。
(刀身が伸びた!? いや、でもどうやって―――)
目の前で起こったその現象に、伊織はつい考えてしまう。
そう。
伊織は罪花に斬られてなお、そんなことを考えられる。
「なぜ―――?」
女が初めて口を開き、そして刀身が僅かながら入っている伊織の腕を見る。
「まさ、か―――」
そう、零崎舞織は。無桐伊織の両腕は義手だ。
罪花がいくら斬りつけようと、愛し合うことなど出来ない。
しかしそこに新たな恋愛対象が参戦する。
「そこまでや。お前が刀使うんなら相手は俺や」
不敵に笑い、自らの支給品である真っ黒な刀を握って服部平次が現れる。杉村は既に逃がしてあり、遠くから伊織に向かってこっちに来い、と手を振っている。
服部が踏み込み、伊織が戦線を離脱し駆け出す。
罪花に乗っ取られた女、桂言葉は刀を服部に向けた。
◆
「服部さん、大丈夫かな‥‥?」
「‥‥‥正直、厳しいですね」
伊織が最初に桂言葉が木から襲ってくることに気付いたのは自分が零崎に目覚めており、殺気を感じることが出来たからである。
そのあとの攻防も未熟とはいえプレイヤーとしてのスキルを用いて戦っていた。
なのに、正直圧倒されていた。
伊織は勿論自分が戦っていた相手が正確には刀であることを知らない。
しかし、相手が自分よりも圧倒的に上だということはわかったし狙われたのが腕だったのが幸運なことも薄々は気付いていた。
だからこそ、プロのプレイヤーですらない服部平次の生存は期待できない。
「服部さんは危なくなったら逃げると言ってました。大丈夫ですよ」
行きましょう、と杉村は伊織の手を引いて走り出した。
【零崎舞織@人間シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ショートソードを装備、ポケットにコンタクト
[道具]:支給品一式、ショートソード@現実、コンタクト@GANTZ、海藤瞬のノート@斉木楠雄のΨ難
[思考・状況]
基本思考:人識君や潤さんを探す
1:殺し合いには乗らないつもり
2:人識君平気ですかね?
3:安全な場所まで逃げる
【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品三つ
[思考・状況]
基本思考:服部さんに着いて行く
1:川田なら一緒に行動してもいいかもしれない
2:桐山と相馬と坂持を警戒
3:服部を助けに行きたい
◆
剣道というものは、あまり広い場所を必要としないスポーツである。
オーソドックスな球技のほとんどのようにグラウンドや体育館を用意する必要はない。試合をするだけなら土俵ぐらいの広さがあれば充分すぎるほど。
しかし逆に言えば。
刀を振るにあたり、最低でも土俵ぐらいの広さは必要ということだ。
木々の密集した森は日本刀同士が斬り合う場には向いていない。
服部平次もその事は承知していた。
だからそれを利用して逃げようとしたのだが―――。
「く、そ―――!」
結果は、逃げているのではなく逃げ惑っていた。
「なんなんやあいつは!?」
思わず悪態をつく。
なにせ、服部が今対峙している女、桂言葉の振るう刃は密集している太い木を二、三本纏めて斬り倒してしまうのだ。
それなりの樹齢を重ねているはずの木は言葉の前では盾にすらならない。
服部の立てた地形を利用して逃げるという作戦はもはや役に立たない。
勿論、武力制圧も考えなかったわけではない。いくら人間離れした技を持っていようと人であることに変わりはない。そう思ってこちらから仕掛けて何度か打ち合い、そしてまともに相手をするという考えを捨てた。
次元が違いすぎる。
服部平次が剣の達人だからこそ相手の強さというものがわかる。
あれは人間が相手をするべきものではない。
服部は知るよしもないが、確かに今の桂言葉は人間とは呼べない。彼女は既に妖刀に支配されており、その精神には桂言葉という人間性は微塵も残っていない。妖刀罪花に完全に身を委ねた言葉はもはや人ではなく一本の刀。人間の身体など刀を振るうための装置でしかない。例え言葉の身体が破壊されようと少なくともこの会場には58もの代替品がある。そういう意味では狂戦士西条玉藻と通ずるものがあるかもしれない。もっとも罪花自身は人間を愛しているためそのようには思っていないが。
加えて桂言葉は元から居合いの達人だ。その気になれば人体など鋸で両断できる。もとから刃物を扱うのに向いていた身体だ。罪花との愛称も良かったのだろう。
「うわ、ああ!!」
体勢を低くして居合いを避ける。
その一秒後、服部の後ろにあった木はゆっくりと倒れた。
ドスン、と音を立てて落ち葉を舞わせる。
「へへ、ラッキーやな」
服部は、倒れた大木がちょうど自分と言葉の間にあるのを見てそう言った。
そして懐中電灯を点けて一目散に駆け出す。
言葉は、いや罪花はそんなことで慌てたりはしないし、ましてや服部を逃がしたりもしない。
こんな大木は飛び越えればいい。
確かに普通の女子高生ならば飛び越えられるようなものではないが、今の言葉は罪花によって身体能力が上がっている。例え無理だったとしても回り道をすればいいだけだ。
言葉は軽々と出来たばかりの巨大な丸太を飛び越えて服部を追う。
服部の点けている懐中電灯を目で捉え、その背中を切り捨てようと足を踏み込み、
視界が回転した。
ドザっ、と身体が落ち葉の上に倒れこんむ。
何が起こったのかはわからないが、服部はまだ近くにいるはずだ。
辺りを見回して光を探し、見つけた。
素早い身のこなしで光源に辿り着く。
そして、そこで言葉は服部に投げ捨てられた、点けたままの懐中電灯を見つけた。
数秒沈黙していたが、やがて言葉はそれを拾って自分の視界が一瞬おかしくなった位置を照らす。
ああ成る程。
自分は転んだのか。
照らされた大木のすぐそばに倒れていた細い木を見て納得がいった。
服部は言葉を罠に掛けたのだ。
辺りには言葉が斬り倒した木がいくらでも転がっている。わざと太い木を切らせて本命の木を隠すように倒れさせ、言葉が躓いて転んだら懐中電灯を適当な方向に投げて服部自身は木が切り倒されていない暗い森の奥へと逃げる。
単純だがその分うまくいきやすい、良い策だ。
言葉は懐中電灯で辺りを照らし、今度は転ばないよう気を付けながら森の奥へと進んでいった。
【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:ガンツソード@GANTZ
[道具]:支給品一式、ガンツソード@GANTZ、ランダム支給品2つ
[思考・状況]
基本思考:工藤達と協力して殺し合いを止める
1:殺し合いには絶対乗らない
2:伊織と杉村と合流する
【桂言葉@SchoolDays】
[状態]:罪歌に乗っ取られている
[装備]:罪歌@デュラララ!!
[道具]:罪歌@デュラララ!!
[思考・状況]
基本思考:*罪歌に乗っ取られている
1:人間を愛する
2:(1は翻訳すると斬りつけまくるという意味)
3:もしかしたら意識が少し戻る可能性もある
4:妖刀に乗っ取られても誠への執念は消えていない
5:誠くんを探さなきゃ…
6:服部は次に会ったら…
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