dead or alive
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第六話 『逃走』
前書き
皆さんこんにちわ。前回に引き続いて、六話を書かせていただきました。ぜひ楽しんでいってください。
「はあ……はあ……ああ!クソッ!」
「もうだめだ~!死ぬ!絶対に死ぬ~!」
「ごちゃごちゃいってないで走りなさいよバカ!」
この状況が理解できていない人のために、少しおさらいしよう。ゾンビもどきだらけの学校から、いざ脱出しようと意気込んでいた矢先、生存者の一人である千歳直哉が大声をあげてしまい、脱出作戦開始5分で失敗したと言うものである。
「零斗!そんな解説してないで早く走れ!」
「おう、わり~わり~。そんで、これからどうすんのさ陵太どの」
と冗談混じりに聞いてみると
「気づかれたんじゃしょうがない!正面玄関から強行突破だ!」
無視された……チクショウ!
「見えた!正面玄関だ!」
「やった!やっと出られる!走らなくてすむよ!」
と、千歳が歓喜の声をあげている。原因お前だからな?
「あぁクソッ!鍵がかかってる!」
なっ……こんなときに最悪だ!なんで鍵なんてかかってるんだ!
「ヤバイよ!やつらが来た!」
後ろを見張っていた佐伯が大声で叫んだ。後ろをふりかえると、おぞましい姿をした感染者たちが真っ直ぐな廊下を走ってくる。クソッ……仕方がない……
「陵太!何とかして鍵をこじ開けろ!3重ロックだから蹴り開けられない!俺はあいつらを食い止める!」
「冗談だろ!?あの数を相手に!」
走り出そうとしていた足を止めて、陵太に少しだけふりかえると、無理矢理に笑って見せた。
「ははっ……んなこといってられっかよ、こんな状況で」
そう言い放つと、こちらに向かってくる死人達へ向かって走り出した。
「いくぞクソ野郎共!!!」
一番前にいた男の右下顎へ、ドロップキックの要領で飛び上がり、体を右回転させて右足のかかとを叩き込み、壁に叩きつける。着地すると、左側にいた男の腕を掴み、自分の方へ引き寄せると首元に肘を叩き込んで首をへし折る。
「これじゃきりがねーな」
そう言いながら三人目に飛びかかった瞬間、その後ろにいたはずの女が、こちらへ回り込んできた。
「な、なんだこいつら……」
つかんでいた男を押し退け、後ろの女へ蹴りをお見舞いするが、感染者たちは次々と回り込むようにして襲いかかってくる。
「まさかこいつら、知能が生きてんのか……」
もしそうだとしたら最悪だ。最も恐ろしいのはどんな化け物よりも、考えると言う行動だ。本当に知能が生きているのなら、『学習』することができるってことだぞ。
などと考えていると、後ろへの警戒を怠ってしまい、感染者の一人に腕を掴みとられてしまった。
「しまった!」
その男は、憎々しいほどの笑みを浮かべながら、俺の右腕に噛みつこうとする。そろそろ潮時か……そう思った矢先だった。
「せあぁ!!」
その声とほぼ同時に、男の顔は普通は向かないような方向へ向いていた。
「優衣架……」
「まったく、一人で戦ってないでこっちにも頼りなさいよ」
優衣架は腰にてをあてながら、まるで説教するかのようにそう言ってくるが、右足が血だらけなので俺も殺されるのかと言う錯覚に襲われる。
「ほら、とっととかたずけちゃいましょ」
「ああ。わかったよ」
取り合えず返事を返すとゾンビもどきたちへ向き直った。
「俺も空手でいく。合わせろ」
「わかったわ」
対の動きは初めてだが、やるしかない。優衣架も覚悟を決めたようだ。相手の数は5人、全力で潰す!!!
「いくぞ」
そこから先はあまりよく覚えていないのだが、二人の動きは、ぶっつけにしては機能していた。ただ、ずっと戦闘続きだったせいか疲労困憊、食われずに死ぬかもな……
「陵太、空いたか?」
疲れ見え見えの声でそういうと、
「ああ、何とかな。ピッキングが難しい鍵だったから時間がかかったけど、ほらこのとうり」
まるでジェントルマンのような手つきでドアをあけて、渾身のどや顔をかます。心配すんな。あとで殴ってやるよ。
「それにしても、なんで鍵なんてかかってたんだ?」
「さあな。考えるより動こうぜ」
「ああ。……そうだな」
そう言うと、陵太を先頭にドアをくぐるって外へ出る。
最後に優衣架が外に出ようとするのを少し引き留めて、
「優衣架、さっきは助かった。ありがとな」
「気にしない気にしない。一度人間をおもいっきり蹴ってみたかったし」
うわあ……流石は俺の友人。ヤバイやつの回りにはヤバイやつが集まるんだな~。苦笑いが込み上げてくるが、その苦笑いを普通の笑いに転換すると、
「ほら、行こうぜ」
そう言って優衣架のあとに続いて、ドアをくぐった。
後書き
登場人物紹介
望月優衣架
吹奏楽部の幽霊部員にして、空手同好会の幽霊部員にして、銃剣術同好会の幽霊部員。単に天然なのか、バカなのかわからない性格をしていて、度々問題を起こすことがある。この感染症騒ぎの最中でも、教室で寝ていた程である。
いかがだったでしょうか。楽しんで頂けたのであればとても幸いです。次回も精一杯書かせていただきますので、今後ともよろしくお願い致します。
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