大神桜絵巻
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第5巻 村出発と最初の冒険
前書き
ばあちゃん、桜餅流奥義発動。
適当に言ってみた。
とりあえずここから投稿ペース落とします。
今現在サクヤ姫の木の前に来てる、久桜です!
あれ?前回で神木村から旅立ったはずじゃって?桜餅まだ食べてないし、夜までまだ時間があるから時間つぶしてんだよ。
で、今サクヤ姫の木の前にいる姉妹に話しかけてみてます。
「アラ白いオオカミ!?ここにあった白野威さまの像がなくなってるんだけどあんたその像ソックリよ?……まさか像が動き始めたなんて事はないわよねぇ」
「お姉ちゃん……このわん子たち体に変なものくっ付けてるよ?」
「この子はもう……見えもしないのにまたそんな嘘を!この間もここで光の扉を見ただなんてデタラメ言って……」
「ホントだもん!この祠の奥に光の扉があったんだもん!」
そんな姉妹の会話を聞いた後、宝箱掘ったりしながら散歩してまわって夜。
婆ちゃんの家にごー!
「婆ちゃん、桜餅!!」
「わん!」
「そうそう桜餅をあげる約束だったねえ。どれ……いま作り立てのを用意するからちょっと待っておいで。よっこいしょっと……」
婆ちゃんは立ち上がり、ゆらりと構え始めた。え?ちょ、なにその構え、何と戦うの?
片足を上げたまますーっと音もなくかまどの前に行き。
お、俺は何かすごすぎるものを見てしまったぜ……
「ふう……さあ、持ってお行き出来立ては美味しいよ!」
「あ、ああ、ありがと婆ちゃん」
とりあえず桜餅、うまかったです。
爺さんにも話してから行くかな。
「ムッ……お前らは暴れ者の白オオカミ!よくもワシを放り投げてくれたな?」
「失礼な!あれは爺さんを助けるためにやったんだぜ?」
「よいか白いのワシは動物の流儀は尊重するが、この神木村で悪さをするヤツにはキッチリとバツを与えるぞい!」
「話し聞いてねぇよ爺さん」
「まあ元気なのは良い事じゃがのう」
「何だい爺さんまだまだ元気そうじゃねぇかよォ?」
「お前はイタズラ者のイッスン!?……やっぱりお前が絡んでおったか!お前と言うヤツはこの村で悪さをするなと何回言ったら……イヤ今はそれどころではないわい……」
なにやら爺さん困り事があるようだ。
「村の高台に立つご神木を見たか?あの木は古くからコノハナさまと呼ばれ、この村の守り神として祀られてきたんじゃが……あんなふうに花も実も枯れて大分経つ」
確かに今枯れちゃってるな……
「それに加えて、実は夕べ恐ろしい夢を見てのう……大きな怪物が現われて村をひと呑みにしてしまったんじゃ。これからもっと恐ろしい事が起こる前触れじゃろうか?せめてコノハナさまだけは元気な姿に戻してやりたいんじゃが……」
お前達イタズラ坊主どもに話しても分からんかと爺さんは言って話は終わった。
その日はミカン爺の家で寝ることになった。
次の日。
ようやく神木村から出発!
神木村を出るとイッスンが説明しようとしたのだが、いつもと平原の様子が違うようだ。
ナカツクニでもっとも美しい平原のはずがそうではなくなってると。
そして門をくぐって少しした所で、塞の芽らしき木が見えた。
「地図に書かれた塞の芽ってあれか?」
「あそこは旅人が立ち寄って旅の疲れを癒す憩いの場所だぜェ?それなのにあの木……ボロボロに枯れて今にも倒れそうじゃねェか!」
「確かにありゃ何時倒れてもおかしくねぇな……」
「……見渡してみりゃ、辺り一面に呪いの妖気が渦巻いてらァ。昔から妖気が立ち込めて妖怪が寄り付きそうな場所はタタリ場って呼ばれて皆近寄らないんだけど……」
「あの黒くて周りが赤いもやもやがタタリ場ってのか」
「ああ、ただあんな風にデカいタタリ場を見たのはオイラ初めてだぜェ。草木ばかりかあんな大木さえ妖気で枯らしちまうなんて、やっぱり神サマの力を上回るようなケタ外れの怪物が現われやがったンだ」
「神様を上回る化け物ねぇ、いったいどんな奴なんだか……」
「……あの木はサクヤ姉ちゃんの分身でその周りの自然を守ってるんだよなァ。本当にあれを蘇らせれば元の綺麗な自然が戻るのかァ?」
「そりゃ、やってみねぇとわかんねぇさ」
「そうだな……でも、あんな枯れ木一体どうやったら蘇るんだよォ!?」
「筆業に花咲かせる業ねぇの?困った時に筆業!」
「そんな都合のいい話……」
とりあえず先に進む俺達。
途中変な札が浮いていたので近づくと妖怪が出現。
俺とアマテラスで倒す。他にも浮いていたので、片っ端から片付けていく。
そして、薪割りしてる男の人がいたから話を聞く。
「あれは一体何だったんだ?俺がいつもの様に薪割りしていたら、突然湖の方から地響きが聞こえて物凄い突風が押し寄せたんだ……その後の事は覚えてないけど気が付いたら辺りはこのありさまさ」
「ふんふん」
「丁度、そこの小川を渡った所には俺の仕事場があったんだが……この馬鹿デカいタタリ場が現れた途端綺麗サッパリ消えちまって……まったくこれじゃ生活出来やしないよ」
「そりゃ、大変だな……なぁ、おっさん。他には何かなかったか?」
「そういえば、あの時湖の方から神木村へ逃げていく人影を見たが、そいつは無事だったんだろうか……」
「(その人影怪しいなー)ところであの洞窟の先どうなってんだ?」
近くにある洞窟の話を聞くと、花咲谷という名所らしい。でも今は妖怪のせいで荒れ放題だとか、一番奥に植物をすぐに成長させる不思議な水晶を祀っているらしい。
ついでに、少し前にスサノオが中に入って行ったとか。いつも口ばかりで妖怪から逃げ回ってるのにどうしたんだ?とも言ってた。弱ぇのバレバレじゃねぇかスサノオ。
「色々教えてくれてあんがとよ!おっさん!」
「……あのワン公。なんでしゃべれるんだ?」
俺達は先に進む。
いざ、花咲谷へ。
って目の前につづら発見!中身は……お守りでした。
早速妖怪と遭遇。焚き木して、宴会してるよ。だが、突撃。
倒すと、近くの水辺が神降ろし……あれ?
「神降ろしが消えちまった」
「……こりゃ、よっぽど土地の神を抑えてる呪いが強いって事だなァ。この淀んだ空気を何とかしないと神降ろしをするのは無理だぜェ!」
「奥に進んでみるしかねぇか」
さらに奥へ。
「なんか、木がくねくね動いてんぞ。気持ち悪ぃな」
「用心して進もうぜェ」
なんか木が実を飛ばして襲い掛かってきました。
アマテラスと避ける。
「あの気持ち悪ぃ木、木の実飛ばしてきたぞ!」
「アマ公、兄ちゃん!あんなヘッポコ球打ち返してやろうぜェ!」
「お、そりゃいいねぇ!やってやんよ!」
アマテラスは筆業一閃で、俺は刀を鞘に入れたまま振り実を打ち返す。
実は撃って来た木にぶつかる。
「よっしゃ!ストライク!」
「自分の木の実を喰らって目ぇ回してらァ!」
「んじゃ、この隙にここを通り抜けるか!」
先に進んで鳥居をくぐるとスサノオが見えた。あいつ何してんだ?
声かけようと思ったら妖怪が出てくる。いつもの緑天邪鬼2匹と土の中から新しいのがもう一体。イッスン曰く黄天邪鬼、予想はできたよ……。太鼓持ってます。
緑天邪鬼はすぐ倒せたけど黄天邪鬼は地面に潜り込み、衝撃破を放ってくる。
やっかいだなーと思いつつ敵が太鼓を構えたらさっと避けて砲撃をかわす。
俺達は地面から出てきた瞬間奴の背後に回り、相手がこちらを見失ってる所を攻撃して倒した。
すると壁にでっかく鬼と書かれていたのにそれが弾けて絵が出てくる。
でも、後回しにしてスサノオに話しかける。
「何だ?……騒々しい」
「よう、スサノオ」
「ポチと……し、師匠!?どうしてここに!」
「俺はお前の師匠になった覚えはねぇ!!」
「師匠はともかくポチ。我は、弟子は取らんと言った筈だ!帰れ帰れ!……大体この花咲谷はお前のような畜生が来る所ではないわ!」
「アマ公が畜生なら俺もだな。そうかここに俺、来ちゃいけなかったのか」
「し、師匠は違います!えー、この先には我の秘密の訓練場があって……隠れるには最高」
「うん?」
俺達は全員反応する。
「い……いや、鍛錬するには最高の場所なのだ!シッシッ!ホレあっちへ行け!」
スサノオはアマテラスに木刀を振る。
「スサノオ、アマ公に木刀振るたぁ……覚悟は出来てんだろうな!」
「な、なんの覚悟で?」
「そもそも剣を振る相手を間違えてんじゃねぇ!自分よりも弱そうな動物に剣を向けるな!戦う相手に剣を向けろ!」
……少々お待ちください。アマ公に剣振ったおっさんに仕置きしてます。
「さて、さっきの壁が気になるし行くかアマ公!」
「わん」
「まったくかわいいアマ公に剣向けるたぁ、スサノオの奴……」
壁画前。
「こりゃすげぇな」
「確かに大した壁画だなァ。……そういやここには木を成長させる水晶玉が祀られているんだっけェ?この壁画を見る限りその話はまんざらウソでもなさそうだぜェと言いたい所だけど……この壁画何かが足りなくねェか?」
「多分……太陽じゃねぇか?アマ公、書き足してくれ」
「わん!」
壁画に太陽が書き足される。
すると道を塞いでいた岩が砕け散った。スサノオがなんか言ってから走っていく。
俺達も奥に行くと、小さな木の芽が植わっており、祭壇?のような場所があった。
「……こりゃモノモノしい場所に出たぜェ。これがスサノオのおっさんが言ってた秘密の鍛錬場ってヤツなのかよォ」
「そのスサノオがいねぇぞ?ま、いっか。先進もうや」
立て札には、神木瀧桜とある。
「でも、御神木なんてどこにもねぇよなあ?」
「そうだな」
そして中央にある木の芽を調べる。
なにやらかすかにサクヤ姫と同じ香りがするとイッスンが言い始める。確かに同じ匂いだ。
多分、これが塞の芽なんだろうな。分身みたいなもんって言ってたし。
他に探す場所はなさそうだったので木で塞がれている所を斬って進む。
奥へ行くとスサノオがいた。
「チェストォーッ!!」
「なんだ?」
「おのれ面妖な妖怪め、どこから入り込みおったぁ!?」
「妖怪……?」
「どうみても動物じゃねぇか。動物相手になら強気か?」
どう見ても球の上で器用に立って寝てるくまです。かわいらしいともいえるような奴です。
「うぬぬぬ……鍛錬場に殴り込みとはいい度胸だ。我が新技の餌食にしてくれよう!」
「ちょ……ちょっとおっさん。ありゃただの寝ぼけてる熊じゃ……」
「問答無用。我が剣はすでに滾っておるわ!では参る!スサノオ流……四字印k「やめい!」へぶしっ!!」
パッシーンっといい音が部屋に木霊する。ハリセンでスサノオの頭を叩いた音です。
「自分より弱そうだからって剣を滾らすなや!それに動物に剣振るなってさっきも言ったばかりだろうが!少しは反省しろやゴラァ!!」
「ぎゃああああああ!!!」
……少々お待ちください。かわいい熊に攻撃しようとした馬鹿を仕置きしてます。
え?俺?かわいい動物の味方です。
その後スサノオは逃げ、熊はハリセンの音にびっくりして球から落ちて寝てます。
熊の乗っていた球を調べると中に葉が入っており、イッスン曰く祭礼用の宝玉かもしれないそうだ。そういえば壁画にも球が描いてあったな。
というわけで、アマテラスと絶賛球転がし中だ!
アマテラスがとっても楽しそうでかわいいです。癒しですねアマテラス。
祭壇まで球を運ぶと下から水が噴出し、球を浮かす。
「なるほど、こりゃ凝った趣向だなァ。あの壁画に描かれていた玉はこれの事かィ!」
「壁画の通りってんなら後は太陽当てれば何かが起きそうだな。アマ公早速やってみようぜ!」
「わん!」
祭壇から空が見えるようになっていた。谷間に昇る太陽を神として崇めてたんだろうとイッスンが言う。
そしてアマテラスが谷間から見える空に太陽を出す。
すると祭壇にある緑の球が光を集め、その光は小さな木の芽に当たる。
木の芽はぐんぐん伸びていき立派な木になった。でも花はつけてない。
大きくなっても枯れてちゃ……と思っていると辺りが急に暗くなる。
空を見上げる。
「あ、星座だ。今度は……んー、猿……かなぁ?」
とても分かりづらい。アマテラスが星を書き足し、出てきたのは白く赤い隈取した猿。
くるくるとすげー回転してびしっとポーズを決めてた。はっと気付いて正座して姿勢を正す。なんか面白い奴だ。
笙って言う、そうだな……パイプオルガンの笛?バージョンみたいな楽器?を持ってる。
「おお……我らが慈母アマテラス大神。物の怪に憑かれ封ぜられたる我が身を、御許の通力にて救い賜り誠に恐れ多く候。いざこの花神、全霊を尽くして、御許の旅路に花香を捧げ奉らん」
そう言って、花と書かれた球になりアマテラスに入って行く。これで新しい筆業が使えるな!そう思った時だった。
「お、おい兄ちゃん!また体が光って――」
何か目の前が真っ白になったがすぐに視界が戻るも、あれ?
「に、兄ちゃんかァ?」
「はぁ?俺以外に誰がいんだよ?んーなんか視線がやたら高い気が――」
下を見ると何やら人の手が……って人の手!?
顔を触っても人の形、服は変わった蒼い着物だけど……ええーーーー!!
「俺、人間に戻ったー!!」
「い、いや、兄ちゃん。言いづらいんだが、完全には戻れてないぜェ……」
「それはどういう意味――」
今まで狼の姿だったので違和感がなかったが、後ろに人間にはないものがあった。はっとして頭を触る。
「ま、まさか……」
近くの水溜りで自分を見る。
真っ白な長い髪、顔の両サイドの毛は赤い紐で括られてある。そして頭頂部からひょこっと狼の耳が出てる。目は蒼い。俺は日本人だったはず。黒髪黒目、髪は短かった。
顔は前よりやや中性的になり、狼のときにあった隈取のような若干変わった模様が描いてある。めだたない程度に……って。
「なんじゃこりゃああああああ!!!」
アマ公とイッスンから気の毒そうな視線がーやめてーなんか精神にダメージくるからー!!
っていうか。17歳男子に狼耳と尻尾って誰得ですかー!!!これ絶対コスプレだよー!!町歩けねぇぇぇぇぇぇ!!
俺が絶望に打ちひしがれてる間にイッスンがさっきの筆神の説明をはじめた。こうなったら開き直ってやる!!
「さ……さっきの筆神様は、草花を操る花神の一人、咲ノ花神だァ!」
「……どんな筆業の神様なんだ?」
「……聞いた話じゃ花神が司る桜花は、枯れ木に丸を描くだけで忽ち花を咲かせたって言うけど……」
「丁度いいじゃねぇか!アマ公、早く塞の芽を復活させようぜ!」
「わん!」
アマ公が丸を描くと一瞬で木は花で満開になる。
すると……
「うわぁ!!」
木を中心に風がぶわっと吹き抜ける。草花がすごい勢いで咲き乱れていく。
泥水だった水は澄み渡り、花咲谷に命が戻っていく。
とても綺麗な光景にただぼーっと見ほれてしまった。
さっきまでの絶望も忘れ、幸玉が溢れて体に入ってくるのも気付かないくらい。
「フェ~ッ。アッと言う間に草木が生え揃ったァ」
イッスンの言葉でようやくはっと我に変える。
あーすげぇもん見れた。あんなん元の世界じゃ絶対見られないからなー。
イッスンが、ここの賽の芽を戻せたのなら神州平原のもと言っている。
そっか、またあの光景が見れるのか……そう思うと嬉しくなる。
「ま、復活した花咲谷をゆっくり見てまわってから行っても良いんじゃねえか?」
「それもそうだなァ」
「わふ!」
俺達の花咲谷見物が始まる。
と、今日はここで時間切れみてぇだな。
じゃ、またな。
後書き
主人公は人間に……戻れなかった!
恥ずかしさからほとんど人型でいる事ないんじゃね?って感じです。
なんか人型のネタを外伝とかで暴走させて主人公がかわいそうな目にあいそうです。
Q:え?男の狼耳尻尾は気持ち悪い?
A:仕様です。ネタと思ってください。
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