ヴォルデモート卿の相棒
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歓迎会
前書き
今回は少し短いです。
マクゴナガル先生が組分け帽子を片付けると、ダンブルドアが立ち上がり、腕を大きく広げ、みんなに会えるのがこの上ない喜びだと言わんばかりにニッコリ笑った。
「おめでとう! ホグワーツの新入生、おめでとう! 歓迎回を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ。そーれ! わっしょい! こらしょい! どっこらしょい! 以上!」
ダンブルドアは席につき、出席者全員が拍手し歓声をあげた。グリフィンドールのテーブルに座っていたハリーとクレスは凄く微妙な表情をしていたが。
思わずハリーは隣にいたグリフィンドールの監督生でロンの兄・パーシーに尋ねた。
「あの人……ちょっぴりおかしくない?」
「おかしいだって? あの人は天才だ! 世界一の魔法使いさ! でも少しおかしいかな、うん」
「なあ、俺帰っていいか?」
「ダメだよ!?」
「いや、今ので話を聞く気が激減したんだが……」
「そんなに!? さっきのジョークそこまでお気に召さなかったの!?」
クレスとパーシーがミニコントを繰り広げている内に、テーブルの大皿は食べ物でいっぱいになっていた。
お腹を空かせた生徒達は迷うことなく目の前のご馳走をかっ食らった。クレスも「飯に免じて聞いてやるか」と思い直し、夕食に手をつけた。
食べている最中にグリフィンドールのゴースト『ほとんど首無しニック』ことニコラス・ド・ミムジー-ポーピントン卿から寮対抗杯でここ6年間スリザリンに負け続けていることや、それぞれの生徒の家族の話などをした。
「イタッ!」
生徒達が食後のデザートまで済ませた頃、来賓席の教師陣を見物していたハリーは、突如額の傷痕に鋭い痛みを感じた。
パーシーがどうしたのか訪ねたがハリーは何でもないと流した。ハリーの目線の先にはターバンを巻いた教師と話をしているねっとりした黒髪に鍵鼻、土気色の顔をした先生がいた。ハリーはその教師についてパーシーに尋ねる。
「あそこでクィレル先生と話しているのは誰?」
「おや、クィレル先生は知っているんだね。あれはスネイプ先生だ。魔法薬学の教師だけど闇の魔術にすごく詳しく、クィレル先生が教えている闇の魔術に対する防衛術のポストを狙っているんだ」
ハリーはしばらくスネイプを見つめていたが、スネイプはハリーの方に一切目もくれなかった。
その後、ダンブルドアは学校での注意事項、校内にある森や四階の右側の廊下に立入ってはいけないことを説明し、皆でホグワーツ効果を歌ったりした。
「さあ、諸君、就寝時間。かけ足!」
ダンブルドアの号令と共に、4つのグループ監督生の引率のもと、広間を後にした。
グリフィンドールの一年生はパーシーに連れられて談話室の前までやってきた。(途中でポルターガイストのピープズに遭遇したりしたがパーシーがなんとか追い払った)
そこにはピンクの絹のドレスを着たふくよかな婦人の肖像画がかかっていた。魔法界らしくその婦人がまるで生きているかのような肖像画である。
「合言葉は?」
「カプ~ト ドラコニス」
婦人の問いにパーシーが答えると、肖像画がパッと前に開き、その後ろの壁に丸い穴があるのが見えた。
その穴はグリフィンドールの談話室につながっていて、談話室は心地よい円形の部屋で、フカフカしたひじかけ椅子がたくさん置いてあった。
パーシーの指示で、女の子は女子寮に続くドアから、男の子は男子寮に続くドアからそれぞれの部屋に入った。
螺旋階段を上ると、クレスは深紅のビロードのカーテンがかかった、四本柱の天蓋つきベッドが6つ置いてある部屋にたどり着いた。ルームメイトはハリー、ロン、ネビルを、シェーマスフィネガン、ディーン・トーマスの5人だ。事前に預けておいたトランクもそれぞれのベッドの側に届けられていた。
「まあ今日はもうさっさと寝るか」
クレスはロンがベッドのシーツにしがみついたネズミと格闘しているのを気にも留めずパジャマに着替えた後、枕元に愛用の小太刀を置き、『触ったらボコる』という書き置きを添えた後、深い眠りについた。
「……なんで今まで気づかなかったかわかんないけど、クレスのあれ、なんだろうね……?」
ハリーはロンの疑問に答えられなかった。
その日ジークは、幼い頃の記憶を夢で見ていた。
ルーチェに引き取られたときの年齢は五歳。三人の中では一番遅くに引き取られた。
最初はルーチェ達にも心を閉ざしていたこと。
ルーチェとアレクが根気強く接し続け、ようやく心を開いたこと。
ジークとはその後もしばらく不仲だったこと。
アレクの仲立ちでお互い歩み寄ろうとしたこと。
その後もそこそこの頻度で喧嘩して、喧嘩両成敗としてルーチェに沈められたこと。
アレクを泣かせた近所のマグルのガキを、二人でボコりに行ったこと。
その子の親がクレームに来て、最終的にはその親子・自分・ジーク4人まとめてルーチェに長々と説教を受けたこと。
その後も様々な思い出がクレスの脳裏をよぎり、最後に残ったのは、
『クレス、お前とはいずれまた会うことになる。そのときまでに……誰にも負けないくらい強くなってろよ!』
その瞬間、クレスは眠りから目覚めた。
後書き
パーシー……この頃は純粋にダンブルドアを尊敬していたのに……なんで4年後あんなことに……
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