アカメが斬る! 抜刀必殺の帝具使い
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第六話
「うーん、これは・・・まーた気持ち悪い見た目っすねぇ・・・」
「なまじ人間に近い分、余計にね」
お、ボルスさんとは意見があったみたいっすね。ウエイブ君も切りながら顔をしかめてるみたいっすから、同意見と考えていいはずっす。ただ・・・
「お二人ともダメですよ、そんな調子じゃ!コイツ等は悪なんですから、見た目は気持ち悪くて当然です!」
セリューさんとは、どうしても意見が一致しそうにないっす。彼女の性格からして仕方なくはあるんすけど、どこか人間らしくないというんすか・・・
「レインは、どう思うっすか?」
『燃やしたーい。それが叶わないなら使わないでー、だるいからー』
「はいはい、分かったっすよ。次はちゃんと燃やすっすから、そのまま起きててくださいっす」
『絶対よー』
せめてもう少し声量を大きくしてくれればいいんすけどねぇ・・・今のところ自分以外と話そうともしないから、紹介も出来ないっす。
「あ、あの群れ、このままだと道に出ちゃう!急がないと!」
「あ、ちょ、ボルスさん!?」
「そんなに急がないでください!」
と、そんなことを考えてたら置いてかれたっす。ボルスさん、何であんなに重そうなもの背負ってるのに走るのはやいんすかねぇ・・・やっぱり、鍛え方が違うんっすか?
「と、そんなことを言ってる場合でもなさそうっすね。レイン、敵の数は分かるっすか?」
『んー、五体くらいじゃない?さ、派手に派手に!』
「普段ローテンションなのに、こういう時だけはテンション高いっすよねぇ・・・まあ、誰にも見られてないからでしょうけど」
そんな会話をしているうちにも目の前から最近出没し始めた危険種が五体ほど。やっぱり、何度見ても人間みたいっすね。見た目はどうであれ危険なのは間違いないっすから、すぐに片付けるっすけど。
「森に火をつけないことだけ、注意してくださいっす」
『分かってる分かってる!それより早くしてよ!これ以上お預けなんて、私おかしくなっちゃうから!』
「妙な言い回しは避けてほしいところっす、ね!」
と、そのタイミングでちょうど向かってきた危険種に帝具を突き刺して、そのまま帝具の力を解放。火をつけるっす。
内側から黒い炎で燃やされてる危険種は苦しそうにしてるっすけど、まあそんなに時間もかからずに燃え尽きるはずっすからこのまま放置。すぐに剣を抜いて次に飛びかかってきた二体を横薙ぎに切り払い、同様に燃やすっす。
帝具の能力でもあるこの炎はレインの意思で燃え移らないようにしてもらって、残りの二体に・・・
『あーっ!ヘイン、逃げちゃう逃げちゃう!早く追って!』
「そう言われても、向こうの走る速さなかなか何すよ?」
『それでも追い付いて!あれ全部燃やしてくれないなら、一週間口きかないから!』
「どうせ話しかけても、だるいって言って対応してくれないじゃないっすか・・・」
そうはいっても、この発言には戦闘も手伝わないという意味も込められてるっすから、追わない訳にはいかないんすよねぇ。とはいえ、追いつけそうにもないので・・・氷を飛ばして、その背中に当ててみるっす。
お、こっちを振り向いた。ちょうど二体の距離もそこまで開いてないっすし・・・
「ちょっと雑になるっすよ、レイン!」
『へ?ああ、そういう・・・OKOK!やっちゃって!』
本人の了解も得られたところでレインの柄を逆手に握って、勢いよく投げるっす。
危険種までの間に刀身は黒い炎で包まれ、その背にあたり・・・よく燃えてるっすね。途中でもう一体にも触れてしまったのか両方が燃えだしたので、これでオッケーなはずっす。
「満足っすか、レイン?」
『もう大満足!なんだかこいつら人間に似てるし、気持ちよかったー!』
「それは何よりっすね。自分も危険種で済ませることが出来て、ちょっと助かったっすよ。レインの癇癪はいざという時に困るっすし」
『ねえねえ、これからもコイツ等が出てくる間は狩ろうよ!それも仕事のウチなんでしょ!?』
「確かに、それも仕事に含まれるっすねぇ・・・いいっすよ。たまには、レインに付き合うっすから、いざという時は全力でお願いっす」
『もちもち!で、それじゃあ・・・だるいから寝てまーす。何かあったら起こして~』
相変わらず、切り替えが早いっすねぇ・・・
「カカカ!」
「あ・・・まずった、っすか?」
と、そこで急に飛び出してきた危険種に対して氷の弾丸を撃っちゃったっす。誰かに見られたりは・・・してないっすね。
とりあえず、良かったっす。あんまり知られたくはないっすから、これ。
========
「ウェイブ君、クロメちゃん、ヘイン君。お茶が入ったよ」
「い、いつもすいません」
「ありがとう」
「いいのいいの。好きでやってるんだから♪」
ウェイブとクロメのチェスを見ていたら、ボルスさんがお茶を入れてきてくれたっす。始めてこの人が結婚してるって聞いた時は心底驚いたっすけど、今では納得っすね。これだけ気を配れて優しい人なら、そこに気付いてくれる人もいるはずっすよ。
「ヘイン君はどう?チェスのルール、分かってきた?」
「まだちょっと怪しいっすね。コマの動きはざっくり覚えたんすけど・・・」
「じゃあ、私とやってみようか。分からないところはやりながら教えてあげるから」
「申し訳ないっすけど、お願いするっす」
いやホント、ボルスさんいい人っす。本人に言ったら否定されるのが目に見えてるっすけど。
「・・・・・・・・・・・」
と、そんなことを考えてたらウェイブがなんか考えてるっすね。どうしたんでしょうか?
「どうしたの、ウェイブ君」
「俺・・・何だか悔しいです。ボルスさんいい人なのに、さっきの商人みたいに皆・・・外見で判断して・・・」
いや、確かに今も拷問官みたいにマスク着用した上に上半身裸、その胸にも三本の傷跡が刻まれて・・・って感じっすから分かるんすけど。
「・・・・・・人のこと言えるの?」
「初対面の時とか、二番目に集合場所についたのに対角線に座ってたっすよね?」
「うっ・・・!そうだった!」
ちなみに、一番はボルスさんっす。向かう途中でウェイブを見かけたことと三番目についたのが自分なことからも、これは間違いないっす。
そんなことを考えているとボルスさんは各々の前にお茶を置いてくれたっす。熱々のお茶って美味しいっすよねぇ・・・
『ヘインってホント、たまに老人っぽくなるよね~』
「・・・珍しく起きてるみたいっすし、今日こそ挨拶しないっすか?」
『ん~、パスで~』
「悪い人ではないっすよ?」
少なくとも、心底アウトってほどの人はいないっす。そりゃエスデス隊長とかセリューとかクロメとかどこか狂ってる人もいるっすけど。
『それはそうなんだけど、もうちょっと待って~。じゃないと、燃やしちゃうかもだから』
「・・・そう、っすか。それじゃあ、仕方ないっすねえ」
ふと、レインを・・・この帝具と出会った時のことを思い出したっす。
とある神殿の奥深くに封印された両手剣。それに触れたものがことごとく黒炎に包まれて骨も残さずに燃え尽きた。そんな噂が流れ、それは帝具なのではないかということで帝国軍のとある部隊が回収に向かうことになり、自分の所属していた部隊がそれに選ばれたんすけど・・・生きて帰ったのは、自分だけ。
噂の通りレインに触れた人はみんな黒い炎に包まれて灰になっていき、それでも持ち帰れという命令であった以上持ち帰らない訳にはいかないと、隊長の命令で次々と隊員がその柄を掴んでは燃えて行き、最後にはその隊長も燃えたっす。
元々その燃える現象も適合者でないからという推測だったっすから、一応帝具使いに分類されていた当時の自分は、隊長に掴むよう命令されることはなかった。まあでも、さすがに最後の一人になってしまった以上、そして『事実であったなら持ち帰れ』と命令されていた以上は「みんな燃えちゃったんで帰ってきました」なんて言ったら厳罰もの間違いなし何で、とりあえず頑張って全体的に凍らせてみたんすけど・・・見事に燃やしつくされちゃったんすよね。直接触れなければ大丈夫かと思ったんすけど、そうでもなかったみたいっす。
で、仕方なしに掴んでみたら・・・
『ん、いいね~、って言ったんだっけ~?』
「そうだったっすね。まさか自分の仲間燃やしまくられたやつに気に入られるとは思わなかったっすよ」
当時から自分は帝具使いだったはずなんすけど、どうしてかレインの適合者としても問題なかったみたいで、しかもそのまま使えるようになるとは、思ってなかったんすよね。まあ気に入られたなら、ってことで何で燃やしてたのかを聞いてみたんすけど、
『適合者以外はいらないから、燃やしてた。今ではヘインを除いても二人間違いなく大丈夫な人がいるけど、あの人たちは触れた瞬間、反射的に燃やしちゃいそうだから。もうちょっと待って~』
「いいっすよ。時間をかけたおかげで大分あの考えも変わってきたっぽいっすけど、まだ無理なら強制はしないっす。知られた時は、ほんの少しの会話でいいんでしてくださいっすよ?」
『それは約束するよ~。私が両手剣型だって思われてる間は、このままだけど~』
もうそれでもいいっす、と心の中で返しながら顔をあげたら、なんか美人さんがボルスさんの隣に、小さい女の子がボルスさんの腕の中にいたっす。
・・・・・・え?これどういう状況っすか?
「だから私は辛いことがあっても、家族がいれば全然平気」
ああ、家族。ならあの人たちは奥さんと娘さんってことなんすね。
ホントに、ものすごい美人さんじゃないっすか。どんだけすごいんすか、ボルスさんって・・・
・・・・・・自分も、彼女欲しいっす。
『ファイト~。候補は意外と身近にいるかもよ~?』
そうだと、いいんすけどねぇ・・・
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