アカメが斬る! 抜刀必殺の帝具使い
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第五話
「カズキ、今回の暗殺はお前に行ってもらおう」
朝食が終わるなり、ナジェンダはそう言ってきた。また急だな・・・いや、あったら出来る限り回して欲しいって言ったのは俺だけど。
「えー、カズキだけ?」
「いや、相手の実力は大したことはないが、人数が人数だからな。一人では難しいだろう」
「とはいえ、比較的大人数を俺が始末することになるだろうけどな」
そう言うと俺の帝具についてあまり詳しくないメンバー・・・チェルシーとナジェンダ、スサノオ以外が首をかしげている。まあ、仕方ないかな。
「俺の帝具は抜刀するたびに一つの命を奪わないといけないんだけど、普段は危険種でもいいんだ。危険種でもないとなるとダメみたいだけど」
「よく分からない帝具だな。で?そのことと何の関係が?」
ラバックの意見はもっともだけど、本人の前でよく言える・・・って、そういやスレイブが帝具だって知ってるのはまだ一部の人間だけだっけ?
「ただ、あんまり毎回危険種だと納刀できなくなるし、納刀出来ない時間が長いと俺が呪い殺される」
「だから、こうして暗殺を入れてもらったのか・・・」
アカメは納得したような声を出した。呪いを持つ刀を使う者同士通じる物があるのかもしれない。
「それで、相方なんだが・・・チェルシー、は難しいかな」
「そうなんだ?」
「ああ。潜入してどうこう、という余裕がないからな」
つまり、一気に攻め込んで片付けて来い、という事か。分かりやすくていい。
「となると、戦えるやつだからテリンガは除外。・・・どうせ全員が初めて組む相手になる、か」
「ああ。だから・・・タツミ、お前が行って来い」
「え、俺?」
「そうだ。どうせなら、一番暗殺初心者なのだからカズキと一緒に行って学んで来い」
こうまではっきりといわれて何か思うところがあるんじゃないかと思ったが、そうでもないようだ。素直なもんだな、こいつは。
そんなことを考えながら俺とスレイブ、タツミの三人は席を立って出かける準備をしに向かった。内容の書かれた資料はもう渡されているし、向かう途中で確認すればいいか。
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「ふぅ・・・特に苦労もせずに終わったな」
「まあ、護衛の人たちは強かったけど言うほどでもないし」
カズキがたてた作戦が正面突破だったこともあってかすぐに終わったので、今俺と一輝、スレイブの三人でアジト(仮)へと向かっているところだ。ってか、それにしても・・・
「まあ、何事もなく終わるのはいいことではないですか。私との契約もあるのですし」
「確かに、スレイブの言うとおりだな。変なことはないに限る」
「なあ・・・一つ聞いてもいいか?」
さすがに聞かないでいられないので、二人に質問をすることにした。
今回の正面突破は、まず俺がインクルシオで透明化した状態で中に入り込んで壁などを破壊して目を引き、次にカズキが正面から突っ込んで出来る限り混乱させる。で、そのまま二人で暗殺対象を・・・って感じだったんだけど・・・
「ん?なんだ?」
「いや・・・スレイブって、何してたんだ?」
そう、スレイブは何もしてないんだ。ボスが指定した今回のメンバーでもないのに行く時についてきてるし、かと言って攻め込んだ時に一緒に暴れてたわけでもないし・・・
「・・・マスター、まさかまだ私が何なのか話していなかったのですか?」
「えーっと・・・話した、よ?ほら、ナジェンダにスサノオ、テリンガは知ってるし」
「つまり、ほとんどは知らないのですよね?」
「・・・・・・ハイ」
そして、カズキはスレイブに言われてなんだか縮こまっていた。メイドと主なのに立場が・・・
「あーっと、だな。タツミは俺の帝具についてどこまで知ってる?」
「ん?えっと・・・スタイリッシュの時、俺達の前で納刀してたやつだよな?今回も使ってたあの紫色の刀身の両手剣。両手剣型の帝具、抜刀必殺・ダインスレイブだっけ?」
名前についてはボスから聞いてたし、見た目から両手剣型でいいはず。顔を隠すためかそれっぽいマスクを着けてたから騎士っぽかったのが印象的だ。
「それで、抜いた時に一つの命を奪わないと刀が鞘に収まらないから『抜刀必殺』。普段は危険種でもいいんだけど、毎回それだとどこかで鞘に収まらなくなって、最後には呪いで持ち主が死ぬから今回みたいに仕事を入れてもらった・・・で合ってるよな?」
「うん、良く覚えました。意外と記憶力いいんだな」
「意外とは余計だ!」
ったく・・・。
何にしても、帝具については一通り覚えておくようにボスに言われてるから覚えたんだ。これで少しは・・・
「でも、残念。完璧な回答ではないな」
「え!?そんなはずは・・・」
「事実として違うんだから素直に受け入れろ」
スレイブにはっきりと言われた。容赦なく言ってくるな・・・
「はぁ・・・じゃあ、どこが違うんだよ?」
「ああ、俺の帝具は両手剣型じゃなくて生物型、帝具人間だ」
「・・・・・・はぁ!?」
いやいやいやいや!だって・・・
「あれはどう見ても両手剣型だろ!?まさか、あれがスレイブだったとでもいうのかよ!?」
「まあ、あれだけを見たらそうだよな。そして、俺が言いたいことはちゃんと察したか」
「そうじゃなくて・・・」
「スレイブ、ほれ」
カズキは俺の言う事に耳をかさず、スレイブの手をとって・・・次の瞬間、スレイブの姿がほどけて、カズキの手に両手剣が現れた。
「・・・・・・マジ、なんだな」
「オウ、大マジだ」
「・・・帝具って、すげぇ・・・」
もう、それしか言えない。何で人の姿をしているのに剣になれるのかとか、食事とかも普通にとってたから人間と変わらないのかなとか、そんなことも思い浮かんだんだけど、そんなのよりもあの発言が口をついて出た。
「さて、じゃあ帝具つながりで・・・イエーガーズについて話してくれるか?」
「ああ、いいけど・・・ボスから聞いてるんじゃないのか?」
「忙しかったことと俺が面倒だったこともあって、まだ聞いてない」
「何でそう誇らしげに・・・」
なんだろう、俺カズキのキャラがつかめない・・・
これまでに会った人たちとは違う、どう表現したらいいのか・・・問題児?
「えっと、この間カズキがスタイリッシュを倒したから残りは七人だな。誰について聞きたい?」
「あーっと・・・死者行軍・八房を使うクロメと煉獄招致・ルビカンテを使うボルス、魔神顕現・デモンズエキスのエスデスは知ってるから、残りの四人について」
だったら、まずは・・・
「スタイリッシュの繋がりで、魔獣変化・ヘカトンケイルを使うセリュー・ユビキタスってやつからかな」
「ヘカトンケイル・・・生物型の帝具だったか?」
「ああ。つっても、そっちについては実際に戦ったマインに聞いた方がいいと思う」
その時に、シェーレが・・・
いや、今はそれを考える時じゃないな。
「じゃあ、そいつについて他に情報はあるか?」
「ああ、そうだな・・・そう言えば、新しい武器を使ってたよ。スタイリッシュが作った『十王の裁き』っていう武器を使ってたな。俺が見たのは閻魔槍って言うドリルと、泰山砲って言う大砲の二つだけど・・・」
「・・・厄介だな・・・」
カズキはそう言いって顎に手を当てる。
「何がそこまで厄介なんだ?」
「いや・・・スタイリッシュの使ってた神ノ御手・パーフェクターが戦闘に立てるとしたら、その力で作ったものを使うしかないんだよ。前の時の強化兵に毒、危険種になる薬なんかだな。だから・・・これは俺の考えすぎかもしれないが、そいつを相手にするのは帝具使い二人を相手にするようなもんだ、と思った」
・・・確かに、そうとも考えられるな。
さらっとそこに考えが及ぶ当たり、俺よりこういう世界に慣れてるんだな、カズキは。
「まあ、そいつについての対応はまた追々考えるとしよう。ヘカトンケイルがどんな戦い方をしてくるのかが分からないと何の対策もらてれないし」
「戦う事になったら、マスターと私の二人がかりでしょうね。それで二対二です」
「まあ、同じ生物型を使う以上はそうなるよな、たぶん」
「あ、スレイブも戦えるんだ」
「ええ。今度模擬戦でもしてみますか?」
特訓はしておきたいので是非にと返し、話を戻す。
「じゃあ、次はだれにするかな・・・翼の帝具、万里飛翔・アスティマを使うランにするか」
「攻撃方法は?」
「俺が見た限りでは、羽を飛ばしてたな。相手の頭を貫いてた」
あれはもう、銃弾と変わらないと思う。一度に大量に撃てる分、銃よりも厄介かもしれない。
「ふぅん・・・情報が少なくて何も判断できんな」
「避け続けるか全て切り落とすか・・・同化してそんなものは効かないようにする、という手もありますね」
「まあ、あの状態になれば傷とかすぐに塞がるし、いいかもしれないな」
ん?同化?
それも帝具の力なのかな・・・
「?・・・ああ、そうか。お前は同化について知らないんだったな」
「まあ、カズキの帝具についてはさっき言った分しか知らないし・・・」
「じゃあ教えてやるが、要するに奥の手だ」
「マスターが私と同化し、一時的に帝具人間の力を得る、というものだ」
「な、なんて無茶苦茶な・・・」
いや、確かに大抵の帝具は無茶苦茶だし奥の手はそれ以上だったりするけど、それにしたって帝具と一体化するって・・・
「ちなみに、俺の奥の手はそれだけではない」
「しかも複数個あるのか・・・」
「おそらく呪いゆえに多くの力を持つのだろうが、詳しいことは私も知らない」
自分のことなのに知らないのか・・・それでいいのか?スレイブは。
「後は、ウエイブが俺と同じ鎧型の帝具を使う・・・んだと思う」
「曖昧だな・・・で、他には?」
「・・・インクルシオみたいに力を引き上げる効果はあると思うんだけど、知ってることはほとんどないんだ・・・」
「あー・・・まずは情報を集めないと、か。インクルシオと村雨、パンプキンのことは相手にある程度知られてるだろうし、情報の有無もこれから先に響きそうだな」
確かに、対策ができているかどうかは大きいだろうな。逆に対策を取られているとこっちは戦いづらいだろうし。
さて、後一人についても話さないといけないんだよな・・・どうしようか・・・
「で、後一人は?」
「・・・アイツ・・・ヘインは一回も帝具使ってないんだよな・・・」
「情報なし、か・・・どんな帝具か、くらいは分からないか?」
「・・・たぶん、腰にとめてた剣だとは思う。刀身は細めだけど長さがあったから、両手剣のジャンルのはず。黒い刀身だった」
あれ、抜いてはいたんだけど帝具の力は使ってなかったんだよな・・・普通に剣として使ってたし。
「じゃあ、そいつについての情報はあるか?」
「いや、特には・・・身長が俺より低めだったり、エスデスに対しても『~っす』っていう口調を使ってたりだとかはあるんだけど・・・」
「その身長で両手剣を使うのか、なんだかアンバランスだな・・・」
「刀身が細めな分、まだマシかもしれませんよ?」
確かに、その分もあってかそこまで違和感は感じなかった。使い慣れてる、って感じがあったのもその要因だと思う。
何だか・・・不思議なやつだったなぁ・・・
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「ん?かき氷か、ヘイン」
「あ、エスデス隊長・・・どうもっす」
宮殿の庭でかき氷を食べていたら、エスデス隊長に声をかけられたっす。何かまずかったんっすかね?
「えっと・・・何かいけなかったりするっすか?」
「いや、構わないさ。ただ、私に言ってくれれば上質な氷を準備してやったんだがな」
「いやいや、さすがにそんなことで上司の手を煩わせるわけにはいかないっすよ。それに・・・自分も氷は作れるっすし。あ・・・でも、」
とはいえ、エスデス隊長の方が圧倒的に上質な氷を作れるのも事実なんっすよね。
「今度、一度でいいんでエスデス隊長の作った氷でかき氷を食べてみたいっすね」
「今の様にある程度自由な時間ならいつでもいいぞ。私の分も作ってもらうがな」
「もちろんっすよ。と言っても、ただこいつを回すだけなんっすけど」
そう言いながら自分の横に置いてあるものを叩くっす。割と多くの家で見られるかき氷機、疲れることを除けばいいもんっす。
「あ、ヘインズルイ。私もかき氷ほしい」
「お、俺もいいか?」
と、そんな風にのんきな話をしていたらウエイブとクロメがきました。う~ん、クロメは大もりになると思うっすから、これじゃ足りないっすね。
「あ、なら私もいいですか?久しぶりに食べたいですし」
「皆が食べるなら、私もいいかな?何なら私がやるから」
と、そこでランさんとボルスさんも来たっす。
う~ん、この流れだと・・・
「あ、私もいいですかー!?コロも食べる?」
「キュイ!」
うん、やっぱり来たっすね。これでイエーガーズ全員集合っす。まず間違いなく氷が足りなくなったっすねぇ。
「エスデス隊長、さっきの今で悪いんっすけど、さっそく氷を作ってもらってもいいっすか?この人数じゃどう考えても足りないっすから」
「そうだな。・・・ほれ」
と、エスデス隊長が本当に大量に・・・というか巨大な塊で出してきたそれを帝具を抜いて切り分け、シートの上に置いた中から一つの塊を取り出して削りに掛け始める。あ、そういえば・・・
「君はどうするっすか、レイン?」
『んー・・・食べるのもだるいんで、パスでー』
「了解っす」
他の人には聞こえていないであろう声量で会話をして、いらないことを確認。さて、それなら八人分を作ればいいっすね。
あ、クロメのはその何倍も準備しないと・・・頑張るっす。
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