リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第八十九話 渋谷とはなんぞや?
前書き
ルカ、スバル、ギンガの仲良しトリオが渋谷系デジモンと邂逅。
フレイモン[リリカルアドベンチャー、始まるぜ]
ボルトモンを倒した子供達は捜索を中断し、休息を取ることにした。
その間、ルカはまだ明るいうちにスバルとギンガをナカジマ家に送り届けようとしたのだ。
スバル「私達だけでも帰れるよルカ兄?」
ギンガ「うん。」
ルカ「駄目ですよ。スバルとギンガは女の子なんですから、危ない目に遭わないとも限りませんし…それに二人に何かあったらクイントさん達が悲しみます」
ルカがスバル達にそう言った瞬間。
フレイモン[お前ら、気を引き締めろ!!お客さんだ!!]
アグモンX[うん!!]
クロアグモン[敵か!!]
デジモンの気配を感じたフレイモン達は身構える。
しかし、ルカ達はデジモンが現れると決まって出る霧が出ていないことに気づかなかった。
そしてパンプモンとゴツモンの前に立ちふさがった。
フレイモン[パンプモンにゴツモン!!]
スバル「知っているデジモンなの?」
ルカ「きっとヴァンデモンの手下です!!二人共、気を引き締めて…」
[いたあああ!!]
ルカ「はい?」
まっすぐに指差されてしまったルカは硬直する。
ルカ「え、僕…ですか?」
パンプモン[そうだよ、デジモンの臭いのする兄ちゃん!!頼むから助けてくれよ!!オイラ達、怖い奴に追われてるんだっ!!]
ルカ「怖い奴ら…?もしかして悪い奴らに追われてるんですか?いいですよ、ここに隠れて下さい」
ゴツモン[サンキュー!!]
2体のデジモンはルカに促されて脇道に隠れた。
そのすぐ後、1人の女の人が物凄い形相で走ってきた。
引き攣った顔をしているルカの後ろに思わずスバルとギンガは隠れてしまう。
「コスプレ野郎はどこだ!?」
ルカ「え?あ、あっちに行きましたけど…」
「ありがとう!!」
ルカがその場を何とかやり過ごし、パンプモン達は看板の影から出てきた。
パンプモン、ゴツモン[[ふぅ~…]]
ルカ「君達もヴァンデモンの命令で13人目の選ばれし子供を捜しにきたんですか?」
パンプモン[そうなんだけど…]
パンプモンの言葉を聞き、ルカ達は警戒し始めたが…。
パンプモン[クラナガンの方が楽しくなっちゃって~♪]
パンプモンはニンマリとした笑顔でルカ達に言う。
スバル、ギンガ「「えっ?」」
ルカ「クラナガンの方が楽しい?」
スバルとギンガは唖然とし、ルカはパンプモンの言葉の意味を尋ねる。
パンプモン[俺達すっかりクラナガン系デジモンになっちゃった!!」
ゴツモン[本当は渋谷がよかったんだけどね]
ポージングしながら本来の目的を忘れ、クラナガンで夜遊びをしていたらしい。
フレイモン[ミッドチルダに渋谷なんかねえよ]
ギンガ「渋谷?」
クロアグモン[渋谷とは何だ?]
アグモンX[食べ物?]
ルカ「僕にも分かりません…というか渋谷というのは聞いたこともありませんし…まあ、食べ物でないのは確かですね」
スバル「えっと…パンプモン、データ種、完全体。カボチャの頭を持つヌイグルミのデジモン。悪質なウィルスではなかったので危害を加えることは一切ないが、見た目の姿とは裏腹に強力な攻撃力の持ち主でもある。とぼけた顔を見ても分かる通り、喜怒哀楽の表現にとぼしい所がパペット系デジモンの特徴である。必殺技は巨大なカボチャを空中に出現させて、敵を押し潰す“トリックオアトリート”。完全体なんだ!!凄いね」
パンプモン[おうおう、オイラも有名になったな~、そうだぜ。オイラはこう見えても完全体なのさ。ふふん。凄いだろ、今ならサインやるよ。]
フレイモン[ぶっ飛ばすぞてめえ]
パンプモン[すみませんでした]
凄い形相で睨まれたパンプモンは即座に平身低頭。
ギンガ「えっと…ゴツモン、データ種。成長期…鉱石データを纏い、強力な防御力を持つ鉱石型のデジモン。やんちゃで陽気な性格で、まるでガキ大将のように世代の低いデジモンを引き連れて、システム内を跳ね回る元気者。少々わがままなところもあり、一旦怒ると火山の噴火の様な激しさで暴れ回り、手がつけられなくなる。必殺技は、超硬度の鉱石を頭頂より射出する“アングリーロック”。何だ、成長期なんだ」
ゴツモン[何だとは何だ!!見ろよこの岩の輝き!!普通のゴツモンじゃこうはいかないぜい]
こつこつ、と自らの頭を叩いてみせるゴツモンだったが、そこら辺に転がってる石と変わらない気がするのはきっと気のせいではないはずである。
フレイモン[ただの石っころにしか見えねえけどな]
ゴツモン[はあ~、やれやれ…これだから素人はっ!!?]
ゴツモンの身体が宙を舞った。
フレイモンのアッパーカットが決まったのだ。
フレイモン[ぶっ飛ばされたいのか?]
ゴツモン[も、もう。ぶっ飛ばされてます…]
ルカ「で?僕達も仲間を探してるんですが、戦います?今ならタダで戦いを買いますよ?」
ゴツモン[ん~、別にいいや!んじゃな、るったらー!!]
パンプモン[るったらーじゃねえっつの、ろったらーだ、馬鹿!!]
ゴツモン[あ、そうだった。ろったらー!!]
ルカ「あ、ちょっと!!」
慌てて引き留めようとしたルカの静止を振り切って、あっという間に自称クラナガン系デジモン達は走り去ってしまった。
2体は子供くらいの背丈しかないせいで、夜の人混みに紛れてしまったが最後、目視するのは無理だった。
しかし、同じ匂いを辿ることが出来るデジモン達は違ったらしい。
ルカはついデジタルワールドと同じような感覚で接してしまったと今更ながら後悔が過ぎる。
ルカ「すいませんちょっとどいて下さい。すみません」
声を上げながらどんどん先を突っ込んでいったルカは、一瞬の浮遊感の後、次に踏むはずだった地面がないことに気づく。
あれ?
穴?
ルカ「うわあっ!?」
スバル、ギンガ「「ぶっ!?」」
慌てて立ち止まったルカのせいでひたすら後をついてきていた、スバルとギンガはルカの背中にぶつかってしまう。
思いっきり鼻をぶつけてしまった2人は涙目である。
スバル「何で止まるのルカ兄……」
スバルの涙目な恨み節が聞こえてきた。
ルカ「す、すみません…。だっていきなり穴が…」
クロアグモン[穴だと?]
ギンガ「何でこんな所にあるの?」
ルカ「マンホールの蓋が片っ端から開けられてるんですよ。多分彼等の仕業でしょうね」
アグモンX[多分っていうか確実にそうだろうね。ご丁寧に水路のコンクリートまでひっくり返してあるよ]
スバル「ねえ、あの看板落書きされてるよ、ルカ兄」
ルカ「あ、本当ですね」
クラナガン系デジモン登場と書いてある。
アグモンX[あ、いた]
アグモンXがある服屋のショウウィンドウを見ると、そこには飾ってあるマネキンの服を剥ぎ取り、その服を来ているパンプモン達の姿があった。
ルカ「……何やってんですか…」
ルカ達が呆れながらその店に入り、パンプモン達を注意しようとしたら、ルカ達はパンプモン達の手によって強引に着替えさせられた。
フレイモン[お~、俺中々イケるじゃん…じゃねえよ!!]
某フロンティアの主人公の服を着たフレイモンがノリツッコミを入れる。
クロアグモン[似合っているぞ]
黄色のアロハシャツ+サングラス姿のクロアグモンが言う。
フレイモン[やかましい!!!!]
ルカ「とにかくここを出ましょう。厄介事に巻き込まれるのはゴメンです」
ルカ達は服屋を後にする。
ルカはパンプモンとゴツモンにアイスクリームが食べたいとねだられたので本日3回目のアイスクリームを購入しようとしていたのだが…。
ルカ「何にしよう…。流石に同じ味は嫌ですよね…」
頭を悩ませながらアイスを選ぶルカ。
ふと、ルカの視界に黄色いアイスが入った。
ルカ「これは…?」
「パンプキン味のアイスさ、何なら買うかい?今ならサービスしてやるよ」
ルカ「じゃあそれ下さい」
ルカはパンプキン味のアイスを半額で購入し、スバル達の元に向かう。
スバル「お帰りルカ兄!!」
ルカ「はい。」
ギンガ「それ、何のアイス?」
ルカ「パンプキン味のアイス。おじさんが半額で売ってくれたんですよ。ほら、パンプモンとゴツモンもどうぞ」
パンプモン[うわお!!オイラ、カボチャ大好きだぜ!!]
フレイモン[だろうな]
ルカはリンディから買って貰った財布が大分軽くなったことに何か虚しさのような物を感じた。
もうどうにでもなれと自棄になりかけているのはご愛嬌。
出会ってしまったのが運の尽きだった。
コンビニでお菓子を万引きしたり、地下鉄に飛び乗ろうとしたり、タクシー乗っ取ろうとしたり、カップルの邪魔をしたり、マンホールや用水路の蓋をひっくり返したり、看板に落書きをしまくったり。
クラナガンでやりたい放題していた2体を追いかけて、気付けばクラナガンのアイスクリーム屋がある場所にまで来てしまっていた。
アイスクリーム屋で平然と食い逃げをしようとしたパンプモン達が放っておけなくて、声を掛けたのが、そもそもの間違いだったことになる。
ようやくパンプモン達は悪戯を辞めた。
その時に言った上から目線の勘違い発言にフレイモンが暗黒進化しそうなぐらい殺気立っていたのは言うまでもない。
ちなみにパンプモン達が万引きしたお菓子の代金は何故かルカが払うことになってしまった。
ルカはミッドチルダに来て数日で金欠状態寸前になってしまった。
全員が大食漢なので、アイスをペロリと食べきった。
ルカ達は誰もいない路地裏に辿り着くとパンプモン達に尋ねる。
ルカ「それでどうします?僕達と戦いますか?」
パンプモン[あ~…]
スバル「どうしたの?」
頭を掻いて唸るパンプモンにスバルが尋ねる。
パンプモン[オイラ達は楽しけりゃそれでいいんだ。ストラビモンの誘いに乗ったのもこっちの世界で遊びたかっただけだしなー]
ゴツモン[そうそう、オイラ達はバトルよりカーニバルが好きだし、ヴァンデモン様にやれって言われたことはやるけどさ]
パンプモン[オイラ達は楽しいことにいつだって夢中なんだ。バトルするよりカーニバルだろ。遊びの誘いなら大歓迎だぜ。兄ちゃん達のこと気に入ったし]
自由奔放なぶっちゃけぶりである。
どういう基準でパンプモンとゴツモンがヴァンデモンのお眼鏡にかなったのか、よく分からないとルカは思わず笑ってしまう。
どうやらスカウトするデジモンに、判断基準や勧誘方法が丸投げされているようだ。
ストラビモンは性格云々より実力を重視するらしく元々スカウトしたのは完全体でそれなりの実力者であるパンプモンだけだったのだが、友達ということでゴツモンもついてきたらしい。
ルカ「デジタルワールドに帰りたくありませんか?このまま奴の手下でいたら暗黒進化させられますよ?」
パンプモン[そりゃ分かってるけどさ…]
ゴツモン[どうやって帰るんだよ?]
ルカ「ドクターに頼んであげますよ。ドクターならデジタルワールドに転送出来ますから」
パンプモン[マジで?選ばれし子供って凄えな]
ルカ「…ドクター、デジモン2体をデジタルワールドに転送を…」
ルカは通信機でスカエリッティに転送の要請をする。
ルカ「後数分でデジタルワールドに帰れますよ。お別れですね、パンプモン、ゴツモン」
パンプモン[おう、色々ありがとな兄ちゃん]
ルカとパンプモンが別れの挨拶を交わし、握手をしようとした瞬間。
ヴァンデモン[何をしている?]
ルカ「ヴァンデモン!!」
ヴァンデモン[何故、選ばれし子供達と共に行動している?]
パンプモン[そ、それは…]
ルカ「させるか!!」
咄嗟にヴァンデモンに向けてD-3の光を向ける。
いきなり神聖な光を受けたヴァンデモンはたじろぐ。
その隙にパンプモンとゴツモンは転送された。
フレイモン[逃げるぞ!!]
クロアグモン[逃げるだと!!?]
フレイモン[俺達だけじゃあ、あいつには敵わない!!お前が本来の力さえ使えれば別なんだろうけどな!!]
クロアグモン[チッ…]
再び街中に戻る。
人混みに紛れたパートナーデジモンと人間を捜すことは、流石のヴァンデモンも出来はしないのだった。
おまけ~ホワイトデー~
ホワイトデー。
それは男が女性からもらったチョコレートのことで苦悩する日であった。
しかし、大輔、賢、ユーノが頭を悩ませる中、ルカは綺麗な箱にスバル達が喜びそうな物を入れて、差し出した。
ルカ「スバル、ティア、ギンガ。バレンタインのチョコレートのお礼です。三人がくれたチョコレートはとても美味しかったですよ…手作りがいいかなと思ったんですが、僕はお菓子作りはやったことないので…」
スバル「開けていい?」
ルカ「どうぞ」
にこやかに笑いながら言うルカにスバル達は箱を開けた。
箱の中には色とりどりのキャンディー、マシュマロ、クッキーが入っていた。
ギンガ「わあああ…」
キャンディーもマシュマロもクッキーも高級菓子店の物で、ギンガ達は目を輝かせた。
ティアナ「いいの…?これ凄く高いのに…」
自分達は普通の材料で作ったチョコレートを渡しただけなのに、こうまで豪華なプレゼントにティアナは戸惑う。
ルカ「構いませんよ。スバル達が一生懸命作ってくれたチョコレートに比べれば、これだけでも安いと思えるくらいなんですから」
スバル「ありがとうルカ兄!!大好き!!」
ルカ「僕も君達が大好きですよ」
互いに笑みを浮かべあう最年少組であった。
ユーノ「なのは…」
なのは「何?ユーノ君?」
真剣な表情で入ってきたユーノになのはは首を傾げた。
ユーノ「これを、ホワイトデーのプレゼント」
なのは「わああ、クッキー?別に気を遣わなくてもよかったのに…」
ユーノ「そういう訳にはいかないよ」
なのは「ありがとうユーノ君。」
満面な笑みを浮かべながら言うなのはにユーノは赤面しながら口を開こうとしたが…。
士郎、恭也「「………」」
親バカとシスコンの無言の威圧で言えなかった。
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