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美しき異形達

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第三十八話 もう一つの古都その十三

「緑の草の」
「そう、あの山には行ったかしら」
「まだだよ」
 正直にだ、薊は黒蘭の問いに答えた。
「それは」
「そう、それじゃあね」
「あんた達は行ったのかい?」
「いえ、まだよ」
 黒蘭もだというのだ。
「私達もね」
「そうか、じゃあな」
「私達は後で行くつもりだけれど」
「じゃああたし達もな」
「行く予定だったし」
 裕香も言うのだった。
「それじゃあ」
「また一緒になったしね」
 鈴蘭も笑って裕香に答えた。
「それじゃあね」
「一緒に観て回るか」
「若草山も他の場所もね」
「奈良市は見回りやすいな」 
 薊はこうも言った。
「観光名所が集まってて行き来しやすいよ」
「奈良市はね」
 ここでこう言ったのは黒蘭だった。
「ここはそうよ」
「けれど奈良県全体だと」
 奈良県民の裕香は二人にも言った。
「そうでもないのよ」
「桜井市、明日香村、橿原市と別れていて」
「そうなの、それにホテルや旅館も京都と比べると」
「比較対象が凄いわね」
「京都は京都市を拠点としたら広くてもかなり回れるわ」
 観光名所をだ、京都市はその点も充実しているのだ。
 だが奈良はどうか、奈良市はともかく県全体としては。
「桜井とかあまり、なの」
「桜井市といえば」
 黒蘭はその桜井市について語った。
「長谷寺、大三輪神社、談山神社があるわね」
「そうなの、けれどね」
「旅館は少ないわね」
「奈良市程じゃないの」
「隣の宇陀市には室生寺、橿原市には橿原神宮があるけれど」
「それでもなのよ」
「旅館は充実していないのね」
「そうなの」
 それが問題だというのだ。
「曽爾高原にも行けるけれど」
「明日香村にもすぐね」
「奈良県は全体的には観光設備が今一つかも」
「あと北に集中しているわね」
「南は吉野があるけれどね」
 裕香は南に住んでいたので吉野のことにも詳しい、全員で予定を変えて若草山に向かいながらそのうえで話をする。
「十津川なんてね」
「あそこはもう」
「そう、凄い辺鄙だから」
「そうそう行くことは出来ないわね」
「京都府に例えると奈良市は京都市でね」
 そして、とだ。裕香はここでその吉野をこう言った。
「吉野は舞鶴よりさらに先に行った」
「舞鶴市よりも」
「あそこが京都の端だったと思うけれど」
「だから。その舞鶴に行くより辛いの」
 京都市から舞鶴市に行くよりもというのだ。
「奈良市から吉野村に行くことは」
「それだけ離れてるのね」
「奈良県全体を観光しようって思うと中々厳しいの」
「観光名所が多くても」
「実際にはね」
「あとマスコットね」 
 鈴蘭は所謂ゆるキャrラの話もした。 
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