WATCH DOGS 〜in RIDER WORLD〜
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PHASE 2 スタジアムからの脱出
部屋を出て、スタジアムの出口へと急ぐ
だが、その歩みはすぐに止められてしまった
「もう警察が…
なんでこんな時だけ仕事が早いんだ?」
翔が置いてあった台車の影から覗くと
二人組の警官が
倒れている男を揺すっているところだった
さきほどまでいた部屋に行く途中で
気絶させた男だ
しかし、見た感じ、その男はすでに生き絶えていた
「ジョルディのやつ、こいつらにもこうさくを施したのか
相変わらず恐ろしいやつだな」
二人組が死体を調べている間に
物音を立てないように気をつけて、
背後を通り、階段を上る
上った先の部屋に入ると、
先ほどよりも多い警官が
そこにはいた
「くそ…何人だ?」
翔のいた位置からは
部屋全体を確認することができなかった
仕方なく周りを見渡し、監視カメラを見つける
「ハッキングを学んどいてよかったよ、ほんと」
スマホを取り出し、カメラの方に向け、
画面を操作する
するとスマホに監視カメラの映像が映し出された
これなら、部屋の全体を見ることが出来る
(5人…この程度ならアレを使えばなんとかなるか)
翔はコートのポケットから
ルアーというものを取り出した
スマホからの遠隔操作で
音を鳴らし、人を揺動するための道具
簡単に作れるので
翔は何度もこの道具を使って
任務を成功させてきた
移動先とは真逆の方向に、
バレないようにそれを投げ込む
目的の場所に設置できたことを確認し、
翔は監視カメラの映像を確認しながら
ルアーを鳴らした
[あァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!]
部屋中に男の叫び声のようなものが響く
警官たちは何だ何だと
ルアーの方へ向かった
その隙に翔は扉をくぐり、何とかスタジアムの入り口近くの
土産屋に辿り着いた
片側はガラス張りになっており、
試合の様子が見える
どうやら同点に追いつき、
ノーアウト満塁という状況で強打者の打順のため
全体が盛り上がっているらしい
(いいね…地下で何があったかも知らずに
俺もそっち側にいたかったよ
………まあいい、ここまできたら
後は出口まで行けば………!?)
グッズが置いてある棚から顔を覗かせると
入り口の側に予想以上の数の警官がいるのが見えた
(おいおいマジかよ…
あれじゃルアーでも全員の気は引けねぇ…
そもそもこの歓声で音が聞こえるかどうか…)
翔は必死に考えたが、
打開策は見つからなかった
これ以上ここに留まれば
いつか見つかってしまう
仕方なく、翔は携帯を取り出し、
ある人物へと連絡した
プルルルル…ガチャ「もしもし、こちらBad boy1901」
電話から聞こえたのは
映画版20世紀少年のトモダチのような
声だった
「俺だ、ビジランテの翔だ」
「久しぶりだな、一体何のようだ?」
彼はctOSに精通している人物で
ハッキングのプロであった
翔は何度か彼からアドバイスをもらい、
それを自分の仕事に活かしていた
「スタジアムはわかるだろ?
今あそこにいるんだが、
色々と面倒な事になっててな
警察の目をくぐって
外に出たいんだが…」
「数が多すぎて出れない、と
大体わかった
…そうだな、近くに
コントロールパネルはないか?」
すぐに彼は察してくれたらしく
指示を出し始めた
「コントロールパネル…?
壁にあるやつか?」
周りを見渡すと
すぐ近くの壁に小さい扉がついており、
そこを開けると中に機械があった
「それだ
そこのドームはユグドラシルが建てたやつだからな
設備が最新の物になっていて
そこのパネルから繋がるコントロールルームで
スタジアム全体を管理できる
とりあえずハッキングして
コントロールルームにアクセスしろ」
言われた通りに
スマホでパネルに接続し、
管理コードを解いていった
コードはctOSに接続しているため
特に何もしなくても
勝手に解けていった
「…よし、繋がったぞ
どうすればいい?」
「簡単さ
スタジアム全体の電源を切れ」
「はぁ!?そんなんやったら
停電で野球の試合が止まるし、
大パニックになるだろ!」
「それでいいんだよ、
その隙に脱出すればいい
一応部屋に管理員はいるから
すぐに復旧するだろうから
試合も続行されるさ」
「大胆だな…まあいい、仕方ない」
画面の指示に従い、
スタジアムの電源を切る
バチンッという音と共に
スタジアムの電源が落ちていき、
会場は真っ暗となった
「キャーーーーーーーッ!!」
などという叫び声や怒号が上がり、
あっという間に大パニックになった
警官たちもいきなりの出来事に慌てており、
中には慌てすぎてぶつかり合う
警官たちもいた
(あー…そういえばジョルディの奴も混乱させろとか
言ってたな…すっかり忘れてたけど、こういうことか)
人々の様子を見ながら
翔はそんな事を考えた
(…よし!)
翔はパニックに陥っている人々の間をくぐり抜け、
何とかスタジアムの外に出た
そのまま、来るときに乗ってきたバイクへと向かう
「ありがとよ」
「礼はこの前の時と同じ5万でいいよ
金には困ってないからな」
「フッ…わかってる
じゃあな」
「あぁ」
電話を切り、バイクへと乗り込む
時刻は7:20分を指していた
「よかった…これなら約束に間に合う」
そう呟き、翔はバイクのエンジンをかけた
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