たまには違うことも
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第四章
「それでタイヤもな」
「特注か」
「それこそオンロードでもオフロードでも走られて」
自慢に満ちた笑顔での言葉だった。
「普通のタイヤよりもスピードが出るぜ」
「そっちも凝ったんだな」
「内装もな。日本車みたいにしたんだよ」
「おいおい、イタリアでもか」
「色々考えてな」
車のことを調べに調べてそのうえでというのだ。
「内装は日本車が一番って思ってな」
「じゃあ日本車にしたらよかったんじゃないのか?」
「いや、外見はやっぱりイタリアだからな」
こう思ったからだというのだ。
「あえてな」
「フェラーリにしたのか」
「それで内装はな」
「日本車が一番だからか」
「それにしたんだよ」
そうだというのだ。
「だから殆ど特注だぜ」
「相当金かかっただろ」
「年棒の半分は使ったか」
ブライアンはその目と口をにやりとさせて答えた。
「もう相当にな」
「おいおい、家が建つ位か?」
「もっとだな、俺の今の家よりもかかったぜ」
「それはかけ過ぎだろ」
「それでも楽しんだぜ」
それでとも言うブライアンだった。
「それでこうして完成させてな」
「満足してるんだな」
「ああ」
その通りだというのだ。
「最高の気分だぜ」
「そうか、何よりだな」
「ただな」
ここでだ、ブライアンは苦笑いでこうも言った。
「これに乗るかっていうとな」
「それはか」
「どうもな」
首を傾げさせての言葉だった。
「気が引けるな」
「ぶつけたりしたらか」
「もう泣くからな」
それこそというのだ。
「それだけで」
「そんなに金かけてるってことか」
「手間もな、雨にかかっても」
それだけでもというのだ。
「嫌になるな」
「塗装に影響出るってか?」
「ガラスだってな」
車のそれすらというのだ。
「もう最高のな」
「だからか」
「濡れるだけでもな」
嫌だというのだ・
「そう思うからな」
「じゃあ乗れないか?」
「乗る為の車はもう用意してあるさ」
そちらは既にというのだ。
「最初から使ってるあれな」
「もう完全にそっちの世界にいってるな」
「かもな、俺もそう思うぜ」
「けれどそれがだな」
「本当にいい気分転換になってるぜ」
笑ってこう言うのだった、ブライアンは車に凝りそれを趣味として楽しみシーズンオフの気分転換とした。そしてそれがシーズン中も続き彼の趣味として続いてだ。
「車は本当にいい気分転換だぜ」
「ははは、相変わらずだな」
マードックに笑顔で言いマードックも笑って応える。それがかえって成績にもよくなり彼をさらにスター選手にしたのはよいことであった。人間は気分転換も必要ということか。
たまには違うことも 完
2015・1・21
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