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ガンダムビルドファイターズボーイ

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第三話 忍者ファイター見参!



暗闇の中3人の武者が闇の軍団と戦っていた。

3人の武者たちは並居る敵を倒し続け一人の大将格と思われる赤い武者ザク交えた。

2人の武者がその武者の攻撃で弾き飛ばされると最後に立っている武者に狙いを定めた。

(・・・どこ・・・ここ・・・だれ?)

「ふははははは!!」

(こいつは何故私を見てるの?・・・何故私に刀を構えているの?)

「どうしたどうした!?貴様それでも烈破の・・・」

(!?)

赤い武者ザクが自身に刀を振り下ろした瞬間。

「は!!」

布団から飛び起きる香澄。

「また・・・この夢・・・何?」


第三話 忍者ファイター見参!


「・・・・・・・・・・・・・」

翌朝、夢見が悪かった香澄は心を落ち着けるべく瞑想している。

(・・・あれは一体何なの?・・・赤い武者・・・それに烈破・・・あの時からずっと同じ夢ばかり見る)

そう数日前、プラモ狂四郎で狂四郎の作ったガンプラが入ったプラモボックスをみた時からだ。魂の奥底から呼びかけられているようなそんな感覚が走った後、ずっと同じ夢を見るようになったのだ。

「あれは一体?」

「おい!香澄!何やってんだ!?」

「?」

突如翼の声が響き渡り香澄が瞑想を解くと現在の香澄の体制があらわに・・・

自宅の隣の家業でやっている少し荒れた忍者道場の脇にある巨木の枝の上で人差し指一本で逆立ちしていたのだ。

「・・・あ・・・よ!」

香澄は凄まじい身のこなしで地上に降りると思わず翼が・・・

「お前はガンダムファイターにでもなる気か?」

「ん?・・・まぁ・・・修行だし?・・・いつもやってるし・・・ところで?どうしたの?」

「何って・・・学校」

「いっけな!!」

すっかり忘れていたらしく道場の庭から急いで自宅に戻る香澄だった。

学校への道でもずっと考え事している香澄の姿に翼は思わず聞いてみた。

「どうしたんだ?香澄・・・こういう事に関してはしっかりしてるのに」

「あ・・・うん・・・何か最近夢見が悪くて・・・」

「夢?」

思い切って翼に話してみる事にした香澄。

普段能天気な香澄の様子とは違う事を感じた翼が真面目に聞いていると目の前で・・・

「だから~痛いめみるっつうの!!」

「ひい!」

近所の不良が小さい子をいじめている場面であった。何食わぬ顔で話し合いながらその後ろを翼と香澄が通り過ぎた後だった。

ヒュンヒュンヒュンヒュン!!

風を切る音共に不良の来ていた服がズタズタになり宙を舞ったのだ。

余りの事に真っ裸になった不良が周りを見てみると周囲に突き刺さっている無数の手裏剣が・・・

それを見た不良は青ざめ脱兎のごとく逃げ小さい子もカバンを持って慌てて学校へと向かった。

「相変わらずいい腕してるねお前」

「別に~何のことやら?」

特に振り返りもせずに香澄の腕前を称えてしまう翼。だが気になることが・・・

「あれ本物じゃないよね?」

「え?あれ?玩具に決まってるじゃん」

「本当かよ・・・絶対嘘だ・・・忍者の言う事だしな」

「ちゃんと修行すれば誰でもできるし」

「お前のちゃんとした修行って異常な修行なんだけど・・・あれ?」

翼が一瞬頭を抱え香澄の方を向くと姿がない。慌てて周囲を見回した瞬間、何処からともなくボンっと煙が舞いその中から出てくる香澄。

「お前絶対偽物の忍者だろ・・・というか完全に遊んでるだろ」

「だってこれ忍術じゃなくて奇術だもん♪」

そう言って創作物に出てくるような忍者さながらの忍法を披露する香澄だった。

すると時計を見ると朝礼の時刻が迫っているのに気づき

「不味い遅刻だ」

「あ!続きは放課後で!!プラモボックス持ってきてね」

「あいよ!」

こうして早く学校へと向かいいつもの日課を終わらせる翼と香澄だった。





放課後。自宅に帰った翼は香澄との約束通りプラモ狂四郎へと向かい中に入った時だった。

「お~!若人諸君元気にしてるかな~!?」

何故かテンションの高い中学生くらいの女の子の姿が・・・

いつもとの凄まじいギャップで翼がかたまってしまうと。

「こんにちは~遅くなりました~」

少し遅れて店に入ってきた香澄。すると興味をひかれたのか女の子が香澄を見ると一言。

「もしかして・・・翼君のガールフレンド!!」

「「ちょ!違うって!!」」

あらぬ誤解をされて慌てて訂正する翼と香澄。
すると奥から出てくる狂四郎。

「・・・ちょっと・・・翼が引いてるって・・・自己紹介した方が良いんじゃないか?」

「四郎さん・・・この人もしかして」

「うん・・・ミツキさんの紹介の」

「お~!いえい!まいねーむいずユア・クラエッタ!!」

わざとやっているのかエセ外国人のような自己紹介を披露するミツキ・サエグサさんからの知り合い、ユア・クラエッタさん。

すると奥から・・・

『お~い翼~なんとかしてくれ~』

「烈斗!」

何やら変なコンピューターのような物の前に立たされている烈斗頑駄無の姿がするとユアは・・・

「いや~喋るガンプラなんて前代未聞だからさぁ~ちょ~っとデータを取らせてもらおうかな~って」

「昨日からこんな調子で」

狂四郎の話だとミツキからガンプラ修行のためにしばらく預かって欲しいと言われ住み込みのお手伝いとして預かることになったらしい。

それにかなり有名なビルダーらしいのだが・・・

「知ってる人?」

「さぁ・・・」

小学生の香澄と翼はあまりそう言う事については知らないようである。さらに・・・

「俺もしばらく世の中から離れてたからな・・・」

浮世離れしたらしい狂四郎。

「ふ・・・別に知らなくていいし~みんなの前での私は!世界を又にかけるガンプラ少女にして!プラモ狂四郎看板娘!!ユア・クラエッタ!!現在自分探しの旅の途中ここに流れてきやした!!」

そう言って何処から用意したのか流れ者の衣装に身を包んだユアだった。

「あ!そうそう狂四郎さん!!これこれ」

何かを思い出したのかユアがカバンから自身で作ったと思われるフルスクラッチの武者頑駄無を見せた。

「どうですこれ!?いやぁ~昨日教えてもらった通りのフルスクラッチに挑戦してみました!」

「おお!すげぇ・・・かなり作り込んであるし、なにより魂がこもってる」

「まだ塗装はしてないけど名前は決めてあるんだ~その名も!『武者スカーレッド・フェアリー』!!」

未完成の武者スカーレッド・フェアリーを見た烈斗頑駄無は・・・

『げ!・・・おかしら』

「ん?どうした?烈斗?」

『ナンデモナイヨ~』

何故か心ここに非ずの烈斗頑駄無だった。

すると話が元に戻り香澄の話を聞く狂四郎とユア。

「ねぇ・・・どう思う?どうしてこんな夢ばかり見るの?・・・それに烈破って・・あれだよね」

商品棚に陳列しているBB戦士の中に烈破頑駄無があったのでそれを見てみる香澄

「どうしてって・・・言われてもな」

狂四郎も何が何だかわからない。

香澄自身が狂四郎のフルスクラッチのプラモを見た時から続く夢。その内容の中の3人の武者のうちの一人に自信がなっていた事・・・何かの因縁かもしれない夢、それを聞いた烈斗は何やら思い当たることがあるらしいのだが皆の前では黙っている。

翼と狂四郎がこの謎について考え込んでいるとユアが均衡を破った。

「ああもう!それなら持ってみればいいじゃない!!」

「へ!?」

ユアが翼が持っていたプラモボックスを香澄の前に置くとその蓋を開けた。中に入っていたのは青い武者頑駄無と黄色い武者頑駄無だった。

すると

「!!」

香澄の鼓動が大きくなった。その様子はただもならぬ雰囲気であり香澄が武者頑駄無に手を出してしまった。

本能の赴くままとったのは忍者のような黄色い武者頑駄無だった。

すると

「は!」

嘘のように香澄の鼓動が納まったのだ。心配そうに香澄に声をかける翼。

「香澄?」

「なんか・・・呼ばれた気がする・・・これに・・・」

「え?」

ガンプラを握りながら宿命のような物を感じ取った香澄を他所に烈斗頑駄無がそのガンプラを見つめていたのだった。

すると

「天津頑駄無」

「え?」

「そいつの名前だ」

「天津・・・頑駄無」

狂四郎に名前を聞きその名を呟く香澄だった。

その時

「じゃまするぜ・・・」

何やらガラの悪い不良がプラモ狂四郎に入ってきた。その人物は・・・

「香澄に真っ裸にされた不良!」

翼に指差される不良・・・だが何やら様子が変だ・・・

「おめえみてえなガキにようはねえんだよ・・・女ぁぁ俺と勝負しろ・・え!」

明らかに異常な不良に香澄は指関節をバキバキ鳴らし・・・

「いいよ・・・店じゃ迷惑になるから・・・表でなよ」

体術の構えを取る香澄だが不良は・・・

「へへへ・・・誰が素手でやるかよぉ・・・これに決まってんだろぉぉぉ」

不良が懐から取り出したのはドムトルーパーのガンプラだった。

自身の腕っぷしの強さから目の前の不良をのすことなど簡単なのだが不良もガンプラバトルなら完全なる初心者の香澄相手に勝てると思ったらしい。

だが何故この不良がその事を知っているのか疑問だ。

すると香澄は・・・

「わかった・・・勝負しちゃる・・・けど動かし方の大まかな部分は教わらせて・・・」

翼と狂四郎に大まかな流れを聞くとユアがバトルフィールドの準備にとりかかった。

フィールドの条件を設定は森林地帯の夜。準備を終えた香澄と不良はガンプラ手にした。

「ひひひ!!」

邪悪な笑みを浮かばせながらドムトルーパーをセットする不良。

端末をセットし天津頑駄無をフィールドに置く香澄。するとその瞳の無い目が光りガンプラに命が宿った。

「獅童香澄!天津頑駄無!見参!!」

コンソールを動かすとカタパルトで天津頑駄無が射出され地上に舞い降りた。

「えっと・・・実地は初めてだから・・・これがこうで・・・」

相手が来ないうちにデモンストレーションをする香澄何がどうやれば動くか確かめている最中だった。

「うおおおおおおおおおおらああああああああああああ!!」

エネルギーを発しながらドムトルーパーが突撃してきた。行き成りの奇襲に驚いた香澄が全力で回避すると手裏剣を構え投げつけるがドムトルーパーの突進で弾かれてしまう。

(く・・・自分の手で投げてるわけじゃないからやりづらい・・・慣れてる暇はなさそうだし)

ドムトルーパーの突進攻撃を避ける天津頑駄無だがドムトルーパーはすぐに方向転換し次々と突進を繰り返し初心者の香澄を翻弄する。

それを見ていた翼は・・・

「香澄いつもの腕っぷしはどうしたんだ?」

『いや・・・自分で戦うのと操作して闘うのだと大違いだぜ』

烈斗頑駄無の言葉にユアも・・・

「たしかに・・・あれ初心者にはけっこう言い手かも・・・」

「なんで?」

「操作に慣れさせる前に一気にたたみ掛けようとすると回避しか出来ないかも」

ユアの解説ももっともだった。実際問題ガンプラバトルは観戦専門だった香澄は操作するどころかコントローラーに触るのも初めてだ。

それがいきなり攻撃され放題になってしまうと慣れようがない。

森林地帯に逃げ込もうとするがドムトルーパーの突進攻撃で大木を次々と破壊され隠れる場所を失っていき翻弄される天津。完全に打つ手がない。

「そのまま壊されちまいな!!!烈破のおおおおおおおおお!!」

不良の額に大きな目玉が現れた瞬間、ドムトルーパーは闇の波動を放ちながら天津に突撃する瞬間。

「負けて・・・たまるかあああああああああああ!!!」

香澄の魂が燃え上がりが渾身の力をこめてコンソールを握ったその時だった!!

『!!』

天津頑駄無の目に瞳が描かれたのだ!!

だが

「もらったああああああああああああああ!!」

ドムトルーパーの突進が天津に直撃しバラバラになってしまった。

「ははは!!終わりだな~次は~」

バトルが終わったと思った不良が今度は翼と烈斗頑駄無を見た瞬間だった。

「何でだ?何でバトルが終わらねえんだ?」

BATTLE ENDにならないことを不審に思った不良が周りを見ると粉々になっていたのは・・・

「丸太!?」

すると

『・・・変わり身の術』

「!?」

突然背後に現れる天津頑駄無にパンチを浴びせようとするドムトルーパーだが華麗な身のこなしで受け流されてしまう。

ドムトルーパーは次々とパンチを放つが人差し指で全て受け止める天津頑駄無。

ならばと下がったドムトルーパーは再び渾身の力を込めた突撃を繰り出した瞬間。

「!!」

その突撃のタイミングを完全に身体で覚えた香澄は華麗に受け流すとその勢いのままにドムトルーパーを大地にめり込ませた。

「おのれえええええ!!」

不良が立ち上がり額の目が光るとドムトルーパーの目に乗り移った。

「叩き潰してくれる!!」

ドムトルーパーが突進した瞬間。天津がある構えを繰り出しそれを放った。

『妖気殲滅波!!』

「うああああああああああああああああ!!」

凄まじい術でドムトルーパーの動きが封じられた瞬間。SPIRITゲージがMAXになったのに気付いた香澄。天津頑駄無が拳を構えると3つの獅子の頭・・・スピリットアニマルが現れると拳の中で螺旋を描き始めた。

「『獅子!咆哮螺旋!!(レオハウリングスパイラル)』」

拳と共に放たれた3つの獅子は巨大な螺旋を描きドムトルーパーを飲み込んだ。

「うぎゃあああああああああああああああああああああ!!」

凄まじい絶叫と共にドムトルーパーに乗り移った目玉・・・そして不良の額の目玉が消滅しドムトルーパーが沈黙したのだった。

BATTLE END

それと同時に不良がその場でへたり込み意識を取り戻すと・・・

「あれ・・・俺・・・何してたんだ」

先程までの事を覚えていなかったのか不良は壊れたドムトルーパーを持って帰るのであった。

その場にいた全員が不審に思いながらも香澄は自身の心を落ち着けたその時だった。プラフスキー粒子の充満するバトルフィールドの中から・・・

『お疲れ様♪』

「へ?」

香澄がバトルフィールドを見た瞬間。その場で香澄に笑顔を見せる天津頑駄無の姿が・・・

その人格はどうやら女性のようである。

「あなたも?」

自我持ちの前例があった為か人格が助成という事以外は特に驚いた様子の無い香澄。

取りあえず話を聞くべくミツキ特製の超小型プラフスキー粒子発生装置を天津のボディに組み込むのだった。

『ふぅ~これでやっと動ける』

動けるようになった天津頑駄無は暢気に柔軟運動をしていた。

「まさかお前も自我持ちになるとは」

天津の姿を見て頷く翼・・・だが天津は香澄の顔をじーっとみて・・・

『もう!ず~っと呼んでたのに・・・気付くの遅すぎ!!』

「???」

何故かガンプラにお説教される香澄。すると翼が・・・

「まぁ・・・何はともあれ・・・これで二人だな」

「へ?・・・あ!」

翼の様子に香澄が思い出した。そう・・・地方大会の小学生の部だった・・・メンバーを探そうと思っていた翼。

という事は・・・

「しゃあない・・・よろしく♪」

覚悟を決めて翼と組むことにした香澄。実は内心ノリノリであったりするのだが・・・

「おう!」

こうして2人目のメンバーと武者頑駄無が加わった。

一方

『お前もか』

『うん♪』

烈斗頑駄無と天津頑駄無がお互いに何やら因縁ありげな会話を繰り広げている時。

「狂四郎さん!色塗ったんだけど!!」

狂四郎に赤く塗って完成した武者スカーレッド・フェアリーを見せるユア。

するとユアは・・・

「よし!さぁ!動け!武者スカーレッド・フェアリー!!」

だがうんともすんとも言わない武者スカーレッド・フェアリー。

「あれ?おかしいな・・・フルスクラッチのガンプラだから動いてるんじゃないのかな?」

頭を捻って考えるユア。

それを見た烈斗と天津は・・・

『げ!あれは・・・』

『何も言うな・・・』

意味ありげなこの言葉の結末は・・・

 
 

 
後書き


「残るメンバーはあと一人!」

香澄
「まぁ・・・あてはあやつしかないか・・・」


「そうだな!え!新之助他のところに誘われ・・・何こいつ等!?」

次回! 盾の武者


「攻撃だけが能じゃないってか!?」

 
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