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ハイスクールV×D ライド27
「さて、私達は彼らと一緒にオフェンスよ。結界内の学園に飛び込んでコカビエルの注意を引くわ」
一瞬だけ四季達に二人に視線を向けた後、己の眷属達に向き直り真剣な表情でそう告げる。
「これはフェニックスの一戦とは違い、死線よ」
そう、彼らグレモリー眷属にとって、初めての格上相手との『死闘』だ。ライザー・フェニックスとのレーディングゲームでは敗北したが、それでもそれが実戦では有ってもゲームで有るが故に命を落とした者はいなかった。
だが、今回は違う。間違いなく、敗北したとすれば間違いなく誰かが、最悪は全員が命を落とす、そう言う戦いだ。
「それでも、死ぬ事は許さない! 生きて帰ってあの学園に通うわよ!」
「「「「はい!!!」」」」
強敵との死闘を前にしてリアスの激に返す全員の声が重なる。
「……詩乃」
「言っておくけど、今更私だけ逃げろって言っても聞かないわよ」
本音を言えばなるべく彼女には駒王町から離れていて欲しいと思っていたのだが、当の本人はそれを聞き入れてくれそうに無い。
念の為に相棒である『次元ロボ カイザード』と彼の仲間の次元ロボ達には本来頼んでいる役割の他に、今回は彼女がコカビエルとの戦いが終るまで此処から離れてくれる事を了承したのならば、彼女を連れて離れてくれる事を頼んだのだが、それは無駄に終ったようだ。
「分かってる」
「私にだけ離れろって言うくせに、四季は逃げる気無いのよね」
「当然だろ。此処には詩乃との思い出が有って、友達がいる」
「それは私も同じよ」
そう言って微笑み会う二人、
「「頼りにしてる(わよ)」」
そんな会話を交わすとどちらとも無くハイタッチを交わす。危険には晒したくないが、四季にとっては背中を預ける後衛としては誰よりも頼りにしているパートナーだ。
『四季、この戦いは今までとは違います。それでも、使わない心算ですか……“彼ら”の力を』
四季の中に響く声……己の持つ神器に宿るモノの声が四季の耳に響く。
(使う心算は無いさ……オレはそんな物には頼らない……)
あの神器の力を使えば二つの超兵装の力とあわせて、コカビエルを討伐する事も簡単だろう。
……完全では無いにせよ、コカビエルが奈落龍にも、龍の帝国の大帝にも、虚無の軍勢を操る虚無の龍達、そして根絶者に及ばない以上……惑星クレイの英雄達の力を借りれば勝てるだろう。
だが、四季にそれを使う意思は無い。……詩乃を守るためにも己の力で強くならなければ……己の力だけで戦い抜かなければ、他者の力を借りても何も意味は無いのだと考えている以上。
『貴方の意思が代わったのなら何時でも呼んで下さい。私は待っています、貴方が彼等の力を受け入れる事を』
そう告げて消える声に意思を向ける事無く超兵装ブラスター・ダークを握りなおす。
(必要なんて無い、オレは……オレの力で詩乃を守る)
心の中でそう決意を定める。
「兵藤、五峰、頼んだぜ!」
「わーってるよ、お前は尻のダメージでも気にしてろ」
「任せろ、オレ達二人なら……絶対に負けない。あと、尻のダメージは災難だったな」
「言うな! 言われると痛みがぶり返す」
「悪い」
涙目で尻を押さえている匙にそう言う。流石に少し哀れみを感じさせるが……飽く迄一誠達に協力したのは当人の判断なので、尻の痛みも己の責任として受け取って貰おうと思う四季だった。
「ところで木場は?」
「興味ない」
ふと、話題に上がった木場の事には素っ気無く答えると詩乃の所へと向かい、主にコカビエル戦での役割についての打ち合わせをする。
「ったく、木場の事を何も知らないくせに。でも、あいつなら無事だと信じてる」
木場の事が心底どうでも良いと言う様子の四季に苛立ちを覚える一誠は四季の背中を睨みつけながらそう答える。
四季の言葉を借りるのなら、木場は四季にとって仲間でもなければ友達でもないのだ、安否に対して一切興味が無いのも無理は無いだろう。
『あいてはコカビエル、不足は無い。見せてやろうや、相棒』
一誠へと語りかける声……彼の神器に宿る赤龍帝ドライグの声、
「ああ、ドライグ、五峰の野郎にも見せ付けてやろうぜ」
「『ドラゴンの力を』」
……その四季を相手に戦って木場と組んで一誠は一度負けているのだが。
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