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世にも不幸な物語

作者:炎花翠蘇
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第八章『神社で取材』

 
前書き
前回は変な区切り方してすいませんでした(泣) 

 
 
 霊夢に呼ばれた3バカトリオもとい、輝・風・零は大広間(一般の家でいうならリビング?)に連れて来られた。騒いでいたことについて怒られる、と思っていたが違うらしい。
 霊夢が言ってきたのは「烏天狗が彼方たちを取材したいそうよ」とのことだ。風から教えて貰ったキャラクターで、新聞を作って配っている人がいると聞いたことがある。確か、烏天狗で、半袖ワイシャツを着ていて、黒いミニスカートで、天狗が被っているお馴染みの帽子を被っていて、名前が思い出せない。
 輝が新聞記者について思考を巡らせている間に、その人物が待つ大広間に付いてしまった。
「ども。この度あなた方を取材する射命丸 文です。以後お見知りおきを」
 テキパキと挨拶をしてくれた。
 そう、射命丸 文。文の字を違う読み方をするものだから忘れてしまった。
「立ち話もなんでどうぞ」
 と、卓袱台の前に手招きされた。
「人の家でしないでよね。やるのなら他所でやりなさいよ」
「まあまあ、いいじゃないですか霊夢さん。減るもんじゃないし」
「はぁ、好きにしなさい」
 そういって霊夢は台所へ消えていった。
「では、お言葉に甘えて」
 霊夢をあしらって自分の作業に取り掛かる文。霊夢との仲が良いらしい。
 輝たちはとりあえず卓袱台の前に(文と向かい合う形で)座った。文がコホンと咳払いをして取材を始めた。
「カチュウシャをしていらっしゃるのが輝さん、眼鏡を掛けていてツッコミを担当しているのが風さん、ボケを担当しているのが零さん、でよろしいですね?」
 よろしいも何も全て合っている。
「お~~すげぇ~~」
「流石と言うべきだな、その情報網」
「流石文、俺らに出来ないことを平然と遣って退ける。そこに痺れる憧れる」
「いやぁ~~、褒めても何もでませんよ」
 まだ幻想郷に来てまだ日が浅いし、尚且つ会っている人も少ないのによく輝たちの特徴と名前が解かるのだから驚きだ。探偵でも食っていけそうと輝は密かに思った。
「え~と、それでは本題には――」
「もうすぐ宴会が始まるからそこの3バカトリオ手伝いなさい」
「れ、霊夢さん。話の腰を折らないでくださいよ~」
「しらないわよ。そんなこと」
「宴会やるんだ」
「いい時に来たな、俺ら」
「?」
 宴会と聞いて喜んでいる風と零。今一ピンとこない輝は不思議でしょうがなかった。宴会だから喜んでいるように見えるが、それとは違う喜び感が見て取れる。とりあえず零に聞くことにした。
「なあ零。なぜ宴会で喜ぶんだ?」
「ん?ああ、まだ輝に教えてなかったな。博麗神社でやる宴会は大勢の人たちが集まるんだよ」
「大勢って、東方の人達(キャラクター)が?」
「全てじゃないけど、ほとんど来る」
「なるほど」
 道理でこいつらが喜ぶ訳だ。
 東方の人達(キャラクター)は多いし、住んでいる所も違うから全員に会いに行くとなれば骨が折れる。だけど一度に集まる宴会だったらその手間は省ける。それに宴会も楽しめるから一石二鳥だ。
 となれば取材をしている場合ではない。宴会の手伝いをしなくては。手伝いを拒めば「働かざる者、食うべからず!」と怒られるかもしれない。
「手伝いなら輝で十分だろ」
 唐突に風が言ってきた。
「はぁ?何言っているのよ。一人より三人のほうがいいに決まってるでしょ」
 霊夢が怒るのも無理はない。なぜなら輝の能力を知らないのだから。
 風たちの考えていることは解かりきっている。宴会の手伝いを輝だけにさせて、のんびりと文と話す寸法だろうが、そうはいかない。
「そうだよ、なにを言っているんだい。一人より二人、二人より三人、当たり前じゃないか。もうボケてしまったのかい?風さん」
 これで風はツッコミを入れるはず。風はボケに反応するはず。日ごろから風のことを弄るためにボケをしてきたから必ず反応するはず。ツッコミを入れてきたらボケを連発して霊夢を苛立ちさせて痺れを切らした霊夢は風たちを強制的に手伝はせるだろう。
「別にボケてやしないさ」
(なん・・・・だと・・・!)
 予想外の薄い反応に戸惑う。ツッコミをいれずに普通に返答してくるとは。もしやこの状況を読んでいたか。
「俺も輝で十分だと思うぞ」
 零まで参戦してきたか。風だけならどうにかなったのかもしれないのに、零まで入って来るとかなり不味い。この二人が揃うととんでもない事になる(被害は輝だけ)。
「れ、れれれ零まで何を言い出すのやら。ハハハ・・・」
「え、だって輝の能力――――」
「さあ、三人とも早く宴会の準備に取り掛からねば日が暮れるよ(若干裏声)」
 無理やり零の話を中断したが、上手く霊夢の気を逸らせたか?
「輝」
「はいぃい!?(裏声)」
 嫌な予感発生中。
「あんた、能力使えんの?」
「なにを言ってるんですか霊夢さん。俺みたいな障子紙並みに弱くて、石で躓いたら死んでしまう様なこの俺に能力が有る訳ないじゃないですか。アハハハハハ」
「あんた、自分のことをよくそんなに言えるわね」
 引き気味の霊夢。このまま宴会の話に持っていけばまだ勝機はある。
「あやや?おかしいですねぇ。確か輝さんの能力は屍を四体同時に操れるとお聞きしたのですが?」
 いとも簡単に勝機は崩れ去った。まさか文が言うとは予想していなかった。もう逃げ場はない。
「へぇ~そうなんだ~~。なら輝で十分ね」
「(せめてあの二人を道ずれに!)まってください霊夢さん!手伝いは大勢いた方がいいはずです。それに俺の能力は二十分しか発動しません。また使えるまで最低でも五分も掛かります!」
「大丈夫よ。二十分経ったら私も手伝うわ」
 つまり五分しか手伝わないことになる。
「それに、家の台所狭いから大勢いたら逆に邪魔。五人で十分」
(霊夢は入っているのか?数が合わない)
「文の方は?」
「はい。二人で十分です。輝さんのことは風さんたちから聞きますのでご心配なく」
 その二人だから心配なのだが、もはや輝の拒否権は聞いてくれないだろう。
「そんなの理不尽だ!俺だけ手伝いって酷いじゃないですかっ!」
「四の五の言わずに問答無用!!」
「イ、 イエッサー」
 霊夢の剣幕に言い返せなかった。
「心配するな輝。お前のことはしっかりと文に伝えておくから」
「お前のことを決っっっして屍王とか言わないから」
「もちろん俺のことをワイトキングNEO/バスターも言わないよな~お前ら」
「「・・・・・・」」
 風と零は明後日の方向を向いていた。こいつらに任せるととんでもない事になりそう。否、絶対になる。
「輝、喋ってないで早く手伝いなさい。宴会が始まったら、猫の手も借りたい位に忙しくなるんだから」
「それを言うなら、屍の手も借りたい、でしょ?」
「誰が上手いこと言えといったのよ」


 ドスッ!


「ぐはっ!」
 思いっきり霊夢の肘鉄が輝の脇腹に当たった。ちょっとボケただけなのにこの仕打ちはあんまりだと言いたくなったがこれ以上何か言ったら腕の一本持って逝かれそうなのでやめた。
 色々と腑に落ちないまま宴会を手伝うことになった。


 
 

 
後書き
東方には宴会が欠かせませんよね。
次の話でこの小説の方向性が決まります。 
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