リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第七十六話 リベンジ戦そして…
前書き
対ブラックウォーグレイモンに向けて特訓を続けていたブイモン達。
そして…。
アリシア「リリカルアドベンチャー、始まるよ」
砂嵐の中、ブラックウォーグレイモンは歩いていた。
辺りには気を失っているデジモン達の姿。
ダークタワーが100本集まって生まれたブラックウォーグレイモンは存在するだけで次元を歪ませる。
次元が歪んだ影響によって弱いデジモンは皆倒れてしまった。
Bウォーグレイモン[誰か……居ないのか……]
苦悩するブラックウォーグレイモンの言葉は風によってかき消されてしまっていた。
Bウォーグレイモン[あいつ以外に倒しがいのある……相手は……]
ブラックウォーグレイモンの呟きに答える者は居ない……。
しばらく歩くと目の前には象に似た完全体デジモン、マンモン達が列を作っている。
横に一列に並んだマンモンは皆ブラックウォーグレイモンを威嚇していた。
アルケニモン「どう?これで私達の所に戻ってくる気になった?」
丘の上にはアルケニモンとマミーモンが立っている。
マミーモン「てこずらせやがって。200本ものダークタワーを使ったんだぞ!!?貴重なダークタワーとアルケニモンの髪ぃ!!貴重な髪ぃ!!!!」
どちらかと言うとダークタワーよりアルケニモンの髪の方が貴重だと思っているだろう。
後半の方が気合が入っている。
その言葉に。
Bウォーグレイモン[面白い……相手にとって不足は無い]
アルケニモン、マミーモン「「へ?」」
怯むどころかブラックウォーグレイモンは笑みを浮かべていた。
その瞳の浮かべる笑みに二人は呆気に取られていた。
戦いは一方的だった。
ブラックウォーグレイモンが動けば相手の姿は弾ける。
ただその繰り返し。
相手の数が多くとも、全く意味は無かった。
マミーモン「んなあ!!?アルケニモンの髪をあんなに使ったのにぃ!!!!」
悲鳴を上げるマミーモン。
アルケニモンは唇を噛み締めて怒りを抑えようとした。
一瞬で砕けていくダークタワーデジモンにアルケニモンは眩暈を感じる。
アルケニモン「貴重なダークタワーが……」
マミーモン「あわわ!!!!」
倒れそうになるアルケニモンを慌てて支えるマミーモン。
心配しているのだが、自分の腕の中に倒れたアルケニモンに嬉しそうにしている。
Bウォーグレイモン[(倒しても……倒しても……虚しい……けして弱い相手では無い……それなのに!!)]
突進してくるマンモン。
しかしブラックウォーグレイモンがドラモンキラーで引き裂けば一瞬で弾けてしまう。
相手はただ突進を繰り返すだけ。
攻撃は単純で一本調子。
少し戦えば攻撃は簡単に避ける事が出来る。
戦っているうちに弱いものいじめをしている感覚に陥っていく。
Bウォーグレイモン[この……この虚しさは何だ!!!!]
叫ぶブラックウォーグレイモン。
目の前のマンモンを切り裂き、心が問う問題の答えを探した。
探す答えが自分の中にあるのか……それすらも問いとなっていた。
アルケニモン「虚しい……?」
マミーモンの腕の中でアルケニモンは笑みを浮かべた。
まるで馬鹿にするかのような口調で。
アルケニモン「あはははは!!そんなの錯覚だよ、お前もそいつらと同じ!!私がダークタワーから作ったんだ。命の無い操り人形さ」
ゆっくりとマミーモンの腕の中から出、腕を組み。
アルケニモン「人形は何も考えない、何も感じない」
ブラックウォーグレイモンを見下しながらアルケニモンは笑っていた
それはやっている者にとっては気持ちの良い行為だが、されている者には苛立つ行為。
アルケニモン「あんたが“虚しい”と錯覚するのは多分、作った時に百本のダークタワーの中にプログラムのカスがあったって所だろうよ」
Bウォーグレイモン[プログラムの……カス……]
それがこの感情の正体だというのか?
Bウォーグレイモン[俺がただのダークタワーデジモンなら……どんなに楽か………しかし…]
何も感じる事も無く、ただ命じられるままに動くだけの人形。
それならば悩む事も……悲しむ事も無い。
Bウォーグレイモン[そうでないから……苦しいんだ!!]
ブラックウォーグレイモンのまわりにはもう敵は居ない。
アルケニモン達以外は全て倒してしまったから。
一方的な戦い。心には虚しさだけが残っていた。
Bウォーグレイモン[この思いも……苦しみも……錯覚だと言うのか!!!!]
叫ぶブラックウォーグレイモン。
アルケニモンはその言葉に呆れていた。
マミーモンは一歩前に出て、笑う。
マミーモン「苦しさを無くす方法ならあるぜ?」
Bウォーグレイモン[何!!?]
マミーモン「自分を捨てて 俺達の言う事を 聞く事さ」
それは感情を無にし、人形になれと言っていた。
マミーモンの言葉はブラックウォーグレイモンの望んだ答えでは無かった。
だが、自分がどんな答えを望んでいるのかも分からないのだが。
……それは違うと“心”が言っていた。
Bウォーグレイモン[俺は…]
パイルドラモン[それはお前達が決めることじゃない。ブラックウォーグレイモンが決めることだ。]
マミーモン[げっ!!?]
僅かに後ずさるマミーモン。
そこにはパイルドラモンとフェイト達の姿があった。
パイルドラモン[ブラックウォーグレイモン、リベンジに来たぜ。今度は負けないように特訓した。]
Bウォーグレイモン[…成る程、相当腕を上げたようだな…]
パイルドラモン[…そういうことだ]
アルケニモン「全くしつこい奴らね!!ブラックウォーグレイモン、やっつけておしまい!!」
パイルドラモン、Bウォーグレイモン[[黙れ!!]]
手加減したエネルギー弾とエネルギー波がアルケニモンとマミーモンに炸裂し、二体を星にした。
はやて「たーまやー」
フェイト「何か違うよそれ」
ギルモン[というか、すげえ息が合ってっぞ…]
バトルマニア同士気が合うのだろうか…。
ほぼ同じタイミングで必殺技が放たれた。
パイルドラモン[身体の傷は癒えているようだな…]
Bウォーグレイモン[当然だ]
パイルドラモン[安心したぞ。お前とはフルの状態で戦いたかったしな]
Bウォーグレイモン[……]
互いに戦いの呼吸を取ると同時に全身のバネを最大限に利用して同時に突っ込んだ。
パイルドラモンは片方が優れた純粋の古代種の戦闘種族ともう片方が古代の因子を持った現代種が融合したデジモン。
片やブラックウォーグレイモンは100本のダークタワーから造られ、次元すら歪めるダークタワーデジモン。
互いにちょっとした切り替えで、身体の全ての機能が戦闘に最適な状態に調整される。
互いの拳と蹴りがぶつかり合う。
ブラックウォーグレイモンはマンモンとの戦いで感じた虚しさを感じず、寧ろ気分が昂揚していくのを感じた。
やはり、こいつでなければ駄目だ。
パイルドラモン[はああっ!!]
Bウォーグレイモン[ぬううぅんっ!!]
互いの拳がぶつかり合う。
パイルドラモン[流石にやるな!!]
Bウォーグレイモン[貴様もだ。やはり戦いは互いにレベルが近くなくては面白くない]
パイルドラモン[ああ、俺もそう思う]
二体の会話を聞いていると、フェイトとはやてはバトルマニアめ…と内心で呟きたくなった。
互いの拳と蹴りをぶつけ合うという繰り返し。
しかし互いの実力が高レベルで極めて近いもの同士の激突は衝撃波だけでも凄まじい。
パイルドラモン[デスペラードブラスター!!]
Bウォーグレイモン[ガイアフォース!!]
二体の必殺技が激突する。
その時である。
ブラックウォーグレイモンの暗黒エネルギーか、もしくは二体の必殺技の余波が原因なのかは分からないが、空間の歪みが生じた。
全員【っ!!?】
戦いに気を取られていたパイルドラモンとブラックウォーグレイモンが歪みに吸い込まれた。
そしてフェイト達も。
全員【うわあああああ!!?】
異空間でそれぞれ別の場所に飛ばされる。
?「む…?」
白衣を身に纏う男が異変を感じて上を向いた。
施設内の天井に時空の歪みが開いた。
その中から大輔とブイモンが床に落ちる。
?「ほう…」
男は一瞬、目を見開いたが、すぐに冷静さを取り戻した。
男は直ぐさま自身の秘書を呼ぶ。
?「どうかしましたかドクター?」
?「ふっ…面白い客人さ、ウーノ、彼を客室に連れて丁重に持て成してやってくれ。」
ドクターと言われた男は不適な笑みを浮かべると女性に指示を出す。
ウーノ「分かりました」
ウーノと呼ばれた女性は大輔とブイモンを抱え上げ、客室に連れていった。
男はそれを見届けると天井に開いた時空の歪みを消えるまで見つめていた。
そして賢、フェイト、はやてはとある遊園地エリアに飛ばされていた。
それは…かつて自分達がいたOLDデジタルワールドであった。
そしてブラックウォーグレイモンは…。
スバル「アグモーン!!ご飯だよ!!」
アグモンX[本当!!?いただきまーす!!]
仲良く食事を摂るスバルとアグモンXを横目で見遣りながらギンガは寂しそうに家を出た。
家を出たギンガは寂しそうに空から降ってきたD-3を手に取る。
ギンガ「いいなあ…私もデジモンが欲しい…」
その呟きに反応するかのように轟音が響き、ギンガは思わず立ち上がるのと同時に轟音の発生源に向かう。
野原に辿り着いたギンガは気を失っているブラックウォーグレイモンを見つける。
ギンガがブラックウォーグレイモンに近づいた瞬間。
ギンガ「え?」
D-3から光が放たれ、ブラックウォーグレイモンの身体が光に包まれたかと思うと次の瞬間、黒いアグモンになっていた。
ギンガ「…黒い…アグモン?」
思わず黒いアグモンにペタペタと触れるが、怪我をしていることに気づき、母親を呼びに行くのであった。
おまけ~大輔×アインスの続き~
リインフォース「ただいま」
リイン「ねーさま~。お帰りなさいです!!」
リインフォース「ふふ…リイン、いい子にしていた?」
リイン「はいです!!ねーさま、綺麗になったですね?」
リインフォース「そ、そうかな…」
リイン「きっと大輔さんのおかげですね!!」
リインフォース「ぶっ!!?」
大輔「おいおい…ほら、リイン。お土産。」
リイン「あ、これ食べたかったお饅頭です!!」
大輔「ああ」
満面の笑みを浮かべて言うリインに大輔も笑みを浮かべた。
リイン「今日はかーさまがご馳走だって言ってたです!!」
リインフォース「何故?」
リイン「えっとですね…お二人がようやくくっついた~って言ってたです。そのお祝いです」
リインフォース「!!?!?!!!?!!?」
大輔「…何で知ってんだ?」
赤面するリインフォースと大輔。
しかし大輔は嫌な予感を感じていた。
リイン「かーさまととーさまがイヤホン着けてようやく大輔さんとねーさまがくっついたと悶えてたです」
大輔「ほーう…はやてと賢の奴…盗聴か…」
リインフォース「き、き…聞かれていた…」
赤面して気絶したリインフォースをリインに任せて賢とはやての元に向かう大輔。
大輔「人の会話その他諸々を盗み聞きするとは随分いい趣味してんなお前ら」
賢「え、ええ!!?な、何のことかな?」
はやて「せ、せや!!身に覚えがあらへん!!」
大輔「嘘つけえ!!バレバレなんだよ、表情で!!」
賢「くっ、かくなる上は!!」
ボンッ!!
大輔「なっ!?煙幕だと!!?」
賢が壁にあるボタンを押すと隠し通路が出る。
賢とはやてはそれに入った。
大輔も追い掛けるが、隠し通路には罠が盛り沢山。
賢とはやてはスコープを使ったりして奥へ進む。
大輔「お前らはどっかのスパイか!!?」
大輔の尤もなツッコミが響き渡る。
その後、賢とはやてが逃げ切れたかそうでないかは天より他に知る者なく。
後書き
再び次元漂流。
本当の戦いが始まる
さて、賢とはやてはどうなるでしょうねえ…
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