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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第15話 魑魅魍魎の主、鬼と語る

 
前書き
大変お待たせしました。なかなか話を進めることができず2週間近くもかかってしましました。

今回は奴良組のメンバーを少し出します。それではどうぞ! 

 
カナが刃衛の刃で斬られたため入院。その後上条たちが見舞いに来て話が盛り上がった所で突然の来客。その来客とはカナの幼馴染で名は…


「リクオ君!?」

「よう、カナちゃん。元気そうで安心したぜ」

奴良(ぬら)リクオ…関東大妖怪任侠一家“奴良組(ぬらぐみ)”三代目総大将を受け継いだ青年。その青年が何故ここにいるのか理解できなかった土方は刀こそ抜かないが上条や美琴たちを庇う様に前に出て青年…リクオに尋ねた


「おい小僧、一体どうやってこの学園都市に入ったんだ?ここのセキュリティは半端ないはずだぞ?」

土方のドスのきいた視線もリクオには効かないのか余裕を持った笑みを浮かべるだけ。そして彼は土方にこう言った

「へぇ、流石は元・新選組、鬼の副長…“土方歳三”さんと言えばいいのかな?」

「な!?」

出会って早々、カエル顔の医者と病室にいるメンバー以外には知られていないはずの情報が何故リクオにバレタのか全くわからない土方たちだった。その表情(かお)から察したのかリクオは不敵な笑みを浮かべながら

「答えは簡単だ。奴良組(うち)には独自の情報網があってね…そいつを辿って来ただけさ」

『………』

青年…リクオの発言に始めは疑念を感じていたが彼の自信に満ちた表情からは嘘をついているようには見えなかった。

「あの~…」

「ん?」
そしてここである意味場の空気を読めない男が一人…


「つかぬ事をお聞きしたいのですが宜しいでしょうか…」

「なんだい?上条さん…」

「えっ!?何で俺の名前をし…「今言っただろ?奴良組には独自の情報網があるって…」
…ソーデスカ」


上条の疑問の答えを即答され、もはや深く考えることやめた上条はリクオにある質問をぶつけた

「それで、質問はなんだい?」

「あ、あぁ…それで結局、ぬらぐみって…なに?」

「「「…………(ポカーン)」」」

上条の質問に病室にいた土方、千鶴、カナの3人は呆気に取られた

「え…何?」   「カナ?」

「土方先生?」  「雪村先輩もどうしたんですか?」  

上条たち4人の言葉にやっと反応したのか土方と千鶴がリクオとカナ以上に信じられないような表情で上条たちを見ていた

「お前ら…っ奴良組を知らないのか!?」

「当麻君!それ本気で言ってるの!?」

「え?そんなに驚くことなの?つか、何その“こいつそこまでバカだったの!?”みたいな目線は!?」

「そう思われるのも当たり前だろ!あの“奴良組”だぞ!?なんで若いお前らがそれを知らないんだよ!?」


上条と土方のやりとりを横目に佐天は千鶴に奴良組についての質問をする。

「千鶴さん…その“ぬらぐみ”ってそんなに有名なんですか?」

すると彼女は信じられない顔で即答した

「有名も何も、奴良組は江戸時代に入る前から江戸…東京を中心に関東一円を支配した任侠一家だよ!本当に知らないの!?」

「そんなに!?」 「そうなんですか!?」


「うん、私がまだ江戸にいた頃に何度か奴良組の方にお世話になった事があるよ」

千鶴の言葉に反応したのはリクオだった

「へぇ…アンタ、奴良組と縁がある人かい。それじゃぁ…」

リクオが千鶴に何か聞こうとしたとき廊下から別の声が響いた

「リクオ様ああああああああああぁぁぁっ!!!何処におられるのですかああああああぁぁっ!!!」

そんな声が響いたと思えば病室の扉を乱暴に開いたせいか、バタンと大きな音が響き其処に居たのは学園都市では見かけない制服を着た長い黒髪、首元にマフラーを巻き、水色の瞳の少女と今時見かけない特攻服を着た大男。その隣にはぬいぐるみの様な小さな人型のカラスが浮かんでいた

「おう、青にカラス。それに氷麗(つらら)…やっと来たか」

「やっと来たか…じゃありませんよ!!いくらリクオ様が“ぬらりひょん”だからってお一人で突っ走らないでください!!着いて行く私たちの身になってくださいよ!!」

そう声を荒げる少女…雪女は涙目でリクオに詰め寄った。そんな状況に上条は再び声をかける

「あ~…お話中のところ悪いんだけど、結局アンタ等は一体…?」

「ああ、そういや挨拶がまだだったな。氷麗、青、カラス挨拶してくれ」

「は、ハイ。私はリクオ様にお仕えする“雪女”の及川(おいかわ)氷麗(つらら)です。そしてこっちは…」

「奴良組の特攻隊長…“青田坊”だ。この姿の時は“倉田”って名乗ってるがな…」

「ワシは初代からお仕えする鴉天狗じゃ」

土方たちに自己紹介した3人のうちの1人の大男…青田坊は腕を組みながら名乗り終えると土方と千鶴は目を大きく見開き、青田坊を凝視する。

「青って…お前っ!本当に()()青田坊なのか!?」

「青さん!?」


土方と千鶴が驚きを隠せない声を上げると青田坊は土方と千鶴に懐かしい視線を送った

「久しぶりじゃねぇか…土方に雪村。最後に会ったのは雪村は江戸、土方たち新選組とは池田屋依頼だから…ざっと150年ぶりだな」

青田坊の言葉にリクオを除いて、病室に居る一同全員が驚いた表情を隠せなかった。だが一番驚いたのは千鶴だった。千鶴は土方が奴良組と面識があるという事実に驚きを隠せなかった

「土方さん!土方さんは奴良組と会った事があったんですか!?」

「ああ、だが俺と面識があるのは青田坊や黒田坊。それと二代目の奴良(ぬら)鯉伴(りはん)だ。他にも居るがあいつ…鯉伴とは俺が薬売りしていた頃からのケンカ仲間だったからな…」

昔を思い出しているのか土方はどこか哀愁の顔をしていたがすぐに表情を引き締め、リクオに質問した。

「それで、結局お前はどうやってこの学園都市にはいったんだ?」

対するリクオはフと不敵な笑みを浮かべながら答えた

「なに簡単さ…()()()()()からだよ…俺はぬらりひょん”だからな」

「なに!?」 「え!?」 「うそ!?」

リクオの発言に信じられない顔をする学園都市に住む一同にリクオが説明する

「昔じじいに聞いたことがあった。“ぬらりひょん”ってのは何の妖怪かって…」

「あのじじいはいつもカッコつけてこう言った。『ぬらりひょんとは“鏡にうつる花、水にうかぶ月”』……すなわち“鏡花水月”!夢幻を体現する(あやかし)ってな…もっとも、俺がこの学園都市に入った方法は“明鏡止水”だがな」

リクオの説明に美琴たちは いまいち理解できず首をひねり、上条は全く理解できないせいか頭から煙が出ていたが土方と千鶴は何となく理解できたらしい

「つまり、ぬらりひょんの能力ってのは“相手の認識をズラしす”って事か?」

「ああ、ちなみに“明鏡止水”ってのは“畏れで相手を威圧し、相手に認識されなくなる”技だ」


ぬらりひょんの技を説明したリクオだったが、先ほどの土方の説明に気になる言葉があった事を思い出し、土方に質問した

「それより土方さん。アンタ俺の親父を知ってるみたいだが…」

「ああ。奴とは俺がまだ多摩の薬売りをしてた頃、ある道場にケンカ売った時に偶然出会ったんだ」



そう、まだ試衛館で近藤と出会う前、江戸の多摩の町で薬売りをしていた土方は薬を売りながら道場破りをしていたのだ。そんなある日、土方は“ぬらりひょんの子”であり、後のリクオの父となる奴良組二代目総大将と出会うのだった。



「17~8歳の位だったか?あの頃の俺は修行がてら いろんな剣術道場にケンカ売っては石田散薬を売りとばして江戸中の道場を荒らし回ってたからな…」

「「「「「…………………」」」」」

しみじみと語る土方の昔話に大将のリクオや土方と面識がある青田坊を除く面々は彼の少年時代に『よく無事に済んだな』と口に出さずとも顔に出ていたが土方はそこに突っ込まなかった

「まぁ、あの頃の俺は世間知らずの恐いもの知らずでな。1人で10人以上の道場の奴らとケンカに明け暮れていたからな」

ハッハッハと軽々しく笑う土方だが上条から見れば『どんな青春だよ』と突っ込みたかったが言うと後が恐いのであえて黙ることにした

「ところが俺もヤキが回ってな。俺に負かされた事がよほど応えたのか、その道場の師範代が50人近くの門下生を引き連れて木刀を持ちながら俺を襲って来たんだよ」

「そうなんですか!?」

「ああ、最初の10人は蹴散らしたが、やっぱり多勢に無勢でな。流石の俺も一巻の終わりだと思ったところで鯉伴の奴に助太刀されてな。いつの間にか互いの背中を預ける形になって残り40人の門下生共を蹴散らしたんだが……」

さっきまで自慢げに話していた土方だったが何か言いずらいのか言葉を濁し、頬をかき始めた。そんな態度に千鶴やリクオ。上条たちは首をかしげ、逆に青田坊や鴉天狗がため息を漏らした。そんな土方の態度の理由を青田坊が話した

「夜になっても中々屋敷に帰ってこない二代目を探しに俺と黒が探しに行ったら町中で騒ぎがあったんだよ。耳を澄まして聞いてみたら『江戸の鯉さんとバラガキの土方がケンカしてる』って話が江戸中で盛り上がっててな。急いでその場所に行ってみたら、二代目と土方のヤローが殴り合いをしてたんだよ」

「「「「「ええええっ!?」」」」」

「アン時は俺も黒も驚いてな。直ぐに二代目と土方を抑えようとしたが、二代目から『余計な手出しするな』って言われてな。しばらくその様子をみてな…2人とも殴り合ったせいでボロボロだが、なんか清々しい顔をしてな。ケンカが終わったら終わったであの時の2人は見てるコッチが笑っちまう位仲良くなってな」

昔が懐かしいのか青田坊から哀愁の雰囲気が漂っていた。それは土方も同じく鯉伴との出会いが懐かしいのか

「その後土方と二代目はそのまま一緒に酒屋で朝まで呑みまくってたな。一緒にいた俺や黒も同席してな。二代目はともかく、土方は酒が弱え―のなんの」

「おい青!それは言わなくていいだろ!」

青田坊の証言で土方が酒に弱いという意外な弱点に上条たち学園都市の面々は笑いあった。そこで土方はケンカ仲間であり、酒飲み仲間である鯉伴ともう一度会うためにリクオに尋ねた

「所で、リクオって言ったな。お前が三代目ってことは鯉伴の奴は隠居したのか?俺も久しぶりにアイツと酒を酌み交わしたいんだが」

土方の質問に奴良組の面々の表情は少し暗くなった。それに察した土方は

「おい、まさか鯉伴の奴…」

「亡くなりました。10年前に…」

「な!?」

土方にとっては信じられない言葉だった。奴良鯉伴はケンカにも剣術もかなりの腕前を持つ男だった。決してそこらの不逞浪士やゴロツキに後れは取らない腕を持つ男。なのに何故……?

「鯉伴の奴が死んだって、病か!?事故か!?」

土方の質問に答えたのはリクオだった

「殺されたんだよ。10年前、俺の目の前で親父はある女に殺された」

「何!?」

「まぁ、親父の仇とその黒幕との決着はついたから今は何とか振り切ってるんだけどな」

リクオは何でもない様に言うがカナにはそれが強がりの様にしか見えなかった。だからカナはまだ痛む体にムチ打って何とか体を動かした

「リクオ君…ちょっと2人っきりになりたいから一緒に来て?」

「カナちゃん?」

「ななななっ!何を言うんですか家長カナ!りりリクオ様と2人っきりなんてなぁんてうらやま…じゃなかった、不謹慎ですよ!?あと、貴女はまだ安静にしなきゃいけないんですから!」

「今羨ましいって言ったよな?絶対前者が本音で後者が後付けだよな?」

氷麗の発言に突っ込む上条だが当の本人は耳に入っていないのか氷麗はリクオに詰め寄った

「リクオ様!家長さんの相手は私がしますのでリクオ様は…」

何かを伝えようとするがリクオはあえてそれを無視し、カナに寄り添いそして…

「氷麗、少しの間カナちゃんと2人っきりになりてぇからお前らは病室(ここ)にいろ」

そう言うとリクオはカナを抱き上げ、窓を開けると上空で待機していたリクオの下部妖怪“ヘビニョロ”の頭の上に乗ると空高く飛び、何処かへと飛び去ってしまった。その為…

「リクオ様あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

氷麗の絶叫が病院内に響いたのは言うまでもない…



















おまけ・・・









「おいおい雪女さん、あの2人も久しぶりに会ったんだろ?だったらそこに水を差すマネなんかしなくても…」


この時何故か上条は右手ではなく()()を伸ばしてしまった。そのため


(ごろ)じでや゛る゛~~!」

「ぎゃ~!ふこぉ…っ!」

氷麗の“畏れ”が猛吹雪に変わり、異能の力が宿っていない左手を伸ばした上条は一瞬で氷漬けになったしまった。上条も定番の『不幸だ~』というセリフも言い切る前に凍り付かされた

「リクオ様のバカ!死ねばいいのに!うわ~ん!!」

そして上条を凍らせた氷麗は病室から飛び出し、何処かへ走っていった



「当麻君!?」  「と、じゃなくてアンタ!」 「上条さん!?」

「白井さん!すぐにお湯を沸かすの手伝ってください!」

「え~?めんどくさいですわ。この類人猿はこのまま氷像になればいいのでは?」

「いいから手前等全員とっとと湯を用意しろ!上条が死ぬぞ!!!」


千鶴と美琴、佐天は一瞬で凍り付いた上条に驚愕し、初春は直ぐに湯を沸かそうとするが白井は乗り気せず、土方は檄を飛ばして全員で上条を救助するがもはやカオスだった



 
 

 
後書き
やっと出来ました。次はリクオとカナと2人っきりの散歩をメインにいきます。

次は何時になるかサッパリ未定です。 
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