アカメが斬る! 抜刀必殺の帝具使い
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第二話
「・・・なるほど、これがナイトレイドか」
エアマンタに乗ってナイトレイドのアジトまで来てみるとそこでは戦闘が行われていたのだが・・・中々に圧倒的であった。
さすがは、全員が帝具使いなだけのことはある。
「とはいえ・・・ほら、何かヤバそうだよ?」
『四名ほど、立てないようですね。鎧型の帝具を使っている者は問題ないようですが』
「ふぅん・・・毒とかその類かな?それなら周りのやつらが何ともないことにも説明がつく」
とはいえ、このまま傍観しているわけにもいかない。
「どうするんだ、ナジェンダ?俺が行くか?」
「そうだな・・・いや、カズキはひとまず残ってくれ。行けるな、スサノオ?」
「ああ」
スサノオはそう短く返事をすると、エアマンタから飛び降りて・・・その勢いで一人押しつぶした。
「今私やチェルシー、カズキが降りるとヤバそうだ。まずはここから指示を出す」
「了ー解」
「・・・・・・」
チェルシーは敬礼しながらそう返事をしたが、俺はなんとなく釈然としない気持ちで周りを見回す。毒を使ってるんだよな・・・
「さあっ、敵を駆逐しろ!!スサノオ!!」
「分かった」
ナジェンダからの指示に対して再び感情を感じさせない声で返事をしたスサノオは、武器から回転する刃を出して一気に敵を殺していく。
うわぁ、圧倒的ぃ・・・
しかし、相手もそれを見て行動をとった。倒れていた敵たちが一斉に爆発したのだ。・・・まぁ、スサノオは生物型の帝具だからあれくらいなんともないだろうけど。
「にしても、タイミングを見て爆発させられるってことは・・・どこかから見てるのか・・・?」
毒、ってことは万が一にも自分に被害がないように風上に行くはずだから・・・
「・・・見つけた。あってるか、スレイブ?」
『おそらく。少なくとも、ここを見られている時点でそのまま帰すわけにはいきません』
「だよな・・・ナジェンダ」
俺はナジェンダを呼びながら俺の帝具、ダインスレイブを抜く。
「どうした?」
「怪しいやつらを見つけた。ちょっと行ってくる」
「は・・・?って、おい!!」
俺の帝具の代償を知っているナジェンダは俺を止めるが、もう遅い。
この帝具を抜いてしまった以上・・・もう、だれにも止められない。
「スレイブ、奥の手。同化!」
『イエス、マイマスター』
返事をしながらスレイブはその切っ先を俺に向けて進み・・・俺の中に入る。その力が体中に回ったことを感じると同時に俺は飛びだし・・・そんな俺の姿を認識したのか逃げ出そうとしていた四人組の前に着地する。
「その見た目、少なくともただの人間ではないな。今回のこともお前たちがやったのか?」
俺の問いに対して返事はない。しかし・・・
「ご安心くださいスタイリッシュ様!」
「我らは将棋で言えば金や銀!必ずお守りします!」
目がでかい男と鼻がでかい男の一言で、まあ間違いないだろうと確信する。
そうでなくとも、スタイリッシュと言うのは帝具パーフェクターの使い手だろうから、殺すんだけど。こいつは奴隷商人たちにも薬を回していて、それのせいで苦しんでいる人たちがいる。
つまり、こいつは俺の知り合いの仇とも言えるからな・・・ここで殺す。
「こうなったらもう・・・腹をくくってえ!」
と、そんなことを考えていたらスタイリッシュは液体の入っている注射器を取り出していた。・・・下手に動くのは危険、かもしれないな。
「切り札その2危険種イッパツ!!これしかないようね!!」
そして、スタイリッシュは自分自身にそれを注射し・・・一気に膨れ上がった。
えっ・・・
「きたきたきたあああ!これぞ究極のスタイリッシュ!!」
え、えー・・・
「私自らが危険種となることでえぇぇぇ!!お前達全員を吹き飛ばす!!」
「おお、美しい・・・!」
「さすがはスタイリッシュ様・・・!」
いやいやいや、あれはない。普通にキモい。肉だるまじゃん、あれ。
とかそんなことを考えていたらスタイリッシュが目男と鼻男を掴みあげ・・・
「貴方達は私の貴重な栄養よ!一つになりましょおおおお!」
胸の部分に現れた口で、二人を食った。それに伴ってその体は大きくなり、良く分からない装備も追加される。
「女なんて本当は食べたくないんだけど・・・仕方ないわね!」
と、そこでスタイリッシュは残りの一人・・・耳のでかいやつに対しても手を伸ばしたので・・・とりあえず、その腕を斬り落とす。
「えっ・・・」
「あー、そこの耳女。逃げようとか考えるなよ」
後ろで驚いたような声をあげているが、無視してスタイリッシュの方を視る。
腕を斬り落とされた際には悲鳴を上げたが、今はどうにか流れる血を止めようとしている。『自らが危険種となる』とか言ってたし、血を止める手段か傷口をふさぐ効果があったのかもしれないが・・・
「血が止まらないですって!?」
「悪いな、俺の帝具で斬られた傷は俺の帝具が無事である限り治らない」
大きな代償の代わりにものすごい力を持つのが俺の帝具だ。これくらいの効果はもうデフォルトで存在している。
「さて、二人食った程度ならちょっとでかいくらいで収まるし、斬れないほどでもないみたいだな・・・このまま、ここで死ね」
俺は左右の手で手刀を形作って構え、スタイリッシュを真正面から睨みつける。そして・・・
「死ぬのは貴方よ、帝具使い!」
片腕だけでありながらこちらに向かってきたところに突き出し、その腕を割く。
スタイリッシュは腕を引きもどそうとしたが逆に俺が走り、腕の根元まで来たところで振り降ろし、切断。
「この・・・まだまだよっ!」
「いや、もう終わりだ」
どこからか生えてこちらに向かってきた注射器の様な触手を全て切り落として、足刀を蹴りあげてその体に股から頭まで一筋の線を走らせる。
「なっ・・・」
「お前のせいで、俺の仲間がたくさん死んだ」
傷は浅かったようで後ろに飛んでよけられたが、俺はそれを追撃する。
「・・・・・・ま・・・」
もう避けられないという事を悟ったのか、スタイリッシュは何かを呟く。
「・・・まだ色んな人体実験・・・したかったのに・・・」
そして、今の発言を聞いた俺は容赦なくその胴体を二つに切り分ける。
「な・・・何故、アタシがこんなっ・・・・・・不幸な、目に・・・」
そして、その胴体が地面に落ちるのと同時に、スタイリッシュは何も言わなくなった。
おそらく、もう死んだのだろう。まず間違いなく聞こえていないのは分かっているが・・・
「・・・奴隷なんていう人生を押し付けられた子たちがいた。それだけでも辛いのに、お前が作った薬のせいで皆はそれ以上の苦しみを味わったんだ」
スレイブの同化を解き、それを納刀しながらその死体に背を向ける。
「お前が不幸を味わうには、十分な理由だろう」
チン、と音を立ててダインスレイブが鞘に収まったのを確認して・・・スタイリッシュが確実に死んだことを確認してから、さっきの耳女のところまで歩く。恐怖で腰が抜けているのか、そこから全く動いていなかった。
「さて、お前をどうするか何だが・・・どうする?」
「どうする、と言うと・・・?」
「いや・・・自分が喰われそうになっていたわけなんだが、それでもまだ帝国につくか?」
見た目からしてこいつは間違いなくスタイリッシュの強化兵だろう。それも、聴覚強化の。だとしたら索敵に使える。
「・・・いや、そっちに・・・貴方に従わせてもらいます。元々、あの人は女に興味がなかった関係で待遇が悪かったし、渋々でしたし」
「そう。なら、一緒に来い」
何でもない場面なら裏切りを警戒する必要があるが、今回はそうではない。明らかに自分が害をこうむりそうに・・・それも、喰われそうになったんだ。
そういう場面で誘われたやつと言うのは、乗ってきたならまず裏切ることはない。完全に警戒を解くのはまだ無理だろうが、ある程度は信用できる。
そんなことを考えながら上を見上げ、自分が何を見たのか理解できないとでもいうようなナジェンダの表情に満足しつつ、手を振ってくるチェルシーに手を振り返した。
にしても・・・帝国で殺したかったやつの第一位がもう殺せちゃったんだけど。
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