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ドリトル先生と学園の動物達

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第六幕その十

「この国は本当に不思議な国だよ」
「うん、確かにね」
「物凄く変わった国だよね」
 動物達も言うのでした、日本について。
「文化だけじゃなくてね」
「何もかもが変わってるね」
「気候もその場所で全然違うし」
「神戸と京都、松山でもそれぞれ」
「かなり違うし」
 それにというのです。
「日本人の考え方もね」
「イギリスとも他の国とも全然違ってて」
「まるで別世界だよ」
「ここだけ違う世界にあるみたいな感じだよ」
「まるでお伽話の国みたいな」
 日本をです、先生はこうも表現するのでした。
「何もかもが不思議な」
「アリスの世界みたいな」
 トミーはこう表現しました。
「あの世界とはまた違いますけれど」
「ああして寓話めいていて次々に不思議なものが出て来る」
「そんな感じもします」
「そうかもね、昔と今が一緒にあってね」
「めまぐるしく変わりますけれど」
「変わらないものもちゃんとあってね」
 そして、というのです。先生も。
「そうした中でね」
「日本に入って来た色々なものもあって」
「日本じゃないようでいてそれでいて日本であるというものごともね」
「凄く多いですから」
「確かに日本はアリスみたいな国だね」
「不思議の国か鏡の国みたいです」
 アリスが行った二つの国です。
「ルイス=キャロルの」
「そうだね、この国は本当にね」
「この世にないみたいな国ですよね」
「それだけにね」
 先生はその日本のお弁当、幕の内弁当を食べながら言うのでした。
「学びがいもあるよ」
「先生は医学だけじゃないですからね」
「色々な学問が好きなんだ、僕は」
 理系に限らず文系もなのです、先生が好きな学問の分野は。
「それでね」
「日本も色々と勉強されてるんですね」
「勉強というか学ぶかな」
「そちらですか」
「うん、僕がしていることはね」
 学問、学んでいるというのです。
「学者だしね」
「その勉強と学問の違いがわからないんだけれど」 
 ガブガブがお顔を上げて先生に言って来ました。
「どうもね」
「うん、何かね」
「一緒じゃないかとも思うわよね」
 ジップとダブダブも言います。
「どっちも机に向かって本を読んで」
「ものを書くから」
「一緒じゃないかな」
「そう思うけれど、私も」
「いやいや、それがまた違うんだ」
 先生は動物達に優しい笑顔でお話するのでした。
「これがね」
「ううん、どう違うの?」
「やることは一緒じゃないの?」
「言葉で言うと難しいけれど学問は好きな分野を深く知っていって楽しむことなんだ」
「じゃあ勉強は?」
「どういうものなの?」
「教えてもらうことをね」
 好きなものではなく、というのです。 
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