ドリトル先生と学園の動物達
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第六幕その八
「それもあるよ」
「ツナサンドも美味しいね」
「だからね」
それで、というのです。
「シェフに頼んで作ってもらったんだ」
「今日のお弁当に」
「美味しいよ、ツナサンド」
王子は野菜ジュースと一緒にツナサンドを食べつつ先生に言います。
「だから先生もどうかな」
「ああ、僕はいいよ」
先生は王子が差し出した一切れのサンドイッチを見つつ左手で断りのポーズを入れながらそのうえで答えました。
「幕の内があるからね」
「それでなんだ」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
笑顔での言葉です。
「それをね」
「わかったよ、それじゃあね」
「うん、それにしてもツナサンドも」
「ツナサンドも?」
「日本の料理だね」
それになるというのです。
「日本で生まれたね」
「あれっ、サンドイッチなのに?」
先生の今の言葉を受けてです、王子は先生に目を瞬かせてそのうえで問い返しました。
「日本のお料理なんだ」
「そこは洋食と同じじゃないかな」
「日本のハンバーグやスパゲティと同じで」
「うん、だからね」
それで、というのです。
「確かにサンドイッチはイギリスで生まれたお料理だけれど」
「ツナサンドは日本で生まれたから」
「そう、日本のお料理だよ」
「そう思っていいんだ」
「カルロス=クライバーという指揮者がいたけれど」
先生はあまりクラシックには詳しくないといいますか今一つ音楽に疎いところがあります、ですがこのクラシックの指揮者のことは有名なので知っているのです。
「この人は日本に来日した時にね」
「ツナサンドを食べていたんだ」
「和食が大好きと言ってね」
「和食と思っていたんだ、ツナサンドを」
「そうみたいだね」
「日本で生まれたサンドイッチだから」
「そう、だからね」
それで、というのです。
「僕もそうじゃないかなって思うんだ」
「ツナサンドは日本料理なんだ」
王子はそのことが意外といったお顔です、そのお顔で首を傾げながらです。そのうえで先生に言うのです。
「サンドイッチだからイギリス料理と思っていたんだけれどね」
「イギリスにはツナサンドはないよね」
「うん、お魚自体ね」
「あまり食べないからね」
「鱈とか鮭位だね」
「僕も日本に来て色々なお魚を食べる様になったんだよ」
ないものは食べられない、そういうことです。
「イギリスでは烏賊も蛸も食べないし」
「どっちも凄く美味しいけれどね」
「僕は特にたこ焼きが好きかな」
先生は日本に来てからこのお料理も食べて魅了されているのです、それこそ大阪の人達がそうである様に。
「あれがね」
「烏賊や蛸もね」
「そういうものも食べないね」
「貝は食べるけれどね、牡蠣とかは」
そうしたものは食べますが。
「日本程は食べないね」
「うん、だからね」
「そのツナサンドも」
「イギリスにはないし」
「日本人が考えたものだから」
「日本の料理だよ」
そうなるのではというのです。
「和食ではないにしてもね」
「それじゃあ洋食かな」
「うん、日本の洋食は日本料理だよ」
そう言っていいものだというのです。
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