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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  0893話

 ほっこりとしたジャガイモに、糸こんにゃくのプツプツとした食感、タマネギの甘さに牛肉の濃厚な旨味が口の中で出汁醤油の味で一体となる。

「……美味い」
「そうですか、喜んで貰えて何よりです」

 思わず呟いたその一言に、目の前に座っていた人物が嬉しそうに笑みを浮かべる。

「ふふっ、さすが栴納様の肉じゃがですね。あのアクセルさんの舌も唸らせるなんて」

 そして俺の隣に座っている恭子もまた、小さく笑みを浮かべている。
 ……そんな風に笑みを浮かべている中で、どこか居心地悪そうにしているのが篁……いや、栴納と呼ばれた人物も篁だと考えると、ちょっと紛らわしいか。篁唯依の方だ。
 そう、篁母子がいるのを見れば分かるように、現在俺がいるのは篁家だったりする。
 父親の方はストライクダガーの解析や、飛鳥計画の方で忙しくていないんだが。
 今日の訓練校で行った講義の後、色々と見学しつつ時間を潰し、訓練校の授業が終わった篁唯依と共にこうして篁家にやって来た訳だ。
 ……本来であれば訓練生は寮から出られないらしいが、その辺は五摂家の崇宰家や、あるいはシャドウミラー代表という立場に色々と考慮したらしい。
 特別扱いされれば、色々と後で面倒が起きそうな気もしたが……
 まぁ、これだけ美味い肉じゃがを食べられたのを思えば、俺に不満は無い。
 何でも篁家では客人を歓迎する時には当主の妻である篁栴納が自ら肉じゃがを作るのが慣わしらしい。
 何だかんだでこの篁家もかなり大きい武家であり、使用人もそれなりに大勢いるんだろうから、普通は専門の料理人辺りに作らせているのかもしれないな。
 にしても……

「今のご時世で、よく牛肉を手に入れられたな」
「ふふっ、大事なお客様が来るのですから少し奮発させてもらいました。それに確かに少し高額ですが、一時期よりは大分安くなってきていますので。これもシャドウミラーのおかげです」

 なるほど、他の世界から輸入されている食材か。
 ネギま世界は基本的には麻帆良印の魔法で作ったレトルトが多いし、雪広財閥や那波重工に関しても賞味期限が切れそうな自治体の非常食を格安で買って、格安で流している。となると、マクロス世界かSEED世界、ギアス世界からの輸出だろうな。
 いや、マクロス世界の場合は色々な意味でオリジナルの動物になっているのを思えば、それ以外か。
 ともあれ、肉じゃがを口に運びながら綺麗に炊かれた白米も口に運ぶ。

「うん、美味い」
「ふふっ、喜んで貰えて何よりです。……恭子様、見ての通り男の方に対しては食から攻めるのが基本です。覚えておいて損はないですよ?」
「……何でそこで私が出てくるんでしょうか? この場合は唯依の方が……」
「え? わ、私ですか!? その、私にはそういうのは早すぎるかと。それに、今は衛士になる事で精一杯ですし」

 あたふたとしながら答える篁唯依。
 見た目通りに生真面目な性格らしい。
 この辺、恭子とは随分違うな。

「アクセルさん、おかわりどうですか?」

 そう尋ねてくる篁栴納。
 肉じゃがの入っている椀が空になっているのに気が付いたのだろう。

「……じゃあ、ちょっとだけ」
「あら、折角のお客さんなんですから、遠慮しないで下さいね」
「いや、俺の場合は味わうという意味ではこれで十分なんだよ。身体の中に入った食べ物は即座に完全に分解されて魔力に変換されているし。正直な話、食おうと思えばいつまででも食べていられるからな。折角の肉じゃがを俺だけで食ってしまうのは勿体ないだろ」
「あら、随分と便利な身体をお持ちですのね。世の女性が聞いたら嫉妬するのは間違いなさそうですけど」
「……確かに」

 ポツリと呟いたのは恭子。
 その目に浮かんでいるのは、やはり嫉妬の色か。

「何でお前がそんな目で見るんだよ。お前の体型ならその辺の心配はいらないだろ? 寧ろお前が羨ましがられると思うんだが」

 この前の間引き時に見た、恭子のパイロットスーツ姿を思い出してそう呟く。
 ボディラインをこれでもかとばかりに強調するそのパイロットスーツ姿は、日本人離れしたと言ってもいい恭子の体型を如実に現していた。
 それこそ、男好きのする身体と言ってもいい程に。

「なっ、ア、ア、ア、ア……アクセルさん!?」

 羞恥で頬を赤く染めながら取り乱す。
 こういう恭子を見るのは珍しいな。
 ふとそんな事を考えながら、箸休めにキュウリの漬け物を口に運ぶ。
 ポリポリとした食感が気持ちいい。

「あらまぁ。あれだけお転婆だった恭子様にも……うふふ」
「ちょっ、栴納様!?」
「恭子様……おめでとうございます」
「唯依も、何でそんなお祝いの言葉なんか!?」

 こうして見ると、この3人はつくづく仲がいいよな。
 篁栴納の方も、とても16歳の子持ちとは思えないし。この世界には色々と若さを保つ秘訣があるのか、あるいは単純にこの世界の住人は年齢を感じさせないのか。

「……何か?」
「いや、何でも」

 篁栴納の問い掛けに、何でも無いと首を横に振る。
 年齢の事を考えていたのを察知したらしい。もしかして念動力者だったりしないだろうな。
 ふとそんな事を思いつつ、その後もゆっくりと篁一家との夕食の時間を楽しむ。
 ……恭子が篁一家の一員のような状態だったのは、色々と面白い発見だったな。





「この時間にお帰りになるのですか? もしよろしければ泊まっていっても……」

 篁家の屋敷の前で、篁栴納からそう告げられる。
 だが、さすがにそういう訳にもいかないだろう。
 俺が篁家の屋敷に泊まったなんて事が知られたら、色々と面倒事に巻き込むのは明らかだったし。
 恭子としては一瞬残念そうな表情を浮かべていたが。

「一応こっちもゆっくりしてばかりもいられないんでな。次の作戦に関しても……ああ、いや。何でもない」

 言葉を途中で濁す。
 今回の件にも影響している事だが、次の作戦に関してはまだ公になっていない。
 別に軍事機密という程に機密度が高い訳じゃないが、一応公表されるまでは知らせない方がいいだろう。
 もっとも、それに関してはあくまでもBETAが相手の戦いだからこその話なんだが。もしこれが他国を相手にしての戦争ともなれば、次にどこを攻めるのかというのは重要な機密情報になるだろう。

「そうですか、では無理を言えませんね。恭子様もお気を付けて」
「恭子様、アクセル様、今日は我が家にお出で頂きありがとうございます。お二人から聞けたお話は、得がたい経験として血肉としていきたいと思います」

 食事の時にも感じたが、娘の方は妙に固い。
 それは恭子も同様なのだろう。小さく笑みを浮かべて篁唯依の額を軽く突く。

「唯依、もう少し気を抜きなさい。過度の自省癖とその固いところは、貴方の長所でもあるけど欠点でもあるんだから」
「恭子様……」

 薄らと頬を赤くしたその様子は、憧れの先輩と会話を出来た後輩といったイメージか。
 ともあれ、その辺の会話が終了してやがて篁家の前に車が到着する。
 夜ともなれば出迎えは必須なのだろう。
 一応俺がいるから危険は無いんだが……もしかして俺が危険だと思われているとか?
 まぁ、日頃の行いを考えればそれは否定出来ないか。
 そんな風に考えていると、恭子が車へと乗り込んで窓を開けてくる。

「アクセルさん、本当にいいんですか?」
「ああ、問題無い。大体俺の家はオーストラリアの基地から移動出来るようになっているんだ。さすがにそこまで送ってくれとは言えないだろ」

 実際にはニーズヘッグのシステムXNを使えばあっさりとホワイトスターにも転移出来るんだがな。

「そうですか。では、私もこの辺で失礼しますね。栴納様、今日は美味しいお料理をありがとうございました。唯依、訓練校では色々と厳しい事もあるでしょうが、頑張りなさい」

 その言葉を最後に、車は走り去る。
 それを見送った俺もまた、篁家の2人に軽く挨拶をしてから京都の夜の中へと消えていく。
 そのまま10分程。武家屋敷の集まっている地域から影のゲートを使って転移、特に特徴も無い公園でベンチに座って時間を潰す。
 ……そろそろ、だな。

「やぁやぁ、お待たせしましたかな?」
「また、随分とタイミングがいいな」

 こちらがそろそろだと思った時に姿を現したその男は、まだ夏にも関わらず以前と同じようなトレンチコートと帽子を身につけていた。

「暑くないのか?」
「いえいえ、実はこう見えて最新素材なので熱が籠もりにくくてですね」

 とてもそうは見えないヨレヨレのトレンチコートなのだが、実際に目の前に立つ人物、鎧衣が汗の1つも掻いていないところを見ると、意外と本当の事なのかもしれないな。

「まぁ、いい。それで例の件はどうなっている?」
「いやいや、先方は意外に強情ですね。どうしても自分達も噛みたいらしく、退く様子は一切ありません」
「……なるほど。まぁ、物が物だ。鉄原ハイヴと違って、確実にG元素があると予想されている以上は手を出さない訳にはいかないんだろう」
「ええ。……ですが、そこにもう1つ。かのアラスカにいる方々からもアプローチを受けておりまして」

 アラスカ? となると、ソ連か?

「なんでそこでソ連が出てくる? アメリカならまだ分かる。このマブラヴ世界で最大の国力を持つ国なんだからな。その自負がある以上、どこで騒ぎを起こしたとしても顔を突っ込んで来るのは当然だろう。だが、奴等は……技術力のみは最盛期のものを維持しているとしても、国土の大半をBETAに奪われた以上、余計なことに首を突っ込む余裕は無いだろう? 例えそれがG元素であったとしてもだ」
「その、G元素がどうやら問題のようですね。かの国では何やら色々とあるらしく」

 ……また厄介な真似を。
 最近はこっちにも殆ど手を出してきていなかったから油断していたな。

「どうにか出来そうか?」
「……6:4くらいで、でしょうか」
「どっちが6だ?」

 その問い掛けに、鎧衣は帽子を片手で持ちながら残念そうに首を振る。

「止めきれない方ですな」
「なんならこっちで手を打つが? 大体イラクのハイヴを攻略するのにソ連が出てくる方がおかしいだろうし」

 そう、今鎧衣からの報告を受けているのは、アンバールハイヴについてのシャドウミラーの攻略作戦に関してのものだ。
 鉄原ハイヴに関しては、ハイヴの規模がフェイズ2でG元素に関しても期待出来ないという事で、シャドウミラーの戦力のみでの攻略を国連によって認可された。
 だが、アンバールハイヴは違う。建設されてから10年以上が経過し、その規模もフェイズ5となっている。
 そうなれば当然ハイヴの中にはG元素が貯蔵されている筈であり、G弾信者を含めてG元素を欲しているアメリカを始めとした各国がそれを黙って見ていられる筈もなく……それが原因で今回のような面倒くさい事態になっている訳だ。
 アラビア半島防衛戦で俺達に借りがある中東連合やアフリカ連合にしても、G元素に関しては話が別らしいし。
 それでも世論の問題もあって、この2つに関してはそれなりに妥協がしやすい。
 オーストラリアに関しては、そもそもG元素を取引材料として俺達をこの世界に留まらせた以上、全面的に協力を約束している。
 これに関しては、何だかんだ言って俺達と関係の深い日本も同様だ。
 で、中国は日本の保護国となっているのでこちらも問題は無い。
 EUの方に関しては条件付きの賛成といったところか。
 次のハイヴ攻略をヨーロッパの方でやるのなら……と内密に返事を貰っている。
 まぁ、最初のハイヴが韓国の鉄原ハイヴで、次がイラクのアンバールハイヴ。となれば次は……と思ってもしょうがないだろう。
 実際、こっちでもその辺に関してはそれなりに考えてはいる。
 その場合の目標はフランスにあるリヨンハイヴだろう。
 EUの中で唯一まだ堪えているイギリスの、すぐ目の前にあるハイヴだ。ここを落として足がかりとしていくのがベストだ。
 アンバールハイヴと同じくフェイズ5のハイヴというのが気になるが……

「ともあれ、国連に関してはアメリカが最大の問題か」
「ええ。……まぁ、大東亜連合でも一部の国が反対しているとは聞きますが、それは大東亜連合内で押さえられるでしょう」

 ……ああ、あそこの国か。
 大東亜連合を構成している国には迷惑を掛けるな。後で超包子の肉まんでも差し入れしてやろう。
 ああ、ちなみに中国と袂を別った台湾に関しては、シャドウミラーに関してかなり友好的な存在になっている。
 ようやく自由にシャドウミラーと貿易を出来るようになったんだから、無理もないか。

「分かった、アメリカの方はこっちで手を打つ。そっちはソ連の方に手を打ってくれ。余計な真似をさせないようにな」
「ふーむ……まぁ、いいでしょう。ですが、一応確認を。私のこなした仕事の成果に関しては……」

 そう尋ねてくる鎧衣に頷き、口を開く。

「分かっている。煌武院家に対する評価とさせて貰う」
「それはありがたいですな。何しろ、斑鳩家と崇宰家ばかりがポイントを稼いでいるような状態ですから」

 俺の言葉を確認すると、飄々とした笑みを浮かべながら鎧衣は夜の闇に消えていく。
 それを見送り、俺もまた影のゲートを使って京都から離れ、ニーズヘッグでホワイトスターへと戻るのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1120 
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