リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第七十三話 好敵手
前書き
パイルドラモンとブラックウォーグレイモンの戦いはまだ続く。
ユーノ「リリカルアドベンチャー、始まります」
パイルドラモンとブラックウォーグレイモンは町から大分離れた荒野に移動していた。
パイルドラモン[よし…ここならデジモンはいないだろう。]
地上に降りると、すぐに動けるように構えた。
Bウォーグレイモン[肉弾戦か…とことんまでやりたいようだな…いいだろう]
笑みを浮かべながら、地上に降りるブラックウォーグレイモンにパイルドラモンも笑みを浮かべた。
パイルドラモン[(こいつ…笑ってやがる…楽しそうに…他のダークタワーデジモンとはいい意味で違うな)]
人形でワンパターンな動きしかしないダークタワーデジモンとは違い、何故か心を持つブラックウォーグレイモンは最高の相手だった。
パイルドラモンとブラックウォーグレイモンが再び激突する。
パイルドラモン[うおりゃあああああ!!]
Bウォーグレイモン[オオオオオオッ!!]
互いの拳がぶつかり合う。
そして互いに距離を取る。
Bウォーグレイモン[ウォーブラスター!!]
ガイアフォースを小型にしたようなエネルギー弾を連射する。
パイルドラモン[!!]
賢『(パイルドラモン!転移魔法!!)』
パイルドラモン[(転移魔法!!?出来る訳がないだろう!!俺が出来るのは飛行魔法までだ!!)]
大輔『(大丈夫だ。俺達がサポートする!!)』
パイルドラモン[ええい!!]
光と共にパイルドラモンが消えた。
Bウォーグレイモン[!!?]
消えたパイルドラモンに、ブラックウォーグレイモンは目を見開いたが、パイルドラモンはブラックウォーグレイモンの背後に現れた。
パイルドラモン[でやあ!!]
Bウォーグレイモン[ぐっ!!]
ブラックウォーグレイモンの後頭部に強烈な蹴りをお見舞いする。
しかし、ブラックウォーグレイモンは即座に体勢を整えると、パイルドラモンに肘打ちを喰らわせる。
吹き飛ばされながらもワイヤーを飛ばす。
Bウォーグレイモン[同じ手は通じんぞ!!]
飛翔してかわすブラックウォーグレイモンだが、パイルドラモンはそれを先読みし、既にブラックウォーグレイモンの間近にまで来ていた。
パイルドラモン[エスグリーマ!!]
Bウォーグレイモン[チッ!!]
ブラックシールドが間に合わないため、ドラモンキラーを盾にする。
それをパイルドラモンは狙っていた。
パイルドラモン[エレメンタルボルト!!]
両腕のスパイクの先に収束した雷撃が炸裂し、最も厄介なドラモンキラーを破壊した。
パイルドラモンはドラモン系デジモンのためにブラックウォーグレイモンのドラモンキラーは弱点となるのだ。
そのドラモンキラーを破壊したため、少しは安心して戦える。
Bウォーグレイモン[ウォーブラスター!!]
パイルドラモン[くっ!!]
再び、即興の転移魔法を使い、ブラックウォーグレイモンに接近するが、攻撃はたやすくかわされた。
パイルドラモン[何!!?]
Bウォーグレイモン[読めたぞ、それがその妙な技の使い道だ…]
パイルドラモン[舐めるなよ!!]
転移魔法など見切られても構わないと言わんばかりに拳を叩き込む。
ブラックウォーグレイモンは耐えきり、互いに体当たりする。
二体の激突は凄まじい衝撃波を引き起こし、辺りを吹き飛ばす。
Bウォーグレイモン[うおおお!!]
パイルドラモン[ぐっ!でやあ!!]
ブラックウォーグレイモンの拳が顔面に叩き込まれ、ダメージを受けながらも鳩尾に蹴りを放つ。
ブラックウォーグレイモンも痛みに顔を歪めた。
そして手刀をパイルドラモンの脳天に叩き込む。
一瞬、目の前が真っ白になったが、全力の拳をブラックウォーグレイモンの腹部に叩き込んだ。
Bウォーグレイモン[ぐっ!!]
そして、パイルドラモンとブラックウォーグレイモンの戦いを離れた場所でフェイトとはやて達は見ていた。
二人は二体の戦いに目を見開いていた。
フェイト「…凄い戦い」
はやて「ジョグレスってほんまに凄いんやな」
チビモン[頑張れ負けちゃ駄目だよお兄ちゃん!!ほら!!そこだ!!やっちゃえ~!!]
ギギモン[おめえ完全に観客になってっぞ…]
拳を突き出しながら叫ぶチビモンにギギモンは呆れたように見遣る。
パイルドラモン[デスペラードブラスター!!]
エネルギー波がブラックウォーグレイモンに迫る。
ブラックウォーグレイモンはブラックシールドを構える。
エネルギー波をブラックシールドで受け止めるが、度重なる攻撃でブラックシールドに罅が入り始めた。
パイルドラモン[エスグリーマ!!]
そしてスパイクをブラックシールドに突き立てると、ブラックシールドは耐え切れずに壊れた。
Bウォーグレイモン[ぐっ!!?]
パイルドラモン[これで…デスペラードブラスター!!]
生体砲から放たれたエネルギー波がブラックウォーグレイモンに直撃し、ブラックウォーグレイモンを吹き飛ばした。
墜落音が聞こえ、土煙が立ち上った。
パイルドラモン[ハア…ハア…ハア…]
とうとうエネルギーを使い果たし、パイルドラモンのジョグレスは解除され、ブイモン、ワームモンに退化してしまう。
大輔「大丈夫か?ブイモン?」
賢「ワームモンも…」
退化してしまったパートナーを抱き上げたが、次の瞬間、二人の顔を強張らせた。
フェイト「あ、あれは…」
はやて「嘘やろお…?」
遠くで見ていたフェイト達の表情も驚愕に染まる。
瓦礫の中からボロボロの身体を持ち上げ、ブラックウォーグレイモンがふらつきながら立ち上がった。
全身から血液のような物を噴き出し、盾を失って土にまみれた、あまりにもみすぼらしい姿をしていたが。
あまりの事態にフェイトとはやては再びパートナーを進化させて立ちはだかる。
Bウォーグレイモン[……グ…オオオオオオッ!!!!]
大輔「やべえ!!」
賢「逃げるんだ…早く!!」
ブイドラモンとグラウモンは少しでも盾になるように全ての力を防御に回した。
そしてブラックウォーグレイモンを中心に辺りを閃光が包み込んだ。
次の瞬間には大地に倒れ込んでいる子供達とパートナーの姿があった。
Bウォーグレイモン[………]
ブイモン[……ぐっ]
ブラックウォーグレイモンはブイモンが微かに動いたのを確認し、そちらを見遣る。
少し前まで激闘を繰り広げた敵を。
ブイモン[は…はは…お前、本当に強いな…ジョグレスでも勝てないなんて…悔しい…悔しいけど…嬉しいぜ]
Bウォーグレイモン[嬉しい…だと…?]
ブイモン[ああ、今まで…ジョグレスして勝てない敵なんて…いなかったからな…俺、もっともっと強くなって…いつかお前を超えてやる…]
強い想いを瞳に宿しながらブラックウォーグレイモンに言い放つ。
そしてそのまま意識を手放した。
Bウォーグレイモン[………]
ブラックウォーグレイモンはとどめを刺すこともせず、不思議な衝動、“達成感”に身を任せながらこの場を後にした。
そして気絶から目を覚ました大輔達は痛む身体を強引に起こしながら立ち上がる。
大輔「痛え…ブラックウォーグレイモンがいない…どうやら見逃してくれたようだな…情けねえな。敵に情けをかけられるなんてよ」
フェイト「ブラックウォーグレイモン…凄く強かったね…」
ブイモン[ああ、でもこれからの目標が出来たよ。ブラックウォーグレイモンより強くなって必ず奴を倒してみせるさ]
ワームモン[うん]
ブイモン[ブラックウォーグレイモン、お前ももっともっと強くなれよ。俺達もお前以上に特訓して強くなって、いつかお前に勝ってみせる!!]
強い決意を胸に叫ぶブイモン。
しかし…。
グウ~。
ブイモンの腹の虫が栄養補給を求めて鳴る。
ブイモン[大輔、腹減った]
全員【あらら!!】
せっかく格好いい台詞で決めたのに肝心なところでこれである。
しかしブイモン達は強力な好敵手との出会いに心を弾ませるのだった。
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