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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第七十二話 暗黒究極体VSジョグレス完全体

 
前書き
原作では惨敗を喫したが、度重なる激戦をくぐり抜けてきた現在…。
なのは「リリカルアドベンチャー始まります」 

 
デジタルワールドの山々の麓に一体何処から出したのか、ベットが絶妙なバランスで設置されていた。
ベットの上にはアルケニモンが横になっていた。
アルケニモンはその状態のままで腰をマミーモンに揉ませながら考え事をしていた。
アルケニモン「もう少し左……」
マミーモン「なぁ…何考えてんだ?アルケニモン」
手は休ませず、問い掛ける。
少しでも手を止めればアルケニモンから攻撃を受けるだろう。
だがアルケニモンは答えてくれない。
マミーモン「なぁ~アルケニモ~ン」
二度目の問いかけに、やっとアルケニモンが答えてくれた。
アルケニモン「ダークタワー十本位で、完全体……なら、百本なら……」
何気ない呟き、マミーモンの視点はアルケニモンの髪へ。
マミーモン「ひ…百本もアルケニモンの髪を抜くのか!!?勿体無いぃ……」
頭を押さえるマミーモン。
アルケニモンはその声に怒りを覚え。
アルケニモン「あんたは……煩いのよ!!!!」
回し蹴りを繰り出すアルケニモン。
その動きにマミーモンは倒される。
足を払われ、頭をまともに打ってしまう。
マミーモン「うぅぅ……」
アルケニモン「たくっ…」
髪を弄りながらアルケニモンは近くに止めてあるバギーへと向かった。
マミーモンを放置したまま。
どうやってもアルケニモンの攻撃からは逃れられないらしい……。






























ヒカリ達は現在、小さい村の家々を直していた。
村の家は全て煉瓦だったので壊れた部分だけを修復するだけで済んだ。
しかし、住まうデジモンの数が多すぎる為か。
修復するだけでもかなりの時間がかかってしまった。
周りには大輔、賢、フェイト、はやての四人の姿もある。
大輔達も復興作業をしていたのだが、偶然会ってしまったのだ。
そして効率を考えて一緒に作業をすることに、タケルの視線を無視しながら。






























そしてしばらくして。
ブイモン[よし!!キリのいいとこまでやったから、少し休憩しよう]
ヒカリ「本宮君、近くに自動販売機があるけど、何が飲みたいの?」
大輔「コーヒー、ブラックで」
ヒカリ「ブラックコーヒーね…(本宮君…大人…)」
ヒカリは他のメンバーの飲みたいものを聞くとフェイトと共に飲み物の買い出しに行った。






























京「ねえ、賢君、はやてちゃん」
賢「はい?」
京「ちょーっと力貸してくれない?」
はやて「力?」
伊織「実は…大輔さんとタケルさんのことなんです」
伊織が指差す方向には険悪な雰囲気な大輔とタケル。
といっても大輔はタケルの存在そのものを無視しているため、タケルが一方的に大輔を敵視しているだけだが。
はやて「わあ、ブラックオーラ満載や☆」
ワームモン[セイ○ーズなら確実にルインモードになれるだろうね]
賢「ワームモン、メタ発言は禁止だよ。それにしても…」
京「そうなのよ…ねえ、何とかならない?」
賢「はっきり言いましょう。無理です。絶対、100%。」
京「ええ!!?そんなアッサリ…」
はっきりと無理と言い放つ賢に京はショックを受けた。
賢「大輔と高石の不仲は、高石が大輔のタブーに触れてしまったからなんだよな…」
伊織「でも、確かにタケルさんも言い過ぎましたけど、殺そうとしたのはやり過ぎだと思います」
伊織の脳裏にタケルを殺そうとした大輔の姿が過ぎった。
賢「伊織君…だったね?」
伊織「…はい」
賢「大輔から聞いたけど、君のお父さんはロンドンでの要人警護中に殉職したそうだね」
伊織「そうですけど…」
賢「もし君のお父さんの死を“死んで当たり前”と言われたら怒るよね?」
伊織「当たり前です!!そんなの絶対許せ…あ…」
賢「…分かるだろう?大輔にとって、なっちゃんというデジモンの存在はとても大きかった。けれど彼女の死を高石は侮辱した。本人に悪気はないんだろうけどね…大切な人の死を侮辱されて怒らない人はいないさ。特に悪気がない分、タチが悪い。」
伊織「………………」
はやて「私から見て、タケル君は少し視野が狭いように見える気がするんよ。何と言うか、自分の正義とか考え方に固執してるから、相手の気持ちを考えないというか…」
賢「彼は典型的な自己中心タイプだね。自分の意見や考えを他人に押し付けるタイプ。大輔が嫌いそうなタイプだ…悪いけど和解は絶望的だ。ヒカリさんの方がまだ希望がありそうだけど……」
今、必死に罪に向き合い、償おうとしているヒカリ。
いつか許される日が来ることを願う。






























ヒカリ「はい、本宮君」
大輔「…ああ」
コーヒー缶を受け取り、タブを開けると飲み始めた。
ブイモンも炭酸飲料の奴を一気に飲み干す。
タケル「………」
ヒカリ「あの…タケル君。そんなに本宮君を睨まないで…」
タケル「ヒカリちゃん、あいつは罪を犯したんだよ。あいつは光を否定して、殺した…」
ヒカリ「向こうにだって非はあるじゃない。こっちの言い分も聞かずに攻撃してきたし…」
タケル「闇はあってはならないんだ…僕は闇を擁護するあいつらを絶対許さない…」
それは大輔の仲間であるフェイト達も入っているのだろう。
ヒカリはまるで過去の自分を見ているようで、少し目を逸らした。
































そして子供達は缶を捨てに歩いていた。
そこへバギーが走ってくる。
ヒカリ「え?」
ヒカリがそちらに視線を向けるとアルケニモンが不敵に微笑んでいた。
賢「あいつらは!!」
アルケニモン「ふふふ……お元気かしら?」
バギーの上で微笑むアルケニモン。
運転していたマミーモンも不敵に微笑んでいる。
賢「今回も二人か…」
アルケニモン「そうよ、そして……もう一匹……今すぐ生まれるわよ」
その言葉と同時に辺りに存在していた漆黒の塔達が宙へと舞っていった。
全員【!!?】
浮いている塔はゆっくりと重なり合って行く。
アルケニモン「究極のデジモンよ……ふふふふ」
自信作らしく、アルケニモンは自分の髪を撫でながら微笑んでいた。
マミーモン「けど……百本は勿体なかったよなぁ……」
アルケニモン「……いつまでもブツクサ言うんじゃないの!!張り倒すわよ!!」
既にバギーのハンドルに顔面を埋められているマミーモンはか細い声で呟く。
マミーモン「もう…張り倒されてます……」
浮遊したダークタワーは次々爆散し、数え切れない程の塔が建てられた所為で針山と化した岩山の頂上に、まるで台風のように巻き上がりながら集まってゆく。
大輔、賢達は通常進化。
タケルとヒカリはアーマー進化。
ベガスモンとネフェルティモンが攻撃を仕掛けようとする。
しかし…。
全員【!!?】
突然辺りを風が支配した。
ベガスモンとネフェルティモンは吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた。
子供達は風に反射的に目を閉じ、再び開けた時には塔は合体し終えていた。
不敵に微笑むアルケニモンの後ろには……漆黒のデジモンが立っていた。
フェイト「あれは…」
スティングモン[黒い…ウォーグレイモン…?]
見た目こそアグモンの究極体、ウォーグレイモンとそっくりだが、その体色はダークタワーと同じ漆黒であった。
ブイドラモン[凄いパワーだ…]
グラウモン[あいつ…とんでもねえ奴を……オラ、少しワクワクしてきたぞ…]
伊織「ワクワクって…正気ですか!!?」
あんなとんでもない敵が現れたというのに笑っているグラウモンが信じられないのか、目を見張りながら言う。
ブイドラモン[…そうだね。格上の相手と戦うのもいいかもしれないね]
Bウォーグレイモン[グオオオオオオオオ!!!!]
その咆哮は辺り一帯に響き渡り、次の瞬間、エクスブイモン達に突撃する。
エクスブイモン[負けるか!!エクスブイモン超進化!パイルドラモンイクス!!]
スティングモン[スティングモン超進化!ジュエルビーモン!!]
ブイドラモン[ブイドラモン超進化!エアロブイドラモン!!]
グラウモン[グラウモン超進化!メガログラウモン!!]
四体も超進化すると、ブラックウォーグレイモンに突撃する。
パイルドラモンイクス[エスグリーマ!!]
ジュエルビーモン[スパイクバスター!!]
エアロブイドラモン[ツイスターセーバー!!]
メガログラウモン[ダブルエッジ!!]
四体の完全体とブラックウォーグレイモンが激突する。
その衝撃波は凄まじく、四体とブラックウォーグレイモンは互いに距離を取る。
パイルドラモンイクス[成る程、確かに。今までの奴らとは格が違うな…]
ジュエルビーモン[こちらも全力で攻撃しよう!!]
メガログラウモン[アトミックブラスター!!]
メガログラウモンがブラックウォーグレイモンに向けて胸部の砲門から光線を放つ。
ブラックウォーグレイモンはそれをドラモンキラーでたやすく弾いた。
エアロブイドラモン[そこだ!!Vウィングブレード!!]
空中から放たれた逆V字の熱閃により、岩に叩き付けられた。
パイルドラモンイクス[デスペラードブラスター!!]
ジュエルビーモン[スパイクバスター!!]
二体の必殺技が炸裂した。
ブラックウォーグレイモンを中心に大爆発が起きる。
京「やったの!!?」
パイルドラモンイクス[いや…まだだ]
エアロブイドラモン[こんな簡単に倒せるようなら苦労はしないよ]
煙が晴れると身体の装甲に傷が僅かについただけのブラックウォーグレイモンがいた。
パイルドラモンイクス[殆どダメージを受けてないか…]
Bウォーグレイモン[…強いな。相手に取って不足はない]
その瞬間、ブラックウォーグレイモンが消えた。
パイルドラモンイクス[っ!そこか!!]
ブラックウォーグレイモンのドラモンキラーをスパイクで受け止める。
ジュエルビーモンが槍で攻撃するが、ブラックウォーグレイモンはそれをかわす。
メガログラウモンのペンデュラムブレイドがブラックウォーグレイモンに迫る。
メガログラウモン[ぐ…くっ…!!]
Bウォーグレイモン[……]
力のぶつかり合い。
完全体と究極体の力の差は大きく、ブラックウォーグレイモンより巨体なはずのメガログラウモンが力負けしている。
エアロブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
メガログラウモンを援護するために熱閃を放つが、腕の一振りで弾かれ、エアロブイドラモンに肉薄すると零距離からのガイアフォースが炸裂した。
エアロブイドラモン[うわああああ!!]
フェイト「エアロブイドラモン!!」
必殺技をまともに受けたエアロブイドラモンはチビモンに退化してしまう。
フェイトは落下するチビモンを受け止めた。
フェイト「チビモン、大丈夫?」
チビモン[うん…やっぱり究極体は強いや…]
Bウォーグレイモン[ブラックストームトルネード!!]
メガログラウモン[うわああああ!!?]
炎を纏った竜巻を受けたメガログラウモンが撃墜された。
メガログラウモンはギギモンに退化する。
はやて「ギギモン!!なんて強さなんや…これが究極体の力…」
アルケニモン「ふふふ……百本も使ったのよ、簡単に倒せると思われちゃたまらないわよ」
マミーモン「アルケニモンの髪ぃ……髪の毛~」
しつこく言っていた為、再びマミーモンの顔面はハンドルへ埋められた。
パイルドラモンイクス[強いな…こりゃジョグレスでいかないとまずいな]
ジュエルビーモン[やろう、パイルドラモンイクス。このままではじり貧だ]
パイルドラモンイクス[ああ]
地上に降りると、一段階退化する。
Bウォーグレイモン[何故戻る?諦めたか?]
エクスブイモン[勘違いするな。俺達も全力全開で行くための準備さ]
スティングモン[僕達の絆の力を見せてやる。]
二体の身体が光り輝いた。
エクスブイモン[エクスブイモン!!]
スティングモン[スティングモン!!]
エクスブイモン、スティングモン[[ジョグレス進化!!]]
パイルドラモン[パイルドラモン!!]
降臨するジョグレス完全体のパイルドラモン。
光が消えるのと同時にブラックウォーグレイモンを睨み据えた。
アルケニモン「ふん!!ジョグレスだか何だか知らないけど、同じ奴になっただけじゃないか!!ブラックウォーグレイモン、やっておしまい!!」
Bウォーグレイモン[(違う…姿形は似ているが、中身はまるで別物だ)]
ブラックウォーグレイモンの優れた五感は、ジョグレスしたパイルドラモンの力を感じ取る。
パイルドラモン[勝負だブラックウォーグレイモン。俺の…俺達の全力を振り絞ってお前を倒す!!]
Bウォーグレイモン[面白い…お前となら楽しめそうだ]
激戦をくぐり抜けてきた成熟期の古代種同士のジョグレス完全体と百本のダークタワーが集まって生まれた暗黒究極体が同時に動き出す。
パイルドラモン、Bウォーグレイモン[[うおおおおお!!]]
互いの拳が勢いよく激突する。
その激突の衝撃波で地面は陥没し、大気を震わせた。
パイルドラモン[はあああああっ!!]
Bウォーグレイモン[オオオオオオッ!!]
互いの拳、蹴りが激突する度に、凄まじい衝撃波が生まれる。
マミーモン「す、凄え…」
アルケニモン「………」
あまりの次元の違いすぎる戦いにマミーモンとアルケニモンは呆気に取られている。
パイルドラモン[フルパワーだ!!]
全エネルギーを生体砲に収束させる。
Bウォーグレイモン[ガイアフォース!!]
パイルドラモン[デスペラードブラスター!!]
エネルギー波とエネルギー弾が激突し、大爆発を起こす。
マミーモン、アルケニモン「「うわああああああ!!?」」
マミーモンとアルケニモンは爆風に巻き込まれ、天高く吹き飛んだ。
パイルドラモン[エスグリーマ!!]
Bウォーグレイモン[ドラモンキラー!!]
スパイクと爪がぶつかり合う。
ブラックウォーグレイモンはパイルドラモンの懐に入る。
Bウォーグレイモン[ドラモンタックル!!]
強烈な体当たりを喰らわせた。
まともに喰らったパイルドラモンは吹き飛ぶが、ワイヤーを飛ばす。
Bウォーグレイモン[っ!!?]
腕を拘束すると、パイルドラモンは身体を高速で回転させる。
パイルドラモン[はああ…!!]
そして上空に投げ飛ばす。
そして雷撃による追撃。
Bウォーグレイモン[チッ!!]
空中で止まると、ブラックウォーグレイモンは背中の盾で雷撃を防いだ。
パイルドラモン[……………]
パイルドラモンは上空のブラックウォーグレイモンに生体砲を向けていた。
聖なるエネルギーを全身に纏いながら、生体砲に尋常ではないエネルギーが収束していく。
Bウォーグレイモン[…………]
対するブラックウォーグレイモンも、自身の周囲に炎を発生させた。
パイルドラモン[喰らえ!!ブラックウォーグレイモーーーンッ!!!!]
Bウォーグレイモン[ブラックストームトルネードッ!!!!]
渾身のエネルギー波と炎を纏った竜巻が激突する。
パイルドラモン[うおおおおお……っ!!]
Bウォーグレイモン[オオオオオオッ!!]
エネルギー波も炎の竜巻も互いに互角、どちらも譲らない。
パイルドラモン[…はあああああっ!!]
更に力を振り絞って、エネルギー波の威力を上げる。
少しずつだが、竜巻が押されている。
Bウォーグレイモン[ぐっ…うおおおおお!!!!]
そこでブラックウォーグレイモンは軌道をを変えた。
そして、エネルギー波をかわしながら、パイルドラモンに突撃する。
パイルドラモン[っ!!?]
全力全開の必殺技を放っていたパイルドラモンは当然無防備。
防御すら出来ないまま、パイルドラモンは竜巻を受けて地上に轟音を立てて激突した。
Bウォーグレイモン[ハア…ハア…]
息を荒くしながらも、ブラックウォーグレイモンの内側から理解不能の衝動が出て来た。
しかし、それは不快ではなく、寧ろ心地好い。
今のブラックウォーグレイモンが感情を知っていれば、その衝動の名前を知ることが出来ただろう。
それは“達成感”。
強敵と戦い、勝利したことによる歓喜である。
Bウォーグレイモン[……もう終わりなのか…少し名残惜しいが…]
何処か悲しげにブラックウォーグレイモンは背中を向けた。
パイルドラモン[まだ終わらないさ…]
Bウォーグレイモン[っ!!?]
ブラックウォーグレイモンが振り向くと、体中ボロボロになりながらも、瓦礫から現れたパイルドラモン。
パイルドラモン[まだまだやりたりないだろ?俺もだ。どうせなら…誰もいないあっちでやろうぜ]
Bウォーグレイモン[いいだろう]
二体はここから大分離れた荒野に移動する。
フェイト「はやて、大丈夫?」
はやて「あ~うん。危うく死ぬとこやったわ、あのバトルマニア達は…」
京「パイルドラモンとブラックウォーグレイモンは何処に行くの…?」
はやて「多分、誰もいないとこで戦うつもりなんやないんか?とことん戦いたいみたいやからな」
伊織「か、勝てるでしょうか…?」
フェイト「勝ち負けとか関係ないと思う。大輔も賢も全力で戦える相手が出来て嬉しそうだったし…それに…」
京「それに?」
フェイト「…何でもない。私達は大輔達のとこに行くよ。あなた達はヒカリさん達を連れて現実世界に。」
伊織「は、はい。頑張って下さい」
完全体への進化すら出来ない自分達がいたところで何の役にもたてない。
そのことを悔しく思いながら二人はタケルとヒカリを連れて現実世界に向かうのだった。
 
 

 
後書き
パイルドラモンとブラックウォーグレイモンが互角の勝負を繰り広げてます。
一応原作でも戦闘経験が少ないジョグレス完全体でもブラックウォーグレイモンとそこそこやり合えていたので。 
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