転生とらぶる
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マブラヴ
0886話
白陵基地の応接室で、折角だからとニュージーランド饅頭を皆で食べる。
饅頭を口に運びながら一瞬何かの薬でも仕込んでいるんじゃないかと思ったが、よく考えれば鵬法璽で俺達に対して不利益な行動を取る事は出来なくなっているしな。
……それ以前に、俺に毒の類が効く筈もないんだが。
それにしてもオーストラリアと親しい関係にある俺に向かってニュージーランド饅頭とか、洒落のつもりだったのか?
「美味しい、です」
夕呼の隣で饅頭を食べている社が小さく呟く。
そう、実際にこの饅頭はそれなりの味を出している。
合成食の味が上がってきている証拠だろう。
そんなニュージーランド饅頭を食べながら、ふと気になっていた事を夕呼へと尋ねる。
「連城がさっき何か急いでいたようだが、何かあったのか?」
「ん? ああ、その事ね」
俺の言葉に、飲んでいたコーヒーのカップをテーブルの上に置きながら鎧衣の方へと視線を向ける。
そこでは合成コーヒーでは決して出せない香りに、羨ましそうな視線を向けている鎧衣の姿が。
紅茶派の俺には分からないが、あのブレンドはフェイトから送られたオリジナルブランドで、バルトフェルドと一緒に研究して作り出した物なんだとか。
しかも驚いた事にマクロス世界やギアス世界に少量だが輸出しており、それなりの評価を得ているんだから驚きだ。
それが夕呼の所にあるのは、単純に俺がフェイトから貰った物をレモン経由でコーヒー派の夕呼に渡したからだったりする。
でもってそんなコーヒー派に負けていられないとネギも何とか紅茶を広めようとはしてるんだが……残念ながら劣勢らしい。それでこっちにも協力要請が来たんだが、俺は一応紅茶派だけど、缶紅茶で満足出来る程度の紅茶派だしな。
ユウキやレーツェル辺りを戦力に組み込めば、紅茶派の戦力も充実するんだろうが……まぁ、無理だろう。
ともあれ、夕呼が飲んでいるコーヒーはこのマブラヴ世界では、それこそアメリカ大統領のビルですらそうそう飲める物じゃない……らしい。
で、こうして見た感じでは鎧衣も紅茶よりはコーヒー派なのか、夕呼の持っているカップから漂ってくるコーヒーに羨ましそうな視線を向けている訳だ。
「アクセル達が攻略した鉄原ハイヴがあるでしょ? あのハイヴに重慶ハイヴからBETAが攻めてきたらしいのよ」
「……規模は?」
鉄原ハイヴは、ユーラシア大陸の中でも橋頭堡と言ってもいい存在だ。
そこを攻められるとなると、ゆっくり見ている訳にもいかないだろう。
だが、夕呼は小さく笑みすら浮かべ、コーヒーのカップへと手を伸ばして香りを楽しみながら口を開く。
「1個連隊規模よ」
「2000から3000匹か。……大丈夫なのか?」
持っていたニュージーランド饅頭を、社の方に差し出しながら尋ねる。
「シャドウミラーが来る前だと結構危なかったかもね。ただ、リニアガン・タンクとガン・ルゥのおかげで遠距離からの面制圧に関しては、かなり強力になっているから問題無いでしょ。連城にしても出撃準備じゃなくて、司令部で情報収集をしているんだし」
なるほど、そう言えば確かに他のA-01連隊のメンバーは殆どが食堂に残ったままだったな。
「戦術機に関してもバッテリーと推進剤関連の改造で稼働時間は飛躍的に伸びているし、武器も重斬刀のおかげで近接戦闘に限って言えば今までよりも大分継戦時間が延びているしね」
その言葉を聞き、ふとSEED世界でブリッツに乗っていた時の事を思い出す。
あの時はPS装甲のデュエル、バスター、イージスを相手に散々重斬刀を振り回して、結果的に刀と言うか棍棒のような使い方だったんだよな。
まぁ、BETAに関して言えばPS装甲よりも大分柔らかいおかげでそんな事にはならないだろうが。
それに1本しか重斬刀がなかった俺と違って、この世界の人々はかなりの本数輸入しているし。
「はっはっは。ですが、そう順調にいきますかな?」
俺と夕呼が会話をしていると、不意に鎧衣がそう呟く。
その言葉が何かを含んでいるように感じられたのだろう。夕呼が嫌そうな表情を浮かべながら視線を向ける。
「何かあるっての?」
「いえいえ、明確な証拠はありませんがね。鉄原ハイヴはあの一体周辺のBETAに対する橋頭堡になっているのは先程も言った通りご存じですね? ですが、それを快く思っていない者達がいるというのも事実なのですよ」
「……統一中華戦線か」
「正確には統一中華戦線を構成している中国ですね。……おお、我ながら美味い饅頭ですな、これは」
ニュージーランド饅頭を口に運びつつ、鎧衣が言葉を続ける。
「かの国にしてみれば、シャドウミラーとの関係が上手くいっていない……より正確には、自分達の思い通りに出来ていない事が余程腹立たしいのでしょう。特に世界で初めて攻略されたハイヴが自国の中に無数に存在するハイヴではなく韓国の領土にある鉄原ハイヴであるというのもあって、色々と思うところがあるようです。……それに、韓国も韓国でこれまで中国に対して受けてきた仕打ちを……それこそ太古まで遡って言い立てて謝罪と賠償を求める動きもあるらしいですしな」
……何をやってるんだ、中国と韓国は。
いや、どうしようもない国だってのは理解してたけどな。
だが中国は台湾が、韓国は大東亜連合がしっかりと手綱を握ってくれないと困るぞ。
それでなくてもユーラシア大陸は基本的に人類が不利だというのに、フェイズ2のハイヴを1つ奪ったくらいでいきなり内輪揉めとはな。
呆れて溜息しか出ない。
そろそろ本当に中国は切り捨てた方がいいのかもしれないな。
未だにオーストラリアの基地に人を送ってくるのもうんざりだし。
そんな風に思っていた、その時。応接室の通信が着信を知らせる。
「あら? 鉄原ハイヴの方が片付いたのかしら」
夕呼が呟いて通信を取ると、そこに映し出されたのは連城。鉄原ハイヴの件で連絡をしてきたのは間違いが無かったのだろうが、それは決して夕呼が口にしたように攻めて来たBETAを撃退したという理由ではないだろう。
だからと言って、鉄原ハイヴを取り戻されたという程に切迫している様子でもないし……さて、何があった?
そんな俺の疑問に答えるかのように、画面に映し出された連城は口を開く。
『香月副司令、鉄原ハイヴに攻めて来たBETAの撃退は無事完了しました』
「……その割には嬉しそうじゃないけど? 何があったの?」
『はい。つい先程統一中華戦線から声明が発表されました。以後、自分達は鉄原ハイヴの防衛からは手を引く、と』
何を言っている? それが俺の正直な気持ちだった。
夕呼は小さく笑みを浮かべてその報告を聞き、鎧衣はわざとらしい様子で天を仰ぎ、社は特に表情を変えずにその報告を聞いている。
鉄原ハイヴは、言うまでも無くユーラシア大陸における人類の橋頭堡だ。そして、それ以上に人類が初めてBETAから奪い取ったハイヴという点でも大きな意味を持つ。
だと言うのに、その防衛から手を引くだと?
「ふーん、理由は?」
『それが、その……統一中華戦線に対する鉄原ハイヴでの扱いが悪いという話で、補給の類も満足に寄越さずに自分達を弾避けとして使い潰している。自分達統一中華戦線の目的はBETAに支配された領土を取り戻す事であり、韓国の番犬ではないと』
「使い潰しているの?」
『いえ、こちらで調べた限りではそのような事はありません。大東亜連合と国連軍がしっかりと共同で管理をしていますし、補給についても不足する事無く行われています』
となると、単純に言いがかりか?
あるいは、自分達こそが世界の中心だと思っていた統一中華戦線……いや、中国が韓国の、延いては大東亜連合の下にいるのが気にくわないと判断したのか。
「うーむ、困りましたな。実際に鉄原ハイヴの防衛力に関しては統一中華戦線が大きな役割を果たしていたのも事実ですからね」
惚けた様子で呟く鎧衣だが、その内容に関しては決して聞き流せる内容ではない。
「統一中華戦線っていう話だけど、それは台湾も同調しているの?」
『いえ、完全に中国の軍人の独断の模様です。勿論同調している台湾の軍人がいないとも限りませんが』
「その辺はせめてもの救いね。……さて、どうしたものかしら」
「そうですな、あの地を失うのは痛いですから」
『統一中華戦線からは、鉄原ハイヴを自分達の管理下に置くのであれば引き続き協力してもいいと言ってきています。ですが……』
言い淀む連城に対し、夕呼は眉を顰めて口を開く。
「韓国として、そして大東亜連合としてはそれを呑む訳にはいかないわよね?」
『はい。鉄原ハイヴでは半ば睨み合いに近い状況になっています』
「国連軍は?」
『大東亜連合寄りの立場です。鉄原ハイヴに所属している部隊もそれに準じた態度を取っています』
つまり、統一中華戦線VSそれ以外という扱いな訳か。
……もう限界、だな。
これまでにも幾度となく迷惑行為をしてきた統一中華戦線だが、それでもこの世界の人類としてBETAとの戦いを妨害するような真似はしなかった。だが、これはさすがにやり過ぎだ。こちらの許容範囲を超えている。
切り捨てるべき限界点を超えた。そう表現してもいい。
そう判断すると、1歩前に出て夕呼に声を掛ける。
「悪いが、ちょっと通信機を貸して貰えるか?」
「……そう、ね。ええ。お願い」
夕呼の許可を得て、一旦連城との通信を切ってからホワイトスターのエザリアへと通信を入れる。
向こうでもこっちの現状に関しては理解していたのか、すぐに映像モニタにエザリアの姿が映し出された。
「エザリア、鉄原ハイヴの件は聞いているか?」
『ええ、ちょうどこっちでも指示を貰おうと思っていたから丁度いいわ。どうするの?』
「シャドウミラーとしてのメッセージを送ってくれ。現状を理解しないまま自らの権益のみを追い求める統一中華戦線に関しては失望した。人類の為に戦わない相手との取引はシャドウミラーとしても好ましくないので、このような騒ぎを続けるようであれば統一中華戦線とシャドウミラーの取引は以後中止すると」
『そこまで言ってもいいのね?』
「ああ、今のこの状況は中国を調子に乗らせてしまった俺達にも一因があるからな」
何だかんだ言っても、統一中華戦線は今までユーラシアで人類の盾として頑張ってきた。……まぁ、その理由が着陸ユニットが降ってきた当初に自国だけでBETAの情報を独占しようとして失敗した事が原因だとしてもだ。
そこまで考えて、ふと思った。もしかして鉄原ハイヴを攻略する時に改めて現在の地球が危機を迎えているのは中国のせいだと指摘された事で自棄になって、それが今回の件に結びついたんじゃないだろうな?
いや、だとしても同情は出来ないか。
そもそも中国の私欲でこの世界の現状がこのような状態になっているのは間違い無いのだから。
BETAをユーラシア大陸に封じ込めるという意味では役目を果たしてきたのだから、こっちに色々とちょっかいを出してきても見逃していたんだが……その結果がこれだ。
あるいはアメリカ辺りが裏で糸を……いや、中国となると寧ろソ連か?
ともあれ、この辺で一度しっかりと釘を刺しておくというのは必要だろう。
そんな俺の思いを汲んだのか、映像モニタの中でエザリアは特に反論もせずに頷く。
『分かったわ、すぐに取り掛かる』
「そうしてくれ」
それだけを告げて、通信が途切れる。
「ふーん、随分と大きな手を打ったわね」
ソファへと戻った俺に向かってどこか悪戯っぽい笑みを浮かべつつ、そう告げてくる夕呼。
「さすがにこの辺で手を打っておかないと、これからもますます勝手な真似をされるからな。それで被害を受けるのが自分達だけなら自業自得だと笑っていられるんだろうが、それがこの世界の人類を巻き込んでの自殺ともなればそうも言っていられない。……ったく、何だってここまで暴走を始めたのやら」
そう呟くと、夕呼はどこか呆れた様な視線で俺を眺め、口を開く。
「あのね、中国の暴走の原因なんてあんた達に決まってるじゃない。シャドウミラーがこの世界に来る前は、正真正銘ギリギリのところで何とか現状を維持出来ていたから馬鹿な真似をする余裕が無かったのに、そこにあんた達が現れてこの世界の戦術機や戦車よりも格段に優れた兵器の輸出を始めた」
「……そうは言っても、今のところ提供しているのはリニアガン・タンクとガン・ルゥだけだぞ?」
「それでも十分だったのよ。確かに今はまだ戦術機はそのまま使っているわ。けど、その戦術機にしたって推進剤やCPU、メモリといったところで随分と継戦能力は上がっているし、重斬刀やアサルトナイフにしても、今まで使っていた物と比べると性能が段違いでしょ」
なるほど、そういう意味ではこの世界に余裕が出来た事が中国を暴走させる原因になったとも言えるのか。
「それに、いずれは例の機体も出すんでしょ? それを思えば現在シャドウミラーから色々と印象の悪い中国が暴走してもしょうがないわよ。それで暴走して欲しくなければもっと融通しろ……これ以上分かりやすい事はないと思うけどね」
そう夕呼が呟き、俺はその言葉に溜息を吐くしか無かった。
……ちなみに、エザリアの宣言から1時間もしないうちに統一中華戦線が先の宣言を撤回する事になる。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1120
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