転生とらぶる
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マブラヴ
0884話
「くそっ、大体この模擬戦はルールがおかしいんだよ。本当ならシャドウにはG・テリトリーがあるから、戦術機の武器なんか殆ど無意味だし、当たっても装甲で弾かれるってのに」
模擬戦が終了し、シャドウミラーに用意された機体置き場でシャドウから降りてきたアウルが悔しそうにそう告げる。
まぁ、確かに今回の模擬戦のルールは色々とアウルやスティングにとっては不利なものだったが……
「それでも、お前達を従えたイザークがA-01連隊を相手に勝ったのは事実だろ? 確かに不利なルールではあったが、それでも負ける程じゃなかったって訳だ」
視線の少し離れた場所にいる戦術機、A-01連隊のTYPE94に向けながらそう告げる。
それを俺の横で聞いていたイザークが、不愉快そうにアウルとスティングへと視線を向けながら口を開く。
「アクセルの言う通りだ。確かに向こうは連携が上手かったのは事実だ。だが、それでも突くべき場所は幾つもあった。そもそも部隊編成に関してはお前達に任せたが、何故別々の機体で分けた? 部隊の中に地上しか移動出来ないイルメヤが混ざっていれば移動速度が遅くなるのは当然だ。メギロートもシャドウも、それぞれ機体特性は違う。これは以前にも教えた筈だがな」
「そ、それは……」
チラリ、とアウルに視線を向けられたスティングが渋々といった感じで口を開く。
「どんな状況にも対処出来るようにって……」
「馬鹿もんっ! そんなのはお前達にはまだ早い! 今は機種を統一して無理なく指揮を出来るように……」
そんな風に2人を怒鳴りつけているイザークを見ていると、不意にこちらへと向かってくる人物がいる事に気が付く。
A-01連隊の1人で、年齢はアウルやスティングよりも若干上か、同じくらいか? それくらいの年代の女だ。
その女は、イザークが怒鳴っているのを見て思わず動きを止めたが、すぐに俺の方へと向かって近づいてくると敬礼をして口を開く。
「自分は伊隅みちる少尉であります! 実は香月博士がアクセル代表をお呼びになっておられるのですが……今、お時間の方は大丈夫でしょうか?」
その言葉に、チラリとアウル達の方へと視線を向ける。
すると視線があったアウルに助けて欲しいと無言で頼まれるが、今回の件は色々と勉強すべき事も多いだろうと判断して視線を逸らす。
「分かった。丁度こっちも時間はあったんだ。案内して貰おうか」
「アクセル!? 俺達を見捨てるのかよ!」
「アウル、貴様ぁっ!」
瞬間、悲痛な声を上げるアウルとそれを耳にしたイザークの怒声が聞こえてくるが、それを無視して俺は少し戸惑った様子を見せる伊隅と共にA-01連隊の陣地へと向かう。
A-01連隊の陣地へと行くと、丁度夕呼と恭子がにこやかに話している光景に遭遇する。
少し離れた場所ではA-01連隊のパイロット達が地上で先程の模擬戦についてのミーティングを行っており、そのパイロットの殆どが女、あるいは少女である事に驚く。
いやまぁ、このご時世なんだから、ある意味当然ではあるんだが。
そして夕呼は、俺が近づいてきたのを見かけると口元に小さく笑みを浮かべつつ口を開く。
「伊隅、ご苦労様。戻っていいわよ。……それで、アクセル。模擬戦はどうだった?」
伊隅が敬礼してミーティングに戻っていくのを見ながら、小さく肩を竦める。
「ある意味予想外、ある意味予想通りと言ったところか」
「予想外で予想通り、ですか?」
恭子が不思議そうに尋ねてくるのに頷き、模擬戦を思い出しながら説明する。
「例えば一応とは言っても、シャドウミラーで訓練を重ねてきたスティングとアウルがあそこまで苦戦するというのは予想外だったし、それでも仲間を救おうとして稚拙ながらも部下に指示を出したのは予想通りだった」
あの2人は兄弟思いというか、仲間思いの面が強いからな。……アウルはそれを滅多に表に出さないが、スティングを救う為に敵から集中攻撃を受けている場所に突っ込んで行ったのはその最たるものだろう。
「ふーん、アクセルとしては狙い通りだった訳?」
ちょっと面白くなさそうな感じで尋ねてくる夕呼に、小さく首を振る。
「いや、狙っていたよりも大分上手くいったと言うべきだな。……それに、A-01連隊があそこまで有機的に連携を取れるとは思っていなかった」
もしイザークがいなければ、模擬戦の結果は変わっていただろう。模擬戦故のルールではあったが、それでもあれだけの練度を誇っているのはかなり驚いた。
オーストラリアの戦術機部隊とも何度か模擬戦をやっているが、機体性能、パイロットの腕、そしてチームワーク。それら全てでA-01連隊が上を行っているのは間違いない。
「ふーん、随分と高評価ね」
「ああ。あの2人にとっても随分といい経験になっただろう。だから……模擬戦開始前に言っていた、いいところってのは十分に見せて貰った」
その言葉に驚きの表情を浮かべる夕呼。それはこっちの話を聞いていた恭子もまた同様だった。
模擬戦が始まる前に言っていた俺の言葉を覚えていたのだろう。即ち……
「ニーズヘッグで相手をしようか」
そう告げるのだった。
『アークエネミー1、模擬戦開始まで残り1分を切りました。準備はいいですか?』
「ああ、こっちはいつでも問題はない」
CPからの通信にそう答える。
ちなみに特にこだわりがある訳でも無かったので、今回もコードネームはアークエネミー1とした。
模擬戦故にペイント弾が必要かどうかを聞かれたが、そもそもニーズヘッグは基本的に全ての武器がビームやレーザーであって、実弾兵器はないので断らせて貰った。
無理に実弾兵器として考えるのなら、アダマン・ハルパーだが……そもそも近接武装ではあっても、実弾じゃないしな。
そんな風に考えていると、CPから再び通信が入る。
『10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……0。模擬戦開始です』
その言葉が聞こえたと同時に、ヒュドラのスラスターを使って空中へと浮かび上がる。
同時に、一瞬前までニーズヘッグが待機していた場所へと黄色い花が咲く。
牽制の一撃……いや、このタイミングを考えれば俺に何もさせずに本気で勝ちに来たってところか。
確かにこの模擬戦のルールであるバリア無しなら、ペイント弾が当たればニーズヘッグにもダメージを与えたと見なされるから、戦術として間違ってはいない。
森の中に身を隠しているA-01連隊の方へと向かって空中を移動しながら、思わず笑みを浮かべる。
胸を借りるとかじゃなくて、本気で勝ちに来るとはな。さすがに夕呼の直属部隊といったところか。
「けど……108機程度で俺に勝てるとは思わない事だ!」
その言葉と共に、ヒュドラのビーム砲を発射。
最小限まで威力を低下させたビームが放たれ、それだけで10機を超える戦術機が撃墜判定を食らう。
そうして森の上空を移動しつつ、腹部拡散ビーム砲を発射。降り注ぐビームの雨に、再び数機の戦術機が撃破判定。
仕返しだとばかりに森の中から無数に放たれたペイント弾だったが、ニーズヘッグの運動性で回避され、当たる事はない。
これは純粋に機体性能の違いというのもあるが、同時に操縦技術の差でもある。
雨霰と、地上から撃ち込まれる無数のペイント弾の隙間を潜り抜け、どうしても回避出来ない弾に関してはヒュドラの先端から延びたビームサーベルによって蒸発させていく。
そのまま森の木々の中へと突入したニーズヘッグは、生えている木そのものを利用して近くにいるTYPE94との距離を詰め、横を通り抜け様にビームサーベルとエナジーウィングをコックピットへと当てていく。
勿論出力が最小になっている以上は実際に機体がダメージを受ける事はないが、それでもきちんと機体の方では致命的な損傷と判断しているので、演習場から退場となる。
そのままT-LINKシステムを使ってヒュドラ6基をコントロールしながら戦術機の集団の中に突入し、その場に存在していた7機をビームサーベルで退場させ、ヒュドラを操作しながら空中へと移動。
次の瞬間、つい先程までニーズヘッグが存在していた場所に幾つもペイント弾が命中して幾つもの黄色い花を咲かせていた。
なるほど。見え見えの場所に囮を置いておいて、そこに突っ込んだところを狙撃で仕留めるつもりだったのか。
多少の被害でニーズヘッグをどうにか出来ないというのを理解し、肉を切らせて骨を断つときた訳か。
「けど、甘い!」
T.T.キャノンでビームを放つと、そのビームは念動力に従って空中をグニャグニャとした軌道を描きながら飛び、離れた場所で俺を狙っていた4機のTYPE94に次々と命中して撃破判定を与える。
森の中という地理的条件を最大限に利用して姿を隠しながらこっちを狙っているのは分かるが……さすがに面倒くさいな。
このままやっても時間は掛かるが何とかなる。だが、想定以上に時間が掛かるというのも馬鹿らしいし……一気に決めさせて貰うか。
「ファントムッ!」
その言葉と共にヒュドラから放たれる合計48基のファントム。
長さ1m程のファントムは、まるで何かの動物の群れであるかのように森の中へと突入していく。
そうして念動力を使ったT-LINKシステムにより敵を察知するとそこへと移動し、ビームを放って撃破。撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破撃破。
ほんの数秒で残っていたA-01連隊のほぼ全てが撃破判定を食らって退場していく。
『ア、アークエネミー1、A-01連隊、残り2機です』
「了解」
本来は冷静でなければならない筈のCPが、信じられないといった様子で告げてくる言葉に頷き、ファントムをヒュドラへと全て収納する。
……さて、残り2機か。なら少しはニーズヘッグらしい演出をするべきか。
「アダマン・ハルパー、展開」
その言葉と共に姿を現す大鎌。
嘲笑する虐殺者の異名を持つニーズヘッグが操るのに相応しい禍々しさを持つその武器を手に、T-LINKシステムでツイン・ドライブとエナジーウィングを操作して森の中へと降りていく。
T-LINKシステムによる索敵で、既に残り2機のいる場所は判明している。
そこに向かってゆっくり……ゆっくりと機体を進めていくと、森を抜けた先の開けた場所に存在しているTYPE94が2機。
1機はSEED世界からの輸入された重斬刀を手に持ち、もう1機は突撃砲をこちらへと向けている。
ぶんっとアダマン・ハルパーを横に一閃。
その光景を見た、突撃砲を持っている方が一瞬混乱したのか、動きを止める。
この様子を見る限りだと、恐らくまだそれ程のベテランって訳じゃないな。
だが、それに比べて重斬刀を持っている方は動じた様子も無く前に進み出る。
恐らくはA-01連隊の隊長でもある連城の機体。
そのまま距離を縮めるようにゆっくりと歩き……次の瞬間、殆ど同時にお互いが全力で前へと出る。
向こうは背中のジャンプユニットを、そしてニーズヘッグはツイン・ドライブとエナジーウィング、ヒュドラのスラスターを使い。
向こうが重斬刀を振り上げようとした、その時。既に俺はアダマン・ハルパーの刃を連城機のコックピットへとピタリと当てて撃墜判定を与える。
そもそも、お互いの機体性能が違いすぎるのだ。
だが、次の瞬間。まるで俺が連城機を倒したのを見計らっていたかのように残る1機が突撃砲のトリガーを引き……既にその場にニーズヘッグの姿は無く、横を通り抜け様にエナジーウィングで最後の1機にも撃墜判定を与えるのだった。
「……ったく、つくづくあんたってばあたしの予想を超えてくれるわね。勝てるとは思ってなかったけど、無傷でだなんて……」
模擬戦終了後、A-01部隊側の陣地へと向かうと夕呼が顔を会わせるや否や、そう告げてきた。
その隣ではA-01部隊の隊長でもある連城もまた、苦笑を浮かべている。
「音に聞こえたニーズヘッグ。その強さをしっかりとこの目で確かめさせて貰いました。さすがにシャドウミラー最強と言われるだけの実力で、自分の未熟をこれ以上無い程に痛感しました」
ビシリと敬礼をした連城の言葉に、夕呼が溜息を吐く。
「まぁ、確かに勝てるとは思ってなかったけど……それよりも連城、敬礼はいらないって言ってるでしょ。何度も言わせないでちょうだい」
「ですが香月副司令、アクセル・アルマー代表に対して……」
「いいのよ、あたしとアクセルは友達なんだから。ねぇ?」
そう呟きながら告げてくる夕呼の言葉に、ちょうどこちらへと向かって歩いてきていた恭子が口を開く。
「あら、私もアクセルさんとは友達なのを考えれば、香月副司令と私もお友達という事になりますね」
「ええ、そうなれるといいとは思っていますわ」
「あら? 私とお友達になるのは何か不都合でも? 煌武院家に対しての遠慮でもあるのですか?」
その言葉に、一瞬……ほんの一瞬だが、夕呼の頬が引き攣る。
煌武院? 確か以前に……そう、月詠がそこの家に仕えているとか聞いた事があるな。
「滅相もありません。……ですが恭子様、そろそろ時間の方は大丈夫なのでしょうか? 崇宰家の次期当主ともなれば、色々とお忙しいでしょう?」
「ふふっ、私もお友達であるアクセルさんとゆっくり話す時間が……」
夕呼と恭子がそれぞれに笑えない笑みとでも表すべき笑みを浮かべて話をしていると、不意に1人の斯衛が走ってきて恭子に1枚の紙を渡す。
それを見た恭子は、一瞬だけ視線を鋭くし……
「申し訳ありません、アクセルさん。ちょっと急な用事が入ってしまいましたので、私はこの辺で失礼させて貰います。香月副司令も、また。今日はとてもいいものを見せてもらいました」
小さく頭を下げ、そのまま斯衛を引き連れて去って行く。
……さて何が起きたのやらな。面倒事じゃなきゃいいんだが。
去って行く恭子の後ろ姿を見送りながら、内心で呟くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1120
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