Fate/staynight/the/crossovermoment
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曖昧な思想
前書き
前回の続きです。
今回は新キャラ登場です!!
感想が聞きたいのでコメント下さい。
残骸の山が周囲を彩り地形を景色を世界を変えた。元の地形の原型を留めない景色は少年の目を五感を狂わせた。
慣れた風景だ。少年の記憶の『裏』で常識を覆す想像は創造を現実を過去を未来を・・・・少年は自分の魔術回路をon『電源』を入れた。記憶の片隅に残った残骸をイメージする。世界の終末を終焉を脳内に心に描く。
右手に刻まれた『霊呪』を消費、彼は『召喚』した。
聖杯戦争に加えられた新たな紋章『霊呪』以前の『令呪』は英霊に命令する為に必要なパスだ。今回の聖杯戦争で加えられた『霊呪』は聖杯戦争に参加を許された者以外の人間『外部』の人間が参加する為の参加通行書だ。
『霊呪』を宿した『人間』『悪魔』『天使』『異人』が参加する為のパスは運命の天秤に選ばれた者に与えられる。例外を除けば勝手に与えられる厄介な代物だが厄介な代物は厄介な人間には災厄で最高のプレゼントだ。
右手の『霊呪』に刻まれた紋章は複雑で曖昧な形だ。『霊呪』を与えられた者の心境で形は変化するが少年の『霊呪』は異質だ。一言で簡単に完結に言えば『無』だ。形が変化する『霊呪』は原型を持たない形を持たない。
少年特有の異質な『魔術回路』に『霊呪』が耐えられないのだ。元々の形は以前参加した『聖杯戦争』で与えられた『令呪』に似ていた。魔術を発動する度に形は変化、原型を失う『令呪』を見ると以前の自分を思い出す。
聖杯を壊す為に頑張った『自分』人を護る為に頑張った『自分』世界を守る為に頑張った『自分』
自分が望んだ結末が・・・覆す。少年の右手に刻まれた紋章を代償に『召喚』は成功した。
「問う。
貴方が私の『マスター』か?」
召喚された英霊は少年に告げた。
変わらないな。以前も似たセリフを聞いたが・・・毎回言ってるのか?
「ああ、お前の『マスター』衛宮 士郎だ。
お帰り・・・『セイバー』」
沈んだ笑顔で迎える少年の名前を姿を英霊『セイバー』は知っている。
「ただいま・・・士道」
セイバーの瞳から雫が零れる。少年も表情は変わらないが涙を流していた。表情を変えない少年は以前の少年そのままでセイバーは安心した。
「君に・・・会えて・・・嬉しい」
「再会を祝う前に・・・士郎。
敵です!」
拳銃の弾丸が一斉に放たれた。的確な射撃は全て牽制射撃、当てる為じゃない。動きを止める為の射撃だ。
人間の姿が見当たらない。魔術で姿を消してるのか?銃声音は複数、敵の数は把握出来ないが相当な数だ。
一発一発の威力が異常の弾丸は瓦礫を吹き飛ばす。魔力を込めた弾丸か。
「魔術師・・・ですね」
「近代的な兵器を所持した。
野蛮な魔術師・・・」
「敵に覚えが?」
「慣れた相手だ!」
魔術回路接続、両手に魔力供給、投影を開始した。
右手に盾を左手に剣を投影、右手の盾で弾丸を防ぐ。左手の剣で弾丸を切り落とす。魔力で威力を底上げされた弾丸でも所詮、弾丸だ。小さな金属の塊が音速の速度で放たれても関係ない。鉄の硬度を超える武器、音速を見極める眼で対処出来る。世界中を旅する内に銃撃戦に巻き込まれた不幸な少年に音速程度の弾丸は無意味だ。
「魔術師の位置は?」
「判らない。
様子見、敵の位置を把握次第攻撃開始!」
「了解!」
敵魔術師の攻撃は終わらない。セイバーは聖剣『勝利を約束された剣』で防ぐ。通常時は第二の鞘『風王結界』で聖剣の刀身を隠しているが今回は刀身が丸見えだ。聖剣を振る度に暴風が吹き荒れる。本来のセイバーの実力と第二の鞘『風王結界』で斬撃の威力を何倍にも増幅させているのか?今迄は防御に活用していた能力を攻撃に運用する大胆な発想、以前と変わらないな。
吹き荒れる暴風が台風を形成、全ての弾丸を吸い寄せる。
暴風が風景を乱す。瓦礫の山は次々に吸い込まれ中心点に集まる。
変化が訪れた。蜃気楼の様に空間が揺らぎ別の空間が姿を表す。暴風の影響で発生した竜巻に直撃する度に風景が形を変え一部の空間だけ風景を変える。
「士郎!
敵の正体です!」
右手の盾を破棄、新たな武器を投影した。2本の刀を構え暴風を突き破る。空間を斬り裂く空間をネジ曲げる。一部の空間は本来の姿を取り戻した。無数の銃が空中に浮き浮遊、空間の壁は厚く背景の同化部分は破壊したが固有の結界を破壊した訳じゃない。固有結界で創り出した敵魔術師の空間は銃の世界だ。俺が唯一発動出来る固有結界は剣を無限に投影する自分だけのオリジナル結界、が、敵魔術師は逆、銃の世界だ。
「固有結界ですか」
「敵魔術師本人の姿が見えない。
固有結界の中で隠れてるのか?誘ってるのか?」
破壊した空間の一部に穴が空いている。
「固有結界の亀裂・・・潜入するのが得策か?」
「敵の優位な地形での戦闘・・・お勧め出来ませんが。
私は士郎に従います」
「済まない。
じゃ、突入だ!」
空間の亀裂に飛び込んだ。一瞬の浮遊感に目を閉じるが次の瞬間、足元は大地で覆われた地面に着地した。他人の固有結界に割り込むのは初めての経験、落ち着かない。自分の固有結界は自分が創造した生み出した空間、落ち着いて当然の空間だ。他人の固有結界は『真逆』銃を自在に生み出す固有結界だ。俺と同じ投影に長けた魔術師なのか?巨大な時計塔は0時の針を鳴らす。
「敵陣地です。
慎重に行動しましょう」
セイバーは聖剣を構え周囲を警戒する。敵の数が不明な状況でのんびりする時間はない。全周囲に集中、音を聞き取る。風の音、独特な匂い、金属と金属が擦れる音!
「セイバー!」
弾丸はセイバーを狙って放たれた。聖剣の剣先で防ぐが第二射が放たれた。弾丸の音が聞こえない?セイバーは冷静に対応するが音を発しない弾丸に対応するのは流石のセイバーでも骨が折れる。感の鋭いセイバーは予想を捨て憶測で剣を振るう。
「士郎は敵の本体を!」
「解った!」
投影魔術で弓を投影する。魔術回路on『雷』発射体制。
膨大な魔力を弓に・・・・目標は空に。
「貫け・・・雷撃!!」
頭上に『雷』を打った。雷の最大の特徴は圧倒的な威力、広範囲で戦場を選ばない強力な魔術だ。魔力消費が激しいのが難点だが、それだけの威力を誇る必殺の一撃に相応しい一撃なのだ。
頭上に打った『雷』は分裂、無数の矢に変化、一気に地上に落下した。
爆撃に似た複数の爆発が地形を歪める。固有結界は綻び形を失う。『雷』の威力に固有結界が耐えられなかったのだろう。別に驚かないが呆気ないな。
「無事か・・・セイバー?」
周囲は煙に覆われ周囲を見渡しても、何も見えない。が、マスターと英霊の場合は別だ。互いにテレパシーに近い原理の魔術で会話出来る。
「はい・・・なんとか」
「固有結界が崩壊を始めた。
撤退する」
固有結界は『雷』の威力で綻び形を失い始める。原型をギリギリで留め結界の破壊を防ぐ機能が全力で壊れた部分を再々する。破壊の方が数段速度が速い。再生速度を上回る一撃は結界にヒビを敵魔術師の世界を破壊する。魔術師が望んだ世界を魔術師の心を魔術師が有利な地形を創り出す魔術『固有結界』無敵に近い力を一時的に我が物に出来る最強の結界は崩壊する。
「私が突破口を開きます!」
宝具『約束された勝利の剣』の輝きが固有結界を照らす。溢れ出た魔力は固有結界の崩壊を速めるが構わない。
最強の宝具『約束された勝利の剣』=『エクスカリバー』の一撃は英霊の中でもトップクラス。最強の聖剣を構え、彼女は叫んだ。
「エクス・カリバー!!」
光の一撃が放たれた。大地を奔る光は固有結界を斬裂き破壊、脱出する必要は消えた。固有結界の崩壊に巻き込まれれば危険だが、固有結界を綺麗に切断すれば問題ない。
「相変わらず・・・凄い・・威力だ」
唖然・愕然・呆然の三大原則は彼女が宝具発動後、お決まりだ。
「固有結界は完全に破壊、敵魔術師の姿は・・・逃げたか」
何者だ?周囲に目を光らせ警戒も怠らず秘境の地に赴いた筈だ。一流の魔術師を騙す程の魔術を常時発動、存在を消した『俺』の存在に気付き追尾した。正体不明、目標不明、消息不明の魔術師は何者なんだ?
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少女は椅子の上で寝ていた。睡眠中に『魔術回路』を調整。魔術回路に必要な体内の波動を集結、爆発的に高まった魔力を魔術回路に凝縮『魔力』に必要な『物』を錬成する。
「呑気な『マスター』だね〜」
少女の『マスター』の『英霊』は警護中の少女 紫 霞の寝顔を・・・・魔力の急速な暴走を監視する為に撫でる。
平均的な標準男性英霊のクラスは『ガンナー』今迄の聖杯戦争では禁忌と言われた『クラス拡張』で召喚された未知の英霊だ。彼の能力は魔力の操作『魔術回路収束安全装置』要するに『魔術回路』に必要以上の魔力を抑える為の予備倉庫と考えれば解りやすい。
「僕の能力で補ってるけど・・・無茶の度合を超えてるね」
魔術回路の拡張を無理に億着に『不完全』で完成させた『未知の技術』を彼女は自分の手で無理矢理に躯に押し込んだ。体内の霊体に魔力の供給が許された『主』は普通の手順では相棒に魔力を供給出来ない。彼女の躯に触れ『ガンナー』が魔力を吸収する事で彼女の命は保たれている。魔力を無限に永遠に生み出す技術を完成させた彼女は天才だ。でも、自分を被検体にするなんてね。
「・・・・・・・」
寝言?可愛いな。睡眠時間が他の人間以上に強いられる彼女は一日の殆ど寝て過ごす。彼女に必要な睡眠時間は約20時間だ。脳の負担が大きい『未知の技術』に名称は存在しない。強いて言えば『ゼウスdeerブレイカー』と言ってたが意味は解らない。
長い・・・長い夜は続く。
安息の安心の・・・彼女の夜は・・・まだ・・・続く。
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暗闇の街に彼は・・・悩む。闇は人を惑わすが時に和ませる。光は人を安心させるが時に鬱陶しい。
caseバイcaseだ。状況に応じて人間は変化する。好きな物・嫌いな物・無関心な物に色々と存在する鬱陶しい物は世界に溢れている。必要な物は幾つ?要らない物は幾つ?
「『ランサー』」
少年の声で『ランサー』は目覚めた。
「英霊でも寝んの?」
制服姿の『マスター』は片手に持った缶ジュースを『ランサー』に投げた。
「感謝する」
言葉と同時に空中に浮かんだ『缶ジュース』をキャッチする。少年は下らない目付きで空を見上げ呟いた。
「奴が・・・目覚めた」
「奴・・・・彼ですね」
「寝てる暇はねぇぞ。
準備に取り掛かる」
魔方陣が出現した。少年の魔術回路に流れる魔力を吸収、光を放ち魔方陣は効力を発揮する。月の角度は完璧、月の輝き・月の魔力・・・計算通りの結果は次々と起こる。
「神の槍『ロンギヌス』
破滅の槍『カシウス』
万能の槍『グングニール』」
『ランサー』の宝具達は唄い始めた。破滅の唄・万能の唄・神の唄は奏で音を変える。全ての唄は魔方陣に導かれ魔方陣は完成『魔神陣』の誕生だ。
「素晴らしい・・・・完成ですね」
槍は唄を唄う。唄は雲の色を彩る。世界の意味を書き換える。
「完成と言いたいが・・・未完だ。
完璧な複製は不可能・・・完成品に近い本物かな」
本物の魔方陣は・・・存在しない。
本物が存在しない世界を望む少年は本物を嫌う。
「ふむ。
興味深い『完成』を否定する『魔術師』」
「僕は否定を否定する。
僕は『本物』を『否定』する」
「元の物が本物でも?」
「ああ、『否定』する」
全てを否定する少年は自分の存在を否定する。自分の存在意義を自分の魔術を自分の魔術回路を自分の全て否定する。曖昧な概念も自分の名前も全てを少年は否定する。
「僕の望む物は『否定』の世界」
「以前、呟いてましたね。
否定を心理に真相に・・・自分を否定、全てを否定、否定を否定が否定する世界」
途中の意味は不明だ。彼の望む物は『ランサー』の知識では理解出来ない。
そもそも理解する気も聞く気も曖昧な『ランサー』には関係ない話だ。自分の望むが最優先、『マスター』の望む世界は二の次だ。自分を優先は当たり前、相手を優先する馬鹿は只の阿保、両方に接点が有る人間は・・・・知らないな。別に自分が不利な状況に陥らない限り程度の問題で助けるのが『ランサー』の『趣味』だ。
「僕は君の存在も否定する」
「私の存在・・・ですか?」
「君の存在は不確かで曖昧だ。
君の『正体』を知って余計に僕は君を否定する」
「確かに・・・正体を知った人間は貴方が『初めて』ですしね。
普通の人の反応は、それで正しいのかも知れないです」
闇を照らす光は消えない。
否定が困惑する街に彼等は生きている。
常に枷を賭け命を掛ける彼等と共に
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