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俺の知ってる作品でバトルロワイアル

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24話:Splatter Days

 清浦刹那は隠れて過ごしていた。
 コンプレックスだった小さな身体が役に立ち、そこらへんの隙間に入ればたいていの人をやり過ごすことができた。
 運も味方してくれた。
 支給品の一つ、鍵開け専用鉄具(アンチロックブレード)
 鍵穴があるタイプの鍵ならば、専門的な技能も要らずに容易く開けてしまう短剣。武器としての使用は出来そうにないが、これがあるお陰で刹那は一度危険人物二人に見つからずに済んだ。
 なんだったのだろうか、あの獣のような唸り声を上げながら戦っていた着物の女と、それと向かい合っていた針金細工のような男は。
 しかし殺し合いが始まってからはや三時間半。
 刹那を孤独と恐怖が襲っていた。
 なんの力も持たない一般人の刹那に、殺し合いという状況で一人で行動し続けるのは荷が重かった。
「ひっ!?」
 かつん、かつんと。
 そんなただの足音でも刹那にとっては恐怖の対象だった。
 俯きながら歩いていたため、前から来る人影に気が付かなかった。
 慌てて逃げる。
 元来た道を振り返り、全力で駆け出す。

「待って!」

 大きな声がそんな刹那を呼び止める。
 その聞き覚えのある声に思わず足を止めた。


「―――世界?」


 西園寺世界が、そこにいた。







 場所は変わって、とあるファミレス。店名を記した看板にはJoseph'sとある。
 二人は静かに再会を喜び合っていた。
「よかった、早めに刹那に会えて」
「‥‥うん」
 答えた刹那は、世界が何か自分の知らない事情を抱えていることを悟る。
 二人は仮にも親友だ。
「誠や桂さんは、ちょっと今は会いづらくて‥‥」
「なにかあったの?」
 刹那は、親友である世界のために色々と奔走していた。
 いずれ日本からいなくなる自分だから、その前に世界のために出来ることをやっていた。
 何回も、伊藤誠に頼んでいる。世界を選んでくれ、と。桂言葉のことはもう忘れろと。
 かくいう刹那も誠に対し以前から好意を持っていたが、世界のために堪えていた。
 そんなわけで、世界と誠の関係に何があったのか。
 聞き逃すわけにはいかなかった。
「うん、ちょっとね‥‥」
「話して」
「いや、でも刹那にはもう関係無いから」
「関係なくない!」
 思わず立ち上がって叫んだ。
 親友のことなのに。
 関係ないはずがない。
 自然と刹那の目に涙が溜まった。その様子を見た世界は、思わず釣られて涙を流す。
「‥‥実はね、人を殺したの」
 それから、小さな声で世界は語った。
 自分が去ってからの三角関係の顛末と。
 伊藤誠のもたらした結末を。
「‥‥‥」
 聞き終わった刹那は大きな痛みが走るほど唇をきつく噛み締める。
 なんということだ。
 あれほど言ったのに。
 あんなに頑張ったのに!
 世界がここまで追い詰められたなんて!!
 行くべきじゃなかった。
 どんな無理を言おうと、どんな無茶をしようと‥‥‥‥。
 行くべきではなかった!!
「ごめんね、世界」
 謝ることしか出来ない。
 私が旅立った結果、悲惨な事件を起こしてしまう親友に。
「ううん。刹那のせいじゃないよ。どう考えても私が悪い‥‥」
 違う、悪いのは世界じゃない。
 悪いのは世界を捨てた伊藤か、世界を見捨てた私か、伊藤誠を寝取った桂言葉か。もしくはその全員だ。
 言おうとしても、言葉が出ない。
 言っても世界がどうにかなるとは思えない。
「ねぇ、世界」
「ん?」
「今の話で気付いたんだけど、私達連れてこられた時期が違うみたい」
「えっ‥‥」
「私はまだフランスに行ってない。当然世界も人殺しなんかしていない」
 そう。清浦刹那は文化祭中に呼ばれたのだ。
「だから、このまま帰れば世界に忠告することが出来る。フランスに行くのも何とかして止める」
「刹那‥‥」
「一緒に生き残ろう、世界」
 そう言って、彼女の手を取った。
 鍵開け専用鉄具(アンチロックブレード)があれば、生存率は他より高くなるはずだ。
 味方も、首輪をはずす手段もきっと見つかる。
 世界と一緒なら、生きていける。
 感極まった世界が、目から涙を流して刹那に感謝の言葉を述べる。


「刹那‥‥ありが―――」


 それが、西園寺世界の最期の言葉になった。 
 Joseph'sの店内に大きな爆発が起こった。
 丁度、世界と刹那が座っていた席のすぐ近くで、手榴弾が爆発したのだ。
「せ、かい―――」
 なんとか意識を保っていた刹那が起き上がって最初に見たものは。
 右半身が消えて、身体中から骨や内臓や血液をこぼしている西園寺世界の残骸だった。
 言葉を失う刹那は視界の角に走り去っていく中学生くらいの女の姿を見た。





「うまく、いったかしら?」
 Joseph'sから大分離れたところで、女は足を止めた。
 名前を相馬光子という。
 その中学生離れした美貌は、今は全力疾走のために汗で濡れているが、その様子が更なる色気を出している。
 相馬光子はプログラムの途中だった。
 まだ自分の参加しているプログラムが終わってないにも関わらず、また新たに奇妙なプログラムが始まっていた。
 さっき殺した女子二人も知らない顔だった。
 どう考えてもおかしいが、相馬は考えるより行動する方がいいと判断した。




【相馬光子@バトルロワイアル】
[状態]:健康
[装備]:寸鉄殺人の手榴弾×2@人間シリーズ
[道具]:支給品一式、寸鉄殺人の手榴弾×2@人間シリーズ、ランダム支給品二つ
[思考・状況]
基本思考:殺し合いに乗る
1:不意討ちや色仕掛けを多用する
2:桐山を警戒
3:杉村を警戒







―――許さない。
 絶望から一転、刹那をある一つの感情が支配した。
―――あの女。
―――よくも世界を!! 
 涙を流しながら世界の遺体にすがりつく。
 そうしている間にも刹那の中に復讐の決意と怒りが次から次へと涌き出てくる。

「―――殺す」

 静かに、しかし確かに。
 清浦刹那はその骸に誓った。


【西園寺世界@School Days 死亡】






【清浦刹那@School Days】
[状態]:軽い火傷をあちこちに、服が焦げた
[装備]:鍵開け専用鉄具@戯言シリーズ
[道具]:支給品一式、鍵開け専用鉄具@戯言シリーズ、ランダム支給品二つ
[思考・状況]
基本思考:世界の敵を取る
1:相馬光子(名前は知らない)を殺す
2:伊藤誠、桂言葉を憎んでいる 
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