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ウイングマン ビッグプラススモールプラス

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発端、新たなる刺客

 
前書き
■0■ プロローグ

アオイが戻ってきて1ヶ月が過ぎた。
アオイはポドリムスという異次元の世界からやってきた17歳の少女だ。
仲額中学校に通うヒーローに憧れているだけの普通の少年=広野健太の前に、2年ほど前に突然現れ、彼の人生を大きく変えた。

アオイは健太にドリムノートを渡した。
このノートに自分の夢を書けばその夢が現実となる奇跡のノートだった。
しかし、ドリムノートを使って世界を征服しようと企む悪の帝王=リメルとその手下であるシードマンたちからこのノートを守るために、戦いに身を投じることになった。
平凡な中学生からいきなり世界の平和を守る正義の味方になった健太は、途中、健太の彼女で新体操部で活躍する美少女=小川美紅、健太に憧れ同じヒーローアクション部で活動する妹系のトランジスタグラマー=森本桃子、新聞部で特ダネを追い求めるメガネっ娘=布沢久美子らの協力を得て、リメルたちを倒し、アオイたちの世界=ポドリムスを平和に導いた。
そして、アオイはポドリムスに戻り、健太たちの世界には普段の日常が戻ってきた。

それから数日が過ぎたある日――
アオイは再び地球に戻ってきた。
ポドリムスが新たなる敵によって滅ぼされてしまったのだ。
敵の名はライエル。
プラス怪人と呼ばれる怪人たちを率いて、気に入った世界の住人を次々と滅ぼし、その世界を宝石に変えてコレクションしている悪の帝王だ。
ライエルはポドリムスをコレクションに加えると、次のターゲットを地球に定めた。
それを阻止するためにアオイは再び地球に戻ってきた。
最初は自分たちの手で防ぐつもりだったが、すぐに健太たちの知るところとなり、ライエルと戦うために再び健太はウイングマンとして立ち上がった。

ライエルは地球を侵略するために、コウモリプラス、スノープラスと刺客を次々に送り込んできた。
健太たちの前に現れた怪人は今まで戦ってきたシードマンたちよりも強力だった。
ウイングマンに変身し機転を活かすことで退治をすることができたが、戦いはまだ始まったばかりだ。

そして、緊張感を持ったまま健太たちは中学生生活最後の師走を迎えた。
 

 
■ 発端

1.
「コウモリプラスに続いてスノープラスまでやられたか……」
バルドはヴィムに言った。
バルドはライエルの腹心で、地球侵略のトップとして作戦指揮を任されていた。
「ウイングマンとは一体何者なの?」
ヴィムはプラス怪人を開発する研究者にして、バルドの作戦参謀でもあった。
全体が白に統一された空間で2人は地球侵略に関して話し合っていた。
ここは会議を行う空間だ。
セキュリティがしっかりしているため、他人が侵入してくることはない。
安心して秘密事項を話すことができるのだが、椅子以外何もなく、殺風景この上ない。
必要なものは状況に応じて別空間から転移して現れる。
ヴィムはバルドが収集したウイングマンのデータを取り出した。
何もない空間にウイングマンの3Dフォログラム映像とデータが現れた。
ヴィムはそれを読み取りながら不満そうな顔をした。
「わかっているのはそれだけだ」
取り出されたデータはバルド自らが、ウイングマンの仲間と思しき布沢久美子と接触することで得た情報だった。
ヴィム自身もコウモリプラスやスノープラスの戦いで情報を得ていたが、仲間からの情報というのは興味深かった。
しかし、ヴィムがプラス怪人を通して得た情報とバルドの久美子から得た情報ではウイングマンの実力はあまりにも異なっていた。
久美子の情報から判断すれば、ウイングマンはコウモリプラスたちがやられるような相手ではなかった。久美子が嘘をついているのか、情報が古いのか、それとも久美子に見る目がなかったのか。
「もう少し、ちゃんと情報を集めないといけないわね」
ヴィムはため息をつくとそう言った。
「何か策はあるのか?」
バルドはヴィムの考えを尋ねた。
「兄弟を使います」
ヴィムの答えにバルドは納得しかねる表情を見せた。
「あんなんで勝てるのか?」
バルドはヴィムが使おうとしているプラス怪人の実力を疑問視していた。
「どうかしら……」
もちろん、ヴィム自身もバルドの評価はわかっていたが考えがあった。
「でも面白いことはできると思うけど」。
そう言って不敵に笑った。


その日は雲ひとつないいい天気だった。
いつものように健太は美紅と一緒に登校していた。

早起きをして、体力アップのために街中をランニングをする。
それはもう1年半も続いている2人の習慣だ。
リメルを倒して日常が落ち着いてからは、ちょっとしたパトロールも兼ねていた。
ランニングを終えて各々の家に戻るとその日の授業の準備をした後、もう一度待ち合わせて一緒に登校していた。
もともと正義の味方として遅刻するわけにはいかないということで、待ち合わせの時間も早めに設定してランニングの時間を決めていたのだが、続けていくうちに走るスピードもだんだんと速くなっていって、登校の時間もそれに伴ってだんだんと早くなっていった。
気がつけば、朝練もないのにかなり早くに登校するという、遅刻とは無縁の優良な生徒になっていたのだった。

「随分とこの辺りも静かになったね」
人通りも少ない通学路をゆっくり歩きながら美紅が言った。
もともとは今の時間には人通りも少ない通りだった。しかし、先日のスノープラスとの戦いで氷漬けになったこの街は、異常気象ということでテレビにも多く取り上げられていた。
そのためにこの街一帯はちょっとした話題のスポットだったのだ。
あれから数日が経ち、ようやくワイドショーなどでも取り上げられることもなくなり、この辺りも平穏を取り戻してきたのだった。
「確かにね……」
そう言った健太の顔は浮かない表情を浮かべていた。
できるなら無関係の人を巻き込みたくはないと思っていた。
だから、本来ならば物見遊山の人が減ったこと自体は歓迎すべきことだった。
しかしその一方で、メディアがあることがライエルたちの侵攻に対して、少なからず抑止力にもなっているような気もしていた。
現段階では、調査目的ということもあるのだろうが、プラス怪人たちは比較的に秘密裏にことを進めているように感じる。
大都市圏ではなくこんな地方都市から侵略をスタートさせていることもそうだし、侵略というには規模が限定的すぎる。
「でも――」
この感覚が間違いでないのなら、メディアの喧騒が落ち着いてきた今、ライエルたちはそろそろ次の一手を送り込んでくるような気がしていた。
「いつライエルたちが攻撃をしかけてくるかわからないし、気が抜けないよ」
そう言って健太は空を見上げた。


2人が通う仲額中学校の近くにやってくると、校門の前に人だかりができているのが見えた。
「あれ? 何かしら……」
最初に気づいたのは美紅だった。
しかし、動いたのは健太だった。
「ちょっと見てくる」
健太は1人、駆け足で人だかりの様子を見に行った。
人波をかき分けると校門が巨大な岩で封鎖されていたのだった。
これでは歩いて学校に入ることができない。
塀を乗り越えて校内に入ることはできるし、実際、そうやって入ろうとする生徒もいたが、先生に注意されてそれもできなくなっていた。
朝早いのでそれほど多くはなかったが、校内に入れなかった生徒たちは校門の外で待つしかなく、人だかりになっていたのだ。
「広野君、これは一体……」
一足遅れて健太に追いついた美紅が声をかけた。
「こんなことできるのはヤツらしかいない。きっとラライエルたちの仕業だよ」
健太の言葉に美紅は深くうなずいた。
「街の様子を見に行こう」
健太と美紅と学校を通り越して、市街地の方に向かって走り始めた。


2.
「リーダーっ!」
少し行ったところで健太は反対側からやってきた小柄な女子生徒に呼び止められた。
2人を見つけて声をかけてきたのは森本桃子だった。
桃子は健太と共にヒーローアクション部で活動している同級生だ。
部活で作っている健太たちオリジナルの戦隊ヒーロー=学園戦隊セイギマンのメンバーでもある。
健太がセイギマンのリーダーをやっているからなのか同級生なのに健太に対しては敬語で喋りかけてくる。
「よお、ピンク!」
健太は桃子のことをセイギマンの役柄からピンクと呼んでいる。
「どうしたんですか? 学校始まっちゃいますよ?」
学校とは反対方向に戻る健太たちを不思議に思ったのだ。
「もしかして、敵が現れたんですか?」
健太の行動からピンときて2人の後に続いた。
桃子も美紅たちと共にウイングガールズに変身し、ウイングマンをサポートしている。
先日もスノープラスと戦っていたので、ライエルに地球が狙われていることは理解していた。
「学校が今、大きな岩で封鎖されているんだよ」
健太と美紅は進むスピードを少し緩めて、桃子に状況を説明した。
「きっとライエルたちの仕業だ。きっと、また何かを仕掛けようとしてるんだ」
桃子は健太の言葉に頷いた。
「来る途中、何か変わったことはなかった?」
美紅は桃子に質問した。
桃子の家は健太たちの家から学校を挟んで反対の市街地側、まさに進行方向にあった。
何もなければルート変更も考える必要がある。
「そうねえ……別に何もなかったような気はするんだけど……」
自信なさげに桃子が答えたのは登校中の景色をあまり気にしていなかったからだった。
中学3年生、桃子はまさに受験の直前だ。
成績優秀というわけではない桃子としては登校中は大事な勉強タイムなのだ。単語帳に集中していたとしても誰に責められようか。
「勉強しながら来たから、ちゃんとは見てなかったの……」
桃子にしても通学路で登校の邪魔になっていればさすがに気づくだろう。しかし、脇道だったらいくら人だかりがあっても気づかない可能性も高い。
「じゃあ、脇道を気にしながら、駅まで行ってみよう」
健太はそう言うと走り出した。

少しばかり戻ったところで、十字路の先に人だかりが見えた。
3人はとりあえずそこを見に行ってみた。
「え~っ!? なに、これっ!?」
桃子は驚いて思わず声を上げた。
しかし、健太と美紅には予想通りの光景だった。
塀が大岩に押しつぶされたお屋敷がそこにはあった。
「やっぱり、こんなことができるのはライエルたちに違いない!」
健太は確信した。
岩は思いのほか頑丈そうでちょっとやそっとでは崩れるようには思えない。
「これなら危険はなさそうね」
美紅はざっと岩やその周りの様子を確認してみた。
野次馬も少ないし警察もやってきた。これならここで被害がこれ以上大きくなることはないだろう。
「今度は岩プラスかとでも言うのかしら?」
「さあ……でも、そんな感じだろ」
美紅の言葉に健も考えてみた。ライエルたちが何を目的にこんなことをしているのかよくわからない。
ただ、何かをしかけようとしていうことは想像ができた。
何を仕掛けようとしているにせよ、とにかく早くやめさせなければいけない。
健太たちは先を急いだ。
「早く岩プラスを探さないと大変なことになるぞ!」
市街地に向けて走り出した2人に桃子も続いた。
「せっかく来たのに、また家の方に逆戻りなのね……」


3.
街に向かってしばらく行くと、また人だかりが見えてきた。
今度は交差点が岩によってせき止められていた。
そのために道路には車が進むことができず渋滞を引き起こしている。
「あれ? さっきはなかったのに……」
桃子は目を白黒させた。
さすがに単語帳を見ながらでも交差点はちゃんと周りを見て渡っている。この交差点は学校へ向かう途中に通ったばかりだった。
もちろんその時にはこの岩がなかったことは自信を持って言える。
「桃子ちゃんがここを通ってからそんなに時間が経ってないわよね?」
美紅が冷静に状況を確認する。
「うん。せいぜい5分か10分くらいかな……」
桃子も少し前の状況を思い出してみた。
「ということは敵は近いってことか。急ごう! すぐ追いつける!」
そう言うと健太はウイングマンに変身しようとポーズを取った。
「チェイン……」
それを美紅が制した。
「ちょっと待って! 私たちが変身するから、広野君は私たちにつかまって」
ウイングマンは地球の3次元の世界では10分しか変身することができない。変身が解けてから再び変身することができる。しかし、変身には体力的負担も大きい。鍛えているとは言え戦いが熾烈を極めたときには健太が体力不足になってしまう可能性だってある。敵の正体もわからない状態で無闇に変身して健太の体力を損なうのは得策ではないと考えたのだ。
「空から偵察しましょう」
まずは美紅と桃子が変身して飛ぶ。健太は2人に捕まって一緒に空から敵を探そうという作戦だ。
2人は人目につかないところに身を隠すと、胸にW型のバッジをつけた。
美紅と桃子の制服がそれぞれ黄色とピンクがベースのコスチュームにチェンジした。
「ウイングガールズ始動よ!」

変身した2人は健太の両腕を掴んだ。
「リーダー行きますよ!」
そして、イッキにジャンプして空からの偵察を開始した。
上空からだと、一気に見渡すことができる。
いくつも岩が封鎖されている交差点やビルが見える。
その点を追っていくと……
「いた!」
市街地に届く前に雲の塊のような動く物体があった。
「岩プラス……ではないようね」
さらにその場所の近くにまた別の怪しい物体がもう1体あった。
それは砂利の塊のようだった。
詳細はわからないが2体で岩を出しているのは間違いないようだ。
「3対2か……」
健太は2人と顔を見合わせた。
「じゃあ、一気にやっつけちゃいましょ!」
ピンクが勢いで突っ込みそうになるのを今度は健太が制した。
「ちょっと待って。コウモリプラス、スノープラスの件から考えてもあいつらがどんな手を使ってくるかわからないだろ?」
そう言われて、美紅と桃子は立ち止まった。
そして、顔を赤くして下を向いた。
美紅はコウモリプラスの、桃子はスノープラスの戦いで恥ずかしい思いをさせられた経験があった。
「そ、そうね」
美紅と桃子は目を合わせて深く頷いた。
「2人はここで待ってて。とりあえずオレが様子を見てくるから」
健太の提案に従った。

美紅と桃子は2体の怪人のちょうど真上辺りまで飛ぶと、そこで健太から手を離した。
健太はプールに飛び込むかのように急速に落下していく。
「チェイング」
変身の掛け声と共にポーズを決めた。
空中で光に包まれた健太は、光が収縮して消えたときにはウイングマンに変身していた。
そして、2体の怪人の真正面に着地すると、大見得を切った。
「悪列ウイングマン!」

プラス怪人はウイングマンの登場に驚くことはなかった。
「お前がライエル様の邪魔をしているウイングマンとかいうやつか……」
雲型の怪人はそう呟いた。そして、自分の名前を名乗った。
「オレはビッグプラスだ」
横にいた砂利型の怪人もそれに続いた。
「オレはスモールプラスだ。さっそく出てきてくれるとは思惑通りだぜ」
「うまく行き過ぎてビビッてしまうわ。どうやっておびき出せるか考えていたんだが、手間が省けたぜ!」
ビッグプラスはしてやったりの顔だ。
「ビッグプラスにスモールプラスぅ~?」
今までコウモリプラス、スノープラスと比べると名前が抽象的すぎる。
どんな敵なのか健太には想像ができなくて、少し困惑した。
わかっているのは2体のコンビネーションで岩を出現させることができるということだけだ。
「何だか全然わかんないじゃないか……」
しかし、その疑問はすぐに明らかになった。

「これでも食らえ!」
スモールプラスが地面にある小石を拾ってウイングマンに向けて投げてきたのだ。
「なんだぁ、その攻撃は?」
健太は完全に拍子抜けだ。
子供の喧嘩じゃないんだし、小石が当たったところで変身したウイングマンにとっては大した傷を負わせることはできない。
しかし、当然、それだけでは終わらなかった。
投げられたその小石を目がけビッグプラスが光線を放つと光線が命中した小石はみるみる巨大化して大岩となった。
「うわあっ!」
さすがに5m大の岩石となると強化されているウイングマンと言えどそれなりにダメージも受ける。
健太は慌ててその岩を避けて、空き地に転がり出た。
ドーン!
岩石はさっきまでウイングマンの後方にあったマンションの壁にめり込んだ。
「え~ヤバイよ、リーダー大丈夫かしら?」
上空からその戦いを見ていたピンクは思わず美紅の手を握った。
「広野君ならまだ大丈夫よ。私たちが出て行くのはまだ早いと思うわ」
美紅ははやる桃子を抑えた。自分たちがウイングマンにとっては奥の手なのだ。
簡単に手の内を見せるわけにはいかない。

間一髪だった健太に向かってビッグプラスは誇らしげに言った。
「オレの放つ光線は、何でも巨大化できるんだぜ!!」
続いてスモールプラスが近くにあったバイクを持ち上げると、ウイングマン目掛けて投げてきた。
「おらよっ! こんなものも大きくなるぜ」
ビッグプラスはバイクに向けての光線を発射した。
バイクはあっという間に10m以上にだんだん巨大化してウイングマンに迫ってくる。
「そんなのありかよ~っ!?」
健太は慌てて、腰の横についているサーベル=クロムレイバーで真っ二つに切り裂いて、事なきを得た。
と思ったら……
ドカーン!!!
切り裂かれたバイクはウイングマンの後方で爆発してその爆風でウイングマンも吹っ飛ばされた。
巨大化しているだけあってその爆発の規模は半端なかった。
たまたま空き地で戦ってたいたから被害はほとんどなくて済んだ。
しかし――
「これはヤバイ 街中で戦ったら大変なことになっちゃうよ~!」
健太は慌ててジャンプした。
「こんなところじゃまともに勝負できない。ついて来い!」
飛び上がりながら上空で翼を広げ、裏山に向かった。
「待て!」
ビッグプラスとスモールプラスも慌ててウイングマンを追いかけた。
そして、その後ろを美紅と桃子が追かけた。
「やっぱり、あいつらの能力は巨大化なのね」
桃子の言葉に美紅が付け加えた。
「もう1人の怪人の能力が気になるところだけど……まさか怪力だけじゃないと思うんだけど……」
美紅たちの場所からはプラス怪人の名前までは聞き取れなかった。
「まあね。でも今回はやらしいことをしてくるような刺客じゃなさそうじゃない?」
楽天的な桃子に対して美紅は少し用心深かった。
「そうかな……? でも、どの道このまま広野君だけを戦わすわけにはいかないから、いいタイミングで私たちも参戦しましょう」


4.
健太は街外れの裏山にちょうど戦うのにいいスペースを見つけた。
「ここならやつらにあの攻撃されても被害は少なさそうだ……」
そこは裏山の山中にあり街からも外れているので人が来ることもなさそうだ。
自動車やバイクなどものもないので、爆発のリスクも考えなくていい。
健太は急降下し、比較的戦いやすい野原に降り立った。
続いてビッグプラス、スモールプラスと着地する。
「他人のことを気にしてるなんて余裕だな」
「まあここがお前の墓場になるわけだがな。ヒヒヒヒ」
2体のプラス怪人は下品な笑い方をしているが、相当な自信があるようだった。
「早速、戦いに入らせてもらうぜ。さあ、これを避けれるかな?」
そう言うと、スモールプラスが石を投げてきた。
ビッグプラスがその石に光線を当てる。
越井が巨大化した岩石がウイングマンを襲う。
完璧なコンビネーションだ!
「うわっ!」
なんとか避けたと思ったら、またすぐに次の岩が飛んでくる。
スモールプラスは連続して次々と石を投げてくるので健太としては避けるのが精一杯だ。
最初のうちはそれでもなんとか対応していた。
しかし、避けても避けても次々と飛んでくるので動きがついていけなくなってきた。
「ヤバイ」
避けきれずに岩石がウイングマンに命中しそうになった瞬間、どこからともなく放たれたビームがその岩石を打ち砕いた。
「誰だ!?」
ビッグプラスとスモールプラスがビームの放たれた方向を見ると、美紅と桃子が姿を現した。
「広野君、私たちも戦うわ!」
「サンキュー! 美紅ちゃん、ピンク」
ウイングマンも素早く態勢を立て直した。
「これで2対3だ。形勢逆転だぜ!」
 
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