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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories

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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-3 転機の連続
  Story3-7 暖かさと絶望と

シャオンside

 
フレンドシッパーの平均レベルは大幅に底上げされて完全にボリュームゾーンから頭ひとつは抜け出していた。


ある日、ギルドの金が二十万コル溜まりギルドホームを買おうかやユナの装備を新しくしようと出たが

「別にいいよ」

と下を向いて断っていた、そのあと、宿屋からユナが消えた。















ギルドメンバーリストから居場所がわからなかったのは、単独で迷宮区に潜っているからだとみんなは言っていたが、あの臆病なユナが誰にも言わずに迷宮区に行くか?という疑問が出てきて、俺は街中を探した。




ユナを探した俺は索敵スキルから派生した上位スキルの《追跡》を使い、街中の地下水道でユナを見つけた。

「ユナ、どうしていなくなったんだ?」

「私、死ぬのが怖い。怖くて、この頃あんまり眠れないの」

俺はその言葉に絶句した。

「ねえ、なんでこんなことになっちゃったの?なんでゲームから出られないの?なんでゲームなのに、ほんとに死ななきゃならないの?あの茅場って人は、こんなことして、何の得があるの?こんなことに、何の意味があるの………?」

意味……か。

「足跡……だろ。

自分が歩いてきた証を今に残すために……俺は生きる」

「シャオンは……強いね。私なんかすぐに……」

「……ユナは死なない」

「なんでそんなことが言えるの?」

「フレンドシッパーはいいギルドだよ。あのギルドのアットホームな雰囲気があるからこそ、俺はフレンドシッパーにコーチングしたんだ。

フレンドシッパーのメンバーたちが、きっとユナの力になってくれるさ。


前衛だって俺やスコールがいる。すぐにユナが剣士に転向する必要なんてないんだ。ゆっくりと少しずつでいいんだ」

ユナは顔を上げて、俺にすがるように視線を向けた。

「……ほんとに?ほんとに私は死なずに済むの?いつか現実に戻れるの?」

「ああ……ユナは死なないよ、絶対にこのゲームがクリアするまで」



少ししてからアルトたちにメッセージを送り、俺は宿屋に戻った。

俺はユナを無理にすぐに剣士に転向させないこと、前衛の俺に負担がかかることを気にしないでいいと説得してアルトたちは俺とユナの間になにがあったかは気になっていたようだが、俺達のことを思い言わないでくれた。















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
















その日の夜。




ギルドホーム代わりの宿で、俺はベッドに横になっていた。



コンコン ガチャ

ノック音の後に聞こえる開閉音。

「シャオン。枕投げしよーぜ!」

「お金に余裕あったんで枕買ってきたからー」

ユフィー………レン……お前ら最高。


俺は枕投げをするために広い部屋への扉を開けた。



バフッ

「やったー!大成功!」

「イエーイ」


開けた瞬間レンとスコールの枕が俺にあたった。


「お前ら………やったなー!!」


枕をピッチングマシーンの要領で投げる。

「シャオン!枕片方貸して!」

「ほれ来た!」

「それっ!」

アルトの投げた枕がレンにあたる。


「えいっ!」

「それっ!」

スコールとユナの枕がアルトに当たる。


「アルトーー!! お前らーー!」

バフッ

俺の投げた枕がユナの顔に当たる。

「あ………」

「ううう………」

少々泣き顔のユナ。ヤバいヤバい泣かせたらヤバい。
どうにかしないと………

「ユナ………ご、ごめん」

「………てへっ」


バコーン


ユフィー、レン、スコール、ユナが投げた枕が俺に直撃。




「ユナぁ~~そりゃひどいよー」

「シャオン、ごめんねー」















数分後、疲れた俺たちは同じ部屋で頭を寄せあって布団に入った。


「なぁ………」

「ん?」

「シャオンは何で俺たちを助けてくれたんだ?」

レンからの唐突な質問。

「………俺も知りたい」

「………俺には、フレンドシッパーのアットホームな雰囲気が羨ましかった。

だから……自分に足りないものを補おうとして、フレンドシッパーを助けたのかもな」

「じゃあ、私たちは互いに互いを補っているのかな?」

「お、ユフィー。珍しくいいこと言うじゃん」

「うるさいなぁ……もう」

やっぱり、アルトたちは温かいな……心が温かい。

だから、俺は聞きたくなった。

「なぁ…………俺がビーターでも、変わらずに接してくれるか?」

その質問を口にしたとたん、みんながクスクス笑いだした。

「君たちー、俺はまじめに質問してるんだけど」

「だってさ、そんな質問、聞かなくても答えは分かるだろ?」

「うん、そうだね」

「私たちは君がビーターでも、変わらずに接していくよ」

「だって、私たち、フレンドシッパーだもん。

友情は大事にしてる」

「ふふっ……そうだな。聞くだけあれだったな。


アルト……いいメンバーたちだな」

「そう思うだろ?」



そのあと俺を除くメンバーたちは寝てしまった。


俺は、ステータスを確認すると眠りについた。














◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
















三週間位経ち、ギルドホームを買うことになった。

が、枕投げの影響でお金が足りず、フレンドシッパーのメンバーは38層迷宮区に行った。

俺は武器強化のためにリズの店に来ていた。


「久しぶりね、シャオン。素材集めに出かけて以来顔出さないからどうしたかと思ったわよ」

「連絡入れればよかったんだけど、最近ちょっと忙しくてね、忘れてた」

「何してたの?」

「ちょっと中級者のレクチャーをね。今回はこれ、お願い」

「耐久値かなり減ってるわね。強化素材は?」

「ほら、これ」

トレード画面を出して提示する。

「了解。手っ取り早く済ませるわね」


とりあえず暇になったんで椅子に腰掛け、マップでメンバーの位置を見てみることにした。アルト率いる彼らはわりと慎重に探索を行なっているようだ。

何をしているのかわからないが、全員左側の壁に張り付いているようだ。しばらくすると壁の向こう側に移動したではないか。どうやら隠し扉があったらしい。



38層……数ヶ月前、ミズキを連れていき、アラームトラップに引っ掛かった層。あそこの宝箱は高確率でアラームトラップが多い。

もし、宝箱があり、それが罠だったとしたら最悪だ。


隠し扉の部屋は基本的に入り口は一つしかない。

そのため、もし隠し部屋で敵が湧き出てきたら、まずはアラーム源のトレジャーボックスを破壊し、湧き出てきた敵の処理をするしかない。38層だと彼らが敵を全滅させるのはかなり無理がある。


そういった心配をする俺のマップ画面から、プレイヤーの位置を示す四つの光点が一瞬にして消え失せた。

「……!」

思わず息を飲む。

マップ追跡ができなくなる条件はそう多くない。

全滅の可能性はまだ排除していいだろう。あのパーティーなら問題ない。

追跡不可能エリア、これは今のところフィールドにしかない。そうすると、考えられる一番の要因は『結晶アイテム無効化エリアへの侵入』。38層ぐらいの低階層で起こるとは考えられないが、あり得ない訳ではない。

なら、それが起こったのは……

「終わったわよ、シャオン……ってどうしたのそんな顔して!?」

「悪い、この代金はつけとけ!必ず返す!」

リズの手から剣をとると転移門に向かって必死のダッシュ。


「間に合ってくれ……」 













 
 

Story3-7 END 
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