ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
SAO編
Chapter-3 転機の連続
Story3-6 フレンドシッパー
シャオンside
今、俺がいるのは34層迷宮区。
最前線である43層よりかなり下だが、武器強化の素材集めのために来ていた。
もうそろそろきり上げるかな……
と言うことで、出口に向けて歩いていた。
その途中の横道に一組のパーティーがいた。
盾持ちのメイサーが一人、HPゲージがもうすぐイエローになるといった程度に消耗している。
しかし、他のメンバーは長槍使いが二人と棍使い、短剣使いのみで、前衛ができるのが一人だけ。前衛が回復する暇がないようでずるずると後退する形になってしまっている。
このスキル構成はちょっと無理があるな………助けてやるか。
「前衛、支えようか?」
とりあえずリーダーらしき棍使いに声をかけた。
棍使いは少し驚いたように目を見張ると、一瞬ためらい、しかしすぐに頷いた。
「お願いします。危なくなったら逃げていいですから」
「了解だ」
片手剣を構え、前衛のメイサーとスイッチした。
人助けに攻略組も何も関係ない。
そう思い、上級のソードスキルを惜しみ無く解放した。
戦闘が終わると彼らは歓声をあげて勝利をたたえ合った。ソロの俺にとっては非常に珍しい光景だ。
そのまま流れで一緒に街まで向かうことになった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
主街区に到着した俺。
酒場で一杯やりませんかというギルド『フレンドシッパー』リーダーの棍使いアルトの誘いに乗り、一緒に祝杯をあげた。
「そんじゃあ、乾杯!」
「乾杯!」
俺も調子に乗って乾杯した。
「そして、俺達の命の恩人シャオンさんに乾杯!」
「乾杯!!」
少し経って、アルトが口を開いた。
「あのー、大変失礼なんですけど、シャオンさん」
「シャオンでいいよ。あと敬語もなしで」
「じゃあ、シャオン、君のレベルはいくらなんだ?」
「俺のレベルは57。ここには武器の強化素材を探しにきていた」
「え、それじゃ……攻略組、なんですか?」
「あ………そういうことだな」
俺を見つめるフレンドシッパーのメンバー。
なんか……恥ずかしいや。
「攻略組、だったんですね。
もしレベル帯が近いのならメンバーに誘おうかと思ったんだけどね、さすがに無理そうだね」
「そんなことない。コーチングぐらいなら時間割いていくらでもできるさ」
「それなら………ユナ、おいで」
「うん」
ユナと呼ばれた女の子がきた。
「うちのギルドはね見ての通り前衛をできるのがレンしかいなくてね、もう一人欲しかったんだ。
あと……こいつユナっていって、メインは両手用長槍なんだけどまだ熟練度が低いから盾持ちの片手剣士に転向させたいんだ。
けど勝手がわからないらしくて……ちょっとコーチしてやってくれないかなあ」
ユナは大人しそうで小柄な女の子だった。
フローラと似た感じの雰囲気だなぁ……
「何よ、人をみそっかすみたいに」
「うーん……そうだな。じゃあ、ユナのコーチングは俺も頑張ってみるよ。
じゃあ、一つ質問。君たちは、君たちと攻略組ってなにが違うんだと思う?レベル以外に」
「意志力、かな。彼らは何が何でも仲間を守り、全プレイヤーを守ろうっていう意思に満ちているんだと僕は思う。そういう力があるからこそ、ボス戦に立ち向かえるんじゃないかな、って思うんだ」
「この質問に答えはない。でも、君たちの解答は間違ってはない。俺は情報だと思うけど……確かに意志力も必要なんだ」
「なるほど……僕たちはこのままレベル上げを続けていつかは攻略組になろうと思っている。気持ちだけでは彼らに負けているとは思わないよ」
「じゃあ、フレンドシッパーには他に何か欠けてるものがあるってことになるな」
そこで一旦言葉を切る。少し考えてから、再び口を開く。
「アルトたちにかけているものは三つだと思う。まず、『情報』だな。
受動的に受け取った情報も大事だけど、能動的に情報を受けとることも必要だ」
フレンドシッパーの皆は頷く。
「そうだね。あんまり情報とか集めようとしたことないからね」
「二つ目は『適応力』。テクニックと言い換えてもいいかな。
どんな場面においても、『必ずこうなる』という出来事はないと言っていい。
だから、その時々に対応できるような技術がないと前線ではうまく戦えない」
「なるほど……」
「三つ目。これは完全に俺の意見だけど『キラリと一つ光るもの』だな」
その言葉にフレンドシッパーの面々に?マークが出る。
「俺だったら速さかな。少しでもいいから、他人よりもいい能力を突き詰め、それを最大限生かすこと。
適材適所ってやつだな。
で、まあこの三つだけど……一つ目、二つ目は俺のコーチングでなんとかサポートする。
でも、三つ目は自分で見つけるんだ。
こんなのでもいいなら、俺も喜んでコーチングさせてもらうよ」
フレンドシッパー全員が驚き、全員で話をする。
「話はまとまった。君にコーチをお願いしたい。攻略組を目指して精一杯がんばるから、よろしく」
「よろしくな」
俺はフレンドシッパーの全員と固い握手を交わした。
Story3-6 END
ページ上へ戻る