『曹徳の奮闘記』改訂版
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五十三話
「巣湖南岸の濡須口に呉軍が砦を築いているだと?」
朝飯を食べた後に開かれた軍儀で間者がそう報告してきた。
「ほぅ。主、私と凪、焔耶で蹴散らしてまいりましょうか?」
星が俺に言う。
「まぁ待て、そんなに焦るな星。砦を守る将は分かるか?」
俺は間者に聞く。
「は、陸遜と呂蒙のようです」
……あの二人か。
「兵力は?」
「凡そ五千です」
「………多分、こいつらは合肥の様子見の先発隊だな。本隊は後から来るんだろう」
俺はそう判断をした。
「………士気をあげるために先にこの砦を落とすか?」
クロエが聞いてきた。
「………いや、まだ合肥城の周囲の罠は完成していない。完成してからでも遅くはない。それより、お前らは自分らの周辺を警戒してくれないか?」
「どういう事やねん長門?」
「呉には暗殺部隊の甘寧と偵察部隊の周泰がいる。こいつらに寝床をやられたら………」
「成る程。呉の暗殺部隊と偵察部隊は練度が高いですからな」
星は頷く。
「ならば暫くは周辺の警戒と罠の設置を急ぐ……それでよいかの?」
美羽が皆に聞くと皆は頷いた。
「うん。何とか出来てはいるな」
城壁の上から空堀を掘っている真桜の工作隊を見ながら言う。
空堀は反董卓・袁術連合軍の時に掘った落とし穴と一緒だ。
ただ、今回は合肥城周りを掘っているため時間が掛かっている。
今回の落とし穴は二重だと言っておく。
後はまだ内緒だな。
「ニャ~」
「ニャ~」
「ん?」
あ、猫だ。しかも二匹。
「どうした?此処は来たらあかんとこだからな」
俺はそう猫に言いつつ、猫を撫でる。
お、そうだ。猫じゃらし猫じゃらし。
俺は中庭に生えている猫じゃらしを二つ取ってくる。
因みに世界には約百種ほどあるらしい。
そして猫じゃらしは食用らしい。
俺は食べた事はないが、詳しくはウィキで。
「ほれほれ」
「ニャッ!! ニャッ!!」
猫じゃらしをパタパタさせると猫がじゃれる。
………和むなぁ。
「ニャッ!! ニャッ!!」
「ほれほれ」
「はうあ~♪」
「ほれほれ」
「ニャッ!! ニャッ!!」
「はうあ~♪」
………ん?
何か変な声が聞こえるな?
しかも後ろからって………。
「はう~♪」
………俺の後ろには何故かチャイナ服を着て、日本刀の長刀を持った女の子がいた。
「………やるか?」
「いいんですかッ!?」
「そりゃぁまぁ………」
俺は女の子に猫じゃらしを渡すと、女の子は猫と遊ぶ。
「はぅ~お猫様~♪」
女の子が遊んでいるが、取りあえずは………。
ギュッ。
「はうあッ!?」
「敵将周泰を捕縛したァァァーーーッ!!」
俺は女の子―――周泰に抱きついて叫んだ。
―――玉座―――
「あぅ~捕まってしまいました~」
周泰を捕縛した後、俺達は再び軍儀を始めていた。
「何か情けない間者ですね~」
「はうあッ!!」
七乃の言葉に周泰は落ち込む。
「それで周泰は何をしていた?」
「……………」
まぁ普通は黙るよな。
しかぁしッ!! お前が猫好きなのは既にバレている。
「凪、あれを」
「了解です」
「フニャン」
「お猫様~♪」
控えていた凪から猫を手渡されて、かなり大きめの袋に入れた。
『??』
その場にいた皆は俺の行動に首を傾げる。
そして俺は短剣を出して、それを袋に突きつけた。
「さぁ周泰ッ!! この袋の中に入った猫を殺されたくなければお前の任務を言えッ!!」
「………あ、阿呆ね……」
ロッタが溜め息を吐いた。
「えぇぇッ!? お猫様を殺さないで下さいィッ!!」
しかし、猫好きである周泰には効果は抜群なんだよな。
「さぁどうする周泰? お前が全てを話したら猫は殺さない。言わなかったら殺すで?」
………多分、今の俺はかなり悪だな。
「うぅ~で、でもぉ………」
周泰はかなり狼狽している。
「さぁどうする?」
「うぅ~」
……中々言わないな。
「仕方ないな………」
「え?」
ザクッ!! ブシュゥッ!!
俺は袋を突き刺した。
刺した場所から赤い液体が流れてきた。
「い、イヤァァァァァァァァァァァァーーーッ!!」
周泰が城中に響く程絶叫した。
あ、言っとくけど猫はちゃんと生きてるからな。
後書き
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m
ページ上へ戻る