リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第五十二話 二つが一つに戻る時
前書き
エテモンとの最終決戦。
アリサ「さあ、食事が出来たわよ」
大輔「うおお…すっげえ、なんていい匂い…それに見た目もいいし…信じられねえよ…」
アリサ「な、何よ…はやてといい、あんたまで泣きそうな顔で料理を見つめて…」
大輔「俺…ミミさんのように、お嬢様はみんな料理が下手で味覚音痴だと思ってたから…」
ブイモン[あれは凄かったよな…]
なのは「へ?」
アリサ「ぷっ、あははは!!そんなわけないじゃない!!大輔、あんたはちょっとハズレくじを引いちゃっただけよ」
賢「少し失礼じゃないかな?」
すずか「あはは…リリカルアドベンチャー、始まります」
大輔「あのさ、話の腰を折るようで悪いんだけど。俺達、まだ誰も紋章を使った進化が出来ないんだ。オーバードライブじゃあ、エテモンと互角だしな」
最初の戦いで圧倒出来たのは、エテモンがオーバードライブが初見だったからだ。
ナノモン[それなら心配はいらない。二つの力を一つにすればいい]
全員【?】
アリシア「どういうこと?」
ナノモン[かつて、古代のデジタルワールドではアーマー進化と成熟期への進化までが限界だった古代種が編み出した特別な進化…二体のデジモンを融合させ、一体のデジモンにすることで一段階上のレベルに昇華する…]
賢「まさかジョグレス進化?」
ナノモン[そうだ。お前のパートナーはスティングモンで、そこのブイモンはウィルス種とはいえエクスブイモンに進化するようだな。ならば、決まりだ。お前達がジョグレスし、エテモンを倒せ]
ブイモン[ええ!!?]
ワームモン[融合しろって…どうして僕達が融合出来るって分かるの?]
ナノモン[エクスブイモンとスティングモンは、両者ともに古代種と呼ばれる希少種の因子を潜在的に持っているのだ。更にエクスブイモンとスティングモンは元々は一体のデジモンだったという説もある。もしその説が本当ならば、ジョグレスし、二つに別れた力を一つに戻す時が来たのだ。]
大輔「ブイモンとワームモンが元々一体のデジモン?」
賢「じゃあ、あの映像で見たジョグレス体の元となった二体も元々は一体のデジモンだったのかもね」
アリシア「でも…殺すことが救いなんて嫌だな……」
ナノモン[気に病むことはない。エテモンの場合は、暗黒の力の浸食が激しくて、他に手段がないだけだ。私とて、かつての友をダークエリアに送れなど言いたいわけがないだろう。だが、このままではエテモンは確実に消えるのだ。ダークエリアで禁固刑になったとしても、デジタマで転生するにしても、生きることには変わらん。待つことなど苦にならんさ。私達はデジタルモンスターなのだ。お前は私を救ってくれたのだ。救済の方法など、いろいろあるのだ。お前はこれからも捜して行けばいいだろう]
アリシア「うん、ありがとうナノモン。」
大輔「賢…やってみようぜ。可能性があるならジョグレスに賭けてみよう」
賢「ジョグレスか…今まで誰もやったことのない進化…かなり危険な賭けだが、やってみる価値はある」
フェイト「大輔、私も協力するよ」
はやて「私も協力するで賢兄。二人が安心してジョグレスが出来るように」
なのは「私達は周りの敵を倒そう!!」
ユーノ「うん!!」
大輔「よーし、行くぜみんな!!」
全員【おう!!】
ナノモン[いいか?細心の注意を払え、そして全力でいけ。手加減など一切するな。]
大輔「分かってる。さあ!!エテモンとの最終決戦だ!!」
子供達とデジモン達がピラミッドの外に向かう。
外に出た大輔達はパートナーを進化させる。
ブイモン[ブイモン進化!エクスブイモン!!]
チビモン[チビモン進化!ブイドラモン!!]
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
ギルモン[ギルモン進化!グラウモン!!]
ガブモンX[ガブモン進化!ガルルモン!!]
ツカイモン[ツカイモン進化!ウィザーモン!!]
コロナモン[コロナモン進化!ファイラモン!!]
ルナモン[ルナモン進化!レキスモン!!]
フレイモン[フレイモン進化!アグニモン!!]
ニャロモンを除いた全員が成熟期に進化すると、エテモンの手下達に襲撃をかける。
アグニモン[サラマンダーブレイク!!]
アグニモンの必殺の蹴りがモノクロモンに炸裂する。
ウィザーモン[サンダークラウド!!]
ガルルモンX[フォックスファイア!!]
一気に至近距離まで近づいて、必殺技である雷、そして超高温であるがゆえに真っ青な色をした炎を吐き出し、ティラノモンの群れに炸裂させた。
ファイラモン[ファイラボム!!]
レキスモン[ティアーアロー!!]
空中からファイラモンとファイラモンに跨がったレキスモンが火炎爆弾と氷の矢を放ち、笑天門号を攻撃する。
大輔、フェイト、賢、はやては、茶色い布で身を隠しながら少しずつ接近する。
そして笑天門号に近づいた大輔達はナノモンの話を思い出した。
ナノモンが見た暗黒物質は、ほんの一握りの塊だったらしい。
そうでなければ、明らかに質量保存の法則に合わないし、量がおかしい。
ダークケーブル作成をさせられていた記憶が鮮明なナノモンによれば、どこから持ってきたのか分からないし、どうして機械音痴のエテモンが、ダークケーブルなんていう発想を思いついたのか、さっぱりなのである。
何かが背後にいる。
確実にエテモンをそそのかした奴がいるのは明らかなのだが、最後まで狂ってしまったエテモンから聞き出すことは叶わなかったという悔しそうなナノモンの顔が脳裏に浮かんだ。
賢「行くよ大輔。準備はいいかい?」
大輔「勿論だ。大暴れしてやろうぜ賢…さあ出て来いエテモン!!そろそろ決着つけようじゃねえか!!」
大輔の挑発に乗るようにエテモンは笑天門号から出て来た。
エテモン[上等よ!!少しばかり強いからっていい気になるんじゃないわよ。アチキが返り討ちにしてくれるわ!!]
ギターとマイクを構えて、戦闘体勢に入るエテモン。
賢「大輔!!」
大輔「行くぜ賢!!」
D-3を握り締め、目を閉じると、不思議なことにドクン…ドクンと心音が聞こえた。
それもこれは自分の心臓の物ではない。
隣にいる彼の心臓の音。
二人の鼓動が一つとなった。
二つのD-3は突然、輝きを発した。
D-3の輝きと共にまるで走馬灯のように記憶が脳裏を過ぎって行く。
大輔には賢の記憶。
賢には大輔の記憶。
そしてエクスブイモンとスティングモンにも変化が起きる。
エクスブイモン[エクスブイモン!!]
スティングモン[スティングモン!!]
エクスブイモン、スティングモン[[ジョグレス進化!!]]
混ざり合う二つの肉体。
次の瞬間、その場に居たのはエクスブイモンでもスティングモンでも無い別のデジモン。
竜であり、昆虫である姿。
パイルドラモン[パイルドラモン!!]
二つの声が重なり合う。
二つに分かれていた存在が再び一つとなったのだ。
エクスブイモンをベースに強固な昆虫型デジモンの甲殻を身に纏う竜人型デジモン。
そして、D-3のディスプレイにも、変化が起きた。
UNISON EVOLUTION SYSTEM 起動開始。
大輔と賢の身体が光に包まれ、パイルドラモンと融合する。
より強く、より負担を軽減するために。
フェイト「エクスブイモンとスティングモンが融合して…」
はやて「賢兄と大輔さんも融合してもうた…」
エテモン[なあにがパイルドラモンよ!!融合したからって、アチキに勝てるはずないでしょ!!ダークスピリッツ!!]
パイルドラモン[エスグリーマ!!]
パイルドラモンは腕からスパイクを出すと、暗黒球を切り裂いた。
エテモン[な、何ですってえ!!?]
驚愕しているうちにパイルドラモンのワイヤーがエテモンを拘束する。
幾重にも絡みつくワイヤー状の鉤爪がエテモンの動きを封じた。
懸命に振りほどこうともがくエテモンだが、その前にパイルドラモンの生体砲が向けられた。
パイルドラモン[デスペラードブラスター!!]
生体砲から放たれた極太のエネルギー波がエテモンに向けて放たれた。
とてつもない破壊力を秘めた一撃にエテモンは為す術なく消滅した。
フェイト「来て!!エテモンのデータ!!このD-3で浄化します!!」
エテモンのデータがD-3に吸収されると、ディスプレイにデジタマが映る。
主の消滅に呼応するかのように、ダークケーブルも消滅するが、暗黒の力が作り出したブラックホールにパイルドラモンとフェイト達も引っ張られた。
アリサ「大輔!!フェイト!!」
すずか「賢さん!!はやてちゃん!!」
パイルドラモン[くっ…!!]
ジョグレス体であるパイルドラモンの力を持ってしても引力に抗うことは出来なかった。
大輔『皆、心配するな!!必ず…必ず帰る!!』
フェイト「必ず帰るから!!」
パイルドラモンとフェイト達はブラックホールに飲み込まれた。
アリシア「ああ…!!」
ルカ「大輔さん、賢さん、はやてさん、フェイトさん…」
フレイモン[ブイモン達も…]
悲しむ子供達とデジモン達だが、ブラックホールの影響はそれだけに留まらない。
現実世界では亡霊を相手取っていたダスクモンだが、1000体目以降、疲労が顔に浮かんでいる。
このままではじり貧だと舌打ちした時。
突如ダスクモンの五感が、空間の歪みを探知した。
漆黒の闘士は直ぐさま立ち止まり、周囲を見回した。
そして見つけた。
虚空に出現している黒い大穴を。
ダスクモン[…何だあれは?]
空間の歪みだろうが、何故こんな時に?
すると強大な引力によりダスクモンの身体が歪みに引き寄せられる。
ダスクモン[ぐうっ…!!]
ダスクモンは咄嗟に両腕のブルートエボルツィオンを突き刺したが、それを嘲笑うかのようにダスクモンの身体が宙に浮き上がる。
ダスクモン[うわああああ!!]
遂にダスクモンは逆らう術もなく、宙で円を描きながら大穴に吸い込まれてしまった。
大穴は、ダスクモンを飲み込んだ後、徐々に小さくなり、やがて完全に閉じて跡形も無くなった。
後書き
パイルドラモンへのジョグレス進化。
大輔のブイモン単体パイルドラモンは少し名称を変化させます。
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