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『自分:第1章』

作者:零那
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『ホ-ム』

男の所にも帰りたく無い。
行く所も無い。

そんな時、ママがくれた言葉。

『店終わってからでえんなら此処で寝んけんよ。かまんよ』

零那にとっては救いの言葉だった。

娘を手放して辛かった時も、核心には触れず、元気づけてくれた。
プロって凄いなぁ...
ママの優しさと心遣いに感動した。

ママにほんの少し近づけたような...
甘えてしまいたくなるような...
強がって閉じてた蓋を、思わず開けてしまいそうな...
とにかく、泣きすがりたくなった。
さらけ出したくなった。


『レンジ在るしガス在るし冷蔵庫在るし、適当にせんかい。在るもん何でも食べたら良いし。カラオケも練習できるし♪』

面倒見良すぎやし人が良すぎやし!
もし零那がメッチャ常識無くて、店の酒飲まれたら...とか、色々漁られたら...とか、考えんのんかな...
親身になってくれて、本当に器のでかい良い人ってのは解るんやけど...
勿論、店の酒飲んだり色々漁ったりとかもせんけど。
こんな真っ直ぐに、疑う事なく優しくされてしまうと戸惑う。

ママの想いに素直に甘えた。
店で寝泊まりさせて貰う事にした。
大量の荷物や家具は、ママのコネで、運送会社倉庫の一角に、月5000円で置かして貰う事になった。



MATSURIに出勤する日でも、終わればコッチに帰ってくる。
マダお客さんが居れば(状況や人によるけど)隣に、自分もお客さんとして座って、一緒に飲ませていただいてた。
少しでも売り上げを上げようとした。
それに、こうゆう状況の方が気負わずに喋れたりするから、次に繋げられたらって。

MATSURIで飲まん子が居て、その子を見てママがチクッと一言『最低限、自分の給料分は自分で売上げなあかん』って言ってたから...

そのうち、Rougeをホ-ムだと錯覚する様になった。

ママや、店の人とも、喋る事が増えた。
良い意味で慣れてきた。


店の厨房には、フライパンや鍋類、調理器具、食材も買って、置かして貰ってる。
たまに、オ-ダ-として出す一品料理的なんを作らして貰ったりした。
いつも来るお客さんが居て、その人は御飯も此処で食べるから、味見して貰ったり。

ママも、普通に肉じゃがとか作って来たりして。

すごく温かい店。
ママが温かいから。

自分も、ママの肉じゃが食べさして貰った。
すごく優しくて『お母さん』って感じれる温かさに包まれて、感動して、思わず泣いてしまって、みんな困ってた。
ママは『普通よ普通。あははははは』って、笑い飛ばしてたけど...


肉じゃがで感動するとか、初めての感覚で自分自身でも動揺してる。
ママに『零那のお母さんになって欲しい』って本気で想った。
こんな素晴らしいお母さんに育てられてたら、零那は絶対ひねくれずに真っ直ぐ生きて来れたやろうな。
ママに対する想いが膨らんだ。

単純にママの人間性も好き。
でも、母親になって欲しいって感情が芽生えてからは、もっと好きになった。

ママのチカラになりたい。
なんちゃ出来んからチカラにやかなれんけど。

ママになら何処までもついて行く。
頑張らして欲しい。
いやいや逆に迷惑だったりするやろうけど。


若干、きもい要素有りやけど、ママの事を尊敬してた。
人として、ママとして、女として、母親として...
そして、ママの娘なら、最高に自慢のお母さんやなって想った。
『養子縁組して娘にして欲しい』って言った事もある位...

『財産無いで~』って笑ってて、軽くあしらわれたけど。

ママ、養子縁組してって良く言われるらしい。
モテモテ♪

 
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