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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第四十七話 合成

 
前書き
アリサの紋章を手にした大輔達はある場所に…。
賢「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
旅を続ける子供達。
チビモン達に見送られ山を降り、しばらく歩くとその先には砂漠地帯が広がっていた。
歩いても歩いても、砂と地平線と流れる雲以外何も見えはしない。
大輔「暑いな…」
アリサ「本当…」
賢「しかし、これで僕達の紋章とアリサの紋章を合わせて3つか」
賢が自分達が所有している紋章を数える。
自分達は10人なので…。
賢「後、7つか」
なのは「先はまだまだ遠いね」
ユーノ「気長に探すしかないよ」
溜め息を吐くなのはにユーノは苦笑する。
大輔「ようやく成熟期に進化出来たけど。ブイモンは純粋な古代種だから、進化しづらいんだよな…」
最初の課題である成熟期への進化はウィルス種の現代種のエクスブイモンになることでクリアした。
しかし、完全体ともなると、それはかなり困難になる。
古代の因子を宿していたというだけで成熟期、完全体への進化が他のパートナーデジモンより遅れてしまったパタモンのように。
フェイト「紋章がある大輔と賢とアリサは紋章を使った進化が出来るんだよね。」
アリシア「エクスブイモンやスティングモン、ファイラモンより凄いデジモンになるってことだよね?」
大輔「何か想像出来ないけどな」
ようやく成熟期への進化を遂げたブイモンだ。
多分、完全体への進化はかなり後になりそうな気がする。
大輔「…間違っても早まった真似はするなよ。紋章を使った進化はデリケートらしいからな」
アリサ「分かってるわよ」
サーバ大陸の強敵を早く倒さねばならない。
そのためには紋章を使った進化が必要。
しかし万が一失敗すれば制裁が待っている。
すずか「進化に失敗したらどうなるんですか?」
すずかが大輔に尋ねる。
大輔「詳しいことは知らない。でもかなり最悪の事態になるそうだ」
フェイト「私達も紋章を手に入れなきゃ…」
チビモンを抱き締める腕に力が入る。
ルカ「あっ」
ルカが声を上げた。
自身のD-3が反応しているのだ。
チビモン[フェイト、D-3が光ってる]
フェイト「私の紋章が近くにあるのかも!!」
その言葉に素早く反応した大輔が、辺りを探る。
近くに何か古めかしい建造物が見えた。
かなり大きい。
ルカ「きっとあそこに紋章があるんだ……ん?」
砂に埋まった黒いケーブルを見遣る。
ルカ「何でこんな所にケーブルが…?まあ…いいや」
ルカは気にせずコロッセオに向かう。
だがそのケーブルは、エテモンの……。






























エテモン[ストーップ!!!!]
モノクロモンに牽かせた笑天門トレーラーを急停止させ、エテモンはパソコンを弄る。
エテモン[アチキのネットワークに反応があったわ!!L7エリア……コロッセオの近くね]
[…御機嫌ですね]
ガジモンが子供達がいないと知ったエテモンはモノクロモンを爆走させながら探していたことが幸いしたようだ。
エテモン[当っ然!!さあ、行くのよ!!アチキの作戦を台なしにした選ばれし子供達に復讐しに行くのよ!!]






























子供達が辿り着いたそこは、古代ローマ風のコロッセオだった。
かつては賑わっていたのだろうそこも今はすっかり寂れ、不気味なほど静かだ。
だがそれに不似合いな真新しいオーロラビジョンとサッカーゴール。
アリサ「怪しいわね…」
大輔「仕方ないさ。さあ、紋章を探そう。」
子供達が紋章を探そうと足を動かそうとした時。
エテモン[ようやく見つけたわよ選ばれし子供達!!]
全員【え?】
子供達が声がした上を見上げるとオーロラビジョンの上にエテモンが立っていた。
ルカ「…誰?」
エテモン[ふふ~ん、大スターに向かって誰よは無いでしょ?]
オカマ口調に子供達の顔が引き攣る。
エテモン[というか、よっくもアチキを馬鹿にしてくれたわね!?腹が立っちゃったからあんた達を此処で消し去ってあげるわあ!!!!]
全員【………】
あまりの馬鹿でかい声に子供達は思わず耳を塞ぐ。
賢「というか、何のことが覚えが無いんだけど…」
エテモン[シャーラップ!!お黙り!!アチキを馬鹿にすんのもいい加減にしなさあああい!!!!!!!!]
怒りの咆哮。
しかし、勝手に勘違いしたのは向こうなのでどちらかと言えば八つ当たり。
全員【……お前が1番うるさいわあああああっっっ!!!!!!!!】
子供達の心が1つになった瞬間だった。
エテモン[う、う、うるさいですってえええ!!!!?1度ならず2度までもアチキを馬鹿にする気なの!!?ふざけんじゃないわよーっ!!シャーラップ、お黙りなさい!!よっくもアチキをコケにしてくれたわねえ!!このキング・オブ・デジモンである、このアチキを!!デジモンキングであるこのエテモン様おおおおっ!!!!そっちがその気ならこっちにも考えがあるわよ。アチキを怒らせたらどうなるか、教えてあげるわーっ!!!!!!]
どこまでも傲慢かつ傍若無人な暴君は、高々と右手を上げた。
大輔「…来るか!!」
エテモン[ダークスピリッツ!!]
エテモンが子供達に向けて暗黒の球体を乱射する。
子供達は暗黒球を回避しながらD-3を構える。
はやて「皆、進化や!!」
エテモン[ふっふっふ…アチキを誰だと思ってるの?そうよ!!アチキがこの世で1番最強のエテモン様なのよっ!!コンサートはまだまだ始まったばかりっ!!水差すお客はとっとと帰って頂戴!!ラヴ・セレナーデ!!!!]
セレナーデとは、本来、夜想曲や小夜曲などに訳されるドイツ語である。
18世紀ごろに発達した娯楽的な性格の強い多楽章の管楽合奏曲である。
一般的なイメージとしては、夕暮れや満月の美しい夜に、窓辺に腰かけている恋人や美しい女性、准ずる親しい人を讃えるために、ギター片手に演奏されるようなロマンティックな曲、もしくはその情景を称して指す。
断じてロックでギターを掻き鳴らし、シャウトするようなものではない。
しかし、進化の光に包まれていたブイモン達が突如、進化がキャンセルされた。
ダークケーブルの加護を受けているエテモンの必殺技であるラヴ・セレナーデは、本来戦意喪失しかない筈の効果を大きく上回り、デジモン達の進化を阻害するというとんでもない性能にまで向上していたのだ。
大輔「進化妨害なんてアリか!!?」
ダークスピリッツを回避しながら何とか撤退しようと考えるが、エテモンが逃がしてくれるとは思えない。
ブイモン[大輔っ!!通常進化が駄目ならアーマー進化だ!!]
大輔「デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
フレイドラモンにアーマー進化するとエテモンに向かう。
エテモン[何がアーマー進化よ!!ちょっと変わった進化をしたからってアチキに勝てるわけないでしょう!!ダークスピリッツ!!]
フレイドラモン[オーバードライブ!!ナックルファイア!!]
オーバードライブで強化された豪火球がダークスピリッツを砕いた。
エテモン[何ですって!!?]
フレイドラモン[うおおおおおおおおお!!]
拳のラッシュをエテモンに叩き込むフレイドラモン。
元々、完全体ともある程度までは渡り合えるほどにパワーアップしていたのだ。
オーバードライブにより、完全体と同等のパワーアップを果たしたフレイドラモンの攻撃はエテモンに確実にダメージを与えていく。
フレイドラモン[どりゃあああああ!!]
エテモン[ウギャッ!!]
勢いよく殴り飛ばし、コロッセオの壁に叩き込む。
アリシア「凄い凄ーい!!」
エテモンと互角どころか圧倒しているフレイドラモンに、アリシアは歓喜の表情を浮かべる。
賢「(けど、オーバードライブには時間制限がある。制限時間を過ぎたら、しばらくの間、まともに動けなくなる。)」
エテモン[ぐぬぬぬ…こ、ここまでコケにされたのは初めてよ…こうなったらアチキの奥の手!!ダークミュージカルの超強化版!!超絶的破壊音波!!ジャイアンリサイタルーーーーーッ!!!!]
地獄の歌声が響き渡る。
フレイドラモン[う、うわああああっ!!]
大輔「う、うるせええええ!!」
あまりの騒音に全員が耳を塞ぐ。
そしてフレイドラモンのオーバードライブの制限時間が過ぎ、膝を着いた。
そしてあまりの騒音に床が砕けた。
そこには紋章が刻まれた岩が露出していた。
フェイトのD-3が強い光を放ち、紋章はディスプレイに入った。
全員【うわあああああ!!?】
足場を無くし転げ落ちる子供達。
エテモンが悔しげに呻く。






























大輔「痛てて…ここは?」
ユーノ「もしかして地下にある遺跡…?」
すずか「ラッキーだね」
ルカ「…紋章の反応があるよ」
ルカのD-3は依然として反応している。
大輔「探してみよう。」
賢「皆、散開」
子供達は散開して、紋章を探す。
入り組んだ遺跡の為に、行き先が行き止まりだったりすることあった。
アリシアは奥へと進むと、大きな扉があった。
アリシアは興味津々といった感じで、扉を覗いた…。
そして別の場所では紋章が刻まれた壁があった。
ルカがD-3を翳すと紋章はディスプレイの中に吸い込まれた。
ルカ「やった…」
賢「これで5つ…この調子ならすぐに…」
アリサ「ねえ、アリシアは?」
フェイト「え!?」
子供達が慌てて辺りを見回すと、確かにアリシアがいない。
フレイモン[何処行ったんだあいつ?]
チビモン[探そうよ]
子供達がアリシアを探そうと足を動かそうとした瞬間。
なのは「ねえ、あの機械って何かな?」
なのはが扉を開け、中に入ると広い研究室のような部屋だった。
中にはコンピュータ等の電子機器。
複数の大型カプセルが置かれていた。
まるで実験室のようだ。
賢が前に出ると機器を操作する。
コンピュータの画面には様々なデータが羅列している。
かつてのデジモンカイザーとしての経験が皮肉にも役立ち、テキパキと作業を進めていくと、ある単語が目につく。
賢「ジョイントプログレス?」
なのは「ジョ…イント…プログレス…?」
はやて「何やの?それ?」
大輔「ジョイントは“接合”。プログレスは“進歩”を意味する単語だ。」
賢「ジョイントプログレス進化…略してジョグレス進化は、二体のデジモンが融合し、より高い能力を持った個体へと進化する方法。どうやらここでは、その研究をしていたらしいね」
ユーノ「ジョグレス進化…具体的にどんなデジモンが?」
賢「えっと…あった。シャッコウモン、古代種のエンジェモンとアンキロモンがジョグレス進化したことで誕生した完全体デジモン」
画面に映ったのは、エンジェモンとアンキロサウルスを思わせるデジモンがジョグレス進化したデジモンと思われる土偶のようなデジモン。
アリサ「ちょっと待ちなさいよ。何で天使と恐竜の組み合わせでこんな格好悪い土偶になるのよ?土偶になる要素ないじゃない」
ルカ「確かに…他には無いの?賢さん?」
賢「そうだね…シルフィーモン。古代種のアクィラモンとテイルモンがジョグレス進化した完全体デジモン」
画面に映るのは、アクィラモンとテイルモンの特徴を微妙に残したデジモン。
アリサ「どっちにしろダサイわ」
なのは「うん、ダサイ」
ユーノ「全く持ってダサイね」
酷評であった。
アクィラモンとテイルモンのジョグレス体涙目である。
賢「じゃあ、最後にこれ…」
最後に見せたのは、ウォーグレイモンとメタルガルルモンが融合した聖騎士。
遥か昔“古代デジタルワールド期”に発生した極度の“デジタルクライシス”時に、2体の究極体デジモンのウォーグレイモンとメタルガルルモンが平和を願う人々の強い意志によって融合し、誕生した聖騎士型デジモン。
究極体を越えた合体究極体。また“ロイヤルナイツ”の一員としても高い地名度を誇っている。
右腕はメタルガルルモンの特徴を色濃く残しており、大砲やミサイルなどが装備され、左肩には“ブレイブシールド”、腕には“グレイソード”と呼ばれる剣を装備し、こちらはウォーグレイモンの特徴が強く現れている。
剣と大砲による攻撃、“ブレイブシールド”による防御、そして回避時や飛行時に自動的に出現する背中のマントなど、如何なる状況下の戦いにおいても対応する事が出来る優れたトータルバランスを持っているデジモン…オメガモン。
なのは「凄い……」
ユーノ「何と言うか…神々しいね…」
なのはとユーノがオメガモンの画像に見惚れる。
ガブモンX[他にはないの?]
賢「あるけど、データが破損している。これ以上は無理だね。でもいいものが見れたよ。他には…デジゲノムのプログラムファイル?色々なデジモンのデジゲノムがあるな…スナイモンや、テイルモン、他にも色んなデジゲノムがある。これをコピーしていくか。」
空のデータディスクを入れ、内容をコピーしていく。
しばらくするとコピーが完了した。
そしてアリシアのことを思い出し、探そうとした瞬間。
アリシア「皆ーーーっ!!」
全員【?】
ニャロモン[みんな、早く逃げて!!スカルグレイモンが!!!!]
全員【はあ!?】
子供達がアリシアが来た方向を見遣ると確かにスカルグレイモンが暴れていた。
大輔「何やったんだお前!?」
アリシア「向こうに大きな扉があったから何かあるのかなあって…」
アリサ「馬鹿ーーーっ!!!!!!」
賢「皆、出口に飛び込め!!」
全員が急いで出口に向かう。






























一方その頃、エテモンは子供達が落ちた穴を見つめていた。
エテモン[ちょっと、早く出て来なさいよおおお!!!!アチキのコンサートはまだ終わってないのよ!!!!]
エテモンが穴に向かって叫んだ。
叫んだところでどうしようもないだろうに…。
大輔達は外に出た。
エテモン[やっと出て来たわね!!]
大輔「悪いな!!俺達帰るぞ!!」
エテモン[へ?]
エテモンは思わず間抜けな声を出した。
ツカイモン[武運を祈る!!]
チビモン[頑張ってねーっ!!]
アリシア「さよならーっ!!!!」
フレイモン[言ってる場合か!!逃げろーーーっ!!!!!!!!]
ギャン!!
子供達はF1のレース車が通り過ぎる効果音が聞こえてきそうなくらいのスピードでコロッセオから消えた。
子供達が消えた途端、地響きが起きた。
エテモン[な、何!?]
呆然としていたエテモンが驚いて、辺りを見回すと石畳から腕が飛び出してエテモンを捕まえる。
[ス、スカルグレイモンだああああ!!!!]
ガジモンが驚愕のあまり、大声を出した。
モノクロモンはスカルグレイモンの出現に驚いて、逃げ出してしまう。
ついでにガジモン達も。
エテモン[ちょ、ちょっと待ちなさいよおおお!!!!]
エテモンがスカルグレイモンの腕から逃れると、笑天門号を追い掛ける。
スカルグレイモンも追い掛ける。






























こうしてエテモン達とスカルグレイモンの鬼ごっこはしばらく続き、終わった時には、エテモンと子供達との距離が途方もないものになっていたのは言うまでもない。
エテモン[ウッキィイイイイイイッ!!覚えてなさい選ばれし子供達ぃいいいいいいいいいっっっっ!!!!!!!!]
エテモンの怒りの咆哮が砂漠地帯に響き渡った。 
 

 
後書き
ジョグレス進化について。
シルフィーモンとシャッコウモンのデザインには当時愕然となりましたね… 
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