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大陸の妖精

作者:sinの妖精
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楽園の塔



ポーカーテーブルの上には5枚のカードが並べられている


カードは全て♠で統一されており、10からAの数字が綺麗にそろっている


いわゆるロイヤルストレートフラッシュというやつだ



ルーシィ「すごーいエルザ!!」


エルザ「ふふ・・・今日はついてるな」


賭け金を何倍にも増やすエルザに思わず歓声をあげるルーシィと周りの観客たち




そんな中、褐色肌の男がエルザの目の前に立つ



「ディーラーチェンジだ」


エルザ「今なら誰が相手でも負ける気はせんぞ」


ルーシィ「だね」


「だったら特別なゲームを楽しまないか?賭けるものはコインじゃない」


そう言った褐色男はカードをシャッフルした後、テーブルに5枚のカードを並べた


そのカードには数字ではなくD、E、A、T、Hの文字が記されていた



エルザ「・・・?」


「命 かけて遊ぼ・・・エルザ姉さん」


エルザ「・・・ショウ・・・!?」


エルザは声を震わせながら褐色男の名前をぼやいた



ルーシィ「姉さん?・・・え?」


いまいち状況が飲み込めずにいるルーシィ



ショウ「久しぶりだね、姉さん」


エルザ「無事・・・だったのか?」


ショウ「無事?」


エルザ「あ・・・いや・・・」


ショウの声を聞くたび、エルザはその身を震わせていた










その頃、ジュビアをぶっ飛ばした巨漢と対峙していたアルト


「エルザはどこだ?」


アルト「知らねえよ」


「どこだ?」


アルト「知らねえって言ってんだろ、何者なんだお前は・・・」


同じ質問を繰り返す巨漢と「知らない」という返答を繰り返すアルト



すると突然、吹っ飛ばされたジュビアがその身を液状に変えてアルトの前に立つ



ジュビア「アルト様には指一本ふれさせない、ジュビアが相手します」


アルト「ジュビア・・!!」


ジュビア「エルザさんの元へ・・・危険が迫ってます」


ジュビアがそう言った直後、突然巨漢の男が自分の頭に指をかざしあてる



巨漢「もう見つかっただと?ほう・・・そうか・・・じゃ、片つけていいんだな?」


次の瞬間、巨漢の「了解」という言葉と同時に辺りが暗闇に包まれる


暗さは徐々に増していき、やがて周りがまったく見えないほど真っ暗になった



ジュビア「えっ!?」


アルト「なんだこりゃ!?何も見えねえぞ!!?」


巨漢「闇の系譜の魔法・・闇刹那」


アルト「くっ・・・!!」






ナツ「が(な)・・・がんが(なんだ)!?こんごわ(こんどは)!!!」


ハッピー「ナツー!!ドコー!!」


「グッナイ、ボーイ」


かくかく男がそう言った後、一発の銃声音が響いた






ルーシィ「な・・何コレ!?暗っ!!!」


エルザ「何が起きた!!?」


エルザ達が慌てて辺りを見渡す


ある程度の時間が経った後、辺りが徐々に明るくなる



エルザ「ショウ!?」


ショウ「こっちだよ、姉さん」


辺りが完全に明るくなった後、ショウがエルザの前に姿を現しその場にカードをパラパラと落とす



ルーシィ「ええっ!?人がカードの中に!?」


落とされたカードの中には先ほどまでその場に居た観客やカジノ従業員が閉じ込められていた



ショウ「不思議?オレも魔法を使えるようになったんだよ」


エルザ「魔法!?・・・おまえ一体・・・」


ショウ「ククク・・・」


怪訝そうな表情でショウを見つめるエルザ


すると突然ルーシィの背後からチューブのような縄が伸びてきて、ルーシィの身体を強く縛り付ける



ルーシィ「うっ・・な・・何これぇ!!?」


「みゃあ、元気最強?」


チューブを操っていたのは猫耳をつけた少女だった



エルザ「ミリアーナ!?おまえも魔法・・を!?」


ミリアーナ「久しぶりー、エルちゃん」


エルザ「何をしている!?ルーシィは私の仲間だ!!!」


ミリアーナ「みゃあ、仲間?」


ショウ「僕たちだって仲間だったでしょ?姉さん」



エルザ「う・・ああ・・・」




ショウ「姉さんがオレたちを裏切るまではね」




ショウが生気のない目でエルザに言い放つ


するとエルザは震えながら無言で自身を抱き締める



「そうエルザをいじめてやるな、ショウ・・・ダンディな男は感情をおさえるモンだぜ」


エルザたちの前に先ほどナツと争っていたかくかくの男が現れる



「すっかり色っぽくなっちまいやがってヨ」


エルザ「そ・・その声は・・・ウォーリー?」


ウォーリー「気づかねえのも無理はねえ、狂犬ウォーリーと呼ばれていたあの頃にくらべて、オレも『まる』くなったしな」


エルザ「お前も・・・魔法を・・・」



巨漢「驚く事はない、コツさえつかめば誰にでも魔法が使える・・・なあエルザ」


エルザ「シモン!?」


今度は先ほどアルトたちと争っていた巨漢が姿を現す



ルーシィ「エルザ・・・こいつら何なの!?姉さんってどういう事!?」


エルザ「本当の弟じゃない、かつての仲間たちだ」


エルザの一言にルーシィは驚く



ルーシィ「仲間・・・って、エルザは幼い頃からフェアリーテイルにいたんでしょ!!」


エルザ「それ・・以前という事だ・・・おまえたちが何故ここに・・・」


ウォーリー「あんたを連れ戻しにサ」


ミリアーナ「みゃあ」


エルザ「ルーシィを解放してくれ」


ショウ「帰ろう姉さん」


脅えるエルザの言葉を無視し、ウォーリーはルーシィに向かって銃を突きつける



ウォーリー「言う事聞いてくれねえとヨォ」


ルーシィ「ひぃい」


エルザ「よ・・・よせ!!頼む!!やめてくれ!!」


叫ぶエルザの背後にウォーリーの右腕だけが出現する


そして素早くエルザを撃ち抜いた



エルザ「あ・・・」


撃たれたエルザは意識を失い、その場に倒れ込んだ



ルーシィ「エルザー!!!」


ウォーリー「睡眠弾だゼ」


シモン「目標確保、帰還しよう」


そう言って、眠っているエルザを抱きかかえるシモン



ルーシィ「ちょっと!!エルザをどこにつれていくのよ!!!返しなさいよ!!!」


ミリアーナ「みゃあ」


ルーシィがチューブを解こうと地面の上で暴れまわる


そんなルーシィをみたミリアーナはチューブの縛る強さを更に強めた



ルーシィ「うぐ・・・ああああっ」


ミリアーナ「あと5分くらいで死んじゃうよー君ィー」


冷徹な表情で言うミリアーナ



ウォーリー「そういやミリアーナ、君にプレゼントだゼ」


そう言ってウォーリーが取り出したのはナツの相棒ハッピーだった



ミリアーナ「みゃあ!!ネコネコー、もらっていいのー!!?」


シモン「ミリアーナ、エルザを拘束しろ」


ミリアーナ「みゃあ、ネコネコー」


ウォーリー「ミリアーナ頼むゼ」


ミリアーナ「みゃあ♡」


ハッピーを受け取りかなりご機嫌なミリアーナ



ショウ「姉さん・・・帰ってきてくれるんだね」


目に涙を浮かべているショウは、嬉しそうに言った




ショウ「〝楽園の塔〟へ・・・きっとジェラールも喜ぶよ」


エルザは薄れゆく意識の中で思った



エルザ「(楽園の塔!!?か・・完成していたのか!!?)」

 
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