ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-2 1層攻略
Story2-4 ボス戦、開幕
第3者side
攻略会議の次の日の午前10時。
トールバーナの広場に、全員が集まっていた。
先頭に立った青髪の騎士ディアベルが声を上げる。
「みんな!いきなりだけど、ありがとう!
たった今、全パーティ44人が1人も欠けずに集まった!」
その言葉の後、一斉に歓声と滝の様な拍手が広場を揺らした。
その中には勿論キリト、シャオン、そしてフードを被ったアスナもいた。
「実を言うとさ、オレは1人でも欠けたら今日の作戦は中止にしようと思ってた!でも、そんな心配はみんなへの侮辱だったな!
今日、オレは最高のレイドが組めて凄く嬉しい!オレが言う事は1つだ。誰も欠けることなく帰ってこようぜ!」
右拳を突き出し高らかにそう宣言する。
そして笑顔で答える者、口笛を吹き鳴らす者、そして同じように拳を突き出す者。
彼のリーダーシップに今更ケチをつけるものなどはいない。
実際に大したものなのだ。
これからの戦いは誰も経験したことのない命を賭した戦いとなる。
その上で、メンバーを集め、奮い立たせたこの手腕は賞賛の域に値する。
だが、緊張し過ぎれば、恐怖心を呼び起こす毒になるように、楽観もしすぎると油断を呼ぶ。
Bテストの時ならば、勢い余っての潰走もただの笑い話になるだけなのだが。
そう考えたキリトの肩に、感触があった。
「んじゃ、気を引き締めなおすか」
「ああ。そうだな」
キリトも同意した。
これから何が待ち受けているかわからない。
だからこそ、想定外の事も視野に入れなければならない。
非常に頼りになるもの同士、互いに拳を出し、あわせていた。
「おい」
キリトがアスナを呼ぶ。
「出発だぞ」
そう言うと、アスナは頷き、後ろに続いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ある程度進んだところでキリトは、声をかける。
「確認するぞ。俺たちアブレ組の役目はルインコボルト・センチネルって言うボスのとりまきだ」
そう言うと、皆が頷いた。
「俺が奴らのポールアックスをソード・スキルで跳ね上げさせるから、アスナはすかさずスイッチして飛び込んでくれ。
シャオンは1人でOKだろ?」
「まぁな。
それと、どれだけ腕が上がったか……お手並み拝見させてもらうかな」
「見てろよ……やってやるさ」
キリトの腕に力が入った。
だが、このやり取りを見ていたアスナは
「ねぇ、スイッチって?」
そう聞いていた。
「あ、もしかして知らない?パーティ組んだこと、ない?」
シャオンがそう聞くが、首を縦に振る事はなかった。
「んじゃ、説明するよ」
シャオンが分かりやすく解説し、無事にチュートリアルを終了できた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
午前11時に迷宮区に到着し、午後12時半に最上階踏破。
何とか無事に全員がここまでこれた事に内心安心する。
どのような事でも、『初めて』がつく行為は例外なく事故の危険性を内包している。
こんな大人数で、決して広くは無いダンジョンを歩いている。
突然の奇襲にパニックを起こしてしまえば相応に危険となる。
この世界において、偶発的なプレイヤー同士の誤爆はダメージにはならない。
が、通常攻撃もソードスキルも停止してしまう為、敵前でそんな事になれば非常に危ないのだ。
特に長モノの武器を装備しているものにはその危険が付きまとう。
そこでも、ディアベルの手腕の見せ所だった。
適切な指示を送り、スイッチの効果的な使用。敵の行動を読んだ攻撃法。
見ていたシャオンたちも頷く程のもので、限りなくパーフェクトだった。
日ごろからリーダー職に慣れていなければとても出来るようなことではない。
「心配無用だな」
「ああ、そうだな」
あの青髪の騎士にはそのリーダーの哲学があり、もうここに至れば全面的に信頼するのがレイドメンバーとしての義務だ。
そして大人数のレイドはBossの玉座がある部屋の前にたどり着き、巨大な二枚の扉を見た。
その事で メンバー全体に緊張が走る。
「いいか……」
「ああ」
「俺たちの担当のルインコボルト・センチネルもとりまきとは言っても決して雑魚じゃない。相手も武器・スキルを使ってくるぜ」
「分かってるさ」
そう話す。
「あいつ等は皆、鎧を着ている。だから、その部分は攻撃しても貫けない。貫けるのは……」
「喉もとの一点のみ、だろ。大丈夫、俺に任せろ」
はっきりと答えた。
キリトと共にいるアスナも大した手練れだ。
ここまでの雑魚戦でも見ていた。
確かに素人的な動きだったが、レイピアの技だけは目を見張るものがあった。
閃光のように放つ〔リニアー〕のスキル。
基本技を必殺とも呼べるまでに昇華させたのだ。
序盤で覚える技が普通ならそこまで通用できるものじゃない。
だが、アスナはそれを体現していた。
「じゃあ、行こうぜ」
シャオンは笑うと前を向いた。
叫び声は扉を透過してしまう為、ディアベルが静かに扉に手をかけた。
だが、その目は言わずとも皆に伝わっていた。
『勝とうぜ!』と。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ゴォォォ
扉を開くとその先は非常に広い空間。
一歩、一歩と進むと空間が明るくなる。
そして、
グルオォォォォ!!!
奥の玉座で座っていたであろう、第1層フロアボス≪イルファング・ザ・コボルド・ロード≫がその巨体からはありえない跳躍で飛び掛ってきた。
そして、とりまきである≪ルインコボルト・センチネル≫も同様にだ。
「攻撃、開始!!!!」
『うおおおおおおおおお!!!!』
ここに、己の命をかけた第1層Boss戦が開幕した。
Story2-4 END
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