ドリトル先生と学園の動物達
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第一幕その五
「もう僕も中年だからね」
「そう、それなら余計にね」
「結婚しないと駄目なんだね」
「そうだよ、ちゃんとね」
「相手を見付けて」
「そうしてね」
こう先生に言う王子でした、トミーも王子のその言葉に頷いています。先生は大学のお茶の時間にこうしたお話をしていました。
そしてです、そのお話の後でなのでした。
先生はお家に帰ってそうして動物達に大学で王子とトミーに言われたことをお話しました、トミーはお風呂に入っていてこの場にはいません。
そのお話を聞いてです、まずはダブダブが言いました。
「そうよ、先生もね」
「早く結婚しないとだよね」
「駄目よ、いつも言ってるじゃない」
ダブダブは先生の傍で羽根をばたばたとさせながら言うのでした。
「早く結婚しなさいって」
「それでなんだ」
「先生一生独身でいいの?」
ダブダブの言葉はかなり真剣です。
「それで」
「いや、そう言われるとね」
「そうでしょ、よくないわね」
「だからなんだ」
「そうよ、結婚してからがね」
「うん、人生のはじまりだよ」
「私達もそうだったのよ」
チープサイドの夫婦も言ってきました。
「それまでは幾ら楽しくて充実しててもね」
「まだ完全じゃないのよ」
「だからね」
「先生も早く結婚するのよ」
「ううん、人気があることはいいけれど」
それでもと言う先生でした、どうにもというお顔で。
「ただね」
「先生から声をかけることはないからね
ガブガブが先生のお傍で言います。
「はにかみ屋さんだから」
「そもそも先生って女の子とお話したことあるの?」
トートーが木の足掛けから先生に言ってきました。
「学生時代から」
「ううん、それがね」
「ないんだ」
「あまりね、そういうことは得意ではないからね」
実に先生らしい返事でした。
「そうしたことはね」
「やっぱりね」
「どうも女の子とお話することはね」
「それが駄目だと思うけれどね」
トートーも先生のそうしたことがわかっていますがそれでも残念で言うのです。
「そこでね」
「声をかけて」
「そうしないとね」
「だから先生は性格は問題がないから」
こう言ったのはポリネシアでした。
「少し仲良くなれればね」
「そうそう、先生ならね」
チーチーも言います、その長い手を動かしながら。
「絶対にいい人と一緒になるよ」
「悪い人と結婚したら駄目だけれどね」
ジップはこのことを心配するのでした。
「世の中悪い人も多いから」
「それは僕もわかっているつもりだけれど」
先生はこれまでの人生からジップに答えました。
「それでもなんだね」
「そう、先生は女の人には疎いから」
「患者さんでなら接しているけれどね」
「患者さんとはまた違うから」
今度指摘したのは老馬でした、お庭でオシツオサレツと一緒にいてお顔をぬっと出して先生に言うのでした。
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