リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第二十九話 異常
前書き
大輔達がデジタルワールドに向かった時、クラナガンに異常発生。
なのは「リリカルアドベンチャー、始まります!!」
クラナガンでは一輝がレオルモンとシャッハと共に街を歩いていた。
一輝はカリムに日頃の礼を買いに行こうとしたのだが、カリムが喜びそうなのはさっぱり分からないため、シャッハを道連れにしたのである。
一輝「なあ、シャッハ。カリムが喜びそうなのって何だ?」
シャッハ「騎士カリムなら、あなたからの贈り物なら何でも喜ぶかと…」
一輝「とは言っても、カリムはお嬢様だろ?ケーキとかじゃ流石に駄目じゃねえのか?菓子とか結構な頻度で作ってるし」
シャッハ「まあ、確かに…」
確かに一輝が教会に身を置いてからは、手作りのケーキ等が出て来るようになった。
しかも、その味は普段食べていた店のケーキを上回るほどに絶品。
表情には出さないが、シャッハは一輝の菓子作りの腕を称賛していた。
しかし一輝の言う通り、菓子はかなりの頻度で出ているために他のをという気持ちも分からなくはない。
公園を通り掛かった時、ボールがこちら側に転がってきた。
一輝はボールを拾うと、転がってきた公園の方を見る。
スバル「ボール何処に行っちゃったのかなあ?」
シャッハ「あの子のボールのようですね」
一輝「だな。おい!!」
スバル「?あ!!」
一輝「お前のか?」
スバル「ありがとうお兄ちゃん!!アグモ~ン!!ボールあったよ!!」
一輝「え?」
アグモンX[本当に?]
スバルに向かって来るデジモン。
確かにアグモンではあった。
しかし、普通のアグモンとは違い、尻尾にグレイモンの模様が出ている。
レオルモン[一輝…]
アグモンX[あ、レオルモンだ]
スバル「レオルモン?」
アグモンX[俺と同じデジモンだよ。えっと…俺はアグモンXって言います。長いからアグモンって読んでもらってます]
レオルモン[アグモンX?そんなアグモンがいるの?]
アグモンX[俺は何か、他のアグモンとは違う進化をしたみたいなんだよね。突然変異って奴なのかも]
一輝「突然変異か…。まあ、デジモンの進化に今更あれこれ言っても仕方ねえしな…」
スバル「アグモンはね?お空から降ってきた卵から生まれたんだよ?」
一輝「空から?」
スバル「これも一緒!!」
スバルが取り出したのはD-3。
これには流石に一輝も目を見開いた。
一輝「(この世界の選ばれし子供?なら、他の子供も既に選ばれているのか?)」
スバルだけが、選ばれているはずがない。
他にも選ばれし子供がいるはず。
その時である。
一輝「っ!!」
一輝は咄嗟にスバルとシャッハを抱えて飛び上がる。
一輝がいた場所に一つの影がある。
レオルモン[レオモン…!!?いや、違う…!!]
アグモンX[あいつは…]
一輝「両腕と両足にタービンみてえなのが付いてやがる…」
レオルモン[あいつはグラップレオモンだ!!僕が進化する形態の一つ!!]
一輝「レオルモン、進化だ!!」
レオルモン[うん!!レオルモン進化!レオモン!!]
成熟期へと進化するとレオモンはグラップレオモンを迎撃する。
一輝「おいシャッハ!!その子とアグモンを連れて遠くへ行け!!」
シャッハ「し、しかし…」
一輝「早くしろ!!こいつはお前が敵う相手じゃねえ!!」
スバル「あ!!」
一輝「っ、レオモン!!?」
スバルの声に反応して、レオモンの方を見遣ると、レオモンの刀がグラップレオモンの拳に砕かれていた。
アグモンX[レオモンが!!]
一輝「レオモン!!ヒット&アウェイだ!!」
レオモン[了解!!]
レオモンは一気にスピードを上げ、一撃を入れて距離を取る戦法を取る。
成熟期と完全体の力の差は凄まじいが、全くどうしようもないわけではない。
少しずつダメージを与えていけば勝てる。
しかし、一輝は失念している。
グラップレオモンはただの完全体ではない。
優秀な戦闘種族であるレオモンが進化する形態の一つなのである。
そのため、グラップレオモンが進化前のレオモンより能力が劣るはずがない。
グラップレオモン[高速タービン回し蹴り!!]
グラップレオモンはレオモンより遥かに速いスピードで動き、レオモンの脇腹に強烈な回し蹴りを喰らわせた。
レオモン[がっ!!]
蹴られた脇腹から何かが砕ける音がした。
グラップレオモン[獅子獣破斬!!]
追撃にグラップレオモンは腕のタービンを極限にまで高速回転させて、重力を捻じ曲げるほどの重い一撃をレオモンの腹部に打ち込む。
グラップレオモンの拳がレオモンの腹部を貫いた。
シャッハ「っ……!!」
思わずシャッハは手でスバルを目を覆う。
見かねたアグモンXがグラップレオモンに突撃した。
一輝「馬鹿!!無茶だ止せ!!」
アグモンX[ベビーバーナー!!]
通常のアグモンより一回り大きい火球がグラップレオモンに迫るが腕の一振りで掻き消す。
それでもアグモンXは諦めずにグラップレオモンに必殺技を放つが、逆にグラップレオモンに殴り飛ばされた。
スバル「アグモン!!」
アグモンX[ぐっ、まだまだ!!]
体当たりを喰らわせるが、いくら突然変異の進化を遂げたとはいえ成長期の攻撃など効かず、振り払われてしまう。
それでもアグモンXは立ち上がり、グラップレオモンに突撃する。
一輝「あ、あいつ…」
絶対に勝ち目がない相手に立ち向かうことはただの無謀に見えるかもしれない。
しかし、今の一輝の目にはアグモンXの背中が大きく見えた。
レオモン[か、一輝…]
腹に風穴が空きながらも起き上がろうとするレオモンを一輝は手で制した。
ポケットから“信念”の紋章を取り出す。
その時。
スバル「アグモン!!」
一輝「!!?」
スバルの声に反応した一輝が振り向くとアグモンXがグラップレオモンの足に背中を踏まれていた。
アグモンX[うぅ…!!]
グラップレオモンはアグモンXを踏み潰そうと足に力を込めた。
アグモンX[うわああああっ!!!!]
スバル「アグモーーーン!!」
スバルの叫びに反応するかのように、D-3から光が溢れた。
その光はアグモンXを包み込み、グラップレオモンを弾き飛ばした。
アグモンX[アグモン進化!グレイモン!!]
アグモンXが通常のグレイモンとは違い、角が鋭いのが特徴のグレイモンXに進化した。
一輝「普通のグレイモンと違う…!!?」
スバル「アグモン…なの?」
グレイモンX[そうだよ。今はグレイモンXに進化したんだ]
シャッハ「危ない!!」
グラップレオモンがグレイモンXに拳を繰り出すがグレイモンXは尾でたやすく防いだ。
そればかりか、尾を勢いよく振るい、グラップレオモンを弾き飛ばす。
グレイモンX[メガバースト!!]
通常のグレイモンのメガフレイムよりも強力な火球がグラップレオモンに迫る。
グラップレオモンはそれをかわすが、グレイモンXはそれを先読みしており、頑強な頭部の角をグラップレオモンに向け、突進した。
グラップレオモンは両腕を交差させ、それを防ぐが、グレイモンXの突進はグラップレオモンのタービンに罅を入れる。
そしてグラップレオモンに追い撃ちをかけるように瀕死のレオモンから強烈な光が放たれた。
レオモン[レオモン超進化!パンジャモン!!]
レオモンは極寒の地で修行を積んだレオモンが進化をした姿と言われているパンジャモンに超進化を遂げた。
一輝「よくやった。後は俺達に任せな」
パンジャモンはグラップレオモンに向かって突撃する。
グラップレオモンもパンジャモンを迎え撃つ。
両者の拳が激突する。
激突による衝撃波は、地面を陥没させたが、パンジャモンの冷気がグラップレオモンの拳とタービンを凍らせていく。
グラップレオモン[!!?]
パンジャモン[氷獣拳!!]
闘気がグラップレオモンの両腕両足のタービンを凍結させる。
パンジャモン[これで終わりにする!冷気功破斬!!]
闘気を斬撃を見舞うパンジャモン。
それはグラップレオモンの身体を切り刻み、粒子データと化した。
粒子データがD-3に吸い込まれ、D-3のディスプレイにデジタマが映る。
グレイモンXはアグモンXに退化した。
一輝「データを吸収した?」
変化前のデジヴァイスにはこのような機能などなかったために、一輝は混乱する。
しかし、人が公園に来ようとしている。
一輝「やべえ、逃げるぞシャッハ!!お前も気をつけて帰れよ!!」
シャッハの手を掴んで公園から去る一輝とパンジャモン。
スバルもアグモンXと共に公園を後にした。
後書き
レオルモンの完全体はパンジャモンです。
しかし、歩く死亡フラグ持ちのデジモンだからやたらと死にかけているような…。
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