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ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
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ビギニング:吼える龍、スートに覚醒せし三つの王

 
前書き
日刊話別が18位にランクインしてました。……信じられません。目が点になりました。
情報提供してくださったかずのこさん……俺は信じられずにガチでランキングを何度も見ました。ありがとうございます。 

 
レイグルの村に来てから二週間余り。
俺はユイリにアインクラッド流を教えながら、自流派<天城流>の練習をロードで行っていた。
「<紅煉斬破>!!」
「ハイハイ」
ロードはそれを避けると、銃剣で俺を刺そうとする。
「反応遅い!!」
軽く地面を左で蹴って右を軸にして蹴り飛ばす。
天城流体術<七ノ型 旋風神脚>。
「ちょ、それひきょーーーー」
そのまま地面に叩き付けられ、ロードは俺の身体に戻る。
『手加減しようよ……』
「煩い」
俺は言うと、スレイブの樹に立て掛けてある銅色の剣を持って木こりの方へ行く。
「ああ、ライン君……だったかね?」
「ライトです……」
何回か解らない受け答えに溜め息を付かないように言うと、木こりのじいさんに言う。
「今日はこの剣で此方やりますんで、ソルの樹の方をお願いします」
「そりゃ構わんが……お前さん、何度も言うがその錆びた剣で大丈夫かい?」
「大丈夫です。さ、ソルの樹の方のユムリさんの方に行ってあげてください」
じいさんは頷くと、ソルの樹に行ってしまう。
それと入れ換わりで、ユイリとユリアが現れた。
「来たわよ、ライト!」
「うっし、今日はこの樹で練習をしろ。良いな」
「……確かに、この剣ならば行けるでしょうが……」
と、絹の袋から取り出したのは、鍔が無い、変則の剣。
しかし、俺はそれを良く見たことがある。
「兎に角練習をしてくれ。大丈夫だから」
「……ええ」
ユイリは不安ながらも、剣でスレイブを横に伐り始めた。
「……お姉さま、大丈夫でしょうか」
ユリアが俺に聞く。
「大丈夫だよ。ユイリには元々剣術の才能はあるよ。唯、それをあの父親が腐らせてるだけさ」
この二週間、あの父親は俺にどんなに家宝を自慢したか解らない。それに、セントラルとの取引など、色々と口を滑らせてくれたお陰で、本当に性悪な事が解った。でなければ、ユリアを連れてユイリが来るわけも無く、母親が逃亡計画に乗ってくれる筈もない。
「ま、いざとなりゃ、俺が殺るから問題ねぇよ」
「……ええ」
ユリアがそういった時だった。
俺の持つ銅色の剣が少しだけ色を取り戻した。
「……また色が変わった」
「それ、お父様が倉庫に仕舞ってあった銅色の剣ですか?」
「ああ」
この形状、色と良い。このレイグルの村には不可解な点がありすぎる。
「……まぁ、悩んでても仕方ねぇ。俺達もユイリの手伝いをすっか」
「そうですね」
ユリアは赤い青龍刀を持つと、俺も銅色の剣を持ってユイリの元に向かった。



































「セイハァ!!」
ズガン!!
何度目か解らないユイリの斬撃がスレイブの樹にクリティカルヒットした。
「……ふう」
ユイリが剣を引き抜くと、剣の腹で軽くスレイブの樹を叩いた。
「本っ当に堅いわね、これ」
「伝承にもある程の樹なんだろ?堅くて当然だよ」
「私も、コレがなかったら既にキブアップしてましたわ……」
ソルの樹は比較的樹が弱く、斬撃を与えやすかったが、スレイブの樹は相当な堅さを持つ。それこそ、破壊不可能オブジェクト一歩手前の堅さ。
「うーん……本来の力が使えりゃなぁ……」
腰に下がっている剣を見て、俺が言う。
だんだんと色は戻っているものの、本来の姿とはまだ程遠い。しかも、何か俺に視線を感じるし、空には龍みたいなのが飛んでるし。
「……まぁ、コイツが倒れれば万事解決してソルの樹に行けるんだが……なっ!!」
片手剣剣技<ソニックリープ>を発動して、切れ目に斬撃を放つ。
ズガァアアアン!!
ユイリの比じゃ無いほどの音を放ち、剣にまで痺れが来た。
「っ~~~~~~~~!!!!」
「だ、大丈夫!?」
ユイリとユリアが俺に近付いて来る。
「へ、へーきへーき」
「少しだけ涙目になってますよ?」
痛いものは痛いんだよ。
「さって、この剣で何処まで行けるかな……っと!!」
片手剣剣技<スネークバイト>。
この剣ならば、五連続以上の連続剣を放てる。
ユイリやユリアの剣でも試したが、やはり同様に同じ位剣技を扱える。
ただまぁ……剣術が向いているのはユイリだけで、平均的にユリアは普通なのだ。寧ろ、アスナみたく細剣の方が向いてるのでは無かろうかと思ったりもしなくは無いが、この世界に細剣なんて物が存在つるかも怪しい為、片手剣剣技を教えている訳でもあるが。
「ソイヤッ!!」
左に振り払い、止まる直後、すぐに左に回転して剣を放つ。
範囲片手剣剣技<スピニング・ストライク>。
要するにダブルサーキュラーの片手剣版と思ってもらえれば良い。
「ハアッ!!」
スピニング・ストライクが放ち終わったのを確認する前に右に剣を払い、左に返す。
片手剣剣技<ホリゾンタル・アーク>。
ここまで来れば大抵は終わるのだが、今日は更に奥に行ける。
「オオオッ!!」
片手曲刀剣技<トレブル・サイズ>。駒の様に回り、三連撃を与える。
ーーーーダーク、使わせて貰うぞ。
俺は心にそう呟き、剣を煌めかせる。
滅殺剣剣技<撃滅>。
本来の使用用途とは異なるが、かなりの天命を減らした筈だ。
「く………っ!!」
身体にかなりの負荷が掛かるも、そこから一気に剣技を展開する。
絶創剣片手剣剣技<創造(クリエイション)>。
左右に剣を放ち、更にその切れ目に刺突を十連放つ。
「………っ!!」
歯を食い縛り、更に奥へ。
邪聖剣インクルシオ剣技<竜達の破壊>。
ここで集中が途切れ、剣を地面に刺し、地面に倒れた。
「ぐっ……」
「だ、大丈夫なの?」
「触るな、痛いから……それより天命の方は?」
ユイリが頷くと、ステイシアの窓を開けて天命を確認すると、此方を見た。「……残り三千と二百です。あの連続剣の攻撃でここまで……」
前回見たときは一万と九千ちょい。
今日、俺達が三人で剣技の練習台にした且つ、あの連続剣の連撃。
恐らく、大半は撃滅によるダメージだろうが。
「後は二人でも出来るだろ」
「……三千と二百なら確かに、可能ですけど……それよりあの連続剣の名前はなんですの?」
ユイリが聞く。当然の疑問だな。
「……ありゃ連続剣のコンボだ。名前は剣技連結。神聖語で訳すなら<スキルコネクト>って所だ。ま、お前らにゃ早い」
剣を掴んでようやく立ち上がる。
ああ……奥に入り込み過ぎた。恐らく、俺のは剣技突破連結の方が性質は近い気がする。
「さて、俺はこの場から動けん。さっさと……」
と、言った途端。ソルの樹が此方に倒れて、スレイブの樹に直撃した。
「もう倒れたんですか!?」
ユリアが叫ぶ。いや、それよりも……
「逃げろォオオオオオ!!」
それよりも、その重みで伐った方の、つまり俺達の方に倒れてくる訳だ。死ぬ気で逃げないと、天命一発アウト。
「ライトは!?」
「逃げたいけどね……」
身体に負荷が掛かりすぎて痛いんです。
「ちょ、そんなのアリですか!?」
アリなんです。
「「「うわわわわわわわっ!!!!」」」
ずずぅ……ん!と音を立てて、二つの樹は倒れた。


















「危なかったなぁ………」
「本当ですね………」
「死ぬかと思ったわよ!!」
何とか回避に成功した俺達は、そのまま屋敷に戻って母親の部屋で治療をしていた。
「……簡易的な治療ですけど、動けますか?」
「ええ、有難うございます、アリシアさん」
母親……アリシアさんのお陰で、軽くなり、剣を腰に付ける。
「樹が倒れた事により、更に村は繁栄すると思います。今、ユイリとユリアの剣で二つの樹の梢を伐りに行かせています。恐らく、これがチャンスです。樹が届いたら、コレを持って北の<ヤグルシの街>に行きなさい」
渡されたのは、ドライバー三つ。右から、オーズドライバーとコアメダル、ブレイバックル、Vバックルとカードデッキ。
カードデッキには竜の紋様が在り、既に契約が成されている。
「グルドが高価な物を集めている中で、異質な物を出しました。貴方型の剣に合う筈です」
「アリシアさん、有難うございます」
それを受け取り、用意してくれたバックに入れる。
そもそもの話、ブレイバックルを起動させるには、ビートル・アンデットをラウズカードに封印しないと使えないが。
と、そこに。
「アリシア様、お持ち致しました!!」
二人の兵士が、赤と緑の梢を持って現れる。
アリシアはそれを布で覆うと、俺に渡す。
それを受けとると、ユイリとユリアは剣を受け取って腰に下げる。
「「ご武運を!!」」
「お気を付けて」
三人に見送られながら、俺達は、村の出口を目指す。
「重く在りませんか!?」
「平気だ!!権限は大きい!!」
事実、この二週間でオブジェクト権限は56まで上がっていた。ユイリとユリアは46前後。
と、そこに兵士が。
「誰も外に出すなと村長からの命だ!!止まれ!!」
やはり、何処かで漏れたか!!
「ユイリ、ユリア!!荷物からメダルと……」
と、言う前に、ブゥウウウン!と羽音が背後から聞こえた。
「メイニヨリ……サンジョウシタ」
ビートル・アンデット……ブレイバックルの起動キー。
「ああ、封印されてくれ!」
プランクカードを差し出すと、ビートル・アンデットは封印され、チェンジ・ビートルに。
それをブレイバックルにセットし、腰に装着すると、ユイリはVバックルとカードデッキ、ユリアはオーズドライバーにコアをセットしてスキャンしていた。
「「「変身!!」」」
『Turn Up』
『タカ!クジャク!コンドル!!タージャードルー!!』
俺は光のゲート<オリハルコンエレメント>を潜ってブレイドに、ユイリは近くのガラスを使って龍騎に、ユリアはオーラングサークルを付けてラインドライブが伸びたオーズ・タジャドルコンボへと変わった。
俺は左腕にあるラウズアブゾーバーからフュージョンとアブソーブを取り出すと、中央部のインサート・リーダーにセット、起動させ、スラッシュ・リーダーにフュージョンをスラッシュ。
途端、フュージョン・イーグルの力が解放され、Jフォームに強化。それと同時に。
『アドベント』
無機質な機械音が響き、無双龍ドラグレッダーが姿を現した。見ていた龍はコイツか。
「グァアアアアッ!!」
ドラグレッダーが叫ぶと、周囲のガラスが飛び散り、兵士達がおののく。
「今だ!!突破する!!」
俺は二人に言うと、オープントレイを開け、その中から一枚を抜き取り、ブレイラウザーにラウズさせる。
『MACH』
マッハジャガーの力を使い、オリハルコンウイングを展開、それと同時に、龍騎がドラグレッダーの背に乗り、オーズ・タジャドルコンボがクジャクウイングを展開する。
「オオオッ!!」
オリハルコンウイングで高速飛翔した俺の後に、龍騎とドラグレッダー、オーズ・タジャドルコンボが随意飛行し、俺達は、村から脱出した。
目指すは北の<ヤグルシの街>。
ビギニング 完 
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