| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ビギニング:新たな世界

空気に、匂いがある。
覚醒前の思考の中で、ふとそんなことを意識した。
『ライト!!ライト!!』
頭が痛い。誰の声だ?
『ライトってば!!』
俺はゆっくりと目を開けて、起き上がる。
頭を押さえ、周りを見る。
「……何処だ?」
思わず呟いた。
周りは淡い緑色の草叢に囲まれており、所々に色とりどりの小さな花が群生している。
そして、その奥には樹齢何年とも解らない巨木が連なる深い森。
どう考えても、何処かの草地としか思えない。
『ライト、聞こえる!?』
頭から聞こえる声に頷く。
「ロードか……ここは、何処だ?」
立ち上がりながら俺は聞く。
こんな所で昼寝しに来るわけも無く、意味もなくここにいるはずがない。夢遊病?記憶喪失?
いや、ハッキリと解る。俺は天城来人、さっきのはロード。俺の人格。
すぐに出てきたことに安堵して、俺は腰に手を当てると、銃が装備してあった。
『あ、それ僕のだよ!!』
「と、言うことは少なくともこの世界は……バーチャルって事か」
ロードの銃はリアルにも存在はするが、モデルガンに近い。重さも違うから、まず本物だろう。と言うことは一つ。ここは、VRフィールドと言うことだろう。
と、そこで俺は今装備している衣服に気が付く。
ロードが何時も着込んでいる白いロングコートに、俺が来ている黒いTシャツとズボン。
「どうなってんだこりゃ?」
叫ぶ気持ちを押さえ、どうにか最小の声でツッコミを入れる。まさか、自分でツッコミを入れる日が来るとは。
『ねぇ、ライト。見たことない?』
「何がだよ。此方は今困ってるんだよ」
俺はロードに言うと、溜め息を付く。
「コマンド、ログアウト!」
微かな望みを懸けて、そう発音したが、一切のレスポンスは無し。
「……あー、どうなってんだよ……」
ロードの銃をクルクルと回して言う。
まず、この手の物は大抵、RPG系統のスタートに似ていること。但し、これが初期装備ならば、強くてニューゲームも良いところだ。
それに、GMによる説明すらない。
「……そういう意味では茅場さんはマシなんだろうなぁ……」
俺はそう言うと、銃を仕舞う。危なっかしいし、何より、誤射したら面倒だ。どこぞの誤射姫よりかはマシと言うものだ。
「ロード、どうするよ?」
唯一、こんなゲームに相乗りした相棒に言う。
『取り合えず装備品これ以外に在るか探そうよ』
「そう来たか」
俺はロードの意見に賛成しつつ、辺りを探す。
しかし、何も無かった。
「無いな……」
『兎に角、この中何?』
「大体予想は付く。ソウル・トランスレーターだろうな……」
ようやく記憶と一致して、ロードに言う。
そもそもこの装備は<アンダーワールド>内にダイブするように菊岡に作らせた俺のデータ……と言うよりフラクトライトみたいな物だ。
しかし、俺はあれ以来菊岡との接触はしていない。
「取り合えず歩くか」
『だねー』
何処までも呑気のコイツの性格にあわせて投げやりにした。取り合えず面倒。



























暫く歩くこと十分少々。
「疲れたぁ……」
『へばるの早っ!?』
早々に俺はへばっていた。
「本当にここアンダーワールドかよ……」
『迷ったとか言わないでよ!?』
「とは言っても、ベースにザ・シード使ったのは比嘉の奴だし、そもそもザ・シード規格のゲームなんてこんなもんだし……」
『もう!!身体貸してよ!!』
ロードが俺の身体を奪い取ると、髪は黒のまんまで交代が完了した。
「あれ?真紅にならないや」
『知るか!!』
俺は精一杯声を張り上げてロードに言う。
「煩いよ!!もう……」
ロードは膨れっ面しながら歩くと、洞窟が見えた。
「洞窟?」
『……行ってみるか。大したModが出るわけじゃないし』
「ライト?……まぁ、そう言うなら」
ロードは言う通りにし、俺達は洞窟内に入っていった。





























「うわ、暗い!!」
『当たり前だろうが』
もう、本当にロードに肉体渡してて大丈夫かと思ったとき。
「ちょっと!!離しなさいよ!!」
声が聞こえた。
『ロード!!』
「うん!!」
ロードは忍び足しつつ走ると、反響した声の大元へ辿り着く。
ロードの銃弾眼で見ると、少女が二人と、RPG系統の定番、ゴフリンの群れが居た。どうやら、少女達の方が捕まったらしい。
「大人しくしろっての!!テメェらは俺らのオモチャになるんだからよぉ!!」
「誰が!!そんなものになる、もんですか!!」
おお、意外と強気だな、あの女の子。と、思っていると。
「多少傷物になっても構わない。静かにさせろ」
一人のゴフリンがその少女を捕まえているゴフリンに言った。
途端、出した物は、巨大な蛮刀。
「ライトーーーーー」
『行け、抹殺しろ』
俺は冷静にロードに言うと、
「ッ!!」
刹那、ロードは疾風となってそのゴフリンの両腕を切り裂いた。
「なーーーー!?」
「えっ!?」
宙に打ち上げられた少女をキャッチし、ロードは言う。
「怪我無い?」
「あ、貴方は……?」
少女を地面に立たせて、言う。
「唯の通りすがりの銃士さ」
そして、両手に銃を保持すると、俺達はゴフリンを見る。
「君達、覚悟は出来てるよね?よってたかって女の子を連れ去ろうなんて、僕が許さないよ」
「チィッ!!そのイウムだけでも連れていけ!!俺達はこいつを!!」
「り、了解!!」
奥に居たゴフリンが気絶した少女を連れていこうとする。
「ユリア!!」
「待ってて、今助けてあげる」
ロードはそう言うと、俺に手を伸ばした。
「『融合』」
途端、俺達は一人となって、真紅の髪と目が光る。
「『さぁ、行くよ!!』」
肩に担ぐように、一方を持つと、最初のゴフリンをヘッドショットで殺し、
「『セアッ!!』」
肩に担ぐように、持っていた銃剣を弧を描くように振るって首を落とす。
「オラァアアアアアアッ!!」
「『!?』」
三人目のゴフリンがハンマーを振り下ろしてくるのを反応して、スライドダッシュすると、そのハンマーの柄を斬る。
「んなっ!?」
「『消えろ!』」
そして、首を落とす。
「『後二人!!』」
洞窟の奥へと駆け、ゴフリンを追う。
「き、来たぁあああああっ!!」
「どおって事はねぇ!!後少しでダークテリトリーだ!!」
ゴフリン達が言う。
それは阻止する!!
『ロード、極限までイメージを高めろ!!』
分離した俺がロードに言う。
「イメージ!?って何の!?」
『何でも良い!!例えばSAOのお前とか!!』
「!!」
ロードはその瞬間、目を閉じた。
「はぁああああっ!!」
そして、地面を蹴った瞬間、ロードの姿はSAOのロード<銃撃者>になっていた。
「<ビート・ブラスターク>!!」
二人のゴフリンに強力な弾丸が放たれると、一斉に倒れ、少女から手を離す。
「今の僕の怒りは……フルスロットルだ!!」
そのまま駆け出し、剣に焔を纏わせた。
「<エースラッシャー>!!」
ザザンッ!と、Aの閃光が煌めき、ゴフリン達を切り裂いた。
「生きて帰れると思ったら大間違いだよ。<ビート・ブラスターク・マスターエンフォーザーVerブレイズ>」
途端、火炎放射みたいなマスターエンフォーザーが放たれ、飲み込んだ。
「絶望が、君達のゴールだ。後悔するんだね」
そういった途端、ロードの装備は元に戻った。
「さて、さっきの女の子の方に戻ろ♪そこの少女も連れて♪」
『そうだな』
早々にここを引き払うべく、俺達は速やかに少女を抱えて来た道を戻っていった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧