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第七章

「そいつ等、黙らせてそうしてな」
「そうして?」
「そうしてっていいますと」
「お仕置きもしてやるぜ」
 こうも言う彼だった。
「二度とそんなことさせないぜ」
「そうだよな、そんな客はな」
 フェリペも言う。
「誰にとっても迷惑だからな」
「だからだよ、徹底的にやってやるぜ」
「料理でか」
「暴力は振るわないさ」
 その手段は採らないというのだ。
「暴力ならブン屋の方がずっと上だからな」
「ペンを使ったそれだな」
「日本はどうか知らないけれどな」
「滅茶苦茶書いてくるからな、奴等」
「嘘でもその嘘をゴリ押しするからな」
 マスコミは嘘を記事に出来る、そしてそれを何度も何度も掲載して既成事実化出来るのだ。日本の新聞の常套手段だ。
「殴るよりも強いからな」
「ずっとな」
「だからな、暴力は振るわないさ」
 絶対に、というのだ。
「それはしないさ」
「そういうことだな」
「ああ、そして」
 カルロスはさらに言うのだった。
「二度とそんなふざけたこと出来ない様にしてやろうか」
「舌で黙らせるか」
「ああ、それで料理以外の用意もしてくれるか?」
「料理以外の?」
「それはな」
 カルロスは笑ってフェリペ達に話した、彼等はそれを聞いて成程と思った、そのうえでその親子を待つのだった。
 やがて見事な着物を着たふんぞり返った男と黒いスーツの若い男が来た、二人共オールバックでしかも人相はかなり悪い。 
 彼等はカウンターに偉そうに座ってだ、デリラとハイメに言った。
「ではだ」
「食わせてもらおうか」
「酒に合うものをな」
「そうさせてもらうぞ」
 やけに日本訛りの強いスペイン語で言って来た。
「まずいものを食わせたら容赦しない」
「記事に書かせてもらうからな」
「わかりました、それじゃあ」
 デリラが応える、そしてだった。
 酒とカルロスが作った料理を出す、その間ずっとだった。
 フェリペは厨房の中にいた、そこで一緒にいるカルロスに言うのだった。
「まずはか」
「ああ、俺が作った料理をな」
「あの日本人達が食ってだな」
「見てろよ」
 カルロスは笑いながらフェリペに話した。
「そうすればわかるからな」
「あの連中が御前の料理を食えばか」
「ああ、今回は力作だからな」
「連中も黙るか」
「黙ってな」
 にやりとした笑みでの言葉だった。
「それからだよ」
「それからか」
「ああ、それからだよ」
 カルロスの料理が出される、そして。
 二人はそのカルロスが作った料理を食べた、するとだった。
 二人でだ、こう言った。
「美味いな」
「ああ、そうだな」
「最初からこんなものを出せばな」
「文句は言わないんだよ」
「まったりとしてそしてな」
「コクがある」
 何処かで聞いた様な言葉を偉そうに言う。
「この味ならな」
「美味い」
「それではだ」
「次も食わせてもらう」
 そうしてだった、料理を食べていき。
 デザートまで食べた、それが終わってからだ。 
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