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半龍神は世界を変える

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魔法のある世界

久しぶりに人を殴ったな。そう思いながら返り血を火魔法で乾かしていた。
魔法には、火、風、土、水、雷の五属性が基本だ。水魔法の応用が氷魔法となる。ほかには結界魔法、治癒魔法、再生魔法、分解魔法、毒魔法、強化魔法、精神干渉魔法などがある。これら五属性以外の魔法はかなりレアな物であり、五属性の魔法に比べて使えるやつは少ない。俺の場合は結界魔法と治癒魔法、強化魔法が使える。俺のように五属性以外の魔法を複数使えるやつはほとんどいない。また五属性は全部使える。また魔力を纏わせて武器などを強化するのと武器などのその物に強化魔法をかけるのとでは根本的に違う。魔力を纏わせるだけなら魔力を纏わせられるだけの魔力量があれば誰でもできる。ただ魔力を纏わせるだけでできるのは固さしか強化できない。しかし、強化魔法は魔法をかける物のあらゆる機能を向上させる。例えば鉄の剣に魔力を纏わせた物と強化魔法をかけた鉄の剣で鋼鉄を切る実験をしてみる。
魔力を纏わせた物は確かに鋼鉄は切れるが一回切るとボロボロのなまくらになってしまう。魔力を纏わせるだけでは固さは強くできても鋼鉄を切るともなれば消耗は激しくなる。なにせ丈夫さが強くなる訳ではないのだから。
しかし、強化魔法をかけた鋼鉄の剣は鋼鉄を何回も切れる。これは強化魔法に使った魔力と維持する魔力、そして使用者の強化魔法の適正による。強化魔法をかけるとあらゆる機能が向上する。剣は軽くなり、丈夫さも上がり、固さも上がり、切れ味も上がる。このように強化魔法は万能だ。しかしこの魔法は魔力をかなり使う。維持するのにも魔力を使い、機能を向上させるにも魔力を使う。維持に関しては例えば切る一瞬だけ強化魔法をかければいいと考えるが、それはかなりの練度でなければ出来ない。また使用者の練度や適正によって魔法にはタイムラグがあるからだ。しかしこの魔法は他の魔法とは違い詠唱が要らない。
本来魔法を使うには3つ方法がある。
一つは魔方陣に魔力を流し込むことだ。これなら魔力を持った者なら誰でもきる。ただ、燃費が悪く、タイムラグが大きいせいで戦闘には向かず、家庭などで使われている。例えば魔方陣に火の魔法や魔方陣をセットしておけば火が出るっていう仕組みだ。
二つ目は詠唱だ。詠唱とは魔方陣を文字に変換したものを読むことだ。これは省くことができるが、それは才能や練度による。また詠唱は共通化されている。つまり詠唱を聞いていれば何を使うのかが目星がつく。また強い魔法を使うほど詠唱は長くなり、省くことが出来なくなる。
3つ目は無詠唱だ。無詠唱は誰にでも出来るわけではない。これは上位種にしか出来ない。人間は使うことが出来ない。稀に使える人間が現れるがそいつは例外。つまり勇者だ。勇者ってのは恐らく一番天使に近い人間であると思う。
また魔法は規模を大きくする、威力をあげる、圧縮させる、同時に複数の魔法を使う、魔法を組み合わせるなどのことをするほど魔力の消費は激しくなる。
魔法とは魔力を使って何かを生み出したり、何かに変化させる事ことである。例えば火魔法は魔力を使って火を起こしているかだ。錬金術は土魔法の応用である。
このようなのが魔法の概念だ。
俺は現実の光景に目を向けた。目の前には女の子座りをしてこちらを見つめるエルフの姫だけ。こいつそうそう逃げ出しやがって。
「ほら。大丈夫か?」
俺は手を差しのべた。エルフの姫は手を取ってたった。
「あ、ありがとうございます。」
「うん?なにがだ。」
「そ、その助けてくださって。」
「あのな。お礼を言うなら逃げないでくれ。別になんもしないんだから。」
ほんといちいち逃げられるとたまんない。
「本当に何もしないんですの?」
「ああ。俺はお前をシルフ王国に送り届けるだけだからな。」
こいつになんかあると後々面倒になる。
「わかりましたわ。おとなしくしますわ。」
とため息をつきながらエルフの姫はかんねんした。
「そうだ。名前なんて言うんだ?俺はドライグだ。」
「私はシルヴィア・シルフですわ。」
「シルヴィアか。わかった。そろそろ宿に戻ろう。」
シルヴィアは頷いてついてきた。ついてきたとたんに唐突に質問してきた。
「あなたは何の種族ですの?あなたの魔力は人間のようでそれでも明らかに人間では無いものですわ。見たことのない魔力ですわ。」
ほう。そこまでわかるか。なかなかの目だ。 エメラルドグリーンの目は伊達じゃないか。
「さぁ?どうだろう。自分で調べるといいさ。」
俺ははぐらかした。正直言うわけにはいかないしな。
「そうですの。なら調べますわ。」
うわー。しつこい。そんな事を思ってしまった。
「つってもシルフ王国に帰るまではそんな暇ないからな。俺は一刻も早くお前をシルフ王国に送り届けたいからな。」
「なぜ急ぐのですか?」
「簡単だ。足手まといがいると大変だからだよ。」
「それはレディにいう言葉ですの?私、こう見えて魔法は得意ですわよ。」
「そんなの当たり前だろ。ハイエルフなんだからな。」
「ならあなたも上位種ですわよね?あなたの魔力はそこが見えませんわ。」
「さあなー。だがその情報は高くつくぞ。」
俺は少し威圧した。これはこれ以上詮索するなという意味を含めているものだった。
「わかったわ。詮索はよすわ。」
シルヴィアは怯んだ様子はなくあっけらかんと言ってきた。
「分かってくれて何よりだ。」
これで俺に秘密があることはわかってしまったが内容が大事だしな。そうすると宿に着いた。俺はカウンターまで行き、風呂と食事を頼んできた。
「風呂を取ったから入りたければ入っていい。食事も頼んだがどっちを先にする?」
「風呂にするわ。」
「そうか。付いていくからいくぞ。」
「まさか一緒に入るわけではないですわよね?」
「はぁ?何いってんだ。外で見張ってるだけだよ。」
何いってんだこいつは。そんなことを思いながら風呂まで向かった。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

俺は女風呂の外で待っていた。どうやら中にはシルヴィアだけらしい。瞑目して待った。たまに通る女に逆ナンパされたが無論断った。どうやら俺の顔は女の好みらしい。本当に鬱陶しいしめんどくさい。。そんな事を思っていると魔力を感じた。場所は女風呂の外からだった。その魔力は風呂のなかに向かっていた。しかも俺じゃなければ感知できないほどの少なさだった。恐らく魔力を遮断する結界を使っていると思われる。俺は風呂に走って突っ込んだ。女風呂だったが躊躇をしている暇ではなかった。俺はそのまんま脱衣場のドアを蹴破り風呂に入った。そこにはシルヴィアが裸でいた。当然だが。魔力はシルヴィアに向かっていた。にもかかわらずシルヴィアの回りには何も存在していなかった。これも恐らく光を遮断する結界を張っているようだ。光を遮断する結界を出せる結界は存在しない。そもそも、魔法道具を結果を出すが出来ない。それにしても結界を二重に出きるとはなかなかの練度だ。俺はシルヴィアに急激な早さで近づく何かに背中の大剣で切りつけた。
「ちょっと!何しに来てますの!?」
シルヴィアは気づいていないようだった。何かに切りかかったが、何かに弾かれた。恐らく武器で防いだのだろう。
「これを着ろ。今誰がいる。動くな。」
そう言って上着を脱いでシルヴィアに渡した。俺は何かに話しかけた。
「そこにいるんだろ。結界をとけ。俺には見えている。女を怖がらせるもんじゃない。」
そう告げるとその何かは姿を現した。全身黒のローブやらマントやらで体を隠していた。手には50センチくらいの片手剣を持っていた。恐らく暗殺者だ。しかもかなりの手練れだ。暗殺者は顔を見られてはいけない。そうゆう掟があるらしい。まさにそのまんまだ。恐らく顔を見られてはならないのは見られたら仕事が出来なくなるなるからだろうな。
「よくわかったな。相当の手練れとお見受けする。私をそこまではっきり捉えた奴は初めてだ。」
「そうかい。あんたにはここで死んでもらう。」
悪役じみた台詞と同時に俺は素手で殴りかかった。暗殺者は剣で向かい打とうとしていたが愚かな選択だ。俺は無詠唱で魔法を使った。暗殺者の後ろから氷の槍が出てきた。暗殺者は俺が無詠唱を出きるとは想定してないらしく、しかし辛うじてジャンプしてよけた。大抵はこれで死ぬのだがやはりなかなかの手練れだ。俺はジャンプして暗殺者に右ストレートをかました。暗殺者は結界で防ごうとした。しかしこれも愚かな選択だ。俺の右ストレートは結界をぶち破って暗殺者目掛けて突き進んでいた。そのまま腹にまっしぐら。暗殺者は気絶した。
「これは?暗殺者?なぜ私に?」
俺の上着を着たシルヴィアが驚きながらきた。
「恐らく生け捕りって依頼なんだろうよ。」
「なぜ私を?」
「そんなの決まってんだろ。お前を人質にしてシルフ王国と交渉させる気だろうよ。」
にしてもここまでの暗殺者を雇うとはかなり大きい組織と見受けられるな。
「ならなぜ私が奴隷の時にさらわなかったのですか?」
「それはお前の近くにも用心棒がいてそいつが強いやつだったから迂闊に何も出来なかったとしか考えられないな。」
「あ、そういえば…」
思い当たる節があるらしい。
「まあ暗殺者は俺が処分してくるからゆっくり入ってていい。お前に異常があればすぐ駆けつけられるからな。」
俺はそう言い残して暗殺者を背負って、この都市の牢獄まで行った。  
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