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ハイスクールV×D ライド8
(そう言えば……最近、二人で遊びに行った記憶は無いな)
ふと、荷物持ちをしながら四季がそんな事を考えていた。何時もの事ながら詩乃との買い物に付き合って荷物持ちをしている訳だが、
(……まあ、オレが詩乃と一緒に居られるだけで楽しいのは何時もの事だし)
詩乃と一緒に居られれば何処でだって幸せだ、と言い切れる四季である。だが、その気持ちが一方通行になってしまっていないかと不安を覚える事も有る。
付け加えるならば、己の中にある一種の『歪さ』も理解している。……詩乃さえ居てくれれば世界さえ要らない、等と言う一歩間違えれば危険極まりない考えが自分の中にあることに。
基本二人で行動しているのはハグレ悪魔狩りやデートを兼ねた買い物と、純粋に遊びに行った記憶はなかったりする。
(ハグレ悪魔狩りで稼いだ分を少し使って……夏休みに旅行に)
有る程度予定を立てつつ、詩乃にも相談して計画を立て様と考えを巡らせていく。……ただ、世の中予定通りに進まない事は色々と存在している。特にドラゴンが色々なものを引き寄せるのなら、守護竜を宿した四季もトラブルを引き寄せる事だろう。
……まあ、惑星クレイのドラゴンは例外だと思いたい。……ドラゴンエンパイアはどれだけトラブルを引き寄せるのか想像出来ないレベルになってしまうのだし。近隣では気絶したドラゴンが降って来るとか来ないとか……。
恐るべし、惑星クレイ。
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さて、彼女グレモリー眷属の王であるリアス・グレモリーは頭を抱えていた。先日の四季との一件。あの二振りの剣を持った四季が悪魔に対して悪い感情を持ってしまったと言う可能性はこれから先心底拙い事になるだろうと考えていた。
四季の持っていた漆黒の剣は外見は能力から、堕天使側が手にしたという伝説の剣の一つである可能性が高いそうだ。一誠との揉め事を除いて兄には報告したが、流石に自分の眷属が喧嘩を売ってしまいました。等と報告できるはずも無い。
そして、もう一つ四季が光の力を宿した剣を持っていると言うが、天使側が手にした白い剣であると考えて良いだろうと言うのが悪魔側の新たな推測だった。守護竜が持ち去ったと言われている二本の剣、そのうちの一振りを持っていて片方は持って居ないと言うのは先ずありえないだろう。
天使や堕天使以上にその剣の脅威に曝された悪魔側は身を持って二振りのブラスターシリーズの脅威を知った為にその力の強大さは三大勢力の中でよく知っている。だが、同時に危険性は何処よりも知らずに居た。
リアスと同じ駒王学園の生徒がその剣の所有者。自分達のテリトリーの中に中立の状態で存在している。接点が出来たリアスに彼との交渉を任せることになったのだが……
(どうすれば良いかしらね)
既に交渉は決裂しているとも、かなり四季からの評価が低いとも言えないリアスだった。少なくとも、『絶対にぶん殴る』と憤っている一誠を宥めて四季に頭を下げさせる事から始めなければならないだろう。
四季も四季でリアス達の事を悪く言ったが、それは眷属にならない理由として上げた面も有る。それについては四季も『言って良いのか』と聞いてもいる。
非常時でなければ相手にも仕えるべき主君を選ぶ権利だってある。寧ろ、木場と一誠を同時に相手にして無傷で勝利した四季の実力を考えれば彼が心を惹かれる条件を提示してから誘うべきだっただろうと、改めて思ってしまった。
まあ、余談では有るが、四季と交渉するのならどちらかと言えば会長の方が向いているかもしれないだろう。外見だけならリアスよりも彼女の方が好みだろうし。
リアスがそんな事に頭を悩ませながら一日ほど時間が経った頃、その日のオカルト研の部活は一誠の家で行う事になった。旧校舎の清掃の為に何時もの部屋が使えない為に急遽リアスとアーシアの同居している一誠の家を使う事になったのだ。
まあ、リアスとしても四季の問題に対して良い考えが浮かばない現状で、良い気分転換になるだろうと考えての事だったが。
「小さいイッセー……幼い頃のイッセー、幼い頃のイッセー、幼い頃のイッセー、幼い頃のイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー、幼いイッセー!」
「私も部長さんの気持ち分かります!」
当のリアスはアーシアと一緒に気分転換所か一誠の幼い頃の写真で仲良くトリップしていた。傍から見ればかなり危ない人である。
「ああ、木場! お前は見るなよ!」
「ははは、良いじゃないか、もう少しイッセー君のアルバムを楽しませてよ」
「何か本気でイヤなんだよ!」
主に四季の木場に対する『同性愛者』発言から眷属内での黒二点の一人としてちょっと思うところが有ったのだろう。結構必死な表情で取り戻そうとしているが、木場はそれを簡単に避けていた。まあ、騎士の駒の転生悪魔の木場に素早さで一誠が勝つ術は無いだろうが。
ニコニコとしてイッセーをからかう様に飛び回っている姿からは四季の漆黒の剣を見た時の様子は感じさせない。だが、突然彼の表情が険しい物へと変わる。
「イッセー君! これ……」
そう言って木場が見せた写真は幼稚園の頃と思われる一誠と茶色の髪の子供、模造剣らしい立派な剣が写って居た。
「これ、見覚えは?」
そう言って木場が指差したのは背後に写っていた西洋剣。
「うーん、ガキの頃過ぎて覚えてないな」
「こんな事があるんだね」
一人ごちて苦笑を浮べる木場。その頭の中にあるのは四季の漆黒の剣が聖剣を砕く姿。
「思い掛けない場所でみかけるなんて……」
その瞳に浮かぶのはゾッとするほど憎悪に満ちていた。
「これは、聖剣だよ」
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「球技大会か……」
「そうね」
仲良く球技大会の練習風景を見学している四季と詩乃の姿が有った。元々帰宅部でクラスでは他生孤立気味の二人なのだ。そんな中で球技大会の様な競技はかなり退屈な時期に分類できる。
四季曰く、『学校の外なら友人も居る』と言うのが二人の弁だ。実際二人は外には友人は居る。
「なあ、詩乃……」
「なに?」
「夏休みの頭、二人で旅行に行かないか?」
「え!? じゅ、準備しておくけど何で……」
「いや、遠出って仕事関係だけだから、恋人らしい事をしようかな、って思った」
顔を彼女に見せないようにしているが、四季の表情は真っ赤になっている。
「そ、それにしても、オカルト研の連中も張り切ってるな」
球技大会には各部活同士の部活対抗戦もある。確か生徒会が他の追随を許さない圧倒的な強さを見せているらしいが、それに向けて張り切っているのだろう。
まあ、普通の人間と悪魔では基礎スペックが違う。スポーツと縁の無いオカルト研究部も全員身体能力のスペックは高い。四季のような例外を除けば純粋な身体能力では勝ち目は無いだろう。
「でも、野球の練習って意味あるのかしら?」
「だよな」
思わず詩乃の言葉に同意してしまう。本来野球は九人で行なわれるスポーツだが、オカルト研究部は現在活動している部員は六名、一応七人目は居るらしいがそれを含めても二人足りない。まあ、二人足りなくても試合は出来るかもしれないが、当然ながら防御の麺で不利になる。同時に11人で行なうサッカーに於いては巧守共にだ。
それに、サッカーも野球も専門の部活が有利になると言う点を考慮すると、全ての部活動になるべく有利不利が無い種目になる可能性が高い。
(それにしても)
ふと、グレモリー眷属の練習風景の一角……木場のところで視線が止まる。ボーとしているだけならまだ良い。何故か四季の姿が視界に入ると周りの事も気にせずに殺意を向けてくることもある。隙有らば切りかかって来そうな辻斬りの様な気配を向けてくる為に、四季にしてみれば油断なら無い。
……お蔭で今日は詩乃と一緒に昼食を取れなかった。……しかも、今日は折角詩乃が作ってくれたと言うのに味わって食べる事ができなかった。
流石に其処までされるのは迷惑だ。
「いっそ向かって来てくれれば楽なのに」
「何物騒な個と言ってるのよ」
向かって来てくれれば迎え撃てば良い。だが、殺意を向けてくるだけでは流石に対応は難しかったりする。
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