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東方喪戦苦【狂】

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二十六話 変化の少年

「白夜、お前は来るな。」
狂夜は、静かに白夜に訴える。

「…どうして…」
「お前はあの研究所で心の傷をおっている。…悪いがそんな奴を一緒に連れて行く事は、出来ない。」


白夜は、下唇を噛み締めた。

「私だってッ…」
「復讐を果たしたい…か?」

白夜は、何かを言いたそうだったが口ごもる。

「…そんな汚れ仕事を果たすのは…俺だけで十分だ…」

狂夜は、白夜の頭に手を当てる。


「それに…お前には友達(アゲハ)が居る。…そいつを残して行くなんて酷じゃないか…」
狂夜は、そういって白夜に魔法を使う。


『ルーラ、アゲハ達の元へ』

白夜は、その空間から消えていった。


「…」
狂夜は二枚のコートを羽織る。

一つ目は、神那の遺品の黒いコート

黒と言うより漆黒だが…

ポケットの中には、オルゴールと懐中時計。


そしてもう一つは、神那とお揃いだが少し色褪せているコート。

ポケットの中には、無限にある武器。


「…」
狂夜は、神那の遺品の懐中時計を開く。

時間は、午前一時半。


狂夜は、息を吐き、懐中時計を閉じてポケットの中に入れた。


「っし…潰しに行くか。」

狂夜は、神那の情報を頼りに目的地へと魔法で飛ぶ。
______________________

「ハツとタツは、やられたようだね。鬼隆。」

「………」
鬼隆は、その少年の問いに対しても俯いて何も反応しない。


「…心傷(トラウマ)か…」

少年は、鬼隆の頭に手を当てて言う。
「そんなトラウマ程度に乗っ取られるなんて…」

少年は、鬼隆の耳元で冷たく囁く。
「お前、死ぬか?」

「ッ!?」
鬼隆は、俯いていた顔を冷や汗と共に少年の方に上げた。

「…裕海?何故…俺がここに…」
鬼隆は、頭を押さえて唸る。


「狂夜殺害に失敗したんだよ。」
裕海は、淡々と鬼隆に語る。

「…ッ…お…俺は…」


「…しょうがないさ…ハツとタツは、失敗して死んだ。」


「…じゃあ俺は…どうすれば…いいん…ですか?」

裕海は、ニヤッと笑う。

「俺が出よう。君たち幹部では、無理だ。」

鬼隆は、絶句する。

絶句しざるを得なかった。


「それに…いい『運動』程度には、なるだろう…」


「…しかし…貴方が行くと…この幻想郷が…崩壊しかねませんよ!?」

鬼隆の怒声にも似た一言に裕海は、微笑んで言った。











「仕方ないさ···これが、世界の『秩序』を守る為なんだ」

______________________

「森の中に研究所があったのか…なるほど…見つからないわけだ。」

狂夜は、目の前の研究所の入口、

少し錆びた鉄の扉の取っ手に手をかけた時。




『殺気』を感じた。

狂夜は、扉から大きく一歩下がる。


ギィィと扉が開き、現れたのは、





若い少年だった。



狂夜は、その少年と目が合った瞬間に



今までの人生、いわゆる『走馬灯』が頭の中によぎった。


狂夜の身体から汗が噴き出す。


――こいつが…

その少年は、当たり前のように挨拶をする。

「やぁ、君が新月狂夜君かな?」
狂夜には、その平淡な声が死神の叫びにも聞こえた。


「…っ…」
ここまで圧倒されるのは、狂夜の人生で初の出来事だった。

「俺は葉川裕海。」
少年、葉川裕海は、愛嬌のある顔で微笑んで言った。

「ご存知、オーダーの首領、そして…」





「君たちエイジスの首領をやっている。」


裕海は、今回一番の笑顔を見せて言う。


「よろしく、仲良くしてくださいっ♪」 
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