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美しき異形達

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第三十一話 相性その八

「山って木の陰に隠れるじゃない」
「日の光が」
 菫が応える。
「そうなるわね」
「うん、それでね」
「日焼けもしないのね」
「村からちょっと出ると山の中だから」
「背の高い木が一杯あって」
「そう、日焼けもね」
 そうしたこともだというのだ。
「あまりしないから」
「それでなのね」
「そう、いいかなって思うけれど」
 それでもだというのだ。
「日焼けしたこともあるけれど、真夏に奈良市に出て遊んだ時に」
「その時に日焼けをして」
「後で痛かったから」
 その日焼けがというのだ。
「だからなの」
「日焼けはしたくないのね」
「そうなの、だから私もね」
 裕香も、というのだ。
「日焼けには気をつけてたの」
「そうそう、まして白浜は日が強いからね」
「他の場所以上に気をつけた方がいいわ」
 鈴蘭と黒蘭も裕香に話す。
「さもないと後で痛い目を見るわよ」
「日焼け止めクリームを塗っていないと」
「そう、だから塗っていたの」
 実際に、というのだ。
「多分だけれどこれで大丈夫よね」
「そう思うぜ、あたしもさ」
 薊もだ、裕香に笑顔で話す。
「ちゃんと日焼け止めクリーム縫ってるしさ、今」
「薊ちゃんは何かね」
 鈴蘭は薊にも言った。
「そういうの使うイメージじゃないけれど」
「いや、あたしだって日焼けするしさ。それに」
「それに?」
「院長さんが言ってたんだよ、日焼けしたら痛いから海とかプールに行く時はちゃんとクリーム塗っておけってさ」
「院長先生がなの、薊ちゃんがいた孤児院の」
「そうなんだよ、女の子はそうしたことにも気をつけろってさ」
 そう言われたからだというのだ。
「あたしも気をつけてるんだよ」
「そうなのね」
「院長さんはあたしにとって親父だよ」
 まさに親だというのだ。
「本当に大事な人だよ」
「薊さんにとってそこまでの人なのね」
 黒蘭も言うのだった。
「院長先生は」
「ああ、院長さんが親父でさ」
 そして、というのだ。
「副院長さんがお袋だな」
「副院長さんもおられるのね」
「そうだよ、気のいいおばさんだよ」
「女の人だからお母さんなのね」
「ああ、そうだよ」
 そうなるというのだ。
「あたしにとってはさ」
「それで院長さんの言うことをなのね」
「聞いてそうしてるんだよ」
 日焼け止めクリームを塗っているというのだ。
「そうしてるんだよ」
「成程ね」
「横須賀だから夏は海で遊ぶことが多いんだよ」
 伊達に海上自衛隊の拠点の一つではない、すぐ傍に湘南もあり横須賀で夏に遊ぶとなれば海ということが多いのだ。
「あたしにしても」
「だから余計に日焼け止めクリームが重要なのね」
「そうなんだよ、だからあたしも塗ってるんだよ」
「今も」
「そうなんだよ、それに日焼け止めクリーム塗って痛くない方が」
 それで、というのだ。 
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