いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?
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日常風景のパフォーマンス
第30話
前書き
長くなりそうだったので前後編に分けます。今年中に木場君をもう一話投稿したい。
side プロフェッサー
「え~、本日はお日柄も良く「挨拶は面倒だから早くするにゃ~」オレも面倒だと思うからカットするか。それじゃあ、今回の趣旨と注意事項と簡単な予定だけ伝えるぞ。質問は最後だ。今回の趣旨だが、とりあえず『断罪の剣』で種族関係なく仲良く遊んで楽しもうぜ、戦場で助けを求めたりするのを躊躇わないですむ位に。ちょっとヤバそうな相手と戦う事になっていきそうだからな。普段話さない様な相手とも積極的に話さないといけない状況に持ち込むからそのつもりで」
「「「「ちょっと待ったーー!!」」」」
何人からか抗議の声が上がるが無視だ無視。
「別に危険な事はしないから落ち着け。ただ単にペアを作ってレクリエーションをするだけだ。ちゃんと商品も用意しているから頑張れ。注意事項だが、特に無いんだよな。まあ、海は危ない所だから、危険を感じたら大声を出すなり、魔力や光力を解放して危険を知らす事。準備運動を忘れない事。アーチャーがライフセイバーの免許持っているから指示に従う事位か。予定としては昼前にペアを決めて、その後昼食、少し休みを挟んでからレクリエーションを開始する。それからこの周辺はオレの契約者の一人の私有地で特に誰も居ない。あそこのコテージは好きに使ってかまわないそうだ。どうせオレが契約の対価にされるだけだからな。それでも設備を壊したりはするなよ。はい、質問のある奴挙手、いないな。良し、各自解散!!」
「「「わ~い!!」」」
解散を告げると同時にミッテとイリナとルゥが着替える為にコテージに走っていくのを生暖かい目で見送りながら、男性陣でパラソルやらレジャーシートなどの重い荷物を持って浜辺に移動する。まあ、下に水着を着ているからな。男はそこら辺が楽で良い。というか、オレとアザゼルはアロハにサングラスと泳ぐ気ゼロである。レクリエーションで強制的に泳ぐけどな。
パラソルを立てて、その下にレジャーシートを敷き、クーラーボックスを置く。アーチャーは折りたたみ式のテーブルの上で肉や野菜を切り始めている。パラソル一式を四箇所用意してからバーベーキューセットの準備を終え、オレはレジャーシートの上に寝転がり、そのまま眠りにつく。この日の為に色々と準備をして疲れたのだ。堕天しないですむ様になる魔法陣の縮小に自分の戦闘用の小道具類の調達、屋敷の結界やデモンベインの調整及び改修作業などを不眠不休で行っていたのだ。
さすがにクスリや術式でも疲労を誤摩化すのが限界になっていたのだ。それでも効率のいい休息を取る為に睡眠による休息を強化する魔法陣を新規に製造した。昼前まで寝ればほぼ全快の予定だ。ついでに快適に過ごせる様に遮音結界と気温調整の結界を張っておこう。それじゃあお休み。
side out
side ミッテルト
先日買った水着に着替えて砂浜にまでやってくるとアーチャーさんが昼食の下準備をしたり、祐斗さんがそれの手伝いをしている中、パラソルの下で早速酒を飲んでいるアザゼル様と爆睡している師匠が目に入る。しかも、師匠は何かの結界を張った上でだ。
今日まで色々と急がしそうにしていたのは分かるっすけど、それでも女性陣を完全に無視する様に寝ている師匠にちょっとイラッと来たっす。とりあえず日頃の恨みも込めて埋めるっす。
ルゥが何かの遊びと勘違いしたのか一緒に師匠を埋め始め、他にもイリナとかゼノヴィアも手伝い始める。何でもコカビエル討伐の折に色々と酷い目に会わされたそうっす。その時は分離出来なかったそうっすけど、表面に出ていたのをアーチャーさんに確認したそうっす。あとは、久遠もおもしろそうだからって手伝ってくれたっす。
いやぁ~、久遠とは相性が良いと言うか付き合いやすいっす。白音とは違って本当に猫そのものと言うか、野良猫らしい自由さが目立つっす。まあ、野良猫みたいな生活を送っていたらしいっすから間違いじゃないんっすけどね。別にウチはそんなこと気にしないっすよ。妹の為に主を殺して、生きる為に色々な組織を転々とするのは悪い事だとは思えないっすから。
話が反れたっすね。師匠がある程度埋まった後、練習を兼ねて結界を敷いて封印してみる。空間固定を軸にした結界っすから更に上に砂を積んで城を作る事にするっす。途中からアザゼル様が参加した所為かもの凄く立派な城になったっすから勿体ないと思い、城の方にも空間固定を施しておく事にするっす。
そして、これだけの事をしたにも関わらず相変わらず師匠は寝たまんまだったっす。かなり間抜けな姿だったっすから記念に写真も撮っておくっす。ネタにしたらどんなお仕置きを受けるか知れた物じゃないっすけど。
「なんか予想以上に凄いのが出来たっすね」
「そうね。それ以上に凄いのがこれだけの事をされて全く起きる気配がないプロフェッサーも凄いわね」
イリナの意見に殆どの人が同意したっす。もちろんウチもっす。
「あれ、プロフェッサーはまだ寝てるんだ」
白音と二人で遊んでいた祐斗さんがやってきたっす。意外と鍛えられた身体をしてるっすね。同じ身体を作ってるはずっすから師匠もあんな感じっすかね?全然想像出来ないっす。明らかに研究職の生活してるっすから。あっ、でも資材とかをまとめて担いでたりしてたっすね。
「やっぱり無理をさせていたのかな?」
「楽しそうに色々とやってたっすから問題無いっすよ。それに一段落着いたらしいっすから」
「ミカエルから頼まれてる奴が仕上がったんだったか?よくあんな物を作れたな」
「いやいや、それはとっくの昔に完成してるっす。堕天の仕組みを聞いてから三日程で。それを縮小するのに時間がかかってただけっすから」
「……こいつ、意外と有能なんだな。今まで誰も出来なかったのに。立ち入り禁止区域の研究室に籠ってるからあまり話した事がなかったが」
アザゼル様の発言で師匠に注目が集る。まあ、著書を読む限りもの凄く有能なのは分かるんっすけどね。ただ人に直接教えるのは向いていない。課題の量が半端じゃないのだ。その課題以上のことをこなしているので文句も言えない。だから今回みたいな悪ふざけ位許して欲しいっす。
「ルゥ、蟹を捕りにいくっすよ。周りにバラまいたらおもしろそうっす」
「は~い」
ルゥと一緒に蟹を求めて岩場の方に走るっす。
side out
side プロフェッサー
「ぎゃああ~~~、ウチが悪かったっす!!お助けをおおお~~~~!!」
オレの安眠を妨害したミッテを棒に括り付けて火あぶりの刑の処す。一応、火傷などは負わない様にしてやっているが、熱は感じる。オレを埋めるだけならまだしも蟹を放って目を傷つけられそうになったのは許せん。
オレがミッテを火あぶりにかけている横ではアーチャーが昼食のバーベーキューの準備を始めている。魚を持って来た覚えはないのでアーチャーが釣ってきたのだろう。
「すまんが火をくれ。有り余っているだろう」
「好きなだけ持っていけ。その分追加するだけだからな」
「ちょっ、まじで許して!!そろそろヤバいっすから!!」
「ほれほれ、頑張って結界を張れ。魔法陣を書く程度は出来る様に縛ってあるんだから」
「妙に手枷が緩いのにがっちりと解けそうにないのはそう言う意味っすか!?」
「お仕置きを兼ねた訓練だ。早くしないと火力調整が面倒になって燃料を全部突っ込むぞ」
「ぎゃあああああ!!スパルタにも程があるっす!!この人でなし!!鬼!!悪魔!!」
「だって悪魔だからな」
ぎゃあぎゃあと文句を言いながらもミッテは必死に魔法陣を書こうと努力している。今更ながらミッテが着ている水着を見る。久遠から教えられた最初に選んでいた水着とは違い、ルゥが着ている様なフリルが大量に使われている物でミッテに良く似合っているな」
「うぇ!?な、何を急にって、げっ、線がずれた!!」
うん?最後の部分が声に出ていたか。裏に回って魔法陣を確認すると8割程書けていたが、重要な線がずれている為に効力を発揮出来なくなっている。ついでに修正も難しいな。仕方ない、火力をアップさせるか。
「ちょっ、普通火力を下げるんじゃないんっすか!?」
「早くしないと昼食にミッテの丸焼きが増える事になるのか」
「なんっすか、その明日にでも屠殺場に連れて行かれる豚を見る様な目は!?」
「形が崩れない様に更に縛り上げておくか」
「タンマタンマっす!!頑張るっすよ、ウチ!!簡易版の魔法陣を!!」
オレの脅しが効いたのか、次々と効力が限定されている魔法陣を書き上げていき、最後に光力で作り出した槍で縄を解いて脱出に成功した。
「ヤバかったっす。今のは本気でヤバかったっす」
「これに懲りたらオレの安眠を妨害するんじゃない」
「ちなみに埋めるだけならどうなってたっすか?」
「そうだな。ただ埋めるだけなら課題の量を増やしていたが、上に立派な城を建てていたからな。中に空間固定系の魔法陣を書いていたようだし、構成の甘い部分の解説をする位か」
「基準が分かり難いっす」
それだけ言ってミッテが倒れたので近くのパラソルの下まで抱きかかえて運んでやる。昼食まで休ませてやるか。オレは、そうだな、あの砂の城を改造するか。
side out
side アーチャー
隣で火あぶりにされていたミッテルトをプロフェッサーが連れて行った為にようやく静かになった。暴れられたりすると食材にゴミが入ってしまう可能性があるから火を調整する事しか出来なかったが、今なら問題無いだろう。下ごしらえをしておいた食材に串を通して焼き上げていく。
本来、このやり方は食材に火を通す時間が同じになってしまい、串に通した食材に火を通し過ぎてしまうか逆に火が通っていない物が混ざってしまうのだが、堕天使として手に入れた光力を上手く扱えば火力を部分的に調整する事も可能だ。集中力が必要になるがいつもと変わらんな。
しばらくすると臭いに釣られてイリナとルゥがふらふらとやってくる。予測出来ていた事なので予めつまみ食い用に用意しておいた肉の切れ端を口に放り込んでやる。
「そろそろ焼き上がるから皆を呼んで来てくれ」
「はいは~い」「は~い」
つまみ食いの対価に簡単なお使いを頼んでおく。ミッテルトはまだ動けないだろうから後でいいだろう。プロフェッサーも城の改造をするから最後の方で良いと言ってきていたな。二人の分は白音に回せば良いだろう。ちょうど焼き上がる頃に皆が集ってくる。
「どんどん焼いていくから好きに食べろ。私とプロフェッサーとミッテルトは後で頂く」
『断罪の剣』のメンバー分を一斉に焼くには私でも焼く事だけに集中せねばならない。プロフェッサーは味覚はしっかりとしているが食えない程不味くなければ気にしない男だからな。私とミッテルトの分位なら食べながらでも焼ける。
大半のメンバーが食べ終えた頃にプロフェッサーがミッテルトを連れてくる。
「う~っす、残ってるか?」
「無論だ。もう少し待て」
「あ〜、丸焼きにされかけた後でのバーベキューって変な感じがするっす」
やってきた二人に少しだけ待つ様に伝える。
「そう言えば、城の方はどうしたんだ」
「原形が残らなかった」
言われて砂の城の方に視線を向けると、そこには冬木のアインツベルン城かと思う程に増築された日本式の城がそびえ立っていた。魔法陣もかなりの数を仕込まれているのか工房の一歩手前まで行っている。地盤も強化されているのか崩せそうもない。
「少しは自重したまえ。何処の敵と戦うつもりだ」
「つい興が乗ってな。帰る時には崩すから心配するな。攻性結界も脅し様みたいな威力しかないからただのアスレチックだと思え」
見れば既に何人かが天守閣まで登ろうとして罠にかかって城の外に放り出されている。楽しそうにしているみたいだが、水着が脱げかかっているのも居るな。
「アレは不可抗力だ。どうしようもない」
「まあ、そうだな。それより、焼けたぞ」
「おいしそうっすね」
プロフェッサーとミッテルトが食べ始めたので私も食べさせてもらおう。
side out
side 木場祐斗
「危ない!!」
床の模様に巧妙に隠された魔法陣を踏んだ白音さんを抱えて横に飛ぶと同時に強力な斥力が発生する。グラビティコアを作り出して床に突き刺して踏ん張る。5秒程で斥力が止まるが油断は出来ない。他にも罠が連動している可能性がある。
プロフェッサーが改造した城を攻略し始めて既に1時間経っているが、未だに天守閣に辿り着く事が出来ない。この階層を昇れば天守閣なんだけど、プロフェッサーとアーチャーとミッテルトさん以外の全員で登っていたのに、既に僕と白音さん以外が一番下まで送り返されている。
「随分苦労しているようだな」
後ろを振り返るとアーチャーが立っていた。
「登るの早くない?」
「私は解析が使えるからな。罠や魔法陣の位置は分かっている」
なるほどと思う。アーチャーの使える数少ない魔術を使えば確かに簡単だろう。
「待つっすよ。ウチの休暇がかかってるんっすから!!」
下からの階段からミッテルトさんが飛び出してくる。階段の最上段で一度止まり、じっくりと床と壁を見つめ始める。
「休暇って?」
「私より先に天守閣に辿り着いたら一日だけ課題を無しにするそうだ。私は普通に歩くのが条件だ」
「よし、行けるっす!!」
ミッテルトさんが何かを避ける様にジグザグに走ったり、飛び込んだりして通路を抜けていく。
「やったっす、これでああああああああ〜〜〜〜〜〜!?」
通路の奥の階段に足を掛けた途端、下へと落ちていってしまった。
「くっくっく、実はあの階段、下から3段がフェイクで固定されていないのだよ。そして、その下には固定を解除する魔法陣が仕込まれている。今頃は下の階層の入り口だ。所謂初見殺しだ」
アーチャーが意地悪そうに笑っている。知ってたから立ち止まって僕らと話していたんだろう。するすると通路を抜けて横から階段の4段目に飛び上がる。
「それでは頑張りたまえ。プロフェッサーも皆を連れて登ってきているからな。私は少し準備があるのでな、失礼させてもらおう」
そのままアーチャーは階段を上って姿を消す。さて、僕達も追わないとね。アーチャーとミッテルトさんが通った道は異なる。二人の足跡が残されているのでそれを観察する。ミッテルトさんは休暇を得る為に多少無理に駆け抜けたのか、つま先、または踵部分しか踏んでいない部分がある。その周囲には魔法陣の一部があるのだろう。
アーチャーの通った経路は少し複雑だ。右に曲がったと思ったら一歩だけ進んでバックしたり、多少の跳躍も含まれる。だけど、しっかりと足下を踏んでも大丈夫なのだろう。しっかりと足跡を残してくれているからそれを辿れば問題無い。だけど、それで良いのだろうか?二人の足跡を見ると、もう一つ位ルートが隠されていそうだ。
そもそもプロフェッサーが全員を連れてきているのだから、普通に歩いて通れるルートが絶対に存在しているはずだ。ええっと、あそことあそこが魔法陣だから、構成を維持する為に補助をそこに書く必要があって、それからそこにも罠が有って、白音さんが踏んだ罠がそこだから、ミッテルトさんが踏みかけてるそれがこれと干渉してて、いや、そっちにも干渉してるのか。つまりこことそことそれで合同で一つの魔法陣と個々の魔法陣を描いているのか。その上で床の模様に見せかけているのか。
こうしてみると、かなり手間隙掛けて作られているんだね。大雑把に見えても細かい気配りと言うか管理と言うか、ミッテルトさんを見ているとよく分かる。ミッテルトさん本人は気付いていないのかもしれないだろうけど、僕達が分離出来る様になってから急激に力を付けている。もう中級どころか上級に指が引っかかっている位に力が付いているのに今まで以上に力を使い方が上手くなっている。魔法陣もかなりの数を書ける様になっているみたいだ。急激にそれだけの力を付けたのに本人に気付かせず、オーバーワークにもさせない細かい管理をプロフェッサーは行っているのだ。自分は色々とオーバーワーク気味に活動しているのにね。
さて、ルートは把握出来た。ここからは特に問題もないね。白音さんを横抱き、所謂お姫様抱っこをしたまま通路を歩く。残っているルートはそこそこ分かり難い上に危険そうな魔法陣のすぐ傍も通る。このままの方が進みやすい。白音さんも嫌がっていませんからこのままでいいでしょう。
後書き
ミッテルトとプロフェッサーが異常に動かしやすい。特にミッテルト。小物役から落ちまで何でもこなせそう。
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