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いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?

作者:ユキアン
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日常風景のパフォーマンス
  第29話

 
前書き
おかしいな、オリジナルと白音のデートのはずなのにどうしてこうなった? 

 


side プロフェッサー


「あ〜、暑いっす」

「あ〜、暑いにゃ」

「ほれ、自分の周囲を一定の気温に保つ符だ」

魔剣の効力内に無理矢理三人で入っている為に暑苦しいので白衣の内ポケットから符を取り出してミッテと久遠に渡す。

「はぁ〜、何が悲しくて人のデートを覗かなくちゃいけないんっすか?」

「説明しただろうが。猫魈にも発情期があって、誰かに恋をしてると発情する可能性が高くなって、白音がオリジナルを襲う可能性が微レ存だと」

「それのフォローを隠れてするのに私の仙術だけだと不安だからミッテルトに特別支給された魔剣の力が必要なんだにゃ」

「オレも隠密は基本的に聖剣の性能頼りだったからな。一応結界で隠密行動も取れなくないが準備が不十分なんだよ。くそっ、白音の奴め、行動が早いにも程があるぞ」

苛立を紛らわす為にチュッパチョップスを収納のカードから取り出して銜える。

事の始まりは昨日の夜の事だ。デモンベインの調整をしていた所にオリジナルがやってきて、明日白音と買い物に出かけるから留守を任せると言われた。すぐに確認の為に久遠に白音の様子を伺うと何処かそわそわと浮かれているそうだ。この時点でオレ達二人の意見は一致した。

オリジナルはただの買い物に付き合うだけだと考えているが、白音からすればデートのつもりなのだと。その涙ぐましい対応に応援したくなるのだが、オリジナルの堕天だけは確実に防がなければならない。堕天を防ぐ結界は既に完成しているのだが縮小するのに手こずっている。今の所建物の屋根にでも魔法陣を描けばその建物全体をカバー出来る様にはなった。だが、固定式だ。せめてA4サイズに収まる位にまで縮小したい。

白音の恋を応援する為にオレと久遠はその日の内に『断罪の剣』で海に遊びに行く事に決め、日程を組んで速攻で全員に通達した。無論、全員強制参加だ。名目はより高度な連携を取るために背を預けれる位に仲良くなろうと言う物だ。あと、強制的に休ませないと休まないのがオレを含めて数名いるのでそれをなんとかする為でもある。

この身体を得て1週間、飯とトイレとシャワーを浴びる以外は休憩らしい休憩をとっていないオレにアーチャーが五月蝿いのだ。元に戻った時に精神的疲労を押し付けようとしているだろうと。勘のいい奴は嫌いなんだよな。

だが、オレは戦闘前の準備がそのまま戦闘力に変わる戦闘スタイルなのだ。手持ちが少ない今は多少の無茶が必要なのだ。



「それにしても同じ屋敷にすんでいるのに現地集合なことの意味に全く気付いていないとは」

「ちょっと考えれば分かりそうなもんなんっすけどね」

「それでも15分前に到着して待つのは合格にゃ。私服は初めて見たけど中々良いセンスしてるにゃ」

「オレが服をコーディネートした。神父服で行こうとしやがったから。時間もオレが注意しといた」

「……苦労してるみたいにゃね」

「アーチャーもこっち方面では全く役に立たないからな。なんだかんだでバランスが取れてたんだな、オレ達。泣けてくる。オレごときが一番の常識人ってどうなのよ」

「「あ〜〜、どんまいにゃ」っす」

二人が肩を叩いて慰めてくれる。本気で涙が出そう。その5分後に白音がやってくる。あまり見たことのない白いワンピース姿だ。気合い入ってるな。

何か会話をしているようだが、まあお決まりのセリフだろう。アーチャーなら読唇で何を言っているのか性格に把握出来たんだろうがな。並んで移動を始める二人を追ってオレ達も移動する。目的地は会長とのゲームの会場となったデパートだ。

「一番最初に水着を買いに行くのか」

「まあ荷物はカードに納められれるもんね」

水着売り場に到着したオレ達は監視を続けながら自分たちの分も選ぶ。オレは普通に迷彩柄のトランクスタイプの物だ。一番近くに有ったからそれにした。男物の水着など大して変わらんからな。ついでにアーチャーの分も色違いで購入しておく。

ちなみに久遠とミッテは別行動中だ。結界はどうしたのだと思うだろうが、どうにかなるのだ。誰かを尾行しているのは怪しいが、水着売り場で水着を探すのは怪しい行為ではないだろう?つまりは結界による認識をそらす必要が減るのだ。これ位なら個人ごとに使える隠密系統でどうにでもなるのだ。

「ねぇねぇ、プロフェッサー、どう?」

久遠に呼ばれてそちらの方を見る。そこには布が申し訳ない程度にしか無く、大事な部分だけを隠す様なデザインの水着姿で大胆なポーズをとる久遠の姿が有った。

「似合っているとは思うが、喜ぶのはアザゼルだけだぞ。アーチャーは前世が前世だから情を完全に殺すし、オリジナルもオレもそういう水着は、理由が違うが苦手だからな」

「ちぇっ、おもしろくないにゃ。少しは顔を赤くしても良いのに」

「残念だったな。前世ならともかく、今世では枯れた生を送る気だからな。そういう暗示をかけてある」

「本当につまんにゃい。折角新しい人生を送ってるんだから楽しめば良いのに」

「そう考えられれば楽なんだろうが、あくまでオレとアーチャーはオリジナルのおまけだ。おまけらしく多少は新しい人生を楽しむが、女はな。あと、ぶっちゃけるとホムンクルスだから生殖機能はないし」

「うわぁ〜、ぶっちゃけすぎ」

「まっ、そう言う訳で誘惑してもムダだな。やるならオリジナルを相手に姉妹で取り合ってくれ」

「さすがにそんなことはしないにゃ。ただでさえ、白音には酷い事をしてきたのに、また啀み合いになるのは嫌」

「そうだよな。とりあえずアザゼルを狙わないのなら水着は変えておく事を薦めておこう」

「は〜い。まあ、一緒に持って来てるんだけどね」

そう言って似た様なデザインで布面積が増えた水着とセットのパレオを見せてくる。

「そちらの方が好みだな。オレには意味がないが」

「ぶ〜ぶ〜、もうちょっと盛り上げてくれても良いんじゃにゃいの?」

「だが断る。というか、ミッテはどうした?尾行を続けないといけないから出来るだけ早めに決めてもらいたいんだが」

「隣に入ってたはずだけど、会話にも参加しないなんて、あっ、察し」

「何をって、あっ、なるほど。大体分かった。ちょっとオレはもう少しオリジナル達に接近してくるから、後で合流するぞ」

「はいは〜い、また後で」

そそくさと試着室の前から離れる。後ろでミッテがからかわれているようだが気にしないでやるのが紳士の対応だろう。オレはまっすぐオリジナル達が居る方に進み、柱を盾にして会話を盗み聞きする。

「どっちの方が良いと思いますか?」

「……右の水色の方かな」

あのオリジナルの消耗具合を見るに、延々とどっちが良いのかと比べられたのだろうな。白音が右手に持つ腰回りにフリルが付いたツーピースの水色の水着は、オリジナルの好みにかなり近いものだからな。

ここはオリジナルに助け舟を出すとしようか。携帯を取り出してオリジナルの番号を打ち込む。オリジナルの懐から初期設定の着信音が流れる。白音に断わりを入れてからオリジナルが携帯に出る。

『もしもし』

「白音との買い物は楽しんでるか?」

『まあね。けど、何かあったのかい?』

「おそらく楽しんでいるが苦労もしているだろうオリジナルに助言と加護を与えようと思ってな。欲しいか?常識がズレている自覚はあるのだろう?このままだと知らないうちに白音を傷つけてしまうかもしれないぞ」

『それは、困るね。何故と聞かれても分からないとしか言えないけど』

成る程、白音にも脈はあるようだな。良かった良かった。

「くっくっく、その答えは自分で見つけるしかないな。さて、本題に戻るがオレとお前は一心同体と言っても過言ではないが、今は個々に存在する。そしてオレは悪魔だ。当然対価は貰う」

『何を望むんだい?』

「とりあえず注意事項をメールで送るから速攻で頭に叩き込んで扱え。そして後日でかまわんからどれだけの価値があったかをオリジナルの気持ち分でチュッパチョップスを包んでくれれば良い」

『分かったよ』

「まいどあり」

昨日の内に久遠の監修の元に作成したマニュアルと簡単な暗示の掛け方を送りつける。次は白音の方だ。

『はい』

「オリジナルの好みとかの詳細データって欲しくない」

『対価は?』

「オレは甘い物好きでな」

『後日、送ります』

「まいどあり」

白音の携帯に記憶共有によって得ているオリジナルのデータと先程得たオリジナルが白音の事をちょっと意識しているという情報を送る。それを確認した白音が少し頬を赤く染めているのを確認する。うんうん、初々しいなぁ。


side out



side オリジナル


水着を買い終わった後、プロフェッサーからのメールの内容を叩き込む為に一度トイレに向かう。個室に入り内容を速読して頭に叩き込む。かなり細かい内容だった上に、僕の考えと大分違っていたので苦労したがそれでも不審に思われない程度の時間ですんだ。

トイレから出るとちょうど白音さんも出てくる所でした。そのまま最初の予定だった秋物の服を買いに行きます。ふっ、先程はあそこまで選ばされるとは思っていませんでしたが、今度は大丈夫です。暗示もかけてありますから疲れを見せる様な事もありませんよ。

白音さんも先程より服を選ぶ時間が短く、本当に最後の選択だけを聞いてきた。おかげで楽しく買い物が出来ている。それに、こうやって二人だけでのんびりしているのも随分と久しぶりのことだな。屋敷の整備や工作に研究に鍛錬。他にもやる事が多過ぎた。

プロフェッサーとアーチャーのおかげで随分と楽が出来る様になった。仕事を押し付けるようで心苦しかったのだが、二人とも一人の時では時間の都合で出来なかった事を出来る様になったから問題無いって言ってくれた。実際、二人とも楽しそうに屋敷やデモンベインの整備、料理に掃除に裁縫をやっている。まあ、プロフェッサーの裁縫は白衣に白い糸で魔法陣を刻み込む作業なんだけどね。

店から出る際、白音さんが控えめに左手を握ってきたので、軽く握り返すと少し顔を赤くしながら嬉しそうな顔をしてくれた。その笑顔を見ていると、こう、胸の奥が温かくなる。この気持ちは一体なんと言えば良いのだろうか?


side out




side プロフェッサー


「これは監視する必要もなかったかな?何処の小学生のカップルだよ」

「見てるこっちの方が恥ずかしくなるっす」

「にゃ〜、もう少し突っ込んでも良いと思うのに奥手と言うか恥ずかしがりと言うか。もどかしいにゃ〜」

物陰に隠れながら監視を続けているオレ達は、半分監視を投げっぱにしながらオレ達はオレ達で楽しんでいる。今はゲーセンで二人がダンスゲームをやっているのを見ながら、ミッテと二人ですぐ近くのドラム型洗濯機みたいな筐体の音ゲーをやっている。知っている曲と知らない曲と微妙に知っている曲と微妙に知らない曲とかなんかカオス。こんな所で前世と違う文化に触れる事になるとわな。

「プロフェッサーとオリジナルって本当に別人なんっすね。普通にゲームに慣れてるっす」

「大学の同期との付き合い上な。そこそこ得意だ。久しぶりにやるが、身体は覚えているみたいだな」

ミッテと二人で最高ランクのパーフェクトを出し終えてオリジナルの方を見る。オリジナルは照れがあるのか動きにキレがないな。白音は慣れているのか照れはないようだ。

「肉体スペック的には簡単なはずにゃのにね。あと、はい、頼まれたの」

「サンキュー」

「ありがとうっす」

音ゲーの前にやっていたエアホッケーで負けた久遠が自動販売機でオレ達のジュースを買ってきてもらったのだ。手渡されたペットボトルの蓋を開けながら適当に曲を流し見ていき、腕が止まる。画面に映し出されているのは、とあるアニメのOPでアニメのタイトルは『Fate/Zero』

「どうかしたっすか?」

「ちょっと待ってくれ」

検索をかけてみると『Fate/Stay night』の方もある。しかも『エミヤ』が入ってた。誰だ、こんなピンポイントな選曲しやがったのは。アーチャーの素性がバレたら、おもしろいだろうが。

迷わず選択してプレイする。一緒に流れる映像はバーサーカー戦か。先程までと同じ様にプレイしていたミッテだったが、固有結界を見て動きが止まりミスを重ねる。何か言いたそうだったがゲームの方に集中するようだ。

「あの〜、今のってアザゼル様から聞いたんっすけど、コカビエルの時の」

「同じ様な魔法を使うなら行き付く先も同じだろう?」

明確な肯定はせずに若干ぼかす。オレが直接バラしたと知られるとオレがアーチャーにお仕置きされてしまうからな。

「どう見てもアーチャーと一緒じゃないっすか!!肌の色とか、武器の構え方とか、その他諸々が!!今wiki見たっすけど、同じじゃないですか!!」

「じゃあ、同じと言う事にしとけ。正しいかどうかは本人に直接聞くと良い。オレはオススメしないがな」

「おっと、二人が移動するみたいっすよ。追いかけるっす」

露骨に会話を切って逃げ出すミッテを久遠と二人で苦笑しながら追いかける。ああ言う小物っぽい所を見せても不快に感じさせない所がミッテの魅力だろうな。

結局、この日は白音がオリジナルを襲う様な事は無く、見てるこっちが精神を削る監視になった。うん、公共の場でクレープの食べさせ合いなんてオレには出来んよ。いくら甘い物好きのオレでも勘弁して欲しくなった。久遠も同じようだが、ミッテは羨ましそうにしていた。

これからも二人がデートをするたびに監視なんてしたくないので、戦力の拡充よりも先に堕天しないですむ結界の携帯性の向上に勤めないとな。


side out
 
 

 
後書き
次回は海に行きます。
影の薄いキャラも活躍させないと。 
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